〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
カーロンと急襲妖魔が倒された事で、周囲の汚染度が大幅に減少……作戦は、成功したのだった。
ヒヨ「やった、やったよ!ユキちゃん!!」
「ユキさん!!」「ユキ!!」
皆の元に帰ってきたユキを温かく迎えるメンバー達。
ユキ「みなさん……」
レイナ「ユキ、貴女が帰ってきてくれて本当に良かった……」
アヤ「はは……ほんと、一時はどうなることかと…」
シオリ「それはこちらのセリフです……!!」
アヤに突っ込みを入れたシオリは……
シオリ「アヤさん、ヤマダさんもです!!どうして……どうして……ふたりだけで……私たち、9人でDollsでしょう……」
……と、涙ながらに怒った。
アヤ「……ごめん。ほんとに、ごめんね……」
ヤマダ「いやほら……ダメージは少しでも少ない方がねぇ?」
謝罪するアヤと言い訳をするヤマダ。
ヤマダ「だいたい最初はジブンだけでやろうとしたのにアヤさんが」
シオリ「……!!!!」
ヤマダ「……まことに申し訳ございませんデシタ。」汗
シオリの泣きそうな顔を見た途端、咄嗟に謝罪の言葉を口にしたヤマダ。
ミサキ「ふふ……まったく貴女は……この貸しは高くつくわよ。」
ヤマダ「いや~でもレアなミサミサ、拝んじゃいましたねぇ!本当に追い詰められるとあんなカンジに」
ミサキ「…………。」
ヤマダ「……まことに、まことに申し訳ございませんデシタ。」汗
ミサキに睨まれたヤマダは、掌を返すようにして彼女に謝罪した。
ユキ「ふふ……」
そんな様子を見て、珍しく笑うユキ。
サクラ「ユキさん……私たちのこと、思い出してくれたんですね……」
ユキ「それは……わかりません。」
サクラ「え……?」
ユキ「わたしは、みなさんの中にいたわたしなんです。わたしのことを気にかけてくれた人たちの思い描く『わたし』……それは、もしかしたら元のわたしではないのかもしれなくて……でも……わたしが今まで過ごしてきた毎日を、ずっと見守ってくれた人がいた。わたしの気になることを見つけて、できることを増やしてくれた人がいた。わたしの手を取って、いろんなところに連れて行ってくれる人がいた。」
レイナ、シオリ、ミサキは心当たりがあるらしく、微笑んだり、顔を剃らしたり……それぞれ違う反応をしてみせた。
ユキ「わたしと何度も競い合って、今よりも強くなる方法を考えてくれた人がいた。わたしが好きな場所にいるときに、隣に座ってくれる人がいた。わたしの好きなものをもっと好きになれるように、素敵なことをたくさん教えてくれる人がいた。わたしが、その人たちのことをどれだけ好きなのか分かってくれる人がいた。」
ヒヨ、ナナミ、サクラはユキの言葉を聞いて優しく微笑む。
ユキ「そして、わたしがわたしであることを誰より望んでくれた人が誰より近くにいてくれた……だからきっと、今の『わたし』のほうがわたしに残っていたわたしより、きっと……」
愛「そんなことないよ。今のユキちゃんも、その前のユキちゃんも、違う事なんてない。」
ユキ「愛さん……」
愛「そうだよね、翔君♪」
翔「……俺に質問をするな……」
Dollsに背を向けている翔だが、彼もユキに言う。
翔「少なくとも…皆が思い描いたユキも、お前自身が思っているユキも、文字通り心を、記憶を、感情を束ねて合わせられるから取り戻せた。それが全て、今のユキに繋がっている……どれひとつ、欠けることなくな。」
アヤ「そうよね……あなたはこういうイメージです!とか言われたら、そうなっちゃったりするもんね。」
ヤマダ「え~それなんか例えちがくないっすか?それに……ちょっとチョロすぎ……」
アヤ「んなっ!?……なんであんたは……!そ~やって揚げ足ばっかり取って……!!」
ユキ「ふふ……ふふふ……そう……そう、ですね……アヤさん、ヤマダさん……」
何やら言い合いを始めるアヤとヤマダを見て、またユキは笑った。
アヤ「何?」
ヤマダ「なんすか?」
ユキ「……シオリさん、レイナさん、ミサキさん、ヒヨさん、ナナミさん、サクラさん、チヒロさん、カナさん、斑目さん、愛さん、深雪さん、蜜璃さん、そして……翔さん……」
ユキはメンバー全員を見ながら、こう言った。
ユキ「みなさんの中のわたしが、みなさんを呼ぶわたしを覚えていてくれたから……わたしはまた、みなさんの名前を呼ぶことができる……」
そして、目に涙を浮かべる。
ユキ「それが…うれしい……」
その時、荒川に花火が1つ2つと、夜空に上がった。花火はメンバー達をイメージした色である。
司会者『……素晴らしいステージでしたね。最新技術による天幕、いかがでしたでしょうか?夜空はまた再び、花火の光で満たされます。Dollsのみなさんはそのまま川を下り今、海の上で同じ花火を見上げているとのこと。』
司会者によると、港のステージで海上ライブの中継が行われ、その様子は再び夜空にも投影されるのだ。
PPPーー
カナ『みなさん……お疲れのところすみません。Dolls流し雛ライブ、最後のステージ……お願いできますか?』
ヤマダ「ウェ~……ま~じぃ~??」
アヤ「当たり前でしょ!ほら、しゃきっとする!!」
仕事はあともう1つ残っている。
シオリ「ふふふ……では、みなさん。ステージに向かいましょうか♪」
レイナ「花火に負けないファンタジックライブ!最後の締めね、気合い入れていくわよ!!」
ユキ「じゃあ……あれ、ですね……」
ヤマダ「お?ふひひ……ユキさん、ノリノリじゃん。」
アヤ「はは……ほんとね!ユキ、よろしく!」
ユキ「いきます……」
ユキの号令で、Dollsはいつもの掛け声を行った。
ユキ「レディ……」
それを見た翔は、オーロラカーテンを出現させ、そちらに向かって歩いていく。
愛「あれ、翔君どこ行くの?」
翔「……ちっ。」
愛に呼び止められ、舌打ちをする翔。
ユキ「翔さん……いかないで、ください……」
シュンとしてしまうユキに、翔はこう言った。
翔「ライブ、すんだろ?だったら俺の仲間達も呼ばねぇとじゃねぇか……何、今度はちゃんと戻る。だから安心して会場に向かえ。」
翔の言葉を聞き、笑顔を取り戻すユキ。そして、彩羽と共にオーロラカーテンに入っていった翔は……STARSのメンバー達と一海達をライブ会場に連れ出した。
一海「翔、お前いつの間に……!?」
翔「サプライズだ、喜べ。」
紫「ではチケット代を」
翔「んなもん要らねぇよ、俺達に協力してくれた礼だ。」
友香「翔さん……」
諒芽「へへっ、そんじゃあお言葉に甘えちゃうぜ、翔ちん!!」
翔「死ね。」
諒芽「何でだよぉ~!?」
オーロラカーテンでライブ会場まで瞬間移動した翔達は、夜空に映るDolls のライブを見守っていた。
翔(奇跡の代行者、か……マキナの奴は、知っているのか……神は、まぁともかく……天使だの……信じられんことばかりだ。)
ライブを見守りつつ、考え事をする翔。
翔(ま、今は……
最新技術をふんだんに取り入れた今回のライブは、今までのライブよりも1番の盛り上りであった。
ライブ後……
ユキ「翔さん…翔、さん……♪」スリスリ
翔「……。」汗
Dollsの元へ向かった翔は、ユキに飛び付かれた挙げ句……猫のようにくっつかれていた。
翔「おい、離れろって…!!」
ユキ「翔さん、もう…もう……離ればなれは、嫌です……ずっと、一緒です……」
翔と離れていた事が余程寂しかったのか、ユキは彼にくっついたまま離れようとしない。それを他のメンバー達は羨ましそうに見ていた。
翔「分かったから、暑いんだっつってんだよ……」
愛「え~そうかなぁ?もう11月だから、肌寒くなってきたよ?」
翔「アンタは黙ってろ…!!」
横から口を挟む愛を黙らせる翔。
彩羽「ユキちゃん良いなぁ…じゃ、アタシも……翔く~~ん!!」ガバッ!!
翔「っ!?……おいコラ姉貴、やめろ!!」
更に…彩羽にまで背後から抱き付かれ、サンドイッチ状態になる翔。
翔「俺達にはまだやることがあんだろぉが……」
彩羽「え~、そ~だっけ?」
翔「当たり前だ、ドールハウスとの敵対関係を解消したんだ。これ以上刃を向け合う意味なんてねぇだろ……ドールハウスに帰還する準備をしなきゃいけねぇだろうが。」
翔の言葉を聞き、「あ、そっか!!」と言う彩羽。
あから「隊長殿、引っ越しの手続きや準備はボクらでやるよ。だからDollsの皆さんと一緒に居てやって欲しい。」
翔「馬鹿野郎、大事な部下に仕事を押し付けてこんな拷問受けてられるか…俺もやるんだよ。最も、お前達は俺の我が儘に付き合ってくれたろ……?」
一海「そんじゃあ俺らも手伝う、報酬は出してくれよ?」
翔「それは出す、安心しろ……ってかユキ、てめぇ…いい加減離れろ、引っ越しが終わり次第すぐそっちに戻るから!!」
ユキ「ふふ…嫌、です……♪」
翔「……この野郎。」
往生際が悪いユキだったが、しばらくして漸く離れた。そして、翔はSTARSと一海達共に一端本部ビルに戻り、引っ越しの準備をするのであった。