あとHUNTER×HUNTERは一応原作全部読んでますが、それでも理解の薄い部分も多々あるので、そこら辺はご了承くださいませ。
では、どぞ!f
大学3年の夏。そろそろ就活に目を向けるようにと教授に注意喚起され、若干気乗りせずも駅のホームで就活アプリをタプタプと弄っていた時、事件は起きた。
注意は携帯に向いており、耳を塞いでるイヤホンにより周囲の音も聞こえづらい。そんなことも相まってか、背後からの衝撃に気づいたのは少しばかり遅れてしまい、気がつけば────────
「ここに来てしまったって訳か……」
「ん、そういうこと。思い出したようで何より。んじゃ、転生させるからちゃっちゃっとよろしく」
「なんかノリ軽……ってかなんで俺なんです?日本の何不自由なく生活出来ていた……世界規模で言えば恵まれ過ぎている俺なんかが転生させて貰えるって……」
異世界転生とかでずっと思っていたことだが、なんでそこそこ裕福な奴等とかが転生させて貰えるんだろうって疑問。まぁ折角なので聞いておくことに。
「んー?そりゃクジで」
「クジ」
「そ、クジ。幻滅した?大方世界にはもっと相応しい人が〜〜とか言うつもりだったんだろうけど、こちとらんなこと考慮してなくてね。『コイツ面白そうだな』とか『このカップル好きだから一緒の世界に送ったろ』とか単純に全人類対象にしたクジで決めるとかね、そんなもんよ。だからあんた運イイよ」
「さいですか……」
なんとも……こう、考えてたやつと違って正直釈然としない思いだが……まぁ神様の都合だし仕方ない。それに今回の俺の件に関してはクジ。単純に運任せの公正な結果なので、胸を張っていいんじゃなかろうか。
「はい、んじゃ質問ね。上から送られてきた資料にあなたの転生先候補が書かれてるんだけど、読み上げていくから好きなの選んで」
「はい」
なるほど、色々あってその中なから選ばせて貰えると……これは中々良心的なのでは。神様達の有難い配慮に心温まり、この不思議空間に転送されて来てから緊張で強張っていた身体も少しはほぐれたように思う。
「えー、と『名探偵コナン』『進撃の巨人』『魔法少女まどか☆マギカ』『HUNTER×HUNTER』」
「……えっ?終わり?」
「うん。じゃ選んで」
フザケンナ!!なんでよりによってこんな死亡フラグ立ちやすそうなのとか超過酷な世界観の作品なんだ!!ふざけるなクソ!! 全然運良く無ぇから!!
……こん中から選べと?……うへぇ……
「早めにしてね。後つっかえてるから。具体的にはこの砂時計が落ちるまでによろしく。1分くらいね」
「え 早っ、いやもうちょっと時間……」
流石に横暴じゃありませんかねと、抗議しようとするも
「どうどう、幾ら言っても無理だから。ほら、残り50秒。早く考えた方がいいよ」
「〜〜〜〜っっ!!!」
くそっなんて日だ!!って恨み言は後!どうする!?
コナンの世界……は死亡フラグ多そうで怖い。どのキャラに憑依するか若しくはオリキャラとしての立場が分からないから無理!パス!
進撃は……無理!
まどマギは……う、うぅ〜〜〜ん、やっぱりどの立ち位置でとか分からんし、魔法少女に選ばれたくないし、無理……
ヤバイもう消去法でHUNTER×HUNTERしか無い!!
どうする!
「はいタイムアップ。じゃあ回答どうぞ」
えっもう時間!?ヤバイ
「えっ、えっ、じゃHUNTER×HUNTERで!」
深く考える間も無く言葉に出たのはその答えだった。
「りょうかい!んじゃ送りまーす」
「えっ、転生特典とかは……」
「ありませーん」
「チートなステータスとか……」
「ありませーん」
「……」
無い無い尽くしで唖然とする。あの世界で転生特典が無いってかなりハードモードなのでは……
「でも安心しなー。チートまではいかなくてもあっちの家庭事情でそこそこの身体能力にはなるだろうから。では来世の健闘を祈ります」
「え、それ」
最後まで言うことなく意識が飛び、気がつくと────
─
──
───
「ふふ、元気な子ね……先に出てきたお姉ちゃんに負けず劣らずのたくましい男の子」
「あぁ、元気な双子だ。特に弟は強くなりそうだな」
声が……聞こえる。なんだ……この一気に身体が縮んだような気持ち悪い感覚……それに言葉がっっ出ない……し、なんか身体が湿ってるような気がするし、誰かに抱かれてる?
「ふふ、これからよろしくね。アルカちゃん、アルトちゃん」
アルカ……アルカ……って、言ったか? HUNTER×HUNTERでその名前が指すのは……いや、まだ分からない。違う、そう違う可能性も無きにしもあらず。きっとあの暗殺一家じゃなくて違う家庭で生まれたってのもある。
そうそう。まずアルカにアルトとか言う双子いないし。
まだ希望はある。俺にはモラトリアム期間を再び満喫するという野望が……
「立派な暗殺者になるのよ」
あっ
─
──
───
モラトリアム?なんですかそれ美味しいんでしょうかね?少なくとも毒とかよりは美味しいんでしょうね。ええ……。
「アル、訓練の時間」
「……了解」
年の離れた猫目の兄に呼び出された。今日は月曜日で、毎週恒例の戦闘訓練。しかもこの長男……イルミと。
「……アル」
ピッ、と目の前に針を突きつけられる。
「お兄ちゃんを呼び捨てとは感心しないなぁ」
「お、おおっっオッケー分かりましたごめんなさいすみません兄ちゃん許して下さい」
ナチュラルに心を読んで来るのもあるが、兄ちゃんの武器を突きつけられてるこの現状が恐怖でしかなく、思わずテンパった返答を返す。
「ん、分かったならよろしい」
「……ふぅ」
心臓に悪いので本当にやめてくれませんかね……。
「というかビビりすぎだって。あとどもってるし。いい加減そーいうとこ直しなよ」
「いや無理でしょ……他の人ならまだしも兄ちゃんに針向けられたら恐怖隠せないって……」
俺が悪いんじゃない。相手が悪い。
そう非難するような目をわが兄へと向けると、ふぅ、と一つ軽く溜息を吐き、やれやれと言わんばかりに肩を竦められた。
「自分より格上だろうと常に冷静沈着にいることも暗殺者として時たま必要になってくるよ?ほら、オレを見習いなよ。ポーカーフェイス」
頬をぐにぐにと弄り口角を上げる、なんとも可愛らしい仕草をする兄ちゃん。
「いや、兄ちゃんのはそれ徹底しすぎといいますか……」
表情の変化が乏しすぎて他人からしたら多分何考えてんのか分からないと思うの俺の兄ちゃんは。まぁ俺はなんとなく、少しは分かるけど。伊達に兄弟やってないし。
「ん、話してる内に着いたね。それじゃあ、やろうか」
「……お願いします」
はぁ……今日もやんのか……
─
──
───
「それじゃーお疲れ。じゃ、オレ仕事行ってくるから」
「おぉ……いってらっしゃい」
「うん。あと帰ったら明日の仕事の打ち合わせね。じゃ、晩御飯までには帰るから」
戦闘訓練が終了し、途端にそう言い残し軽やかな足取りで去って行く兄。
「バケモンか……あんだけ動いたし何発か入れた筈なのに……」
何でも無かったようにケロッとしてるからホント意味分かんねぇ……うちの長男怖すぎ……。
そんなことを思いながらも、酷使した身体に鞭打ち壁に寄り掛かりながらもズルズルとお風呂場へと向かって行く。 と、その道中で。
「お、お疲れ様です。兄さん」
和服を着込んだ可愛いらしい我が妹、カルトに遭遇した。
その両手にはタオルが抱えられていて、「どうぞ」と差し出される。
「……おぉ、ありがとうカルト。毎度すまんね」
「いえ、ボクがやりたくてやってることなので」
僅かにその口角を上げ此方を上目遣いで見やるカルト。
あぁ……かわいい。血生臭い今世の日常での数少ない癒し──っ!! 俺の妹がイイ子すぎて可愛い。
「そっか……ありがと。んじゃ俺そのままお風呂行くから」
タオルで汗だくな顔を拭きつつ、足を再び動かそうとしたが、くいっと袖を控えめに引っ張って来るので、なんでしょと思い振り向く。
「あの……その、良い抹茶が入ったので、後で点てようと思ってるんですけど、兄さんも一緒にどうですか……?」
俯きがちにそう言う妹への返答は勿論
「え、マジで……?いいの? じゃ、有り難くごちそうになろうかな」
カルトの点ててくれたお茶は美味しいし嬉しい。
毎回訓練の後にこんなご褒美があればモチベが保たれるんだけどなぁ……と思いつつカルトに自分の汗が掛からないようにタオルで顔を抑えていると
「はいっ、では兄さんの好きなお茶菓子も用意して待ってますねっ」
顔を上げ、綺麗な微笑みを携えてそう言う妹の影響か、ポワポワとした感情に包まれる。
あぁ^〜〜かわいいんじゃぁ……あぁ。いいの……?こんな尊い笑顔を無償で向けて貰って。お陰で精神的な疲れ吹っ飛んだし、なんならもっ回兄ちゃんと闘ってきてもいッッ!?っていう冗談叩けるくらいには元気出たしなんか悪寒がした恐怖。
それにしてもかわいい。かわいすぎて、果たして人類はこの〝かわいい〟を何の見返りも無く享受していいのだろうか……、とか、そんなアホなことを真剣に検討し始めてしまうくらいにかわいい。
まぁなんなんだったら全然払うもん払いますけどね?幾らですかね?──と、いや……、しまった。これは困った……あれか……考えてみたら俺のお給料でカルトの天使の如き微笑みの対価を払えるとは到底思えん……。
ぐっ、情けない……こんな、自分が恥ずかしくて堪らない……俺は一体……どうしたら──
……考えても答えは出ない……。
しかし本格的に考えるとキリが無くなる。
だからそうだな……さしあたってのところは、今月の給料カルトに貢ごうかしら……
そんなこんなでラブリーマイエンジェルの微笑みへの対価を一体どうするかと思案していると
「あ、と。それとその、偶には一緒にお風……いや思い切りすぎだなうんボクが保たない。えと……」
ごにょごにょとなにやら呟いている。
難聴系という訳じゃないけど流石に聞こえんから一声掛けることに。
「ん、なんだって?」
「え、と。いや、なんでも。あっ、ではボク用意してきますね。兄さんはゆっくり疲れを癒して来てください」
そう早口で捲し立てられ、ツカツカと去って行ったカルト。
「いつも物腰静かで冷静だけど偶にああなるよな。まぁそのギャップが超可愛いからいいんだけど」
さて行きますかねと再び歩き始めようとすると、またもや前方から人物が一人。
「おっ、アルトぼろぼろじゃん大丈夫か?戦闘訓練?」
「おう見ての通り。大分しごかれてボロカスんなった。だからごめんキルア。今日ちょっとアクティブな遊びは勘弁」
「ふーん、そっか。ならしゃーないか。因みに誰だったんだよ?」
「イル兄」
「……ご愁傷様。まぁ、ゆっくり休んでな? あ、このジュースやるよ。お疲れ」
シャーと、スケボーに乗って去って行く年の近い兄に「あんがと」と言葉を返し再び歩く。
てか家の中でスケボー乗んなよ……あっ、ほら言わんこっちゃない。よりによってツボネさんに見つかってるじゃん……
助けてくれとか言いたげな目線で俺の方見てるけど悪いな。俺もツボネさんに叱られんのは怖い。あと流石に今回は擁護出来んし。あと疲れてるし。
キルアもご愁傷様と小さく言い残し、お風呂場へと向かうのだった。
─
──
───
「ふぅ……癒される…………」
疲れた身体にお湯が染み渡る……はぁ……。
そのままぼーっとしていると、ガラッと扉の開く音が聞こえたので、其方に目を見やると
「なんだよアルトもいたのかよ」
「ん、あぁごめん先頂いてるよミル兄」
「別にいいよ」
ふん、と言いながら身体を洗っていく我が兄をなんともなしにぼーっと見つめていると
「おい……なんだよ。視線気になるから止めろ」
「あーい」
なら今度は天井でも見つめてるかと上を向く。
そういや、なんだかんだ言って人の視線を即座に察知する辺りミル兄も暗殺一家やってんなぁ……と思った。多分その辺の恰幅の良い人よりは絶対強いよなとか思ってると、チャプ、と湯船に浸かる音がする。 見ると、少し離れた場所で一息吐いてる兄の姿を確認した為すかさず移動を開始する。
「おわっ?なんだよお前あっちで寛いでろよ」
「まぁまぁ」
隠すこともなく眉を顰めながらも、のしのし、と歩いて俺から離れていくが、それに俺も泳いで続いていく。
「ちっ、付いてくんなよ……いや、コイツ頑固だから言っても無駄か……」
「まぁまぁ」
「……ちっ」
観念してその場に腰を落ち着けるミル兄。
その様子を見て、話し掛けるなら今かと判断した俺は、改めて口を開く。
「ところでミル兄」
「……なんだよ」
「今期のヒロインで一番可愛いのって誰だと思う?まぁ打ち止め(ラストオーダー)に決まってるけど」
打ち止め(ラストオーダー)の愛らしさ、素晴らしさについて語り合おうかと思い、話題の提供をしたのだが……返って来た言葉に俺は唖然とする他なかった。
「は?何言ってんだ?その残念な頭に綿でも詰まってんの?ライネスに決まってんだろ」
「は?」
何言ってんやろか
「……いやまぁ、ミル兄の意見も分からんでもない。確かに彼女は可愛い」
「当然だろ」
が、しかしだ。
「けど……、打ち止め(ラストオーダー)の可愛さはそれとは一線を画するね。あの愛らしいフォルムに容姿、更には独特の喋り方! 彼女こそ今期ヒロインNo1だとアルトはアルトは全人類の共通認識を改めてミル兄に説く」
「お前……お前がその喋り方はキメェ……気持ち悪い……吐き気催すから止めろ……。それと、お前……聖杯 スキルマフォウマまでした俺によくそんなこと……」
それからなんやかんや討論は続いたのだが、お互いのぼせそうになる寸前で、一旦話は保留の運びとなった。
打ち止め(ラストオーダー)が最強なのは断固譲るつもりは無い。
まぁ、そんな訳で、こんなサブカルの話で盛り上がれるミル兄は結構好きだ。あっちからしたら変に懐いて来る弟って感じで鬱陶しがられてると思うけど。
ま、ざっとそんな感じの兄弟関係で。
妹が点ててくれたお茶を飲みながら雑談したり、双子の仲良い姉ちゃんとねーちゃんと遊んだり、同い年の兄に遊び行こうぜと連れ回されたり、8つ上の兄にゲーム借りに行ったり、13こ上の兄は……ちょっとよく分からんけど。まぁそんな感じの生活。
っていう自己満足の内容の薄いお話だったので短編にしました。
あと主人公の名前 アルト=ゾルディック ですが、どうしてもカルトの兄ポジションかつ、憑依者じゃない設定が良かったので、しりとりの設定無視の方向で行きました。
っていう感じで、こういうカルトメインのお話増えて欲しいです。誰かそういうの書いて下さい(他人任せ)