〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウでございます。
Dolls新メンバーのサクラは、とうとうレッスンをクリアすることとなる。しかし、翔はDolls達と馴れ合おうとはせず、今日も1人でいる……そこに、鏡の世界の翔が、彼を励ましに来る。
後、元ストライカー達の出番がないと感じたので、登場させます。

レッスンを終えたサクラは、Dollsと友達になる。しかし、翔は……

では、本編へどうぞ


第十八話 一匹狼と“友達”

次の日、レッスン場にて……

レイナ「ストップ!そこまで!」

サクラ「あ、ありがとうございます!」

サクラはレイナの指導のもと、レッスンに励んでいた。

レイナ「見違えたわね。前の時に比べたら別人よ。」

レイナは口角を上げる。

レイナ「美しいわ、サクラ。」

サクラ「はい…!ありがとうございます!」

レイナの言葉を聞いたサクラは、微笑みを見せ、近くで見守るシオリも微笑んだ。

シオリ「じ~……」

サクラ「な、なんですか?シオリさん。」

シオリに見つめられ、恥ずかしげな表情を浮かべるサクラ。

シオリ「流石は翔君ですね。どんな魔法を使ったんでしょうか…?」

シオリは、翔がサクラの道を切り開いたと思っていた。そこに……

ドガァッ!!

翔「……。」

乱暴にドアが開けられ、翔がレッスン場に姿を現した。

レイナ「あら、魔法使いのお出ましね♪」

レイナがそう言うと…

翔「誰が魔法使いだ、死んどけ。」

…と、翔はレイナを罵倒した。

サクラ「……。」汗

サクラはだんまりするしかなかった。

レイナ「本日のレッスンはここまで!」

シオリ「お疲れ様、サクラさん。次のライブはきっといいライブになりますね。」

サクラ「はい!ファンの方々の期待を裏切らないように頑張ります!」

3人のやり取りを見た翔は…

翔(裏切らないように…か…)

口角を下げていた。サクラの「期待を裏切らないように」と言う言葉に引っ掛かったのだ。

レイナ「レッスンのクールダウンのためにシミュレーターで汗を流しましょう。」

レイナの提案に驚きの表情を見せるサクラ。

シオリ「翔君も一緒にどうですか?」

翔「…。」

翔はシオリの声に反応を示さず、考え事をしている。

シオリ「…翔君?」

翔「先に行ってろ、後から行く。」

翔はシオリに言う。シオリは「分かりました。」と言い、レイナとサクラと共にシミュレーションルームに向かった。

1人になった翔は、レッスン場の鏡を見る。

翔(鏡)「よっ!元気にしてるか?」

鏡の世界の翔が、明るく声をかける。

翔「…。」

翔は鏡の世界の翔を見る。

翔(鏡)「ドールハウスにいたんだね。」

翔「望んでここにいるわけじゃねぇ……あくまでも俺は一時的に保護されている。“アイツら”に追われていてな…」

翔(鏡)「君を裏切ったストライカー達のことだろう?」

翔「そうだ。」

鏡の世界の翔と会話を挟む翔。

翔(鏡)「君は、1人でいることが好きなの?」

翔「…それがどうした?」

翔(鏡)「いやぁ、その…寂しくないの?」

翔「むしろ気が楽だ、何せ……縛られることは何にもねぇし、人目を気にせず素の自分でいられる。」

翔(鏡)「そっか。」

翔「あぁ、だから俺は…ここの奴らと馴れ合うつもりはサラサラねぇよ。いずれは、ここを出ていく。」

翔(鏡)「え、どうして?」

翔「言ったろ、一時的に保護されているってな。いつまでもここにいるわけにはいかねぇだろ。」

翔(鏡)「いや、そんなことはないよ。」

鏡の世界の翔は微笑むと、その場を歩き回る。

翔(鏡)「ドールハウスの関係者全員、心から君を歓迎している。斑目さんもカナさんも愛さんも…Dollsの皆も、「君がいないと寂しい。」って言っていたよ?」

翔「適当なこと言うな。」

翔(鏡)「適当なんかじゃないさ~。俺はこの耳で聞いたんだよ?」

翔「証拠はあんのか?」

翔(鏡)「もちろん!」

翔(鏡)は、スマホを取り出し、動画を再生する。そこには、Dollsを始め、ドールハウスの関係者達が何やら会議をしている様子が映し出されていた。そこには、元ストライカー達もいる。

カナ『翔君が来てくれて、皆良い顔を見せるようになりましたね♪』

斑目『ふふっ、そうだな。』

愛『でも、翔君…いずれはここを出ようと思っているかも…』

ヒヨ『えぇっ!?翔さん、ここを出てっちゃうの!?』

ユキ『…さみしい、です。』

シオリ『私も寂しいです…』

レイナ『そうね、翔君がいないと寂しいわ…』

レイナの言葉に、ドールハウスの関係者は全員、頷いた。

翔「…。」

翔(鏡)「どう?これで納得してくれた?」

翔(鏡)は微笑む。

翔(鏡)「ミラーワールドから撮影するの、結構大変だったんだよ?」

翔「…。」

翔は黙り込んでしまう。

翔(鏡)「君はもう1人じゃない、もう…1人で抱え込まなくても良いんだよ?」

翔(鏡)は翔に言う。

翔「それができたら苦労しねぇよ。」

翔はそう言うと、レッスン場を出ていった。

翔(鏡)「…頑張れよ、青空 翔。」

翔(鏡)はそう言って、姿を消した。

 

 

 

レッスン場を出た翔は、シミュレーションルームに向かっていた。

あから「お、隊長殿…じゃなくて、青空殿。」

道中、『降神 あから』を始めとする、6人の元ストライカー達と会った。

翔「…隊長で構わねぇよ。そっちの方が呼びやすいだろ?」

幸子「え、ですが…」

翔「ここに奴らはいねぇんだ、昔の呼び名で構わん。」

幸子「た、隊長さん…」

幸子は、安心した表情を見せる。

ほたる「あ、そう言えば…シミュレーションルームでレイナさんたちが待っていますよ?」

翔「あぁ、今向かっているところだ。」

雪枝「そうだったんですね。」

雪枝の言葉に頷く翔。

マリ「なるべく早めに行ってあげなよ?」

翔「分かってる。」

モニカ「じゃあ、また後でね。」

翔「あぁ。」

翔はその場を後にする。

あから「あ、隊長殿!」

翔「…?」

翔は足を止め、振り返る。

あから「僕達は、いつまでも君の味方だ。何か困ったことがあったら、遠慮なく相談してくれ。」

あからはそう言うと、自分達の部屋の場所が書かれた紙を翔に渡した。

翔「…気が向いたら、な…」

ほたる「いつでもどうぞ♪」

翔は紙を受けとると、その場を去っていった。

 

 

 

あの後、シミュレーションルームにやって来た翔。

レイナ「あ、翔君♪」

サクラ「お疲れ様です、翔さん♪」

翔「…。」

レイナとサクラを無視する翔。

シオリ「丁度、シミュレーターを使っていたところなんですよ♪」

翔「…。」

翔はシオリを無視して、シミュレーションルームを見渡す。そして、シミュレーターを見つけると、

翔「…お前達が使えるんなら、俺も使っていいだろ?」

シミュレーターを使おうとする。

「全然OKだよ〜♪」

翔「…?」

声が聞こえた方に振り向くと、そこには『片山 愛』がいた。よく見ると、カナと共に何かを開発しているようだ。

翔(何を作ってんだ…?)

愛「翔く~ん♪」

愛は作業を一旦止めると、翔に近づいた。

愛「お、やっと後退りしなくなったね♪」

翔「…だから何だ?」

愛「君が成長してるって証だよ♡」

愛はそう言うと、翔の頭を撫でようとするが…翔は愛の右手を振り払った。

愛「あぁ…んもぅ~少しくらい良いじゃん。」

翔「黙れ、気安く触んな。」

愛「う~ん、そっかぁ~…」

愛は残念そうな表情を見せると、開発に戻った。

愛(もうすぐ『パワードイクサー』が出来上がる。翔君をびっくりさせて見せるぞー!)

愛は心の中でやる気をメラメラと燃やしていた。

カナ「お疲れ様です、翔君♪」

愛と入れ替わるように、カナが翔の元にやって来て、労いの言葉をかける。だが、翔は彼女の言葉を無視した。

カナ「私もあそこで開発をしていたんです。これを見てください♪」

カナは翔に開発した物を渡す。

翔「…。」

翔はそれをじっと見る。カナが渡してきた“それ”は…どうも見覚えがあった。

翔(これは…『イクサカリバー』だな…)

翔「おい、まさかとは思うが…」

カナ「はい、試作品の『イクサカリバー』です。」

翔(やっぱりか…)

翔はそう思うと、カナにイクサカリバーを返す。

カナ「あ、翔君。シミュレーターを使う時…よかったら、イクサカリバーも使ってみてください。」

翔「…これをか?」

カナ「はい。」

翔は少し考えると…

翔「仕方ねぇな…」

イクサカリバーを使ってみることにした。その後、カナは翔にシミュレーターの使い方を丁寧に教え、シミュレーターを起動させた。すると…幻像妖魔や幻像ピグマリオンが現れた。

翔「…!!」ズダダダダーー!

翔はイクサカリバー(ガンモード)のトリガーを引き、敵を撃つが…

翔「うおっ!?」

反動が強すぎて、後ろに吹っ飛んだ。

翔「…ちっ…!」ダンッ

翔はその反動を利用し、壁を蹴ると…イクサカリバーをカリバーモードに変え、敵を切り裂いた。その後も、敵を次々と切り刻んでいく翔だが…

翔(重い…肉弾戦の方がいいな…)

イクサカリバーが重かったので、それを投げ捨てると…肉弾戦で敵を撃破していく。最後の幻像妖魔には噛みつき、身体を引きちぎって撃破した。

サクラ「す、すごい…!」

シオリ「流石は翔君ですね。」

レイナ「戦っている翔君も、美しいわ。」

シオリ「あら、レイナさん。以前、野性的な戦いは美しくないって思っていたのでは?」

レイナ「考えてみたの。野性的な戦いは、嘘をついていない…本能がままに戦っている。翔君の戦いは、正直よ。引っ掻いたり噛みついたり…更には舞い踊るように戦っている。こんなにも美しい戦い方は他にないわ。」

サクラ、シオリ、レイナの3人は、翔の戦いを最後まで見守った。翔はイクサカリバーを拾うと、シミュレーターから出た。そして、カナに言う。

翔「コイツのトリガーを引いた時の反動がデカすぎる。それと、重い…もう少し軽量化しろよ。こんなの、ゴミ同然…ガッカリだぜ。」

そう言うと、イクサカリバーをその場に投げ捨てた。

カナ「貴重な意見をありがとうございます、翔君。すぐに改良します。」

カナは翔からイクサカリバーを拾うと、早速改良を開始した。

翔「…。」

翔はシミュレーションルームから出ようとする。

レイナ「あら翔君、どこ行くの?」

翔「うるせぇ、どこへ行こうが俺の勝手だ。」

翔はそう言うと、シミュレーションルームを出た。

 

 

 

シミュレーションルームを出た翔は、自室代わりに使っている部屋に戻ってきて、シャワーを浴びていた。汗を流した翔は、傷だらけの身体をバスタオルで拭き、服を着替えた。

翔「…よし。」

服を着替えた翔は、レッスン場へと足を進めた。

 

 

 

レッスン場にて……

全てのレッスンカリキュラムを終えたサクラと、それを見守るシオリ、指導者であるレイナがいた。

レイナ「これでカリキュラムは終了ね。」

サクラ「…。」

レイナ「よく頑張ったわね。貴方はもう立派なアイドルよ。」

レイナはサクラに言う。

サクラ「あ、ありがとうございます!」

レイナ「絶対にできない目標を設定していたのに、まさか全部クリアするなんて嬉しい誤算ね。」

「それがコイツの強みなんだよ。」

3人「「「…?」」」

振り向くと、服を着替えた翔がいた。

翔「1度やると決めたからには、諦めずに最後まで突っ走る。それがコイツの強みだ。」

翔はレイナに告げた後、サクラに言った。

翔「他人と自分を比べる必要はねぇ…そうすると、いつかは挫折する……お前はお前なりの強みがあるんだから、自信を持って良い。その強みは、大きな糧になるだろう。」

サクラ「…ありがとうございます、翔さん♪」

翔「…もう言わねぇからな?」

翔はそう言うと、そっぽを向いた。

シオリ「でも、サクラさん。ビックリするくらいに変わりましたね!」

シオリはサクラに言う。

サクラ「レイナさん、シオリさん。私、翔さんのお陰で思い出したんです。」

レイナ「思い出す?」

サクラ「ドールになる前の私は、Dollsの大ファンだったんです。」

レイナ「あら!」

シオリ「初めて出会ったのがライブ会場だから、まさか、とは思ったけれど……そうなんですね!」

嬉しそうな表情を浮かべるレイナとシオリ。サクラとDollsは、渋谷区ハチ公口付近にあるライブ会場近くで初めて出会ったのだ。

サクラ「思い出せないことまだまだ沢山あるんですけど……そんな空っぽの私でもDollsを好きな気持ちは本当です。それを…ちゃんと思い出しました。」

サクラは続ける。

サクラ「Dollsの曲を聴くことで私はいつも元気をもらっていました。私は実力も、自信も、センスもなくて…本当に、ないないづくしだけど……Dollsを好きな気持ち。それは誰にも負けたくない…って思います。」

翔(好きな気持ちは、誰にも負けたくない…か…)

サクラ「いつか、私もアイドルになって誰かに元気をあげられたら、とっても素敵だなって。そう、思います。だから……!これからもよろしくお願いします!」

レイナ「……美しい!」

翔「?」

レイナ「何て美しいのかしら!」

レイナは思わず、声をあげた。

サクラ「え…?そ、そうですか!?」

レイナ「サクラ、私たち“友達”になりましょう!きっと私たち、美しい関係が築けるわ!」

レイナがそう言うと、

シオリ「うんうん……うるっと来ちゃいました。私も早速、アドレスを交換しようかしら♪」

シオリはサクラとアドレスを交換するため、スマホを取り出した。

サクラ「え!?いいんですか!」

レイナ「もちろん!」

レイナがそう言うと、サクラは…

サクラ「わわ……!芸能人と友達になっちゃいました…!それも大ファンのDollsと……!」

嬉しそうな表情を見せる。

シオリ「そんな大げさですよ。それに、貴方もDollsの一員ですよ?」

サクラ「……はい!」

翔(漸く打ち解けられたか…よかったじゃねぇか、満開野郎。)

アドレスを交換し合うサクラとシオリとレイナを背に、翔はレッスン場を去ろうとする。

レイナ「あ、待って翔君!」

レイナは翔を呼び止め、

レイナ「翔君も私達と友達になりましょう♪美しい関係が築けるわ♪」

と、言った。しかし……

翔「…お断りだ。」

翔はこれを拒否した。3人は、驚きの表情を浮かべる。

レイナ「…どうして?」

レイナは翔に訊ねる。翔は3人の方に振り向くと、こう言った。

翔「あくまでも俺は、ここで保護されている身だ…それと引き換えに、ドールハウスに何らかの形で借りを返す…そのためにここにいるんだ。最初からてめぇらと馴れ合うつもりなんて更々ねぇよ。」

彼の声、表情はとても冷たいモノだった。

翔(それに…もう誰かに裏切られるのは、こりごりなんだ…!)

そして…

 

翔「俺はなぁ…“友達”という言葉が大嫌いだ!俺の前で、“友達”という言葉を2度と使うんじゃねぇ!!もし言おうモノなら…お前達を殺す。

 

サクラ、シオリ、レイナを罵倒し……呆然とする3人に背を向け、レッスン場を出ていった。




いかがでしたか?今回はここまでです。
サクラはレッスンカリキュラムをやり遂げ、Dollsと打ち解けられた…しかし、翔は彼女達と打ち解けることはなかった。信頼していた者達からの“裏切り”を経験した彼は…心から寄り添うDollsを拒み続けるばかりであった。
次回も、お楽しみに。
では、またね
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