〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウでございます。

敵を仕留められなかった悔しさを拭えず、自傷行為に走ってしまった青空 翔。未だに情緒不安定な彼を落ち着かせようとドールハウス専属の医者『片山 愛』はとあることを提案する。

では、本編へどうぞ


第四十八話 気分転換

アタラクシアでリーパーを仕留められなかった悔しさを、翔は未だ拭えずにいた。

翔「…。」

翔はドールハウスの庭にあるベンチに座り、項垂れており…落ち込んでいた。そんな彼を、遠くから見守る人物がいた。

カナ「…翔君。」

カナであった。

愛「あ、カナちゃん。」

そこに、愛がやってくる。

カナ「…片山さん、翔君……」

カナは心配そうに翔を見る。

愛「あぁ…完全に落ち込んじゃってるね……」

カナ「リーパーを仕留められなかったこと…相当悔しかったんですね……」

愛「うん、あたしもそう思う。」

愛はそう言うと、落ち込んでいる翔の元に向かう。

愛「…翔君。」

そして、翔に声をかける。しかし、翔は項垂れたままである。

愛「…調子は、どう?」

翔「…。」

愛の質問に、翔は反応を示さない。

愛「あまり良くない感じかな…?」

愛がそう問いかけると、翔は小さく頷いた。

愛「…そっか…」

愛は口角を下げる。

斑目「カナ。」

そこに、斑目が姿を見せた。

カナ「斑目さん…翔君、落ち込んでしまっているみたいで……」

斑目「…。」

斑目は翔を見ると…翔はベンチに座り、項垂れていた。明らかに、落ち込んでいる。斑目は、落ち込んでいる翔を見て心配していた。

愛(う~ん……どうしたら翔君は落ち着くかなぁ……?)

愛は翔を落ち着かせる方法を考えた。

愛(……あ、そうだ…!)

そして、ある方法を思い付いた。

愛「ねぇねぇ翔君、ちょっと出掛けない?」

翔「…?」

翔は顔を上げて、不思議そうに愛を見る。

愛「まぁ、出掛けるって言っても…そんなに遠くに行くって訳では無いんだけどね。ちょっとした散歩みたいな感じかな?……どう?」

翔「…気分転換、か…?」

愛「そうそう!」

翔はしばらく考え込み…

翔「…行く。」

出掛けることにした。

愛「ホント!?やったー!」

愛は子どものように喜ぶ。

斑目「片山…一体どんな方法を思い付いたんだ…?」

カナ「さぁ、どうでしょうか…でも、何だか良い方法であるような気がします。」

 

 

 

翔は自室で服を着替え、出掛ける準備をしていた。手ぶらでも構わないと言われていたが、翔は財布は持っていくことにした。桜のような花や花びらがプリントされた『天空寺 タケル』の衣装に身を包み、準備は完了した。

翔(この服…プレミアムバンダイで売ってたから、ついつい買っちゃったんだよな…)

翔は愛が待つ事務所に向かった。

 

 

 

コンコンッ…

愛「はーい。」

翔「俺だ。」

愛「入っていいよ~。」

愛の言葉を聞いた翔は、

翔「失礼する。」

事務所に入った。愛も私服でいた。

愛「おぉ、翔君…その服装って、仮面ライダーゴーストの!?」

翔「そうだけど?」

愛「よく似合ってんじゃ~ん♪」

愛は目を輝かせながら、翔の私服姿を見る。

翔「てか、そこの3人は…?」

翔はミサキとナナミとアヤを不思議そうに見る。

愛「あぁ、ミサキちゃんとナナミちゃんとアヤちゃんも一緒に行きたいって。」

愛は微笑みながら言う。

ナナミ「せ、折角ですし…その……しょ、翔さんと出掛けたいです…///」

アヤ「あたしも翔と出掛けたくて♪」

ミサキ「私もです。翔さん、どこへでもお供します♪」

愛「人数も多いほうが、きっと楽しいよ♪」

翔「…そうか。」

愛「うん!それじゃ…行こ、翔君♪」

翔「…うん。」

そして、翔は愛、ミサキ、ナナミ、アヤと共に外出した。

 

 

 

外は雲一つない快晴であり、心地よい風が吹いていた。

愛「良い天気だね~♪」

愛は遠くを見る仕草をしながら言う。

ナナミ「愛さん、サンバイザー着けてるので手で影を作る必要は無いのでは…?」汗

愛「あはは、それもそっか。」

ナナミのツッコミに愛は笑う。

アヤ「でも確かに、良い天気ね♪」

アヤは楽しそうに言う。

翔「…。」

翔は街の雰囲気を見る。休日ということもあり、楽しげに歩くカップルらしき人たちや、家族連れの人たちの姿がよく見られた。

ミサキ「今回は蝶の姿が見られないわね。」

ナナミ「確かに…どういうことでしょうか……」

翔「良いじゃねぇか、今は安らぎの時なんだからさ…」

翔がそう言うと、

ナナミ「そうですよね…♪」

ミサキ「翔さんの言うとおりね♪」

ナナミとミサキは翔に共感した。

愛「ねぇ翔君、どこか行きたいとこはない?」

翔「今はねぇな。」

愛「そっか。もし行きたいところがあったら、遠慮なく言ってね♪」

愛は翔に優しく言った。

アヤ「そうだ、あたしのオススメのスイーツ店に行かない?」

アヤがそう提案すると、

愛「それイイね!」

愛は賛成した。

アヤ「この近くに、フレンチトーストが有名なお店があるの。どう?」

愛「へぇ~、そうなんだ!行きたいなー♪」

ミサキ「私は良いと思うわ。」

ナナミ「仕方ないですね…」

今時の女子の会話を挟むメンバー。

翔「…。」汗

翔は会話について行けずにいた。

アヤ「翔もどう?」

翔「フレンチトーストか……食ったことねぇから、少し興味がある。」

アヤ「決まりね、じゃあ行こー♪」

メンバー達はアヤの案内の元、有名なフレンチトースト店に向かった。

店につき、運良く席を取ることができた。メンバー達は注文を済ませ、会話を挟みながら待っていた。数分後、注文した料理が運ばれてきた。

翔「…おぉ。」

思わず翔は、声を出す。

アヤ「~♪」パシャッ

アヤはスマホで運ばれてきたフレンチトーストを撮影する。」

翔「…何やってんだ?」

アヤ「あぁ、写真を撮ってインスタグラムに載せるんだ。」

翔「ふーん。」

アヤ「翔はインスタグラムってやってないの?」

翔「やってない。俺がインスタグラム等のSNSを使えば、間違いなく“アイツら”が嗅ぎ付ける。それに……」

翔は続ける。

翔「お前らが俺と関わっていることを、アイツらに知られたくないんだ…ま、いずれ知られちまうだろうけど…」

翔はそう言うと、口角を下げてしまう。

愛「気を遣ってくれてるんだね、翔君。」

愛は翔に言う。

愛「これはあたしの価値観になっちゃうんだけどね……いずれ知られちゃうなら、今知られても構わないんじゃないかな?アイツらを拒んでいるって意味も込めてさ。」

翔「アイツらを、拒んでいるって意味……?」

愛「そう。戦うだけじゃなくて、色んな方法でアイツらに拒絶反応を示すんだよ。」

愛は翔に案を出す。

アヤ「あたしね、翔と関わっていることをアイツらに知られても別に構わないから。」

ナナミ「いずれ知られてしまうと感じていたら、今知られても私は構わないと思います。私達にだって、翔さんと関わる権利はあるんですし。」

ミサキ「愛さんの言葉にも一理ある。翔さんにとって、『ここが自分の居場所、安らぎの場所』って示す意味もあると思うわ。」

アヤ、ナナミ、ミサキも言う。

翔「……。」

翔は少し黙り込み…

翔「…そうだな。だったら、いいのかな…?」

と、言った。

アヤ「ふふっ、それじゃあ手始めに♪」

アヤはテーブルにスマホを置き、翔と写った写真を撮影した。

翔「おい…今撮った写真も、SNSに載っけるのか?」

アヤ「う~ん、検討中ね。」

翔「いやいや、やめとけよ…スキャンダルに発展しちまうだろ…」汗

神様(大丈夫大丈夫。)ニコニコ

神様はニコニコしながらテレパシーで言う。

翔(いや、だいじょばねぇよ!)

神様(この世界の人々は、君のことを大変気に入っている。それに、君はDollsを救った英雄だ。)

翔(そういう問題じゃねぇだろ…!)

神様(まぁまぁそう言うな。SNSを見てごらん?面白い内容が投稿されているぞ。)

翔(は、はぁ…?)

翔はスマホを開き、SNSを見る。

 

『いっそのこと、翔君とDollsのメンバーが写ってる写真とかでないかな~?』

『兄貴とDollsのツーショット写真や集合写真、見てみたい!』

『でも翔君、スキャンダルとか心配してるかも知れない…でも大丈夫だよ!翔君の頑張りはこの国からも認められてるから♪』

『それに、翔君なら…信頼できるし!』

 

翔「…何だこりゃ…」汗

SNSの内容を見た翔は困惑した。

神様(このような事実があるんだ。スキャンダルとかの心配はしなくても大丈夫だぞ。)

翔(これも、神様の仕業なのか?)

神様(いや、私は何もしてないぞ?)

翔(えっ?)汗

神様(それじゃ、精一杯楽しむんだぞ♪)

神様は姿を消した。

愛「いやぁ、ビックリだね。まさかSNSで翔君とDollsが写ってる写真を見たいって言う人がいっぱいいるなんて。」

愛はニコニコしながら言う。

アヤ「翔、さっき撮った写真、載せても大丈夫?」

翔「…好きにしな。」

翔はアヤに言う。

翔「俺は『お前達を拒んでいる』って意味も込めて、な。」

アヤ「OK、分かったわ♪」

アヤはフレンチトーストの写真と、翔とのツーショット写真をインスタグラムに載せた。その後、フレンチトーストを味わうメンバー達。

愛「ん~♪ほっぺが落ちちゃいそう♪」

ミサキ「糖分と粉物はよく合うわね♪」

ナナミ「…ふふっ…♪」

アヤ「ね、最高でしょ♪」

メンバー達は楽しげに会話を挟む。

翔「…。」モグッ…

翔もフレンチトーストを一口サイズに切り、口に運んだ。

翔「…!……♪」

思わず翔は目を閉じて上を向く。

翔(スゲェ……まるで、天に昇るような……まろやかな甘味が口いっぱいに、広がっていく……)

翔の表情は、とても幸せそうだった。

メンバー「「「「……♪」」」」

愛、ミサキ、ナナミ、アヤは幸せそうな顔をする翔を見て、思わず微笑んだ。店の中にいる店員や他の客も翔を見て思わず微笑み、和やかな雰囲気に包まれる。

愛(久しぶりに見たな~、翔君の幸せそうな表情♪)

ミサキ(良い表情ね…♪)

ナナミ(あぁ、何だかこっちまで…幸せになります…♪)

アヤ(このお店に来て正解だったわね♪)

翔「…?何だこの雰囲気…?」汗

和やかな雰囲気に包まれた店内に、困惑する翔。

アヤ「そ、それよりも食べよ?」

ナナミ「そ、そうですね…!」

ミサキ「時間が勿体無いわ。」

愛「落ち着いて食べてね、みんな。」

翔「…ま、いっか。」

メンバー達はフレンチトーストを再び食べ始める。そして、会計を済ませると店を出た。

愛「美味しかったね~♪」

アヤ「でしょでしょ♪また行きたいな~♪」

ナナミ「まぁ、悪くなかったです。」

ミサキ「あそこのフレンチトーストは、確かに絶品だったわ。」

翔「…だな。」

会話を挟むメンバー達。

愛「あ、そうだ。翔君のオススメスポットってあったりする?」

愛は翔に聞く。

翔「急にどうした?」

愛「いやぁ、何かあたし達ばっかり楽しむのも、申し訳ないって言うか…」

翔「俺は俺なりに楽しんでる、気にすることはねぇよ。」

翔は言う。

アヤ「あたし、翔のオススメスポット知りたいな~♪」

ナナミ「わ、私も…!」

ミサキ「私もです。何か得られるモノがあるかも知れないので。」

愛「翔君、お願いしてもいい?」

翔「……ついてきな。」

翔は案内を開始した。メンバー達は翔の後についていく。

 

 

 

翔の案内でメンバー達がやって来たのは…とある渓流だった。

愛「ここが、翔君のオススメスポット?」

翔「そうだ。」

ナナミ「大都会にこんな場所があったなんて、驚きです…!」

翔「俺もだ。」

翔はそう言うと、近くの岩に座った。

ミサキ「この場所、いつ見つけたんですか?」

翔「今。」

ミサキ「い、今…ですか…?」

翔の返答に、困惑するミサキ。

翔「野生の勘ってやつ…かな…?」

翔はそう言い、川のせせらぎに耳を傾ける。

アヤ「それにしても…良い場所ね、ここ♪」

愛「そうだね~、何か落ち着くなぁ~♪」

アヤと愛は思わず、ググ~ッと背伸びをする。

ナナミ「翔さんは、落ち着ける空間を探すのが得意なんですね…♪」

ナナミは翔に言う。

翔「たまたまだよ。」

翔はそう答えた。

ナナミ「翔さん。」

翔「…ん?」

ナナミ「そ、その…隣、座っても…いいですか?」

翔「あぁ。」

翔の返答を聞いたナナミは、翔の左隣に座った。ふと、ナナミはウトウトし始めた。

翔「何だ、眠いのか?」

ナナミ「…は、はい…少しだけ、眠いです…」

翔「なら寝な。眠れる時は、眠っとけ。」

翔はナナミに言う。その言葉を聞いたナナミは眠気に勝てず…翔に寄りかかって眠ってしまった。翔も目を閉じると、すぐに眠りについた。

愛「おっ…。」

ミサキ「どうしました、愛さん?」

愛「…。」

愛は軽く指差す。ミサキとアヤが、愛の指差す先を見ると……翔とナナミが、ベンチのような岩に座って眠っていた。

アヤ「翔、疲れていたのね…」

ミサキ「アタラクシアのこともあったし…無理もないわ…」

アヤとミサキは眠っている翔を見ながら、彼を起こさないような小さな声で話す。

愛「ナナミちゃんも良い顔して寝てるね…」

愛は微笑みながら、翔とナナミを見る。

ミサキ「本当ですね…♪」

アヤ「昔は…こんなに良い顔してなかったよね……あたしもだけど…」

ミサキ「それは否定できないわ……でも、今は違う…翔さんは、ここにいるから…」

アヤ「そうね…♪」

ミサキとアヤは小声で会話をする。

愛「翔君…ヨダレが…」

翔は少しヨダレをたらしていた。愛はハンカチを取り出すと、翔の口元を丁寧に拭いた。

愛「…本当に可愛いなぁ…♪」

愛は優しく微笑み、眠っている翔の頭を撫でる。愛と翔の血は繋がっていないが、愛にとって翔は弟である。愛する弟に危害を加えることはない……彼女の微笑みは、優しい母性が具現化したモノである。

アヤ「あ、ナナミ…」

ナナミは幸せそうな顔をして、眠っている。ずっと会いたかった人に漸く会うことができ、まるで『離れたくない』と言っているように翔に寄りかかり、彼の服の裾をぎゅっと握りしめていた。

ミサキ「幸せそうな顔をして寝てるわね…♪」

アヤ「本当ね…♪」

愛「ふふっ、何だかお兄ちゃんと妹みたい…♪」

ミサキ、アヤ、愛は眠っている翔とナナミを見て、思わず微笑んだ。

ナナミ「…すぅ……すぅ………翔さん……♪」キュッ

ナナミは翔の服の裾を握り、翔の名前を呟き…幸せそうに眠っていた。

 

 

 

数十分後…翔が最初に起き、その後にナナミが起きた。ナナミは自分の状況を理解すると、顔を真っ赤に染め上げ、愛にからかわれた。メンバー達はドールハウスに帰ったのだが、ナナミはドールハウスにつくまで顔を赤く染めたままであった。




いかがでしたか?今回はここまでです。

久しぶりのほのぼの回を書きました。愛、ミサキ、ナナミ、アヤと共に外出した青空 翔。時には案内人となり、メンバー達を自然の世界へと連れていった。そこで安らぎの時を迎え、漸く…落ち着きを取り戻すことができたのであった。

次回も、お楽しみに。

では、またね
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