〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
翔SIDE…
俺が混乱していると、俺の前にDollsとNunberSの幻影が浮かび上がって来た。いや、これは…幻影じゃねぇ……感じる、皆の匂い…気配…そして生気が…全部、全部…感じる……
『翔君、ここに居たのね?』
『もー、あたし達ずっと探してたんだよ?』
『やっと見つかりました、翔君…み〜つけた♪』
レイナ、アヤ、シオリ…そうだったのか……ごめんな…心配かけたよな…?
『翔さん、ボク達ずっと心配したんだよ?』
『ディオ達、翔さんが一人ぼっちになるのを望んでない…』
『翔さん、どうか我々の元に戻って来て欲しいです。私トリアも、もっと翔さんと色んな経験をしたいですから!!』
ミア、ディオ、トリア……
『翔さん、もう孤独になる必要なんてありません。』
『そうだよ!!ヒヨ達がいるんだから!!』
『それに、翔さんは重い責任を一人で背負い過ぎっすよ?ヤマダはまぁ、背負いたくは無いですけど…翔さんが背負う物は別っす。』
ミサキ、ヒヨ、ヤマダ……
『翔さん、貴方はもう一人ぼっちじゃありません。』
『そうですよ翔さん、私がそんな事させませんから。』
『私も…翔さんを、一人にしません。』
サクラ、ナナミ、ユキ……皆、ありがとうな…そうか、そうだったのか……コイツらは最初から……
「翔さん、皆はずっと翔さんの側に居るんだよ?勿論、私も居るよ!!」
あぁ、あぁ…チヒロ、ありがとう……
『…そうだ…俺は……俺はもう、一人じゃねぇ……』
すると、サイクロトロンドライバーが多彩な色の光を放ち始めた。
くぐもった禍々しい音声とは違う…これは多分、サイクロトロンドライバーが完全完成した瞬間だろう……そう感じた俺は、ドライバー前部を強く押し込む。
(行くぞ、皆…!!)
すると、ドライバーの発光部分が乳白色になり、そこを辿るように回転するマゼンタピンクの光が出現し、変身待機音が鳴り響く。
『!!』
俺は初代仮面ライダーを意識しながら右手を左斜め上に高く掲げ、ゆっくりと回転させ、両腕を正面でクロスする。その間、Dollsの笑顔が俺に浮かんで来る。
『翔さん♪』『翔君♪』『翔♪』
気が付けば、俺の頬には涙が流れていた。そして、俺は左手の拳を腰に添えると同時に、右腕を右斜め上に伸ばす。
…と、叫んだ俺は右手の拳を握り、再びドライバー前部を強く押し込んだ。次の刹那、ドライバーの発光部分が乳白色と赤色の光を、まるで風車が回転するように放ち始める。背後にはDollsのイメージカラーが1つになった虹色のデストサイクロンが出現…俺はその温かく、優しい光に包まれて行く。
仮面ライダーセンチュリーブレイクの姿になった後、足先・腕部・胸部・頭部にクリアブルーの装甲が装着された仮面ライダーへと変身を遂げた。
これが、この仮面ライダーの名前だ。
「わぁ〜すごぉい!!仮面ライダーだぁ〜!!」
仮面ライダーセンチュリーになった俺を見るなり歓声を上げるチヒロ。
「なんか、何者にも負けねぇ…そんな気がするっす。」
「はい、私も…そう、思います。」
ヤマダとユキも、ゆっくり立ち上がりながら言う。
「仮面ライダー、センチュリー……100年経っても色褪せる事の無い愛や絆、それを彷彿とさせるような美しい姿だわ。」
レイナも歓声を上げ、他のメンバー達も笑顔を見せ始める。
『喜ぶのは後にしろ…今はとにかく、あのデカブツをぶっ潰す!!全員、生きて帰るぞ!!』
「「「了解!!」」」
俺の言葉を合図に、俺達はデカブツを倒すべく動き始める。竜頭のような液体が、触手のように伸びて来る。だが、メンバー達はソードで切り捨て、デカブツ目掛けて走る。
『おい!!奴は毒を含んでいる!!触れたら終わりだ!!だが安心しろ、そんな都合が悪いモン…俺が吹き飛ばしてやる!!』
センチュリーになった俺はデストサイクロンを召喚すると、デカブツに纏わりついている毒素を1mg残すことなく、全て吹き飛ばした。
『喜べデカブツ、お前のきったねぇ空気は全部綺麗にしてやった!!ちゃんと社会の役に立ったんだ!!後は、大人しく俺達に倒されろ!!』
メンバー達が無力化したデカブツを攻撃している中、俺は至る所にデストサイクロンを出す。
『皆、これに乗って上に行け!!奴の注意は俺が惹きつける!!だから安心して行け!!』
俺はそう言うと、虹色の量子となり…デカブツを覆うように旋回する。その間に、Dollsはデストサイクロンを足場にして上空に舞い、空中から武器を振り下ろす。デカブツに刃が接触するギリギリで、俺はデカブツから離れる。
デカブツはDollsに真っ二つにされ、断末魔を上げた。だが、また再生しようとしている。
「翔さん、最後に決めちゃって!!」
『おう!!任せろチヒロ!!』
俺はすかさずドライバー前部を2回押し込むと、虹色の光を放つ巨大なデストサイクロンを出現させる。そして、それをデカブツ目掛けて飛ばした。
ドライバー発光部分が虹色に光り、放たれた必殺技はデカブツの再生を停止させ…デカブツは大爆発を起こして散って行った。俺達は、勝ったんだ…誰一人欠ける事なく……
《ヒュードラの消滅を確認!!ま、まさか……》
「カナさん!!翔さんがまた来てくれたんだよ!!私達を、助けてくれたんだよ!!」
《えっ!?しょ、翔君!?》
「仮面ライダーに変身したんだよ、ほら!!」
チヒロがNDトランシーバーを向けると、南田さんは画面の向こうから俺を…仮面ライダーセンチュリーを目の当たりにする。これじゃあ分かんねぇだろ…だから俺は変身を解き、元の姿に戻る。
《あ、あぁ…翔く、ん……翔君!!》
画面の向こうで泣き崩れる南田さん。
『何泣いてんだよ、喜べよ…Dollsは誰一人欠けてねぇんだ、全員無事なんだぞ?』
《ズズッ…はい…翔く…グスッ、ありがとうございます……!!》
ったく、泣き虫だなぁアンタ…それに、礼ならDollsに言えよ…人知れず平和の為に戦ってんだから。
おっと、時間切れか…今度はどこの世界に飛ばすんだよ…もうそろそろ、皆の所へ帰りてぇんだが……
『安心して頂戴、翔君。貴方はちゃんと、元の世界に帰れるわ。』
…ん?Nか?意外だな、って事は……
『お兄さん、最後にお兄さんの真実を見て欲しい。それが見られたら、ちゃんと元の世界に…皆が待ってる世界に、お兄さんは帰れるから……』
V、お前も居たのか…そうか、わかった……
「翔さん…!!」
涙目になるチヒロに、俺は言う。
『心配すんな、俺は死なねぇ。皆のところへ、帰るだけだ。』
そして…
俺は次の世界へと、飛ばされた。シナリオは多分変わっただろうが、これでチヒロは…ロストせずに済んだ。これで良い、ハッピーエンドしか…俺は認めねぇからな?