〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
ジャドウ兄弟を撃破した翔達は、デンライナーゴウカに乗車し、東京に戻ることになった。
しかし、“転生者”である翔には1つ気になったことがあり、一時的に笑顔が消えていた。そんな彼に、神様が話しかける。
では、本編へどうぞ
ジャドウ兄弟を撃破し、札幌駅にやって来た一同は東京行きの寝台特急『デンライナーゴウカ』に乗車した。斑目は洋室寝台に運ばれた。
愛「翔君、後はあたしに任せて。」
愛は翔に優しく言う。
翔「…。」
しかし、翔は斑目の近くから離れようとしなかった。
愛「…斑目所長が心配、なんだよね?」
愛の問いかけに、翔は頷いた。
愛「大丈夫だよ♪こう見えても、あたしは医者だから♪だから、何も心配はいらないよ?」
愛は翔に優しく微笑む。
斑目「…青空…」
翔「っ!?…斑目さん…」
斑目「片山はな…日本全国に、その名を…轟かせる…名医なんだ……だから、私は片山を…ドールハウスに、呼んだんだ……」
斑目は翔に愛のことを話した。
愛「翔君、ケガした人や病気になった人のことなら…あたしに任せて♪」
翔「……片山さん…頼む…!」
翔は愛にお願いした。愛は「うん!」と言い、斑目の手当てを開始した。翔は斑目の部屋から退出し、先頭車に向かった。
デンライナーゴウカ、10号車にて……
翔は展望席に座り、先頭車から見える景色を眺めていた。
翔「…。」
翔(俺はこの世界の住人ではない……ジャドウ達を始末する使命を背負って、この世界に来たんだ……もし、ジャドウ達を全員始末した時…俺はこの世界から出ていかなければならないのかな…?)
翔はそう思い、悲しげな表情を浮かべていた。そんな彼を見た神様は、テレパシーで翔に話しかけた。
神様(翔、どうしたんだ?)
翔(神様…1つ、気になったことがあるんだ。)
神様(気になったこと?)
翔(あぁ……俺はこの世界にいる『ジャドウ』達を始末する使命を背負って、この世界に来た……もし、ジャドウ達を全員始末した時、俺はこの世界から出ていかなければならないのかって思ったんだ…)
翔は神様に話した。翔の話を聞いた神様は…
神様(その心配はない。)
翔に語りかけた。
翔(えっ…?)
神様(最初に言っただろう?『君は新しい人生を歩むのだ』って。ジャドウ達を全員始末した後、君はこの世界の住人として暮らしていくことになる。だから、何も心配しなくても良い。)
翔(そうか。)
神様の話を聞いた翔は納得した。
神様(ただな…)
神様はもう1つ、翔に語りかけた。
神様(高木社長や赤羽根P、765プロのアイドル達に関してなんだが……彼らはこの世界の住人ではないから、いずれ元の世界に戻さなければならないんだ。)
翔(そ、そんな……)
神様(翔よ…『人は出会えば、いつかは別れる』、それは逃れることができない事実。よく覚えておくんだぞ?)
翔(…。)
神様(今は、彼女達と過ごす時を大切にするんだ。)
神様はそう言うと、テレパシーを切った。
翔「…『人は出会えば、いつかは別れる』、か……」
翔は神様の言葉を、心の中に刻んだ。
斑目「青空、ここにいたのか。」
翔「…っ!?…ま、斑目さん!?」
そこに、松葉杖を付いた斑目がやって来た。
翔「寝てなくて大丈夫なのか?」
斑目「あぁ、片山の手当てと…青空の手当てのお陰でな。」
斑目は微笑む。
斑目「隣、良いか?」
翔「あんたはケガをしてるだろ、確認しなくてもいい。」
斑目「ははは…念のためだ。」
斑目は苦笑いし、翔の左隣に座った。
翔「…。」
斑目「どうしたんだ、青空?冴えない顔して。」
翔「…いや、少し考え事をしていた。」
斑目「…そうか。」
斑目は余計な詮索をしようとしなかった。
斑目「青空…恐らく、お前にとって初めての旅行だと思うんだが…楽しかったか?」
斑目は翔に訊ねる。
翔「あぁ、楽しかった。大勢の人達と出掛けて、初めての経験を何度もして…途中、何度かハプニングがあったけど……全てが新鮮だった。」
斑目「ふふっ、それなら良かった。」
斑目は微笑んだ。そこに、
モモタロス「お、翔。ここにいたのか。」
モモタロスを初めとする『イマジン』達がやって来た。
翔「モモタロス達…」
ウラタロス「お帰り、翔。どうだった、思い出は作れたかい?」
ウラタロスの言葉に、翔は頷いた。そして、スマホを取り出し、モニカが撮ってくれた写真を見せる。
キンタロス「お、どれもええ写真や。」
翔「モニカが撮ってくれたんだ。」
リュウタロス「よく撮れてるね!翔も良い顔してるし!」
ジーク「うむ、翔のお供達も楽しそうだな。」
翔「いや、お供達じゃなくて“トモダチ”なんだが…」汗
ジークのボケ(?)にツッコミを入れる翔。
翔「あ、そうだ。なが、モモタロス達に1つ頼みがある。」
ウラタロス「ん、お願い?」
翔「後で、モモタロス達と写真を撮りてぇんだ。」
翔はモモタロス達に聞く。
モモタロス「へへっ、お安い御用だぜ。」
ウラタロス「もちろん、OKだよ。」
キンタロス「ええで!」
リュウタロス「わーい、写真撮えーい!」
ジーク「お供の願いだ、断る訳にはいかないな。」
モモタロス「というか、今でも構わねぇぞ?」
モモタロスがそう言うと、
翔「ホントか!?じゃあ今からで。」
翔はスマホのカメラを開く。
斑目「私が撮影しよう。」
斑目がそう言うと、翔は「助かる」と言い、斑目にスマホを渡した。
そして、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、ジークとツーショット写真を撮影し、次に翔とイマジン達の集合写真を撮影した(ポーズは、普通と“トモダチの証”で)。
翔「モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、ジーク…リクエストに応えてくれてありがとな。」
翔はイマジン達にお礼を言った。写真には、イマジン達と笑顔で写っている……穏やかな翔の姿があった。
あの後、ラウンジカーに戻ってきた翔と斑目とイマジン達。
春香「あの、突然ですけど!」
春香の言葉に、反応する一同。
春香「折角こうして、翔さんと旅行に行けたんですから……翔さんと写真を撮りたいです!」
春香の言葉に……
翔「構わねぇぜ?」
翔は了承した。
春香「えっ、良いんですか!?」
翔「あぁ、旅行を楽しめたのは…お前らのお陰なんだからさ……」
春香「やったぁ!!翔さん、ありがとうございます!」
その後、765プロのアイドル達、赤羽根P、高木社長は翔とのツーショット写真、集合写真を撮影した。その後、ドールハウスの関係者達と元ストライカー達もリクエストし、翔とのツーショット写真、集合写真を撮影した。
写真撮影を終えた翔は、和室寝台で休んでいた。
コンコンッ…
すると、戸がノックされ…
ほたる「隊長サン、賢宮 ほたるです。」
ほたるの声が聞こえた。
翔「入れ。」
翔がそう言うと、
ほたる「失礼します。」
ほたるを初めとする、翔の味方の元ストライカー達が入ってきた。
雪枝「あ、あの…休んでいる所、急に訪ねて来て申し訳ありません。」
翔「いや、良い。それより、どうしたんだ?」
幸子「あ、いえ…その……隊長さんと、お話がしたくて…迷惑でしたか?」
翔「大丈夫だって、気にすんなよ。」
翔の言葉に、幸子は安心した。
マリ「さっき、私達で話してたんだけど……あんた、笑顔が増えたね。それは、私達にとって嬉しいことだからさ。」
翔「そっか。まあ、昔は……笑顔なんて見せるきっかけや機会が全く無かったしな…」
あから「そうだったよね……ボクは、あのストライカー達が憎い……何も罪のない隊長殿を散々苦しめておいて、都合が悪くなった途端に掌を返して連れ戻そうとして……!」
あからは、険しい表情を浮かべるが…ハッとして平常心を取り戻した。
あから「すまない、隊長殿……思い出したくもない過去を思い出させてしまって…」
翔「良い。事実だからな…」
翔はあからに言った。
モニカ「あ、それでね…また、隊長さんの辛い過去の話を掘り起こしちゃうんだけど……あの時、こんな風に旅行にすら行けなかったよね…」
翔「…そうだったな。」
モニカ「でも、こうして旅行にも行けて……あたし、旅行ってこんなにも楽しいことなんだな~って、身をもって感じることができたな♪」
翔「そうか。」
ほたる「あたしも楽しかったです!隊長サンは、どうでしたか?」
翔「俺も、楽しかったよ。初めての経験ばっかりで、全てが新鮮だった。それに……」
翔は立ち上がると、
翔「何だか、解放感を感じた!」
両手を広げ、にこやかそうに言った。
元ストライカー達「……。」
元ストライカー達は、そんな翔を見て…思わず微笑んだ。
翔「…?…どうした?」
ほたる「ううん、何でもありません…えへへ。」
翔「そうか。」
その後、元ストライカー達とある程度会話を弾ませ、眠りについた翔であった。
翔が眠って、数時間後……
スー…
翔が眠っている和室寝台の戸が開き、誰かが入ってきた。
ミサキ「失礼します、翔さん。」
入ってきたのは、ミサキだった。ミサキは翔を起こさないよう、静かに移動し……
スッ…モゾモゾ……
翔が眠っている布団に入った。いわゆる、『添い寝』である。
翔「…。」スヤスヤ…Zzz~…
翔は起きることなく、よく眠っている。
ミサキ(翔さん、良い顔して眠っているわね。)
ミサキは翔の寝顔を見て、思わず微笑んだ。彼の寝顔を見ているうちに、自分の過去を思い出した。
ミサキ(翔さんは、昔から優しかった……路頭に迷いかけた私達に心から寄り添い、救ってくれた……私達にどれだけ罵倒されても、突き放されても、ありのままを受け入れてくれた…でも…!)ジワッ
ミサキは目に涙を浮かべる。
ミサキ(私達は、翔さんに…何もしなかった……「ありがとう」すら言えなかった…むしろ、翔さんに冷たくし、罵倒もした……お礼を言う前に、謝る前に…翔さんは私を庇って、命を落としてしまった……翔さんが死んでしまったのは、私のせい…私が、翔さんを突き放したから…私が弱かったから……そんな私を心から受け入れてくれたのは翔さんだったのに……!!)ギュッ
ミサキは眠っている翔を抱きしめる。
ミサキ(私は、翔さんの優しさを受け入れなかった……そもそも、受け入れようとすらしなかった……!!)ポロポロ
ミサキは涙を流し…
ミサキ「…翔さん……ごめんなさい……!」ポロポロ
眠っている翔に謝罪をした。その後、ミサキはずっと泣き続けた。
数分後、ミサキは泣き止んだ。
ミサキ「…翔さんは私達を守ってくれた……だから、今度は私が、私達が…」
ミサキは翔の右手を優しく包み、
ミサキ「翔さんを、守ってみせます。」
翔を守る決心をかため、彼に寄り添うように眠りについた。
その数十分後……
再び翔が眠っている和室寝台の戸が開き、誰かが入ってきた。
ナナミ(先客がいましたか。)
入ってきたのは、ナナミだった。翔の右隣には、ミサキが眠っている。
ナナミ「翔さん、私も失礼します。」
ナナミも翔が眠っている布団に入った。
ナナミ(翔さんの背中、本当に大きいですね……翔さんが亡くなった後、私は翔さんの背中を探して、よく外出していました…けど、翔さんの背中、姿はどこにも見当たらなかったです……私は、中々素直になれず…後悔することがよくあります…そこに現れたのが、翔さんでした。あの時の翔さんの言葉を聞いて、私は心が軽くなるのを感じました……ですが…)
ナナミもミサキと同じように、過去を思い出す。
ナナミ(私は、翔さんに…何もしなかった、むしろ…しようとすらしなかった……私が素直になれるための道を切り開いてくれたのは、翔さんでした…なのに、私は……翔さんに感情をぶつけてしまった…!…翔さんに、謝れませんでした…いえ、どれだけ謝っても…許されないことです…!)ポロポロ
ナナミは眠っている翔を抱きしめ、泣いていた。
ナナミ「翔さん…あの時、貴方に感情をぶつけてしまって……すみませんでした…うぅっ!」ポロポロ
ナナミは、ずっと翔に言えなかったことを、漸く言うことができた。しかし、翔は起きることなく、寝息をたてている。ナナミは、翔の背中に顔を埋めて泣いた。
ミサキ(…ナナミ……貴女も、翔さんが亡くなった後…泣いている日が多かったわね…)
ナナミの泣き声を聞き、ミサキは思った。
数分後、ナナミは泣き止み、
ナナミ「翔さん…貴方が私達に心から寄り添ってくれたように、私も…私達も、貴方に優しく寄り添い続けます。ですから…ですから、安心してくださいね。」
ナナミはそう言うと、眠りについた。
ミサキとナナミは、まるで…翔に優しく寄り添うように安眠した。
いかがでしたか?今回はここまでです。
この世界にいるジャドウ達を全員始末した後、この世界から出て行く必要がないことを知った翔は安心したが……アイドルマスターの世界の住人とは、いつか別れることを知り、寂しさが芽生えた。
夜、眠っている翔の元に……ミサキとナナミがやって来た。彼女達は特に…翔が亡くなったことに強いショックを受けていた。そのため、翔の布団に入り…添い寝をしたのだ。
次回も、お楽しみに。
では、またね