〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウでございます。
新宿から帰還したDollsと翔。その中で、サクラは……気持ちの整理がつかないままでいた。
翔はサクラの元に向かい、話を始めようとする。サクラは戦う理由を考えるが、中々思い付かずにいた。考えている中、再びアタラクシアに向かうよう命令が下る。
では、本編へどうぞ


第四十五話 戦う理由

斑目「皆が収集したデータに基づき、新宿の調査結果が報告された。新宿の旧都庁にある場所にピグマリオンの本拠地と思しき『塔』が確認された。この塔を便宜上、“アタラクシア”と命名する。」

“アタラクシア”…ピグマリオンの本拠地と思われる塔の名前である。

翔「“アタラクシア”……」

カナ「アタラクシアは全長250メートル。これは観測上の数値であり、実際の高さは不明です。またアタラクシアは蝶の数が多く、通信ジャミングで内部の正確な情報は不明です。」

翔「その情報を得るには…あそこに直接入らなきゃならねぇんだろ?」

カナ「翔君の言うとおりです。建物に直接侵入しない限り、内部の情報を手に入れることはできません。」

斑目「しばらくアイドルは休業だ。アタラクシアの攻略を最優先ミッションとする。」

斑目の言葉に、サクラは言う…。

サクラ「また、あそこにいくんですか……」

カナ「…そうなります。」

カナは険しい表情を浮かべて答えた。一同は黙り込んだ。

カナ「ひとまずは待機時間とします。」

斑目「感傷に浸る間も惜しい。休める時には休んでおけ。」

Dollsは観測室を出た。

翔「…。」

翔は険しい表情を浮かべ、俯いてしまう。

愛「…翔君。」

翔「…俺は何度も戦場を経験してきた……ある程度は整理できてる。」

愛「そっか、翔君…ストライカー達の隊長だったもんね……」

翔「それもそうだが…ストライカー達から逃げている時も、妖魔と戦った……Dollsのメンバーにも言ったが、そんな状況で見てきたのは…………」

斑目&カナ&愛「……っ。」ゴクリッ…

翔は重い口を開いた。

翔「…沢山の、人の死体だ……」

斑目&カナ&愛「っ!?」

翔の言葉を聞いた3人は、声が出ない程驚いた。

翔「かつての俺は…『一人も死人を出したくない』って思いで妖魔と戦っていた……とある村に妖魔が現れ、俺はストライカー達を引き連れた…ストライカー達が何もしない中、俺と俺の味方のストライカー達が妖魔と戦ったんだ……俺は何もしないストライカー達に「お前らは、妖魔から人を守る存在なんじゃないのか!?」って言った…けど……」

3人「…。」

翔「アイツらは、全く聞く耳を持たなかった……だから俺は、妖魔達と戦うことで精一杯だった……冷静さを失っていた……んで、戦いは終わったけど…死人を出してしまったんだ……俺の思いは届かず、俺は死人の家族から散々罵倒された…『何でお父さんを守れなかったんだよ』、『ストライカーは怪物から人を守る存在じゃないのかよ』…ってな……」

斑目「…そんな……」

カナ「翔君は妖魔達と戦っていたのに……」

愛「責められるのはストライカー達の方じゃん!…翔君は、何も悪くないのに…」

斑目、カナ、愛は口々に言う。

翔「…いや、俺も責められて当然だ……」

カナ「ど、どうして…?」

翔「言ったろ?俺は冷静さを失っていたんだ…そのせいで、俺はストライカー達に的確な指示を出せなかった……全部が全部…アイツらが悪い訳ではない……現場から帰る時、ストライカー達からは散々暴言を吐かれたよ…『その程度で、よく隊長という肩書きを背負っているな』、『あんたには無能という言葉がお似合いだ』、『人殺し』とかな……アイツらは俺だけじゃなく、俺の味方のストライカー達にまで、暴言を吐いた…『こんな役立たずの味方をしている貴女達も無能だ』、『無能が意見を出すな』、『無能が戦場に出る資格は無い』とかな…」

斑目「…!…ストライカー共…なんて身勝手な奴らなんだ…!」

カナ「何もしなかったくせに…!」

愛「翔君達を無能呼ばわりしてたけど、本当に無能なのはストライカー達じゃん…!それに、戦場に行って何もしないアイツらが、戦場に立つ資格は無いよ!」

感情的になる3人。

翔「あぁ、アイツらは何もしなかった……その結果が、今のアイツらの戦い方だ…あんたらも見たろ?アイツらの無様な戦いを…」

翔は斑目、カナ、愛に言う。

愛「…うん、Dollsのストーカー達が世界を変えた時にね……」

カナ「ストライカー達…上手く連携が取れていませんでしたね……」

斑目「確かに…想像以上に無様なモノだった……」

3人は、ウエスタンな世界での出来事を思い出した。そこでストライカー達の戦いを見たが…それは無様なモノだった。

翔「南田さんが言ったように、アイツらは連携を取れてねぇ。恐らく…俺を連れ戻すことに必死で、戦闘訓練を怠っているんだろうよ。」

翔はそう言うと、観測室の椅子に座った。

愛「あ、翔君…そこ、斑目所長の」

斑目「良い、気にするな。」

斑目は愛に言った。

翔「さて、話を戻すか……戦いが終わった後、俺は…自身の思いは『綺麗事』だってことに、漸く気付いた…自分の心が愚かだったってことに、漸く気付いた……そこで学んだのは…『俺たちにだって、救えない命はある』、『どんなに手を伸ばしても、届かないことだってある』ってことだ……」

斑目「……青空…」

カナ「……翔君。」

愛「…翔君…」

話を終えた翔は椅子から立ち上がると、観測室を出ていった。

 

 

 

あの後、翔はDollsの女子寮に向かった。

ガチャッ…

翔「邪魔するぞ。」

雪枝「あ、隊長さん。」

翔「よぉ、雪枝。サクラはいるか?」

雪枝「あ、はい。自分の部屋にいますよ。」

翔「サンキュー。」

翔はサクラの部屋の前に向かうと、

コンコンッ…

ドアをノックした。

サクラ「…はい。」

翔「俺だ。」

サクラ「あ、どうぞ…」

サクラの声を聞いた翔は、サクラの部屋に入っていく。

翔「サクラ、ちょっといいか?」

サクラ「……あ、はい。」

サクラは悲しげな顔をしていた。

翔「……元気…な、訳ねぇよな……」

サクラ「元気じゃ……ないです。あの光景が

頭にこびりついて…ミサキさんの言った通り、私、ドールというものを勘違いしていました。」

サクラは口角を下げる。

翔「…そうか。」

サクラ「……。」

そこに……

シオリ「…はじめはみんな、そうですよ。」

シオリがやって来た。

サクラ「シオリさん……」

シオリは語り始める。

シオリ「ドールになった直後は記憶も感情もありません。だから、戦う理由もありません。そして、ドールになった以上、戦い続けるしか、道はありません。」

翔「…戦い続けるしか、道はねぇ…か……」

シオリの言葉に、翔は口角を下げた。

シオリ「サクラさんも、戦う理由を見つけてください。それを持つことができなければきっと、身体より先に心が壊れてしまいますよ。」

翔はシオリに質問する。

翔「シオリ……お前の戦う理由は、何だ?」

シオリ「そうですね…」

シオリは、翔の質問にこう答えた。

シオリ「私はDollsの仲間が好きです。少しでも、みんなと一緒にいるために戦います。」

翔「…そうか。」

シオリ「それと……」

シオリは翔の元に振り向く。

シオリ「私は翔君が大好きです。それは、Dollsのみんなも同じ……もう、翔君を失いたくない…翔君を守るために戦います。」

シオリは優しい笑顔で翔に伝えた。

翔「それが、お前の戦う理由か…ありがとな、答えてくれて。」

シオリ「いいえ…質問してくれて、ありがとうございました…♪」

サクラ「戦う理由……」

その時……

PPP--

カナ『待機時間は終了です。再び、アタラクシアへ侵攻します。』

待機時間の終了と、アタラクシアへの侵攻が告げられた。

シオリ「さあ、行きましょう。翔君。アタラクシアへ。」

翔「あぁ、行こうか。」

 

 

 

翔はDollsと共に、再びアタラクシアへと向かった。

ナナミ「ここがアタラクシア--旧東京都庁、というわけですか。薄暗くてジメジメしてなかなかに気が滅入る場所ですね。」

翔「あぁ…そうだな……」

ナナミ「それにしても----」

ナナミの視線の先に、翔も視線を向ける。そこには……

男性?「ああああああああああ……あうあああああああ……」

女性?「ひゃひゃひゃひゃひゃ……」

正気を失った人たちの姿があった。

サクラ「皆さん、この奥へと向かっているようです。」

シオリ「まるで巡礼者のよう。この先に何があるんでしょうか……」

アタラクシアの奥へと向かおうとした、その時……

PPP--

カナ『--ッ!ピグマリオン反応検出!』

ピグマリオン反応が出た。

カナ『ジャミングのせいで発見が遅れました!迎撃態勢、用意!』

そして、ピグマリオン達が姿を現した。

サクラ「しょ、翔さん、来ます!」

翔「…上等だ!行くぞ!」

Dollsはそれぞれの武器を構え、翔は爪を立てるような野性的な構えを取り、ピグマリオン達に立ち向かった。




いかがでしたか?今回はここまでです。
結局…サクラの戦う理由は、見つからなかった。しかし、戦いを経験し、彼女はゆっくりと……ゆっくりと……戦う理由を、探して行く。
妖魔達が彷徨く戦場を何度も経験してきた翔は、ある程度は整理していたものの……人の死体を見ることは、辛いことであった。
次回も、お楽しみに。
では、またね
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