〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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第四百三十話 豹変

その日から、翔の態度が一変した。

 

レイナ「おはよう翔君♪」

 

翔「……。」

 

レイナに挨拶されても、翔は無視してどこかへ行ってしまう。

 

愛「あ、翔君おはよ~♪」

 

彩羽「翔君おっは~♪」

 

愛と彩羽の声にも振り向くこと無く、ファクトリーへと入っていく。

 

クリム「翔、どうしたんだ?機嫌が悪いじゃないか……」

 

翔「……。」

 

ドライブドライバーこと、クリム・スタインベルトが話し掛けても無視して作業をしている。彼は今、修復されたアマゾンズドライバーのメンテナンスをしていた。

 

翔(今回の戦いは、俺1人で行わなければならん……ドールハウスは無関係だ……アイツらはこの世界で輝いている、その輝きを壊してたまるか…だったら、俺が……やるしかねぇんだ……!!)

 

アマゾンズドライバーのメンテナンスを終えた後、新型のネオアマゾンズドライバーのメンテナンスを開始する翔。彼のアマゾンズインジェクターは蒼い光沢を放つ薬液が入っている。翔はそのインジェクターを改良し、パワーアップしていた。インジェクターの薬液は上半分が空色、下半分が蒼色になっている。

 

翔(ショットガンは近接には強いが、離れれば弱い……なら、近接と遠距離を同時進行出切る武装である必要がある……)

 

メンテナンスをしている最中、斑目とカナ、プロジェクト・東京ドールズ一同がファクトリーにやって来た。

 

斑目「翔、どうしたんだ?」

 

カナ「翔君、機嫌が悪いと聞いたんですけど…何かあったんですか?」

 

翔「……。」

 

斑目とカナが話し掛けても、彼は無視して作業を続けている。そして、インジェクターの改良を終えるとシミュレーターに向かい、幻想妖魔を出す。そして、ネオアマゾンズドライバーを装着…スロットに改良したアマゾンズインジェクターを装填し、スロットを上げてインジェクターを押し込む。

 

 

《NOVA δ》

 

翔「……アマゾン。」

 

 

瞬間、彼は大爆発と共に黄色い炎柱と空色の稲妻に包まれていき、仮面ライダーアマゾンノヴァデルタへと姿を変えた。その後、すぐにインジェクターのレバーを押し込み、右腕に武装を展開した。それは、機関銃の先にナイフのような刃が着いた武器『銃剣銃』だった。

 

アマゾンNδ「……ッ!!」

 

アマゾンNδがトリガーを引くと、機関銃から無数のアマゾン細胞弾が連射され、幻想妖魔を瞬く間に全滅した。次に、巨大な幻想妖魔が姿を見せると、アマゾンNδは機関銃の先端に着いている銃剣を振るって近接戦を開始する。妖魔の攻撃を避け、時には受け止め、カウンターでダメージを与えていく。トドメとして、アマゾンNδは銃剣を妖魔に突き刺し、その後機関銃からアマゾン細胞弾を連射した。幻想妖魔は消滅し、アマゾンNδが戦いに勝利した。アマゾンNδはドライバーからインジェクターを引き抜き、変身を解いて翔の姿に戻った。

 

翔(悪くねぇな…これなら、奴らを効率良く殺すことが出来る……)

 

ミア「ねー翔さん?どうしたの、さっきからボクらを無視して…」

 

翔「……ほっとけ。」

 

ファクトリーから出ようとする翔の手を掴んだのは愛だ。

 

愛「待って翔君?ねぇ、本当にどうしちゃったの?何かあったの!?」

 

翔「うるせぇ!!お前達の戯れ言に付き合う余裕なんてねぇんだよ……だから離せ…!!」

 

翔は乱暴に愛の手を振りほどき、どこかへ行ってしまった。穏やかに暮らしていた翔だったが、突如として豹変した彼を見た一同は……すぐに、彼の異変に気付いていた。

 

ナナミ「あの様子じゃ翔さん、絶対に何かありますね……」

 

ユキ「はい、わたしも…そう思います……何か、悪い予感を感じます……」

 

ディオ「…肯定。翔さんの異変は、ディオ達の異変でもある……」

 

深雪「あの、もしかしてですけど……」

 

深雪が手を挙げると、皆は彼女に注目する。深雪はスマホでニュースを開くと、それを一同に見せた。

 

「「「っ!!??」」」

 

それは、今朝報道されていた『ストライカーによる一般人殺人未遂事件』だった。それを見るなり、一同は声が出ない程驚いた。

 

斑目「……翔、まさか……」

 

カナ「この事件をきっかけに、ストライカー達を始末するつもりなのでは……!?」

 

ヒヨ「し、しまつ…って?」

 

ヤマダ「そりゃあ、殺すんでしょうね……」

 

ドールハウスの人達は翔と長年関わって来たため、彼の事を理解している。彼の好み、嫌いな事、性格、心情、存在……彼がアマゾンである事も、一同は理解している。

 

深雪「翔君…この世界が好きだと、よく言っていましたよね?恐らく、次は今度こそ一般の方が死んでしまうかもしれない、その前にストライカー達を全員殺害するつもりなのでしょう。この世界を、この世界で暮らす人達を守るために……」

 

彼の考えを理解したドールハウス一同は、緊急で会議を開いた。

 

 

 

その頃、翔は……

 

翔「……。」

 

ドールハウスの屋上にて、一海達に電話をかけていた。

 

一海『もしもーし?』

 

翔「よぉ、一海。」

 

一海『おぉ翔、どうしたんだ?』

 

翔は少し沈黙の後、彼に一言だけ告げた。

 

 

翔「この世界を、頼んだぞ……」

 

 

一海『えっ、ちょ、どういう』

 

一海の声を聞く間もなく、通話を終えた。

 

翔(後は、この世界と『エテルノ』を繋ぐゲートを…『ステラプリズム』を見つけなければな……)

 

翔は誰にも頼ること無く、急に自室に閉じ籠り…そのまま出てこなくなった。メンバー達がどれだけ声をかけても、料理を持ってきても、ドアが開く事はなかった。

 

斑目「……。」

 

カナ「……。」

 

斑目とカナはドアを強引に開ける事を視野に入れたが、それをすれば翔との信頼関係が簡単に崩れてしまうだろう…と、考え……結局、何も出来なかった。この事はすぐに一海達にも知らされ、彼らもドールハウスにやって来て会議に加わった。

 

一海「今日さ、翔から連絡が来たんだ…『この世界を、頼んだぞ』って……」

 

友香「私からも翔さんと連絡を試みましたが、どれも駄目でした……」

 

そこで、ドールハウスのメンバー達は今朝のニュースの内容と、それによる翔が立てていると思われる計画を話した。

 

紫「な、何だと……!?」

 

諒芽「それじゃあ翔ちんが、殺人犯になっちまうじゃねぇか…!!」

 

彼女達の話を聞き、絶句する一海達…翔に対してどうするべきか、会議は結局長引いてしまい、結論が出ることはなかった……

 

 

 

その日の夜、翔は全国のテレビ局を一時的に乗っ取ると…ライブ配信を始めた。

 

翔『愚かなストライカー諸君、白河昇、ごきげんよう…青空翔だ……そんなに俺を連れ戻したいようだな、ならば……エテルノで待っている、五稜館学園でな……あの頃に戻りたいと思うならそこに向かうと良い、待っているぜ?』

 

その後、乗っ取りを解除し、ステラプリズムの捜索を再開した。

 

 

 

そして、彼の配信を見たストライカー達は……

 

陽奈「ねぇみんな!!たいちょーがエテルノで待ってるって!!あの頃に戻れるって!!」

 

二穂「そうか…そうかそうか、あたしらはやっと……赦されるのか…!!」

 

紗々「では、早速エテルノに戻りましょう…うふふ♡」

 

彼から漸く許されるとめでたい勘違いをし、エテルノへと戻り始めた。白河昇の制止を聞かずに……

 

昇「よせ!!あれは罠だ!!皆、やめるんだ!!」

 

イミナ「るせぇ!!お前みてぇな役立たずの言葉なんて聞く価値もないんだよ!!お前は大人しく指でも咥えてろ!!」

 

サトカ「嗚呼隊長さん、やっと元の暮らしに戻れますね…!!隊長さんの手料理が恋しいです…!!」

 

ストライカー達は配下の妖魔達と共に、エテルノへと戻って行った。それを止められなかった白河昇も、携帯ステラプリズムを操作し、エテルノへ戻って行った。

 

 

 

翔は徹夜で何日もステラプリズムの捜索を続け、漸く見つける事が出来た。

 

翔(…成る程、最初からここにあったのか……ここはとにかく、裏が有り過ぎだな……)

 

ドールハウスの地下深くにスペースがあり、そこにステラプリズムがあると判明した。更に、エテルノ内に時空管理局大本営の職員がいることがわかった……一部の職員はこの世界に来ていたが、責任者や大将を初めとする上の連中は、エテルノから1歩も出ていなかったようだ。

 

翔(エテルノはどうなっちまってんだ……妖魔討伐を辞めたからか、恐らく…悲惨な光景が広がっているだろう……)

 

エテルノの様子が気になった彼は、突如部屋のドアを開き、ファクトリーへと向かった。そして、アマゾンズドライバーとネオアマゾンズドライバーを手に取った。

 

翔「……ッ!?」ドクンッ……

 

その直後、彼の中に眠るアマゾン細胞が活性化を始めた。どうやら、タンパク質が足りなくなったようだ。

 

翔(マズい、またか……何か、ナニか……喰えるモノ……ッ!!)

 

そこで、彼の目に入ったのは…沖縄で発見されたアマゾンの腕……解析斑の結果によると、これは……彼の前任の隊長の右腕であることが判明した。この腕のアマゾン細胞が水に溶け込み、それを口にした人間がアマゾンへと変貌してしまったのだ。

 

翔「…ッ!!」ガシャッ!!

 

食欲を抑えきれなくなった翔はガラスを乱暴に破壊すると、その腕を手に取り…飢えた獣のようにかぶり付いた。警報音が鳴り始めると、ドールハウスのメンバー達が続々とファクトリーにやって来た。

 

カナ「翔く…ッ!!??」

 

「「「!!??」」」

 

翔「!!」ガッ!!ズチュッ!!バキッ…

 

そして、アマゾンの腕を喰らう翔を目撃し、凍り付いた。

 

翔「……。」ゴクッ…

 

翔はアマゾンの腕を持ったまま、やって来たメンバー達に振り向く。口回りは真っ黒い血液が汚れており、目の色が空色へと変わっていた。

 

翔「…ハラが減っタから喰ってんだ……何が悪い……ハラを満たして何ガワルい!?」

 

そう叫ぶと、再びアマゾンの腕に喰らい付く。

 

ナナミ「ゔっ!?……ゔえぇ……」

 

ナナミは吐き気に襲われ、口元を抑える。

 

愛「…めて……翔君、お願い!!お願いだからやめて!!それを食べないで!?」

 

愛はそう叫ぶと、彼に向かって走り出す。だが、翔からヤクザキックを受け、メンバー達の方へ吹っ飛ばされてしまった。その後、翔はアマゾンの腕を完食した。

 

翔「…お前達はとっくに気付いてんだろ?もう良い、全部話してやる……」

 

翔は開き直り、自分の計画を話した。

 

翔「今朝のニュース見たろ?ストライカーが一般人を殺害しようとしたんだ…奴らはもう、目的のためなら手段すら選ばねぇ……このまま奴らを野放しにし続けていれば、今度こそ死人が出ちまうだろう…だからその前に、俺が奴らを殺す!!白河昇も、時空管理局大本営の連中も、前任のクズ隊長も…皆殺しだ!!」

 

それを聞いた一海達は、口々に言う。

 

一海「何言ってんだよ翔!?お前、折角安らげる場所が見つかったんだろ!?自分らしく生きられる世界にたどり着いたんだろ!?ストライカーだって人間だ、お前は殺人犯になって…自分の人生を自分で壊すつもりか!?」

 

紫「そうだ!!いくら世界を守る為とは言え…私はそれを承諾できない!!」

 

友香「もし翔さんがお一人で殺人鬼になるのであれば、私達も一緒に殺します!!」

 

諒芽「そうだ!!俺は翔ちんの大大大親友なんだ!!殺人鬼になったって良い!!だから翔ちんはこの世界で生きてくれよ!!」

 

彼らに対して翔は……

 

 

翔「黙れ!!アマゾンになっちまった時点で、俺の人生はとっくに壊れてんだ……それに、さっきも言ったろ?ストライカー共はもはや手段すら選ばねぇんだ…たまたま今回は死人が出なかっただけに過ぎねぇ……だが次はどうだ!?次は今度こそ死人が出る!!罪のねぇ人間が死ぬなら、こっちがストライカーを殺した方が遥かにマシだァ!!俺はなぁ、この美しい世界が好きなんだ!!世界を守る為なら、喜んで殺人鬼になってやらぁ!!」

 

 

……と、叫んだ。

 

斑目「……。」

 

そんな彼を見て、彼の覚悟を知って……斑目は、彼の意志を尊重することにした。

 

斑目「……わかった、翔…ただし、こちらもそれ相応の支援をさせて欲しい。」

 

翔「……駄目だ、アンタらは何も関係ねぇ。これは、俺1人の問題なんだ…俺は隊長としての責任を果たす為、奴らを殺す……アンタらが俺を支援するなら、殺人の片棒を担ぐ事になるんだぞ?そうなれば、プロジェクト・東京ドールズはもうおしまいだ!!そんなの、俺が許さねぇ!!」

 

翔がギロリとメンバーを睨むと、メンバー達は怯んだが……

 

ミサキ「私は……それでも、貴方と共に歩んで行きます!!」

 

ヒヨ「ヒヨもヒヨも!!」

 

ヤマダ「ちょいちょい翔さ~ん、今さら自分だけ抱え込むなんてナッシングですよ?」

 

ユキ「翔さん、わたしも翔さんと一緒に……ストライカーを殺します……」

 

アヤ「あたし達はいつでも翔の味方!!翔だけが辛い思いをするなんて、もう嫌なの!!だからあたしも翔と一緒にストライカーを殺してあげる!!」

 

……と、メンバー達は1歩も引き下がらなかった。それを見た翔は、目を閉じると……

 

 

翔「……ストライカーを直接殺すのは俺の使命だ…獲物を横取りするなら、お前達も殺すぞ?」

 

 

……と、言った。

 

カナ「翔君、ストライカー討伐はお任せしてしまいますが……どうか、支援だけはさせてください。」

 

翔「勝手にすりゃあ良いだろ……!!」

 

カナ「……はい、勝手にします!!」

 

結果、ドールハウスの一同は翔の殺人の片棒を担ぐ事にした。ただし、ストライカーを直接殺害するのは翔のやることだと割り切り、あくまでも支援のみ行うという方向性で話がまとまった。

 

一海(もし翔がエテルノとやらに行って、戻れなくなったら……それなら、これまでよりも強力なライダーシステムを作るしかない!!)

 

一海はメンバー全員を呼び、新たなライダーシステム開発を話した。それには、翔と関わって来た全員の力が必要である事を話した。ドールハウスはジョージ大統領と小鳥遊大臣を、一海達は大助を電話で呼んだ。

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