〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
『…ここは、少しだけ懐かしいな…』
俺が降り立った場所は、全ての始まりとも言える場所『渋谷区ハチ公口付近』だ。ここで、サクラと出会い…Dollsと出会った。しかし、ずっと疑問に思っていた事があったんだ……俺は、Dollsとは初対面のはず…だが、サクラ以外のアイツらは、何故か俺を知っている、覚えていると言う……いつ、どこで俺はアイツらと出会ったんだ?記憶を探ってみても、全く思い出せない……気味が悪いが、今ではもうどうだって良い…俺はDollsに心を開いたからな、アイツらを信頼しているからな…だからもう、良いんだ……そう思っていた直後の事……
『ッ!!??』
俺の脳裏に、何か映像が見え始めた。
ある所に、一人の少女がいた。生前の彼女はなんてことはない普通の少女だった。しかし医者の家に生まれ、何でもできる優秀な兄といつも比較されてきた。どのような習い事をしても平凡な成果しか出せない彼女は自らの家族からプレッシャーを感じるようになってしまった。良い子であろう、失敗しないようとし続けた結果自分の感情を押し殺し、誰からも『見えない』少女となってしまった。その少女の名前は…『
しかしある日、DOLLSの存在を知り、彼女の心に変化が起きた。音楽に目覚め、ピアノの旋律は音符をなぞるだけのものから感情を込められるようになった。
そして運命の日。初めてDOLLSのライブを体験したあと、ピグマリオンの襲撃を受けることとなる。
(…そうだったのか、サクラ……)
丘咲桜…それが、アイツの本当の名前……サクラ、そんなに辛い経験をして来たのか…大変な苦労をしていたのか……よく、頑張っていたなぁ……
「…あっ、貴方は…!!」
『…!?』
サクラ…何だ、お前…俺が見えるのか?彼女は真っ直ぐ、俺のもとへ向かって来る。
「大丈夫ですか!?あちこちが傷だらけですよ!?」
何だよ、こんな時にも…俺を気に掛けてくれるのか……だったら……
『…平気だ、大したことねぇよ。』
こんな傷なんか、平気だ…痩せ我慢なんかじゃねぇ…本当に、本当に平気だ……
「で、でも…!!」
その時、周囲に青い蝶が姿を現すと…その蝶が段々群れを成して、やがて…ピグマリオンが現界した。
「っ!?」
大丈夫だ、サクラ…化け物は俺に任せろ……
『っ!!』ドゴォッ!!
襲い掛かって来たピグマリオンを蹴飛ばし、俺は腹部にベルトを出現させる。
『…変身。』
俺はすぐさまドライバー前部を強く押し込み、赤い量子とデストサイクロンに包まれて行く。
仮面ライダーセンチュリーブレイクに変身すると、脳が常に鈍器で叩かれているような頭痛に襲われる。だが、サクラがこうして気に掛けてくれるから…どんな痛みが来ようが、もうどうって事ねぇ……
『!!』
俺は勢いよく地面を蹴り、人々を襲い始めるピグマリオンを片っ端から始末していく。赤い量子になることで、超高速に移動ができるんだ。だったら、とことん使ってやろうじゃねぇか。
「ひえっ!?な、何だ!?」
「いやっ!!か、怪物…!!」
「何なんだあの怪物、動きが見えねぇ…!!」
怪物、か…ま、間違いではねぇがな……
『さっさと逃げろ、死にてぇのか?』
俺がそう言うと、俺に怯えていた人達は慌てて逃げ出した。これで、邪魔な奴らは居なくなった…サクラを守りながら、俺はただひたすらピグマリオンを狩って狩って狩り尽くした。だが…
「ママー!!」
『ッ!?』
逃げ遅れた子どもが、ピグマリオンに襲われているのが見えた。
(くそが…!!)
俺は子どものもとへ向かい、ピグマリオンを殺して子どもを助けた。
『大丈夫か?』
「…えっ?…あっ…!!」
怪我はねぇようだ、これでこの少年は大丈夫だろう。だが……
『なっ!?』
サクラの近くに次元の歪みが発生し、そこから精神妖魔が姿を現した。その直後、サクラを背後から襲い…左脇腹を噛み千切った。
『……あ…あぁ……は、はは…………』
そうか、運命は変えられないのか…俺がさっき殺したピグマリオンからサクラを守れても、サクラがドールになるという運命は変えられないってのか……
『ヴアアアアァァッ!!』
俺は込み上げてくる怒り、憎しみ、そしてサクラを守れなかった無力な自分への呪い…沢山の負の感情を乗せ、精神妖魔に向かって行く。量子となる事で、全方向から重撃を与え、奴の関節を全て破壊する。やがて、全身があらぬ方向へ曲がった妖魔を空中に飛ばし、サイクロトロンドライバーを操作する。
両足にデストサイクロンを纏い、落ちて来る精神妖魔を連続で蹴り続け、デストサイクロンで細切れにしていく。やがて、精神妖魔は全身がサイコロステーキのように切れ、消滅していった。
時間切れだ…結局、
そう思いながら、俺はドールとして生まれ変わるサクラの前から姿を消した。