〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
今回は、翔の味方のストライカー達がメインです。語り手は『賢宮 ほたる』さんでございます。
翔を裏切ったストライカー達の行動に限界を感じた彼女達…そして遂に…怒りが爆発する。
では、どうぞ
ほたるside…
ほたる「いい加減にしてください!!何回同じ事を言えば分かるんですか!?どうしていつも分からないんですか!?」
あたしの名前は『賢宮 ほたる』です。今(当時、ストライカーを辞める前)、あたしとマリさん、雪枝ちゃん、モニカさん、幸子さん、あからさんの6人で…ストライカー達に対して怒っています。その理由は…
雪枝「襲撃までされて、それでも隊長さんを捕まえようとするなんて…何を考えてるんですか!?隊長さんが拒んでいることが分からないんですか!?」
普段は滅多に怒らない雪枝ちゃんですが、この日はまるで別人のように怒っています。
話を戻します。少し前に、この学園が襲撃される事件が発生しました。幸い、死者は出ず、その後…襲撃を受けた人も今や治療を終えてここにいます…ですが問題は、襲撃後の彼女達に関して…
あたしの見解では…襲撃してきた人物は『青空 翔』元隊長サンでしょう…そうでなければ、襲撃される理由が分かりません。襲撃の前日…彼は彼女達に無理矢理、この学園に連れてこられたから…。その時、あたしは彼と話しました。その時の彼の様子は…もう見るに耐えられない物で、精神的な傷は想像以上に大きく、もう隊長に戻るのは御免だとも言われました。隠していた地下通路で脱出した後、どうしていたかは分かりませんでしたが…今回の襲撃で、彼が無事であることが大方判明しました。ですが、それと同時に…彼が隊長に戻ることは、絶対にないということも判明しました。あたし達は彼女達に…彼を連れ戻すのは辞めるよう言いました。けど………
あおい「こんな傷…隊長が受けた傷に比べれば…大したことはない…」
椿芽「何としてでも…謝らなければ…!」
天音「この程度であたし達が諦めるとでも…?」
全く聞く耳を持ってませんでした……そんな彼女達に、マリさんは言いました。
マリ「あんたらさ、いい加減にしなよ。連れ戻した所でアイツが隊長に戻ると思ってんの?寧ろその逆でしょ?」
マリさんは怒鳴りはしませんが、とても冷たい声でした。しかし、彼女達は……
紗々「それでも、隊長さんには…謝らないと…」
栞「そうね…捕まえてまで隊長さんを連れ戻して…謝らないと…!」
サトカ「隊長さんは優しいですから…きっと許してくれるはずです…!」
全く理解していないようです…いえ、理解していません…。その時、
バァンッ!
モニカさんが机を思い切り叩き、
モニカ「隊長さんは優しいからきっと許してくれる…?ふざけないでよ!!」
ストライカー達に怒鳴り立てました。
フェイ「モ、モニカ…別にそんなつもりじゃ…」
モニカ「その優しい隊長さんを散々苦しめたのはあんた達でしょ!?」
モニカさんの怒鳴り声に、ストライカー達は唖然としています。彼女の勢いに乗るかのように、幸子さんが口を開きます。
幸子「隊長さんの前任の隊長さんが悪人であることにいち早く気づいたのは誰でしたっけ!?私達ですよね…?あの人は危険ですからと警告していたのに…貴女達は聞く耳すら持ちませんでしたよね!?」
幸子さんの言うとおり、青空元隊長サンの前任の隊長サンが悪人であることにいち早く気づいたのは、あたし達でした。その為、彼女達に何度も警告を促しましたが…彼女達は聞く耳を持ちませんでした。更に言えば…
モニカ「青空隊長さんに関して、悪い人じゃないとあんた達に言っても、同じように聞く耳を持たなかったよね!?」
モニカさんは続けます。
モニカ「誰だったっけ?あたし達に「あんた達の目は節穴だ。」なんて言った人は?「隊長なんてどれも同じ」、「あんた達はあんな奴の味方なの?」、そんな事を言ったのは誰だったっけ!?」
モニカさんはストライカー達の目を見て、あたかも分かっているかのように……わざとらしく、大声を上げました。
モニカさんの言うとおり…青空元隊長サンが着任した時にも、あたし達はいち早く見抜き、彼女達に「前の隊長とは全く違う」と話しましたが…またも聞く耳を持たず…それどころか……
陽奈「お姉の目は節穴なの?」
ノエル「貴女達の目は節穴ですか?」
楓「貴女達には失望したわ…」
依咲里「雪枝様は、あんな奴の味方ですの?」
シャルロッテ「キサマらは、あんなクズの味方デス?」
イミナ「隊長なんてどれも同じだろ!?あたし達の傷も知らないで無責任な奴だな!!」
等、あたし達は彼女達から散々暴言を吐かれました…失望したのは、あたし達の方ですよ…。そのせいで…何も罪の無い『青空 翔』元隊長サンは…
ほたるside OFF…
翔「うぅ…や、やめてくれぇ…!」
フェイ「やーだよーだ♪」ドスッ!
翔「!!ぎゃぁぁああああああ!!!!」
ハヅキ「フェイ、そうじゃなくて…ゆっくりと、刃を相手の身体に食い込ませるんだよ…♪」ジャキンッ
翔「…お願いだ…もう、やめて…くれ……頼む…!」
ハヅキ「お断りだよ。」
その当時、翔は身動きが取れないように身体を拘束され、ストライカー達から理不尽な暴力を受けていた。『不知火(しらぬい) ハヅキ』は、ゆっくりと…翔の身体に刃を食い込ませていく。
翔「…ああぁぁぁぁ……」ガクッ
翔は身体中を傷つけられ、もはや叫ぶ力を失っていた。彼女達は、翔を解放すると…
ドサッ…
翔「……うぐっ……」
翔はその場で倒れた。立ち上がる力すら残っていなかった。しかし、彼女達は…容赦しない。
イミナ「おい、立てよ!」グイッ…ドゴッ!
イミナは傷だらけの翔を無理矢理起こすと、顔を思い切り殴った。
翔「がぁっ…」ドサッ
再び倒れる翔…
華賀利「死なない程度で苦しめてあげるから、泣いてごらん?」
華賀利は倒れた翔の頭や背中を踏みにじったり、蹴りあげたりした。
翔「……。」
翔はストライカー達から散々苦しめたが…決して弱音を吐かなかった。
ほたるside…
彼女達のせいで、何も罪の無い『青空元隊長サン』は、身体中を傷つけられ、精神に重症を負ってしまった……
モニカ「あんた達が、何も罪の無い隊長さんを散々苛めたせいで…隊長さんは、心に深い傷を抱えたんだよ!!」
あから「心だけじゃない!身体中も傷だらけだ!僕達を節穴って言ったけど、本当に節穴なのは…君達だろ!?」
あからさんは、彼女達に怒鳴りました。
あから「自分達が隊長殿に謝れば、隊長殿は優しいから許してくれるとか、帰ってくるとか……そんな甘い考え、隊長殿に通じるわけ無いだろ!!!!」
あたし達の言葉、怒りもどんどんエスカレートしていき、次第に彼女達の表情も暗くなったり…項垂れたり…青ざめたりしてきました。それどころか、あたし達に言い返す者は…誰1人いません。あたし達は彼女達にトドメの言葉を言いました。
モニカ「何も罪の無い隊長さんにこんなに痛い思いをさせて、あんた達は最低だよ!!!!今でもあんた達は自分達のことしか考えてないじゃん!!だからこんな襲撃までされるんだよ!!!!」
幸子「集団で寄って集って隊長さんを散々苦しめておいて「すいませんでした」…そんな事で済む問題ですか!?」
マリ「あの手紙も、隊長は私達にすら…相談できなかった…!誰のせいだと思ってんの?」
あから「そうだ!僕達だって隊長殿に何回も疑われた…!彼の味方であっても、所詮は『ストライカー』だから、結局誰にも相談できず、こんなことになった……その原因を作ったのは、君達だろ!!!!」
雪枝「私達の言葉を聞いてくれる人が、1人でも多くいたら…こんな事は起きなかったのに…!」
あたし達の言葉攻めに、彼女達の表情はみるみる青ざめていきます。でも、あたし達は容赦しません。
最後に、あたしは…こんな見る目の無いストライカー達に、こう言いました。
ほたる「貴女達のような……『罪の無い人を平気で傷つける最低な人達』と一緒にいるのはまっぴら御免です!!もう、あたし達とは関わらないでください。」
あたしの言葉に、マリさん達も頷きました。
この言葉を言い放った後、彼女達の表情は…完全に普段では見られないような…動揺と青ざめた表情でした。
自分達で『正義』だと解釈してやっておきながら、こんな顔をするなんて……『とてつもなく、ブザマ』でしたね。
あの後、あたし達は場所を移動し、今後の事について、ちょっと話し合いをしました。
あから「この後、どうするんだい?」
マリ「私は隊長の元に行くつもり…アイツら、また隊長を捕まえようとするに違いないからさ。」
幸子「そうですよね。それに、白河隊長さん…今の方針を変える気も無いでしょうし…」
『白河 昇』隊長…彼はあの青空元隊長サンに憧れた人の1人でした。ここに着任した時は、物腰も柔らかく…思わず、青空元隊長サンのような人がまた来たのかと思いましたが…それでも、彼女達は…青空元隊長サンが来た時と、同じ対応をしていました…しかし、彼は決して怒る人ではありませんでしたが……
あの手紙を見つけた時…彼はストライカー全員を呼び出し、あの手紙に関して問い詰めて来ましたが、当然ながら知る者は誰もいませんでした。勿論、あたし達も…。その瞬間、今まで怒らなかった彼が…激しく怒りだしたのを、あたし達は忘れられません。手紙には…
『青空 翔は、クーデターを起こす可能性がある。奴の前任の隊長が犯した罪は、ストライカー達を道具扱いし、身体的に、精神的に苦しめたが、それを青空 翔がやったと見なした。よって、ストライカー達全員、我々時空管理局と手を組み、奴を身体的に、精神的に…徹底的に追い詰めるように。』
と、青空元隊長サンに濡れ衣を着せる内容が書かれていました。白河隊長がその手紙を音読していくうちに…彼女達は漸く……自分達の過ちに気付きました。
青空元隊長サン…彼は、大本営から濡れ衣を着せられ、苦しい思いを…痛い思いをしていた……と言う事に…
昇「青空隊長を裏切ったストライカー達!!」
ストライカー達(ほたる達6人以外)「「!!」」
昇「何としてでも、彼に謝罪しろ!!」
白河隊長は、彼女達に強く言いました。初めは青空元隊長サンを探して、謝罪をすることになっていましたが…次第に彼も彼女達も焦りだし…行動は徐々に徐々に、おかしくなっていきました。その結果……大本営を襲撃するという暴挙…及び…青空元隊長サンをここ『五稜館学園』に連れ戻すという狂った考えにまで陥りました。あたし達は白河隊長に、「そんな事は辞めるべき!」と言いましたが…どういうわけか、彼は聞く耳を持ちません。もう何がなんだか分からなくなってきました…
雪枝「あの…こんな事をして隊長さんに謝罪をしても…何も変わらないと思います。」
あから「蒼井君の言うとおりだ。」
他のメンバーも頷く。
モニカ「ねぇ、ほたる。隊長さんを見つけて、逃亡の手助けをしてほしいんだ。あたし達はアイツらの動向を分かり次第、伝えるから。」
モニカさんは2枚の紙をあたしの前に置きました。1枚は、『モニカさん達のメアドと連絡先が書かれたメモ用紙』、もう1枚は『ストライカー引退届け』でした。連絡先をあたしに渡して来たってことは…青空元隊長サンを託したんでしょう。こういう行動をするという事は…モニカさん達は味方…そうなれば、警戒心を解いても心配ないですね。
ほたる「分かりました。あ、でも…モニカさん達は…」
モニカ「ほたるが隊長さんを見つけたら…まず、あたしとあからとマリが、ここを辞めようと思ってる。」
幸子「私と雪枝さんはもう少しここに残って、彼女達の様子を伺います。その後に、ここを辞めます。」
ほたる「…そうですか…分かりました。」
モニカさん達も、辞めると言いました。やはり、彼女達も今の方針に反対者なんでしょう。しかし、全員で一気に辞めようとはしませんでした。恐らく…ストライカー達に怪しまれる可能性があるからでしょう。あたしは目の前にある『連絡先のメモ』を取り、左ポケットにしまい、『ストライカー引退届け』を書き上げました。そして、白河隊長の元に向かいました。
ほたる(隊長サン!あたしが今から向かいます!…どうか、ご無事で…!!)
そして…
ほたる「白河隊長…」
昇「…?」
あたしは『ストライカー引退届け』を白河隊長に出し、
ほたる「ここに貴方の判子を…」
判子を押してもらうように頼みました。ストライカーを辞めるには、『ストライカー引退届け』を書き、現隊長の判子が必要です。つまり…白河隊長の判子が必要なのですが…彼がこれを承諾するのかが…一番の鬼門でした…。彼は……
昇「…分かった。」
何の迷いも無く…判子を押しました。彼から判子を押してもらい、あたしは『ストライカー』を辞めました。あたしは荷物を纏め、五稜館学園を去りました。
その後、あたしはバイトで稼いだお金を頼りに、あちこちのネットカフェで寝泊まりしながら、聞き込みをしたりして、隊長サンを探しました。
ほたる「隊長サン…一体どこに…」
あたしは日雇いバイトをしながら、隊長サンを探しました。そして数週間後…漸く、隊長サンと合流することができました。隊長サンはあたしを信頼し、『日差野 光(ひざしの ひかり)』と言う素敵な名前をくれました。あたしはモニカさん達に連絡し、隊長サンと合流できたことを伝えました。そしてあたしは、この先ずっと隊長サンの味方でいることを決意しました。
いかがでしたか?今回はここまでです。
プロローグストーリーも折り返し地点を突破しました。
ストライカーを辞めたほたるは、裏切り者のストライカー達に怒りをぶつけ、学園を去っていった。そして、影一の逃亡のサポートをすることになった。
ちなみに…モルガナは、裏切り者の中には、“含まれていません”。
次回もお楽しみに。
では、またね