それでは
『どうぞ!!』
因みにこれはお試しとして投稿しているので後で見て私が気に食わなかった消す恐れがあります
暗く散らかった部屋、その部屋は足の踏み場さえなく、ふくよかな体型の男が炭酸飲料とお菓子を隣に並べゲームに勤しんでした
「やっぱりこの娘可愛いなぁ…ナス嫌いなのは勿体ないと思うけど、変身した時の見た目の違いとかほんとに堪らんなぁ…」
男の部屋は暗くよくは見えないが辺りにはそのゲームのキャラクターのものと思しきタペストリーやポスター等が所狭しと貼られていた、男がゲームを楽しんでいると誰かが扉をノックする、男は少し面倒くさそうにしながらもゲームを中断しノックに答える
「何ー?もう今日のノルマは達成してるし時間も守ってるはずだけど?」
男がそう言うと扉越しに声が聞こえる、その声は女のものだった
「そうだけど、あなた部屋から出てくる気は無いの?もう2週間も篭ってるじゃない」
「別に篭もってねぇよ!ちゃんと外出もしてるし学校は夏休み!バイトにだって行ってる、引きこもりみたいに言うな!」
男はふくよかな体型に長い髪のせいで世間からはよく誤解を招きがちだが決してニートという訳では無い、大学に通い、アルバイトに部活など様々に活動をしていた、とは言っても部活と言っても野外での活動ではなく、インドアで尚且つゲームを主軸とした所謂オタサーのようなものだった、そこでの男の活動は決して悪い物ではなく部員からの人望も熱い、しかしその見た目から気持ち悪がられ友人と言えば同じ趣味の部員達と1部の理解者だけだった、そんな男にとって休みの日に篭ってゲームをするのは何より楽しいことであった
「でももう2週間よ!いくら何でも遊び過ぎよ!!」
「休みに何しようが俺の勝手だろうが!…ちっ!わーったよ出ればいいんだろ出れば!」
男は苛立ちながらゲームを終えると財布や携帯を持ち、扉を開け放ち前に立っていた女を跳ね除け街へと躍り出た
外に出ると流石夏と言いたくなるほどの暑さだった、エアコンの効いた涼しい快適空間とは変わってここはまさしく地獄とも言えるだろう、男は暑さも相まって余計と苛立ち大股で歩き近くを通った人を老若男女問わず睨みつけていた、男はそんな気分を変えるために公園へと向かった、そこには噴水や雑木林など、気分的に涼むには最適な場所だった、オマケに自販機もあるとなれば苛立った身と心を落ち着けるのに適しているだろう、男は自販機でスポーツ飲料を買うとベンチに腰掛けそれを飲みだす、冷たい飲み物が喉元を通り体を冷やす、暑いところにいるからこそ得られる感覚に喉を鳴らし一息つく、辺りを見ると子供達が噴水の近くで水を掛け合ったり、少し離れたところでボール遊びなんかをしていた、こんな暑い中よく遊ぶ、そう思い苦笑いを浮かべながら遠目に眺めていると不思議な子供を見かけた、その子はどこにでもいる少女だろう、ワンピースを着て髪をポニーテール風に結んでいた、それだけならどこにでもいる少女だった、それだけなら男も目など向けやしなかったろう、しかし気になったのはその髪留め、その髪留めがコントローラーの十字キーのような見た目をしていたことが気になったのだ、どこかで売っていたのか分からないが、その子の容姿と服装をどこかで見たような既視感に男は襲われていた、暫く考え男は結論にたどり着く、その子が先程までしていたゲームの主人公に似ていたのだ、あの髪留めどこで売っているのだろうか?もしかして家族か友達があのゲームが好きなのか?そんな事を考えている時にフッと我に返り我ながら馬鹿な妄想だ、そう思い手に持ったスポーツ飲料を飲む、少しぬるくなり先程と比べ体の冷える感覚が無くなったことを残念がるも2週間ぶりの外出に満更悪くないと思えてきていた
(お袋にはなんだかんだ感謝しねぇとな…俺もあぁやってはしゃいでた頃があったのかね)
年甲斐もなく昔を懐かしんでいると足元にボールが転がってくる、それに気付き向こうを見ると子供達が手を振っていた、返して欲しいのだと分かった男は立ち上がりボールを持ち上げ軽い力で放り投げる、そのボールは丁度真ん中にいた男の子の手元にすっぽりと入り皆が驚きながらも拍手をしていた、少し照れくさくもあったがそれに応えるように手を振り返す、そうしている時に先程の少女が視界に入る、気のせいかこちらを見ているように思えた、妄想癖がすぎるな、苦笑いを浮かべ椅子に座り直しはしゃいでいる子供たちを眺める体制に戻る、こんな男がいれば今のご時世防犯ブザー待ったナシだと思っていたがここいらの子供はその辺の危機感がないのだろうか?それとも周囲に実は井戸端会議をしているマダムズがいるのだろうか、男は辺りを見渡すもそんな影は見当たらない、同時にはしゃぐ子供を除けばここに大人と呼べる人間が自分一人だということに気が付く、近くに団地があり子供の足でも団地へ逃げ込むのに苦労しない距離とは言え流石に不用心だとも思えた、この辺で不審者や不良、目立った事件と言えば中坊や高校生の悪ガキが万引きをして親を呼び出された等のたかが痴れる程度の事件しか起きないような田舎、それが男の住む場所だった。男は子供の観察も飽き馬鹿みたいに照らし続けてくる太陽を睨んでいると袖を引っ張られた、視線を落とし見てみるとそこには先程からこちらを見ていたワンピースの少女がいた、その少女は何を言うでもなくずっと袖を引っ張ってくる、その目はじっと男の目を見ていた、黒くも綺麗な目に一瞬見惚れるも、直ぐに我に返り少女に話しかける
「えっと…俺に何か用か?」
「…ん」
少女は何も言わずただ自身の腹部を指さす、特になにか外傷があるわけでもなく何が言いたいのか迷った末、少女の腹部から可愛らしい音が聞こえる、男は少女を見ると顔を赤くしながら俯いていた
「腹減ってんのか…?」
その問いかけに静かに頷く少女、男は困ったように頭をかく、道を挟んですぐの所にコンビニがあるとはいえ初対面の子供に食事を馳走する理由があるだろうか?しかし見ず知らずの人、それもふくよか…この際オブラートに包まないがデブで目つきの悪く、オマケに髪も長いと不衛生尚且つ人当たりの悪そうな人に頼らざるおえないほど少女は困っているのだろうか、男は少女を軽く観察する、決して痩せこけている訳では無いどちらかと言えば健康的な肌、髪や衣類も汚れている訳でもなく、どちらかと言えば程よく汗をかいておりThe・健康体と言っても過言ではない見た目と言える、そこまで観察していると少女が口を開く
「今日何も食べてないの…」
「両親は?言ったらご飯ぐらい出してくれるだろ?」
つい反射的に聞いてしまったが少女は首を左右に振っていた、それを見てどうしたものかと考えていると先程まで遊んでいた子供達が集まってきてリーダーと思しき少年が少女の代わりに応える
「その子ね、両親が居ないんだ」
「居ない?出張とか…って訳じゃないな、死んだのか?」
「うん、一週間前に、お兄さん知らない?i市のdマーケットの前で衝突事故があったの」
それを言われて男は思い出す、誰が死んだかまでは覚えていないが酷いものだったと見ていた母親が食事の時に顔を青ざめながら話していた事、そんな話を食事の時にするなと父親共々注意した事を、その話を思い出した後少女を見ると目に涙を溜めているのがみてとれた
「坊主この子のこと少しの間見てられるか?後お前ら6人だけか?」
「うん、出来るよ、それに僕らだけだよ、さっきまで噴水で遊んでた子達は帰ったみたい」
「そうか、なら少し待ってろ」
流石に気不味くなったのか男は少年達に少女を見ているように伝えコンビニに走りおにぎり数個とアイス6個入と別にアイスを2つ、それにスポーツ飲料を買ってきて6つ入りを少年たちへ、おにぎりと飲み物、それに一口サイズのチョコアイス8個入ったものを少女に渡し自分は飲みかけの飲料とソフトクリームを頬張る、子供たちは最初は目を点にしたが奢りだと気付くと大はしゃぎでアイスを分け合い和気藹々と食べていた、少女は男の横にちょこんと座ると小さく「ありがとう」と伝え、おにぎりをゆっくりと食べ始める、男はと言うとソフトクリームを食べながら自分に嫌気が差していた
(こんなの柄じゃねぇっての…たく俺はいつからこんな御涙頂戴な話に感動するような優男になったのかね…)
男はふと時間を見る、見ると既に外出してから2時間ほど経過していた、先程までアイスを食べていた少年達もゴミをゴミ箱へ捨て、男に手を振り帰って行った、時刻は夕方の5時、出たのが昼の3時を少しすぎた頃だったにしても長居をしたものだ、いつの間にか出掛けた当初の苛立ちも消え肌も少し赤くなっていた、そんな時肩に何かが当たる感じがして横を見る、すると少女が寝息を立てて寝ていた、帰ろうとした矢先に身動きを封じられてしまった、男はげんなりしながら少女を譲り起こそうとするもなかなか起きない、仕方が無いのでしばらく肩を貸すことにしたその時少女が静かに語り出す
「今日はありがとう」
「なんだ起きてたのかよ、ならさっさとどいてくれねぇか?家に帰りたい」
「うん、でもその前に質問していい?」
「なんだ?」
「貴方は運命とか神様とか…信じる?」
いきなりの質問に男は驚いた、こいつはこんな身なりで宗教家なのか?それともこの年でもう厨二病が発病してしまったのか?そう考えていると少女がこちらの顔を覗き込んできていた、そしてまたしても驚く、少女の目が先程のものと違ったのだ、先程まで黒かった目は薄紫色をしておりその中心にはまるでPCやゲーム機の電源ボタンのような模様が浮かび上がっていた、その目はまさしく先程までしていたゲームの主要人物や主人公が変身した時のものと酷似、いや、全くと言っていいほど同じだった、それに驚いた男は流石にそれについて問う
「お前、その目…」
「うん、やっぱり見えるんだ、なら答えて?貴方は運命や神様を信じますか?」
「…正直わからん、運命とか神様とか、でもそうだな…どっちも信じないかな」
「どうして?」
「もし神様ってのがこの世にいるならお前みたいな悲しい運命の子を作って欲しくなかったし戦争を無くせって思うかな、運命は軽い占い程度のものなら信じるさ、けど遠い先、それこそ死ぬまでの人生全てがレールの上だなんて馬鹿げてる、俺はそう思う…かな?」
少し笑い男は少女を見る、少女は驚いたような納得したような顔をした後男の目を見ながら予期せぬ言葉を告げる
「なら、第2の人生を歩めるとしたら…どうする?」
「第2の人生?」
「うん、最近流行りの転生って言うのかな?そんな感じのことが出来るとしたら貴方はどうしたい?」
その質問は男にとってかなり悩ましいものだった、実際のところそういった夢は何度も見た、自分が科学で到底証明できない未知の力やロボットなんかに乗って世界の平和の為に戦ったり中学生の頃夢見た事をまさかこの年で問われるとは思いもよらなかったのだ、そこで男は興味と遊び心で少女に逆に問うてみた
「もし、俺が『転生したい』または『興味ある』みたいな肯定的な答えをしたらどうする?」
遊び半分興味半分の質問、答えた所で何も起きやしない、結局は子供の戯言で、きっとこの目もコンタクトのようななにかなのだろう、そう思っていた
「させてあげる、叶えられる範囲でならどんな願いでも叶えて、ここじゃない別の場所で別の人生を、おくらせてあげる」
「…そんなことが本当に出来るとでも?」
「出来る」
流石に妙だと感じた男は少し真剣な声で少女に問う、しかし少女はさも当然といったふうに答える
「幾つか条件が付くけど貴方を異世界に送ることもそこで第2の人生をおくらせることも私には出来る、さぁ答えてあまり時間が無いの」
時間が無い、その事が気になったが男は少し考える、到底出来やしないだろうが何と答えるのが正しいのか、この子を満足させられるのか、そう考えている時不意に気付くあたりが静かすぎるのだ、まるで深夜の道を歩いているような静けさ、近くが団地だからこの時間は家族が団欒をし少なからず賑やかなはずの時間、だと言うのに静かすぎるのだ、その事に気付いたことに気付いたのか少女が答える
「ここには私たちしかいないの、でもそれももうすぐ終わる、次の機会がいつになるか分からない、だから答えて、貴方はどうしたい?」
少し急かすような声、男は考えた末答えを口にする
「正直、そんな話馬鹿げてると思う、けど、やってみたい…かな」
男がそう答えると少女は少し嬉しそうに頬を緩める
「そっか…ありがとう、それじゃぁ行こっか?」
そう少女が言うと目の前に白い光の柱が建つ、不可思議な現象に驚き思わず立ち上がる男、少女は数歩前に躍り出て男に手を差し出す
「行こ?あなたの知らない超常が現実になった不思議な世界へ」
男は少しの恐怖を覚えたが直ぐにそれもなくなり思わず笑みがこぼれる、自分の知らない、いや、夢にまで見た事が叶う、男は少女の手を取り光の柱の中へと消えていく、光の柱が消えるとそこには何も残っておらず、辺りは元の騒がしさを取り戻す
というわけで今回はここまで!かなり長くしかも読みにくそうなものを書いてしまった…まぁ何とかなるか!
それではまた次回お会いしましょう!
『待て次回!!』