〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウでございます。
ジャドウ兄弟を撃破した翔達は、デンライナーゴウカに乗車し、東京に戻ることになった。
しかし、“転生者”である翔には1つ気になったことがあり、一時的に笑顔が消えていた。そんな彼に、神様が話しかける。
では、本編へどうぞ


第四十二話 さらば、北国

ジャドウ兄弟を撃破し、札幌駅にやって来た一同は東京行きの寝台特急『デンライナーゴウカ』に乗車した。斑目は洋室寝台に運ばれた。

愛「翔君、後はあたしに任せて。」

愛は翔に優しく言う。

翔「…。」

しかし、翔は斑目の近くから離れようとしなかった。

愛「…斑目所長が心配、なんだよね?」

愛の問いかけに、翔は頷いた。

愛「大丈夫だよ♪こう見えても、あたしは医者だから♪だから、何も心配はいらないよ?」

愛は翔に優しく微笑む。

斑目「…青空…」

翔「っ!?…斑目さん…」

斑目「片山はな…日本全国に、その名を…轟かせる…名医なんだ……だから、私は片山を…ドールハウスに、呼んだんだ……」

斑目は翔に愛のことを話した。

愛「翔君、ケガした人や病気になった人のことなら…あたしに任せて♪」

翔「……片山さん…頼む…!」

翔は愛にお願いした。愛は「うん!」と言い、斑目の手当てを開始した。翔は斑目の部屋から退出し、先頭車に向かった。

 

 

 

デンライナーゴウカ、10号車にて……

翔は展望席に座り、先頭車から見える景色を眺めていた。

翔「…。」

翔(俺はこの世界の住人ではない……ジャドウ達を始末する使命を背負って、この世界に来たんだ……もし、ジャドウ達を全員始末した時…俺はこの世界から出ていかなければならないのかな…?)

翔はそう思い、悲しげな表情を浮かべていた。そんな彼を見た神様は、テレパシーで翔に話しかけた。

神様(翔、どうしたんだ?)

翔(神様…1つ、気になったことがあるんだ。)

神様(気になったこと?)

翔(あぁ……俺はこの世界にいる『ジャドウ』達を始末する使命を背負って、この世界に来た……もし、ジャドウ達を全員始末した時、俺はこの世界から出ていかなければならないのかって思ったんだ…)

翔は神様に話した。翔の話を聞いた神様は…

神様(その心配はない。)

翔に語りかけた。

翔(えっ…?)

神様(最初に言っただろう?『君は新しい人生を歩むのだ』って。ジャドウ達を全員始末した後、君はこの世界の住人として暮らしていくことになる。だから、何も心配しなくても良い。)

翔(そうか。)

神様の話を聞いた翔は納得した。

神様(ただな…)

神様はもう1つ、翔に語りかけた。

神様(高木社長や赤羽根P、765プロのアイドル達に関してなんだが……彼らはこの世界の住人ではないから、いずれ元の世界に戻さなければならないんだ。)

翔(そ、そんな……)

神様(翔よ…『人は出会えば、いつかは別れる』、それは逃れることができない事実。よく覚えておくんだぞ?)

翔(…。)

神様(今は、彼女達と過ごす時を大切にするんだ。)

神様はそう言うと、テレパシーを切った。

翔「…『人は出会えば、いつかは別れる』、か……」

翔は神様の言葉を、心の中に刻んだ。

斑目「青空、ここにいたのか。」

翔「…っ!?…ま、斑目さん!?」

そこに、松葉杖を付いた斑目がやって来た。

翔「寝てなくて大丈夫なのか?」

斑目「あぁ、片山の手当てと…青空の手当てのお陰でな。」

斑目は微笑む。

斑目「隣、良いか?」

翔「あんたはケガをしてるだろ、確認しなくてもいい。」

斑目「ははは…念のためだ。」

斑目は苦笑いし、翔の左隣に座った。

翔「…。」

斑目「どうしたんだ、青空?冴えない顔して。」

翔「…いや、少し考え事をしていた。」

斑目「…そうか。」

斑目は余計な詮索をしようとしなかった。

斑目「青空…恐らく、お前にとって初めての旅行だと思うんだが…楽しかったか?」

斑目は翔に訊ねる。

翔「あぁ、楽しかった。大勢の人達と出掛けて、初めての経験を何度もして…途中、何度かハプニングがあったけど……全てが新鮮だった。」

斑目「ふふっ、それなら良かった。」

斑目は微笑んだ。そこに、

モモタロス「お、翔。ここにいたのか。」

モモタロスを初めとする『イマジン』達がやって来た。

翔「モモタロス達…」

ウラタロス「お帰り、翔。どうだった、思い出は作れたかい?」

ウラタロスの言葉に、翔は頷いた。そして、スマホを取り出し、モニカが撮ってくれた写真を見せる。

キンタロス「お、どれもええ写真や。」

翔「モニカが撮ってくれたんだ。」

リュウタロス「よく撮れてるね!翔も良い顔してるし!」

ジーク「うむ、翔のお供達も楽しそうだな。」

翔「いや、お供達じゃなくて“トモダチ”なんだが…」汗

ジークのボケ(?)にツッコミを入れる翔。

翔「あ、そうだ。なが、モモタロス達に1つ頼みがある。」

ウラタロス「ん、お願い?」

翔「後で、モモタロス達と写真を撮りてぇんだ。」

翔はモモタロス達に聞く。

モモタロス「へへっ、お安い御用だぜ。」

ウラタロス「もちろん、OKだよ。」

キンタロス「ええで!」

リュウタロス「わーい、写真撮えーい!」

ジーク「お供の願いだ、断る訳にはいかないな。」

モモタロス「というか、今でも構わねぇぞ?」

モモタロスがそう言うと、

翔「ホントか!?じゃあ今からで。」

翔はスマホのカメラを開く。

斑目「私が撮影しよう。」

斑目がそう言うと、翔は「助かる」と言い、斑目にスマホを渡した。

そして、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、ジークとツーショット写真を撮影し、次に翔とイマジン達の集合写真を撮影した(ポーズは、普通と“トモダチの証”で)。

翔「モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、ジーク…リクエストに応えてくれてありがとな。」

翔はイマジン達にお礼を言った。写真には、イマジン達と笑顔で写っている……穏やかな翔の姿があった。

 

 

 

あの後、ラウンジカーに戻ってきた翔と斑目とイマジン達。

春香「あの、突然ですけど!」

春香の言葉に、反応する一同。

春香「折角こうして、翔さんと旅行に行けたんですから……翔さんと写真を撮りたいです!」

春香の言葉に……

翔「構わねぇぜ?」

翔は了承した。

春香「えっ、良いんですか!?」

翔「あぁ、旅行を楽しめたのは…お前らのお陰なんだからさ……」

春香「やったぁ!!翔さん、ありがとうございます!」

その後、765プロのアイドル達、赤羽根P、高木社長は翔とのツーショット写真、集合写真を撮影した。その後、ドールハウスの関係者達と元ストライカー達もリクエストし、翔とのツーショット写真、集合写真を撮影した。

 

 

 

写真撮影を終えた翔は、和室寝台で休んでいた。

コンコンッ…

すると、戸がノックされ…

ほたる「隊長サン、賢宮 ほたるです。」

ほたるの声が聞こえた。

翔「入れ。」

翔がそう言うと、

ほたる「失礼します。」

ほたるを初めとする、翔の味方の元ストライカー達が入ってきた。

雪枝「あ、あの…休んでいる所、急に訪ねて来て申し訳ありません。」

翔「いや、良い。それより、どうしたんだ?」

幸子「あ、いえ…その……隊長さんと、お話がしたくて…迷惑でしたか?」

翔「大丈夫だって、気にすんなよ。」

翔の言葉に、幸子は安心した。

マリ「さっき、私達で話してたんだけど……あんた、笑顔が増えたね。それは、私達にとって嬉しいことだからさ。」

翔「そっか。まあ、昔は……笑顔なんて見せるきっかけや機会が全く無かったしな…」

あから「そうだったよね……ボクは、あのストライカー達が憎い……何も罪のない隊長殿を散々苦しめておいて、都合が悪くなった途端に掌を返して連れ戻そうとして……!」

あからは、険しい表情を浮かべるが…ハッとして平常心を取り戻した。

あから「すまない、隊長殿……思い出したくもない過去を思い出させてしまって…」

翔「良い。事実だからな…」

翔はあからに言った。

モニカ「あ、それでね…また、隊長さんの辛い過去の話を掘り起こしちゃうんだけど……あの時、こんな風に旅行にすら行けなかったよね…」

翔「…そうだったな。」

モニカ「でも、こうして旅行にも行けて……あたし、旅行ってこんなにも楽しいことなんだな~って、身をもって感じることができたな♪」

翔「そうか。」

ほたる「あたしも楽しかったです!隊長サンは、どうでしたか?」

翔「俺も、楽しかったよ。初めての経験ばっかりで、全てが新鮮だった。それに……」

翔は立ち上がると、

翔「何だか、解放感を感じた!」

両手を広げ、にこやかそうに言った。

元ストライカー達「……。」

元ストライカー達は、そんな翔を見て…思わず微笑んだ。

翔「…?…どうした?」

ほたる「ううん、何でもありません…えへへ。」

翔「そうか。」

その後、元ストライカー達とある程度会話を弾ませ、眠りについた翔であった。

 

 

 

翔が眠って、数時間後……

スー…

翔が眠っている和室寝台の戸が開き、誰かが入ってきた。

ミサキ「失礼します、翔さん。」

入ってきたのは、ミサキだった。ミサキは翔を起こさないよう、静かに移動し……

スッ…モゾモゾ……

翔が眠っている布団に入った。いわゆる、『添い寝』である。

翔「…。」スヤスヤ…Zzz~…

翔は起きることなく、よく眠っている。

ミサキ(翔さん、良い顔して眠っているわね。)

ミサキは翔の寝顔を見て、思わず微笑んだ。彼の寝顔を見ているうちに、自分の過去を思い出した。

ミサキ(翔さんは、昔から優しかった……路頭に迷いかけた私達に心から寄り添い、救ってくれた……私達にどれだけ罵倒されても、突き放されても、ありのままを受け入れてくれた…でも…!)ジワッ

ミサキは目に涙を浮かべる。

ミサキ(私達は、翔さんに…何もしなかった……「ありがとう」すら言えなかった…むしろ、翔さんに冷たくし、罵倒もした……お礼を言う前に、謝る前に…翔さんは私を庇って、命を落としてしまった……翔さんが死んでしまったのは、私のせい…私が、翔さんを突き放したから…私が弱かったから……そんな私を心から受け入れてくれたのは翔さんだったのに……!!)ギュッ

ミサキは眠っている翔を抱きしめる。

ミサキ(私は、翔さんの優しさを受け入れなかった……そもそも、受け入れようとすらしなかった……!!)ポロポロ

ミサキは涙を流し…

ミサキ「…翔さん……ごめんなさい……!」ポロポロ

眠っている翔に謝罪をした。その後、ミサキはずっと泣き続けた。

数分後、ミサキは泣き止んだ。

ミサキ「…翔さんは私達を守ってくれた……だから、今度は私が、私達が…」

ミサキは翔の右手を優しく包み、

ミサキ「翔さんを、守ってみせます。」

翔を守る決心をかため、彼に寄り添うように眠りについた。

 

 

 

その数十分後……

再び翔が眠っている和室寝台の戸が開き、誰かが入ってきた。

ナナミ(先客がいましたか。)

入ってきたのは、ナナミだった。翔の右隣には、ミサキが眠っている。

ナナミ「翔さん、私も失礼します。」

ナナミも翔が眠っている布団に入った。

ナナミ(翔さんの背中、本当に大きいですね……翔さんが亡くなった後、私は翔さんの背中を探して、よく外出していました…けど、翔さんの背中、姿はどこにも見当たらなかったです……私は、中々素直になれず…後悔することがよくあります…そこに現れたのが、翔さんでした。あの時の翔さんの言葉を聞いて、私は心が軽くなるのを感じました……ですが…)

ナナミもミサキと同じように、過去を思い出す。

ナナミ(私は、翔さんに…何もしなかった、むしろ…しようとすらしなかった……私が素直になれるための道を切り開いてくれたのは、翔さんでした…なのに、私は……翔さんに感情をぶつけてしまった…!…翔さんに、謝れませんでした…いえ、どれだけ謝っても…許されないことです…!)ポロポロ

ナナミは眠っている翔を抱きしめ、泣いていた。

ナナミ「翔さん…あの時、貴方に感情をぶつけてしまって……すみませんでした…うぅっ!」ポロポロ

ナナミは、ずっと翔に言えなかったことを、漸く言うことができた。しかし、翔は起きることなく、寝息をたてている。ナナミは、翔の背中に顔を埋めて泣いた。

ミサキ(…ナナミ……貴女も、翔さんが亡くなった後…泣いている日が多かったわね…)

ナナミの泣き声を聞き、ミサキは思った。

数分後、ナナミは泣き止み、

ナナミ「翔さん…貴方が私達に心から寄り添ってくれたように、私も…私達も、貴方に優しく寄り添い続けます。ですから…ですから、安心してくださいね。」

ナナミはそう言うと、眠りについた。

ミサキとナナミは、まるで…翔に優しく寄り添うように安眠した。




いかがでしたか?今回はここまでです。
この世界にいるジャドウ達を全員始末した後、この世界から出て行く必要がないことを知った翔は安心したが……アイドルマスターの世界の住人とは、いつか別れることを知り、寂しさが芽生えた。
夜、眠っている翔の元に……ミサキとナナミがやって来た。彼女達は特に…翔が亡くなったことに強いショックを受けていた。そのため、翔の布団に入り…添い寝をしたのだ。
次回も、お楽しみに。
では、またね
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