〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第四百二十話 転生の果て

結界に包まれた翔とDollsは、何やら幻想的な風景が広がる世界へと飛ばされた。辺り一面が花畑であり、空中を浮かぶ島々がいくつも見える。空には無数の星が見える。

 

ヤマダ「なんだここ……さっきまで中庭にいたっショ……」

 

アヤ「アイツが何かしたんでしょ……それに、あの気持ち悪いニセモノ……あれをけしかけてきたのも、あの天使……!」

 

Dollsは自信を身模ったドッペンゲンガーと戦い、撃破に成功した。ディケイド激情態に変身した翔も、Dollsを模倣したドッペルゲンガーを躊躇うことなく瞬殺した。

 

ディケイド激(マキナ……お前はいったい……)

 

マキナ「−−−−嗚呼。」

 

マキナはなにかを嘆くように言う。

 

マキナ「まだ、思い出してくれていないのね。アナタの記憶を……私たちの使命を……」

 

ディケイド激「黙れ!!」

 

ライドブッカー(ガンモード)の銃口からエネルギー弾を放つディケイド激情態。しかし、マキナの前にドッペルゲンガーが現れ、彼女の盾となった。

 

マキナ「でもいいの、私が代わりに覚えているから。それはもう、アナタが覚えているのと同じ事。アナタの使命は私が代行する。そのための奇跡……」

 

ディケイド激「俺の使命は…全ての妖魔を消す事……あのストライカー共が捨てた使命は、元隊長の俺が代行するんだ……てめぇ如きに代行できるか!!」

 

ディケイド激情態は再びエネルギー弾を放とうとするが、ユキがマキナの前に立った事で不発に終わった。

 

ディケイド激「!?」

 

マキナ「積み立てられた感情は熱量となって返済された。そして、人形は槍に『転生』した。」

 

ディケイド激(槍に転生だと…?……まさか、コイツ……ユキを神殺しの道具にしたってのか!?)

 

マキナ「私が問うわ。今の槍の存在強度を、『試練』による変化を答えなさい。」

 

マキナの問いに、ユキは答える。

 

ユキ「槍としての存在強度、45%。人形としての自覚が強く、転生が不十分。試練は強度上昇に7%貢献。期待値よりやや低い。感情も攻撃性以外が多く残存。使命完遂に疑問の残る状態。」

 

ディケイド激(今ユキが言ったことが事実であれば、まだ完全に道具と化していない……戻せる余地は十分にある……だが、方法が……)

 

マキナ「……そうよね。私もそう思うわ。せっかくの奇跡、熱量は十分。そう思ったのに−−わかっているわ。そこに愛がなかったからね。アナタの愛が……」

 

ヤマダ「何言ってるかさっぱりわかんねーな……マジなんなんだ……」

 

アヤ「ユキを……元に戻してよ……!できるんでしょ!?奇跡を起こせば……!!」

 

アヤを無視して、マキナは再びユキに問う。

 

マキナ「……私が問うわ。今の槍の存在強度。最も低い個体は?」

 

ユキ「第1の槍、ユキ。10%未満。他の槍の平均値は50%付近。」

 

マキナ「……そうよね。私もそう感じていたわ。」

 

ディケイド激「適当なこと言ってんじゃねぇ!!」

ディケイド激(ユキの存在強度が落ちているってのか……?そんなバカな……)

 

マキナ「ダメね、このままでは意味を為さない。でも、よくここまで転生を重ねたとも思うわ。楔石(くさびいし)、結界、人形、そして槍−−私の一番の『舞台装置』。少しだけ、愛着が湧いたとも言えるかしら?だからこれは、私からの贈り物……」

 

 

アナタの存在を

 

奇跡に変える

 

槍への完全なる

 

転生のために

 

その存在強度を捧げなさい

 

 

レイナ「なんですって……!」

 

ディケイド激(それじゃあ、ユキが消滅する……ふざけるな……そんな真似はさせるか…!!)

 

ディケイド激情態はマキナに向かって走るが、無数のドッペルゲンガーが邪魔をする。その上、マキナの近くにはユキがおり…下手に攻撃できない。

 

ユキ「作戦意図を確認……承認。」

 

ヒヨ「それって……どうなっちゃうの…!?ユキちゃんに……何をするの!?」

 

ユキ「ただし、それによる強度上昇は46%と予想。奇跡の水準に達しない可能性が高い。」

 

マキナ「まあ。」

 

ユキが奇跡に変わってしまえば、彼女は消滅してしまう……そう感じた一同は、それを阻止しようと試みている。しかし、邪魔が入り…中々阻止できない。その間に、ユキはどんどん言葉を進める。

 

ユキ「試練の継続を提案。強度上昇を維持し、第4の敵との交戦時に熱量に変換。さらに実行予定の作戦『オルフェウス』により、回収したフィールを充て奇跡を実施する。」

 

マキナ「……そうね。私もそれがいいと思うわ!」

 

オルフェウスとは、霧の中から現れた第4の敵に対抗するため…ドールハウスが計画している浄化作戦だ。

 

アヤ「何……勝手に決めてんのよ!!」

 

ディケイド激「マキナ、てめぇ……ユキをどうするつもりだ…!!」

 

マキナ「翔、いよいよ本物になるわ♪吐瀉物を殺戮する人形から神を滅ぼす槍に!!」

 

Dollsの言葉には一切耳を傾けず、翔の言葉だけに返答するマキナ。

 

マキナ「槍を1つ炉にくべて、残りの8本に鋳合(いあ)わせる…それが必殺の呪いとなる……神の肢体もきっとたやすく葬り去るわ!なんて、素敵なんでしょう……!」

 

ディケイド激「ユキを犠牲にするつもりか……冗談じゃねぇ!!」

 

マキナ「ええ、そうよ。第1の槍は、存在の捧げ呪詛としての他の−−」

 

ディケイド激「ふざけんじゃねぇ!!」

 

ドッペルゲンガーを全滅させ、ライドブッカーの銃口をマキナに向けるディケイド激情態。

 

ディケイド激「俺達には、ユキが必要だ……ユキは俺の生き甲斐…それを奪うつもりか…!!」

 

マキナ「あら…どうしたって転生した存在は儚いわ。残りの槍も同じ、運命の終点は近いでしょう?」

 

ナナミ「は…?残りの……今なんて……?」

 

サクラ「あと少し……私たちの……終点……?」

 

マキナ「だから有効に使わないと。感情を積み重ねるには、どえしても時間がかかってしまうから。」

 

シオリ「……それを知っていてそうすると?」

 

マキナ「…?」

 

漸く、Dollsのメンバーの言葉に耳を傾けたマキナ。

 

シオリ「時間がかかるものだと、大事なものだと思うならなぜ、あなたは……!」

 

マキナ「残りの力を最大限に活用できる……幸せね。ちょっとうらやましいくらい……」

 

ミサキ「っ!!話が通じない…!」

 

ディケイド激「コイツはそんな奴だ…まともに話し合いなんざできっこねぇ…!!」

 

レイナ「これが……天使……分かり合えそうにないわね……!」

 

あまりにも話が通じない上、彼女の言葉の意図を理解するのに時間がかかってしまう。

 

マキナ「まあ!昂っているのね。ふふ……その調子、いいと思うわ!いくらでも、与えてあげる。愛も、試練も、すべて……」

 

マキナがそう言うと、周囲にフィールが出現する。

 

シオリ「このフィールは…!?」

 

マキナ「変化を恐れないで。大丈夫、舞台は私が整えてあげるから。愛しいアナタ、頼もしい槍…アナタたちを抱く、両の(かいな)で。慈愛を。勇気を。誠意を。希望を。奉仕を。希求を。恩寵(おんちょう)を。赦罪(しゃざい)を。あらゆる愛を寬容し、模倣しましょう。」

 

その愛に気づいた時

 

私たちの諦念は

 

セカイに安寧をもたらす

 

 

さあ、愛しあいましょう!

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