〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
翔「……。」ザッ……ザッ……ザッ……
時空管理局を滅亡させ、ストライカー達に加担していたティエラと白河昇を殺害した翔は、遂に決戦の舞台『五稜館学園』へとやって来た。学園は既にあちこちが崩壊しており、瓦礫等が散乱している。
翔(こいつはヒデェ…どんな暮らししたらこうなるんだよ……)
翔はストライカー達が待っていると思われるチームハウスへと足を進めていく。
翔「…………。」スンッ……
嗅覚を頼りに、先へ先へと突き進む。
翔(汗や皮脂、果実が腐ったような悪臭……これが、奴らの匂いだ……こっちか…………)
やがて、校内にあるチームハウス前に到着した。
翔(……そうか、奴らはここにいるのか…………ぜってぇ逃がさねぇからな……)
重い足を上げ、ドアを乱暴に蹴り開けると……チームハウス内へ入っていく。玄関を潜り、ロビーのような広いリビングに入ると……
サトカ「ッ!!??あ…嗚呼、隊長さん……!!」
悠水「えっ!?ホントに来た!!皆ー!!隊長さんだよ、ホンモノの隊長さんが来たよー!!」
翔を見るなり目を丸くし、喜びの表情を浮かべるストライカー達の姿があった。悠水の声を聞き、他のストライカー達が姿を現す。25人のストライカー達は皆、翔を見るなり泣いて喜んだり歓喜の声を上げたりし始めた。ストライカー全員の姿を見た翔は、ニタァッ……と、張り付いた笑顔を見せる。そんな彼の笑顔を見たストライカー達は……
華賀利「隊長様、お帰りなさいませ…!!」
ノエル「隊長さん……ずっと、待っていましたのよ!!」
遥「あたし達も嬉しいよ隊長さん!!また元通りになれるんだよね!?」
いつみ「もう一度やり直すために、戻って来てくれたんだろ……?」
……と、口々に言う。それに対して翔は、張り付いた笑顔のままこう答えた。
翔「…嗚呼、そうだよ…俺は戻って来たんだよ……俺はまだ、隊長としての責任を果たせていなかったからなぁ……だから戻って来たんだよ……」
彼の答えを聞き、ストライカー達は満面の笑みを見せる。
あおい「そうか…そうか……ありがとう隊長!!君なら、その責任を全う出来る!!」
陽奈「水臭いなぁ隊長は!!もっと早く戻って来たら良かったのに♬」
天音「ま、こうして戻って来たんだし……許してやらなくは無いわ、ありがたく思いなさいよね、翔♪」
またあの頃のような暮らしに戻れると思っているストライカー達。
翔「嗚呼…嗚呼……俺は戻って来た…………」
だが、次の瞬間……翔は張り付いた笑顔から真顔に変わる。そして……
……と言うと同時に、翔は髪を触手のように伸ばし…窓やドア等、外へ通じる場所を全て塞いだ。更に、2階へと続く階段も塞いだ。彼の豹変を目の当たりにしたストライカー達の顔が、みるみる青ざめていく。
イミナ「……は?……えっ、ちょ……な、何言ってんだよ…隊長……アタシ達を…殺、す……?」
伊緒「そ、そうだよ……何かの、間違い…だよね…………?」
チカ「た、たいちょー……それは、面白く…ない、よ……怖い、よ?」
次の瞬間、ザシュッ!!…と、何かが切り裂かれる音が響き、その直後……
イミナ「……!?」ブシュウウウウウウゥゥッ!!
イミナの身体が真っ二つに割れ、真っ赤な鮮血が噴き出した。
「「「キャアアアアァァッ!!」」」
ストライカー達は皆、一斉に悲鳴を上げる。そして、逃げ出そうとするが……窓もドアも階段も、翔の髪によって塞がれている為、逃げようにも逃げられない。
まな「っ!!嫌だよぉ!!まな、まだ死にたくないよぉ~!!」
まなは必死で髪を掻き分けるが、どれだけやっても窓は見えてこない。
翔「……。」ザッ……ザッ……ザッ……
翔はそんなまなにゆっくりと歩みを進めていくと、両腕からアームカッターを彷彿とさせる刃を出した。それは、血管が巻き付いた骨のような刃だった。
まな「……!!」
その場にへたり込んだまなを冷たく見下ろす翔は、左手で彼女の首を掴み…ゆっくりと持ち上げる。
まな「あぅ……く、くるし……!?」
翔「……死ね。」
翔はまなの腹部目掛けて右腕を突き出した。直後、彼の右腕がまなの胴体を貫通した。
まな「……!?」グヴァボォッ!!
口から大量の血を吐いたまなの身体から翔の右腕が引き抜かれると、まなは目を見開いたまま死んだ。
伊緒「……ま…まな…そ、そんな…………ッ!!??よくもまなを!!」
怒った伊緒は翔目掛けて走っていくと、飛び蹴りを繰り出した。だが、翔は身を低くして攻撃を躱すと、そのまま伊緒の頭部を鷲掴みにし、床へ思い切り叩き付けた。トドメに伊緒の頭部を足で思い切り踏み潰した。頭蓋骨が砕ける音と、脳ミソが破裂する音が響き、伊緒は首から下の胴体を残したまま死んだ……
サトカ「あ、あぁ……ああぁぁ…ッ!!」
あまりにも酷い光景を目の当たりにし、恐怖に駆られたサトカは泣き出す。そんな彼女に対して翔は、髪を伸ばし…サトカを串刺しにして殺害した。
悠水「み、みんな……!!」
椿芽「サトカ…伊緒……まなちゃん……!!」
翔「……。」
翔は悠水を視界に捉えると、瞬時に懐に入り……右腕のアームカッターで彼女の首を刎ねた。悠水の首が床に転がると、彼女の胴体からは真っ赤な鮮血が噴水のように噴き出した。
翔「……次はてめぇだ…」
殺したストライカー達の血で真っ赤に染まった翔は、椿芽を瞬時に捕らえ……両手で彼女の首を締め上げる。数秒後、バキィッ!!……と、鈍い音が響くと…椿芽の身体がだらんと垂れ下がった。これで、ストライカーチーム『アルタイル・トルテ』は全員死亡……
陽奈「小織!!早くして!!このままじゃ、陽奈達殺されちゃうよ!!」
小織「いま、やってる…でも……!!」
悲鳴を上げながら、狭い部屋を逃げ回るストライカー達。翔が次のターゲットにしたのは陽奈と小織……敢えて髪を緩め、窓を見せる。
小織「陽奈姉……!!」
陽奈「やっ、やった……陽奈助かる!!」
小織「……小織が先…!!」
陽奈「はっ!?ここはお姉ちゃんに譲るのが当たり前でしょ!?出来損ないの妹の癖に!!」
窓を目の当たりにし、仲間割れを始める陽奈と小織。
翔(極限状態になった時、ヒトは本性を露にする……良いぞ、もっとだ……もっとやれ!!もっと俺に、醜い姿を見せてくれよ!!)
そんな光景を見て、翔はニヤァッと怪しく笑う。
翔「…ククククッ…クッフッフッハッハッハッハッハッ……クフハハハハハハハ!!フッフッフッハッハッハッハッハッハッハ……」
そして、狂ったように嗤いながら…陽奈と小織の醜い醜い争いを見た。次の瞬間、陽奈が小織押し退け…我先に外へ飛び出す。その瞬間……翔の髪の束が鋭い棘となり、陽奈の胴体を貫通した。
陽奈「ゲハァッ!?」ビシャッ……
翔「逃がさねぇからなァ………何故なら…ここが、てめぇらストライカー共の墓場になるんだからなァ!!」
翔は陽奈を引き寄せ、窓を塞ぐと……右腕のアームカッターで陽奈の胴体を縦真っ二つに斬り裂いた。次に、小織目掛けて走り……両腕のアームカッターで彼女の全身をズタズタに引き裂いて殺害した。
天音「こうなったら……!!」
天音はパトリ端末にメモカを差し込み、変身して剣を振るって翔の髪の毛を斬ろうと振り下ろす。だが……
バキィンッ!!
剣は翔の髪を斬れず、寧ろ剣が折れて使い物にならなくなってしまった。真乃もガンから弾丸を放つも、翔の髪は弾丸を通すことはなかった。いつみもガトンリングを掃射するが、それでも翔の髪を退けることは出来なかった……他のストライカー達も変身し、武器を振るうが……それでも、翔が作り出した檻からは逃れられなかった。
翔「……!!」
翔(こうなる事を望んだのは、てめぇらだ……てめぇらに裏切られた挙げ句、身勝手に俺を追い回したり、更には無関係な奴らにまで危害を加えた……だから俺はこうなったんだ……これ以上、てめぇらのような外道を野放しにはしておけねぇからなぁ!!)
翔はあらゆる方角から髪突を繰り出し、ストライカーチーム『プロキオン・プディング』のメンバー達を殺害……ストライカーチーム『ココナッツ・ベガ』のメンバー、不知火 ハヅキの胴体を鋭い爪で引き裂き、高嶺 アコは髪の毛を伸ばして足を捕らえ、床に何度も叩き付けて殺害した。次に、『ビスケット・シリウス』のメンバーである灰島 依咲里を捕らえ、宙吊りにすると……右足と左足を引っ張り、無理矢理引きちぎって殺害…灰島 華賀利には、髪の毛で全身を包み…圧縮して殺害した。
二穂「い、依咲里……華賀利ぃ……!!」
翔「……てめぇも地獄へ送ってやる。」
泣いている二穂を転ばせた翔は、両手の鋭い爪で二穂を滅多刺しにして殺害した。残るは、『ショコラーデ・ミラ』と『アマンド・フォーマルハウト』のメンバー7人だ。
シャルロッテ「ご、伍長……や、やめろデス……もう、これ以上……ワタシの、大切なものを……奪うなデス!!」
翔「……あァ?」
翔は次にシャルロッテに狙いを定める。
翔「てめぇらはヒトの大切なモン壊しといて、自分がされる側になりゃあやめろだってか?ハッ……都合の良い事言ってんじゃねエエエエェェ!!」
翔は絶叫しながらシャルロッテに向かって走り出す。咄嗟にターニャがシャルロッテの前に立ち、ノエルが長銃を構える。
翔(今更仲間ごっこか…コイツらのやることは支離滅裂だな……)
翔はそう思いながら、まずはノエルの頭部を髪突で貫いて瞬殺……次にターニャに襲い掛かり、右腕のアームカッターを彼女の肩に突き立て、最後は斬り殺した。残ったシャルロッテにゆっくりと歩み寄り、彼女を見下すと……アームカッターで彼女の首を刈って殺害した。
翔「……。」
最後に残った末葉 あおい…神無木 栞…千年 夕依…若月 チカを、翔はあの張り付いた笑顔で見つめた。
「「「「……ッ!?」」」」
翔「後はてめぇらだけだ…今殺してやるからなァ……?」
張り付いた笑顔のまま、ヨロリヨロリと4人に歩みを進める翔。
チカ「あおいセンパイ、どうしよう……!!」
あおい「……。」
怯えるチカは、あおいの後ろに隠れる。栞も夕依も、何か方法を考えるが…何も思いつかなかった。
あおい「……もう、どうにもならん……」
チカ「……えっ…?」
あおいの諦めたような表情と言葉を聞いて、チカは放心状態となる。あおいは目をゆっくりと開き、翔を見る。
あおい「隊長、謝って済む事では無い……いや、もう何をしても取り返しがつかんな……それでも、言わせて欲しい…………君の事情を全く考えず、身勝手な振る舞いをして……何より、誰よりも私達を信頼してくれていた君を裏切り、散々傷つけてしまって……本当に、すまなかった……」
そして、翔に深々と土下座をして謝罪の言葉を口にした。夕依、栞、チカもあおいに続いて土下座をする。
栞「隊長さん、私からも言わせて頂戴……今まで本当に、ごめんなさい……」
夕依「隊長様、今まで申し訳ありませんでした……」
チカ「ご、ごめんなさい…隊長さん……!!」
やがて、翔が4人の目の前に到達し…足を止める。
翔「……。」
翔は土下座をする4人を、刃のような冷たい眼差しで見下ろしている。4人は恐る恐る顔を上げ、翔の冷たい視線を見上げる。
翔「……。」
翔は何も言わず、4人を見下す。そして、彼の能面のような顔が……真っ黒い口が静かに動き出す。
翔「てめぇらを身限り、ストライカーを辞めてったアイツらから言われなかったか?『今まで散々傷付けておいて、すまなかった』……そんな事で済む問題か、ってな?」
「「「「……。」」」」
翔「今更何をしようが、俺はてめぇらを信頼するつもりは更々ねぇよ……それに、失われた時はもう取り戻せねぇんだ…あの頃のような楽しい日常もな……てめぇらに残された未来は、“死”のみだ……」
「「「「……!!!!」」」」
彼の口から放たれた言葉は、紛れもない死刑宣告だった……もう、何をしても生き残れないと確信した彼女達は、恐怖のどん底に落とされ…目の光も消え、目からは涙が流れ落ちた。
やがて、あおいと栞、夕依とチカは翔から髪突された挙げ句…全身を切り裂かれて死んだ……彼の宣言通り、荒廃した五稜館学園は…外道と化したストライカー達の墓場となったのだった…………