見切り発車のダイス物   作:とうや

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基本的にダイスでどこまでぶっ飛ばすかに思い悩む今日この頃。
ゴールはどこになるだろう?(プロット無しという悪夢


1:お姉さんと一緒!(ただし、途中まで

 

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 我が家の姉は一言で言えば「天然物の超人」だ。

両親はまごう事無き一般人であるのに、どこぞの蒼い魔人を駆る天才科学者と思える位には頭が良く、肉体も世間の目を欺くために抑えているがそれでも天才アスリートを凌駕し、宝くじを買えば大体投資額以上に返ってきて、魔力は俺もまたかなり高い筈なのにその倍近く保有するという、まさに現代に生まれた神話の人物だ。

序に言うと性格自体は温厚だが超然としたところがあり、どこかとっつきにくいと俺を含めたフツーの人々は誰もが思っている。

姉の容姿?特に触れるつもりは無いけど少なくとも凄く美人だと思う。

長身で、きれいな黒髪ロングで、スタイルも抜群でキリっとしたクールな美女っぷりだ……年齢的には美少女と言うべきだろうけど、謎の貫禄で美女としか言えないんだよなぁ。

そんな姉だが、妹にはともかく、俺に対しては幼い頃より塩対応だ。

 

だと言うのに珍しく姉から「新宿に行くからついてきなさい」の一言で連れ出された。

非常に珍しい事だが、俺は特に断る気もしなかったので姉の言葉に頷いて姉と共に小田急線で1時間半ぐらいかけて新宿に向かった。

「姉さん、今日はどんな用事なのさ?」

「これからお前に必要になりそうなものを買いに来た。どうにも近頃は物騒だからね」

「具体的には?」

「(防刃)ジャケットと(鉄片入り)ブーツ、(耐火)グラブと鉢巻(というかハチガネ)それとサバイバルグッズと言ったところね」

パパっと言われたが、結構な金額になりそうだ。

姉と妹の姉妹仲は普通に仲が良い程度だから、俺にこの手の物を盛大に投資するって事はブラコンな妹を悲しませない為の投資、と見るべきだろう。

そして更に言えば妹に心配かけない程度には自衛できるようになれ、という事だろう。

 

「姉さん、どこからそんなお金が?」

「最近のバイトは危険手当込みで軽く5桁(万円)行くのよ。この程度の投資は端金、かしらね」

 

姉の事が経済的にも遠い人間に見えてきてしまうなぁ、俺の貯金はお年玉の2万程度だってのに。

そう思ってついていった先は何か普通そうに見えてたのに、姉が声を掛けたら店の奥に案内されて見た目普通の癖に見た目より重くて頑丈な『装備』類で、ここでアームターミナルの蓋の部分を少し集めの装甲板に変更。

ぶっちゃけ小盾の代わりにできるレベル。

とはいえ装甲が厚いと言っても精密機器、防御はするべきではないのだけど。

 

「そういや、これ更新したCompのバッテリーって容量や充電方法はどうなってるの?」

「アルゴン社が作った人の体から微弱に出てる静電気やなんかから充電するそうよ。急速充電したいなら電源に本体付属のコードを繋げばいいそうだけど」

「そう……いやそうじゃなくて、なんでこんなガチガチの装備なのさ」

「最近は物騒だからね。お前はウチでいっちばん運が悪いからせめて多少はこういうのもってないと直ぐに死にそう」

「反論できないなぁ。姉さんがそう言うって事は何か大ごとが起きるのは確定なんだろうけど、何が起きるってのさ?」

「そうね……適当な喫茶店で続きと行きましょうか」

 

買い物を終え、見た目防御力は高く無さそうなジャケットの内側にグロック17と予備マガジン2つ、腰のポーチに呼びマガジン二つ、背中のリュックに予備弾68発が専用弾薬ポーチに入っていて。

更には数日分の食糧(カロリーメイト)と水と医療キットが入っている。

 

敢えて言おう、重いわ、コレ。

 

俺の筋力は標準的な12歳とそう変わらない。

数日分の食糧なんかはまぁ良いのだけど、装備の重量が普通に動きを阻害しないギリギリだ、代わりに体力は余計に使うけど。

いうまでも無いが、右腕のCompと装甲板が重い、こちらは動きにそれなりに影響が出るレベルだ。

俺のCompが右腕なのは俺が左利きで、武器を持つならこっちの方がマシと言うのと、右腕は荷物持つのによく使ってたので多少こっちの方が力があるからってだけの話だ。

ついでにCompからは有線でモノクル型センサーカメラに繋がっていて、それでエネミーソナーやアナライズの結果を見れる。

地味にこの時代でカラー液晶を使ってるっていう豪華具合だ。

なお、周囲からすればコスプレ少年としか見れない。

そんな俺のちょっとした苦労と感想をスルーして姉さんは適当に入った喫茶店でカフェラテを頼み、俺はブレンドコーヒー(砂糖とミルク入り)。

 

 

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「さて、先ずは結論から語ると近日中に第三次世界大戦を誘発しかねない事件が起こりかねないわ」

「いきなり飛ばすねMMR並みだよ」

 

とは言え、その辺りは俺もこの世界がメガテンと理解してから予測がついてた。

姉さんや妹の件、それに周辺状況は市営図書館で調べれば過去の新聞も読めるからね。

 

俺の前世のオタリーマン知識をもってすればそれなりの予測はできるし流用できる知識もそれなりにあるだろう。

 

結論から言うと、この世界は真女神転生シリーズの原点(Ⅰ)だった。

ここで真Ⅱに行くか、デビルサマナーに行くかで未来が決まるだろうというのは予測がつく。

そのキーは何かと問えば陸上自衛隊所属の五島公夫(ゴトウキミオ)一等陸佐と彼の決起理由となった米国駐在大使トールマン(雷神トール)とメシア教(ミカエル独断)による神の千年王国計画だ。

勿論、俺はこの件すでに把握しているのでなんとかこれをどうにかできる人材に情報を渡したい所だ、コネも情報源も語れないが。

 

「私が知る限りでこの世に2つわかりやすいクソ集団があるわ。

キリスト教の宗派であるメシア教、脳筋揃いの大馬鹿揃い寄り合い所帯たるカオス教団。

カオスはべつにいいのよ、あいつら結果論で言えば離散集合と食い合いばかりで世界を滅ぼすようなコトまではしないから。

けどメシア教は最悪ね、あいつら自分達の正義はすべてが正しいと思ってる。

反吐が出る様な事をしても『主』と『メシア様』とやらを建前にすべてを正当化するわ。

悪を成してもその自覚も無い反吐が出る様な邪悪ってのは奴らの事よ……下っ端はマシな場合もあるけどね」

 

吐き捨てる様に告げる様は既に何らかの接触があり、敵対しているようにも取れる。

 

こういう事態はありうると思っていた、俺の覚悟は

 

 

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まぁ、ぼちぼち、と言ったところだ。

というか、知ってるから関わるのかと言うと難しかった…難しかったのだ!(過去形

あわよくば、傍観者、その他Aとして主戦場以外に逃げてICBM落ちてこないようお祈りするぐらいしか考えていなかった!が、そんな考えは今この瞬間にすべては水と消えた!

 

「何となく、先が読めたけど姉さんは何をしようとしてるのさ」

「あなたのそういう所が凡人と変わらないのです。わかっているのなら聞く必要もないでしょう?」

 

地とっとした目が嫌だなぁ、と思う。

姉さん目力が強いんだもんなぁ。

 

「……まぁ、俺も噂ぐらいなら拾ってるけどね。陸自の一部将校の動きが怪しいとか、米軍の原子力潜水艦がハワイを出たらしいとかって話だけど……原子力潜水艦なら『ICBM』くらい積んでるから、例えば陸自がクーデター起こしたらそれで制圧も可能だよねぇ?」

「驚きました、陸自のゴトウ一等陸佐の話は私も掴んでいましたが、そちらもは初耳です」

「パソコン通信って情報収集には便利だよデマも多いけどね」

 

姉は数秒考えて頷く。

 

「あながちデマとも限りませんね。

 クーデター勢力への脅しにも使えますし、もしもメシアなりガイアが悪魔を使い始め、東京中に悪魔が拡散すればその鎮圧で本当に打ち込む可能性もあるでしょう」

「……もしも打ち込めばWW3か、或いは最終戦争ってレベルになりそうだけど?」

「そうなればメシア教の奴らは喜ぶでしょうね。悲惨であればあるほど、宗教という救いに弱者は縋るものです」

「あぁ、ありそう。戦国時代とかのイメージかな?一向宗的な」

「ニュアンスはそれでもいいでしょう」

 

姉さんは細かく訂正する気も無いのか、それで認めた。

 

「で?姉さんはどうしたいの?メシア教の計画を止める?陸自のクーデターを阻止する?それとも、両方?」

「一番スカッとするのはどちらも消し飛ばす、これ以外にありますか?」

 

姉は口元に奇麗な弧を描いて哂う。

 

「どちらも私の生活には邪魔です、消し飛ばして当然でしょう?」

「……まぁ、そうなるよね」

 

「さて、姉さん…これからの行動プランは?」

「まずは依頼を片付けるわ。吉祥寺の辺りでどうも怪異が起きているそうだからその調査と解決ね。

 事前情報では大した脅威はいない、身体的にも頭脳的にも凡人なお前でも十分な依頼よ」

「……(これ、オレはデコイなんだろうなー)つまり解決して来いって事ね。その為の装備の投資である、と」

「物わかりの速いのは好きよ、情報を補足すると怪しいのは駅の周辺らしいわそれじゃ、行ってきなさい」

 

そんなこんなで、電車賃だけ渡されて俺は吉祥寺に向かう事になった。

 

「はぁ、Comp起動してエネミーソナーつけておけばヒント変わりにはなるか?」

 

トントンっとショートカットアイコンからエネミーソナーを起動すると、早速弱い反応を検知した。

 

「……って弱くてもこのレベルじゃ悪魔出てきてるんじゃ?急ぐか」

 

ソナーの反応だよりに場所を特定するとデパートの裏の人の通りの無い暗がりの路地。

寒気を感じさせるそこで打撃音が聞こえた。

急ぎ足で向かうと人と異形の姿が見えた。

 

「けひゃ!かひゃひゃひゃ!」

「く、くそっ!」

 

そこに居たのは俺同様にアームターミナルを付けた高校生ぐらいの男の姿だ。

随分ぼろぼろなナイフ片手に餓鬼を相手に戦っていた様子だが既にお互いボロボロだ。

放っておけばまずいかもしれない。

 

となると放っておくことはできない。

恐らく、あれはザ・ヒーローじゃね?とも思うからだ。

そして、彼がザ・ヒーローならもしかするともしかできるかもしれないのだ、たぶん。

 

「そこの兄ちゃん、フォローするぜ!」

 

 

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まず、先手を打てたのは俺。

想定外の人間が声を出したことでどちらも動きを止め、俺がまず先手を打てた。

なので、まず先手を打ってすべきことは回復だろう。

 

「癒しの力よ、ディア!」

「こ、これは……」

 

彼は驚いた様子で急速に癒される自身に驚いた、だがハッと我に返るとすぐにガキに切りかかったがガキも流石に気付いて避けた。

次にガキも反撃を行おうとしたが、避けた状態で体勢を崩したために攻撃は不発に終わった。

 

何ともグダグダした展開だが、確実にやろう。

 

次の手として俺が行ったのは攻撃威力UPのバフ、タルカジャの行使だ。

すると、彼もこちらの意図を悟ったのか覚悟を決めて必殺の一撃を餓鬼に見舞う、だが浅い!

否、相手も致命傷と言えば致命傷だがまだ生きている。

そして反撃を行うかと思えば次に狙ったのは寄りにもよって俺だった!

我武者羅な突撃によって俺は何度も叩きつけられ、防御に失敗したせいで右ひじが砕かれプランプランで激痛が酷く泣きわめきたいが、だが何故かまだ戦う意思は残っていた。

 

 

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その時、今更ながらに俺がそれを使える事を思い出した。

 

 

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「不浄よ退け、破魔!」

 

俺の叫びと共にガキにはまるで鎖のように光で構成された破魔札が絡みつき、締め付け、砕いて、光に変えた。

戦闘終了と思ったら激痛で思わず転げまわってしまう。

 

「あだだだ!!」

「大丈夫か、キミ!」

 

暫くして落ち着いたところでディアかけて回復した。

回復魔法って本当大事だと思います。(小並感)

 

 




解説
姉:
→本編においてはとりあえず強者として君臨予定。
クーデター云々を認めるつもりは無いが、メシア教は基本敵だと思ってるのでカオス側と認識されている。
否定するつもりは無いが、別にカオスに合流した訳でも無いので普通にゴトウの企てもトールマンの企ても止める気でいる。
コイツもこいつで割と覚悟ガンギマリ勢。

DDS:DegitalDevilStory
→女神転生の無印シリーズ:ダイス表のはこっち
DDS:DejitalDevilSummonSystem
→デジタル悪魔召喚システム:Compにインストールされている悪魔召喚・契約を始めとした基幹システムの一つ。
主人公や主人公の妹のCompは通常OS(Windows95)とは別口で並列稼働しているのでやや動作が重いがDOS/V使ってキーボードからコマンド打ちまくるよりはグラフィカルなユーザインターフェイスでクリックするだけで済む方が楽、楽は正義である。

ザ・ヒーロー?
→詳細は次回

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