とある教師の業務日誌 作:ダレンカー
B月○日
ボーデヴィッヒさんが、織斑君に喧嘩を売っていたらしい。
丁度アリーナの近くでボーっとしてたら急に生徒が走ってきて驚いたよ。
訳も分からず着いて行ったら丁度お互いにらみ合っていたから一応仲裁に入った。
織斑君とデュノア君はほっとした顔、ボーデヴィッヒさんは驚いたような顔をしていた。
去り際に、ボーデヴィッヒさんは貴方まであいつの味方をするのですか?
って呟いていたけれど、どういう意味だったんだろう。気になった。
その後職員室でその事を織斑先生に報告したら、少しドイツでの事を話してくれた。
あいつの目には、私と強さしか見えていないと。
あの年で部隊の長にまでなっているのだ。それなりの事情っていうのが彼女にもあるのだろう。
クラリッサに言われたからってわけでもないけど、今度話でもしてみようかな。
一応、教師だし。
B月△日
簪ちゃんに、最近妙な視線を感じると相談を受けた。
もしかしてストーカーとかですかね?と戸惑ったように話す簪ちゃん。
その様子に思わず吹き出してしまった。だってそれ、貴女のお姉さんなんだもの。
怪訝そうに俺を見る簪ちゃんに、心当たりあるでしょ?というとハッ!と思い当たったようだ。
それから難しそうな顔をして、先生が話しかけてくれるのも姉さんに言われたからですか?って聞かれた。
なるほど、その可能性は思いつかなかった。
俺がそんな事できるように見える?っていうとポカンっとした後小さく噴き出して
そんな人が私とこんなに話が合うはずないですねって笑った。
その可愛らしさに思わず頭を撫でていると、遠くから殺気を感じた。
なのでその方向にドヤ顔してやった。殺気が濃くなった。
悔しければ、早く仲直りすればいいのだ。
B月×日
楯無ちゃんに生徒会室に連行された。
で、むちゃくちゃ文句を言われた。
延々話されるお説教が惚気へと移っていったところでようやく虚ちゃんが止めに入ってくれた。
正直、面白かったからもう少し見ていてもよかったんだけどね。
笑みを浮かべる俺を見た本音ちゃんには
『きょうきょうはまーぼーどうふが好きなゆえつ神父さんみたいだねー』
と言われてしまったが。失礼な、あそこまで酷くはないはずだ。
その帰り道、走ってこちらに向かってくるボーデヴィッヒさんと出くわした。
目が合うと少し気まずそうな顔をしていた。
どうかしたのか聞くと、貴方になら…とポツリポツリ何があったか話し始めた。
織斑先生に軍に戻るよう説得してみたが拒否された。
それどころか、いい気になるなと窘められたと。
そう言ってヘニャリと落ち込んでしまうボーデヴィッヒさん。
その姿はまるで寂しくて死んでしまいそうな兎を思わせた。
なので頭を撫でた。結局、これくらいしか俺にはできないし。
不思議そうにこちらを見るボーデヴィッヒさんに優しく言い聞かせるように
今自分が望んでいる場所を悪く言われたらそりゃ誰だっていい気はしないよ?って言った。
織斑先生だって、そうしたいからここにいるわけだし。
そう伝えると、難しい顔をした後、
『よくわからないが、なんとなくわかった。でも、私はあきらめない!
…その、感謝する』
と残し去って行った。
ま、これが限界かな。所詮俺は部外者だし。
あとは本人同士の問題だ。
上手くいくことを願おう。
B月☆日
月末に学年別トーナメントが行われるらしい。
どうやら、この間のアリーナの件を踏まえてペアマッチになるそうだ。
三年生にはスカウト、二年生は一年の成果、一年生は現段階での素質の確認と
それぞれ大切な意味を持っている。みんな頑張ってほしい。
織斑先生に、誰と誰が組んで、誰が優勝すると思うか聞かれた。
今思うと、織斑君の事が気になっていたのかもね。
とりあえず織斑君はデュノア君と組むと思うと言った。理由は男子だから。
そしたらだろうなって言われた。さすがお姉さん、よくわかってる。
優勝はやっぱり専用機持ちになるんだろうけど、それもペア次第だ。
特にボーデヴィッヒさんとかはその点で苦労しそうだ。
それには同意のようで、結論は出ずこの話は終わった。
なんにせよ、楽しみだ。
B月凸日
篠ノ之さんにまた相談をされた。
きっと彼女は、俺の担当教科を恋愛か何かだと思っているに違いない。
内容は、タッグトーナメントで優勝したら、織斑君に付き合ってもらうと
宣言したところ、それがどこかから漏れ今では歪んで全生徒に伝わってしまったんだとか。
いわく『トーナメント優勝者は、織斑一夏と付き合える』
…ペアマッチなのは突っ込まなくていいのかな?
優勝したペアがエキシビジョンマッチでもするのかな?
首を捻る俺にどうすれば?とすごい剣幕で聞いてきた。
いや、多分これ織斑君意味わかってないよね?
分かっているなら承諾なんかしないはずだし。織斑君だし。
とりあえず優勝してから考えたら?と返答しておいた。
今伝えたら、どうなることやら。何人のモチベーションが下がるか分かったもんじゃない。
そういうと、そうですね!と気合を入れて去って行った。
大人は問題を先送りするのが得意なんだ、ごめんね篠ノ之さん。
そして頑張れ、織斑君!