そして久しぶりなので軽い説明をば。
前話より3年。
主人公ことアルト=ゾルディック 11歳。
キャラ紹介を兼ねて家族と交流し、カルトとのおやつタイムを終え別れたその時。
『アルトー』
彼の頭の中に響いた声。
それは────
「ん? あぁ、ねーちゃん」
ねーちゃんからのテレパシーが来た。
因みに原理はねーちゃん特有の不思議パワーでああこうしてるらしい。
つまり俺もよく分かってない。
『今時間いい?』
「大丈夫。今日は何すんの?」
『おやつ一緒にたべたい』
「了解。んじゃ頼むわ」
瞬間
目の前の景色が移り変わる。
すぐ目の前には先程まで話していた我が姉。
「おっす。カルトから貰った和菓子あるけど食べる?」
「あい」
こくりと首肯する。
それを尻目に妹から貰った菓子の詰め合わせを確認していく。
「なんかたくさんあるけど…………おぉ回転焼きあるな。ねーちゃん半分こして食べないか?」
「あい。大判焼きすき。たべたい」
「だよな。美味いよな回転焼き」
「おい。大判焼きおいしい」
「………………」
「………………」
「…………特にあんこ入ってるのすき」
「あー……、──、残念ながらこれ白あんなんだよなぁ……まぁ回転焼きは中身あんこが至高ってのは同意だけどさ」
因みに次点で白あん。そしてカスタードクリームときてうぐいす餡が俺のランキング。
とまあ、そんな俺のどうでもいい情報はさておき。
ねーちゃんと話している内に準備は出来たので頂くとしよう。
「「いただきます」」
お互い手を合わせ、食材に感謝を捧げる。
食事の度に言う『いただきます』という、この言葉。
命を奪い取り、それを摂取させて頂くことへの感謝を込めたこの言葉。
……急に暗い話になって申し訳ないけど。
職業柄、何人もの人を殺めてきて
その度に実感して、麻痺して、忘れそうになってしまう命の尊さ。
余りにも簡単に人は死んでしまう。様々な方法で人は死んでしまう。やって分かった。
殴られたり、首を締められたり、刺されたり、撃たれたり、毒を盛られたり、轢かれたり……数え始めるとキリがない。
世界には人を殺すものが、人が、状況が満ちている。
そして、加害者側になって手を汚していく内に、命の重さが分からくなることが時たまあったりする。
前の生での当たり前が塗り潰されそうになったりする。
その方が自分の職業考えると楽なんじゃないかと。
思考放棄しようと何度も思う。
けど
それでも食事の度にこの言葉を繰り返して。
何度も何度も命を頂くことへの感謝を頭の中で反芻し。
命について考えることを止めなかったお陰で、なんとか自分を保てている。
HUNTER×HUNTERではたくさんの人が亡くなって、そんなことに意識を向ければ大変だろうと思われるだろうけど。
だけど……やっぱりどうにも日本の一般市民だった俺からすると、こんなことに慣れてしまう自分への抵抗があるというか。
まぁ暗殺者やってる奴が何言ってんのって話だろうけど。
まぁつまるところ、俺が何を言いたかったのかというと
『いただきます』はホント大事。
これに尽きる。
「おいしいおいしい」
「美味いなぁ」
モクモクと食べる様を横目に、俺もまったりと食べ続けた。
─
──
───
「──そんでさ。って
余りにも静かなため横の姉に目を向けると、ふるふると震えている。
なんだと思い俯いた顔を覗き込むと、桃色の頬を膨らませたフグがいた。
「──っ、ふふっ、聞いてる聞いてる」
「えぇ……いやいや姉ちゃん笑い事じゃないんだってこれがさ。マジで」
「ふぅっ──、いや〜でも……ねぇ?」
一息吐き、そしてなにか思案するように腕を組むと、やがて少し眉を落とす。
若干困ったような表情を浮かべている。
「でもじゃないって! マジで焦ったんだよ今回本気で!」
なんせ妹の艶やかで、絹のように美しく、只人が触れることなぞ許されぬ髪を無断で触ってしまったのだ。
母さんとかならまぁいいだろうが、異性の俺は別。
縁を切られなかっただけ本当によかった……。
ましてやそこら辺の野郎なんかが触れようものなら即刻処刑レベルのことなんだから……。
もしそうならと考えたら気が悪くなってきた。
その時は俺が絶対ぶっ殺す。
「はは……本当に心配性だねぇ……」
(私は昔のカルちゃんのことしか知らないけど……あんなお兄ちゃんっ子な妹だったから大丈夫だと思うけどなぁ)
「心配にもなるんだよ……これまで慕ってくれていた妹にもし、内心よく思われてなかったらって思うとな……あ、ダメだこれ心がもちそうにないぞ」
よくない方向へ思考を飛躍していく頭を思わず抱えた。
なんだか顔がやつれていくのを感じる。
あー……
胸が痛い
「はぁ……まったくこの弟はカルちゃんが絡むと直ぐこうなるんだから……しょうがないなホント……なんでこんな手をつけようがないシスコンになっちゃったのかなぁ……」
小声で言ってるけど聞こえてるぞ?
あとそんな遠くを見るような目で俺を見ないでやめて心にくるから
「ん〜、そうだな……。──、……じゃあアルちゃんさ。あたしにナデナデされたら嫌?」
「いや、んなことはないけど」
なんならまぁ……少しは嬉しいような? 気もしないでもないかもしれない(ツンデレ)(誰得……?)
絶対言わんけど。
「でしょ? じゃあカルちゃんだってそんなに嫌がってないと思うよ」
「う〜ん、そう、か……? だといいんだけどな……」
難色を示すような表情を浮かべながら言うと、隣から勢いよく応答が返ってくる。
「そうそうきっとそうだって! 大丈夫大丈夫! それにやっちゃったことに対してしっかり反省してるんだからもういいでしょ──? あとは次どうするかだよ。はい、どうするの?」
諭すかのように言われてしまい、思わず言葉につまる。ペースを崩されてしまった。
「────、そうだな。…………みだりに人の嫌がるかもしれない部分に触れないように……。次からは軽率な行いをしないように、より一層心を引き締める。今回の件を教訓にして」
「──うん。いいんじゃないかな。うん──」
「──、……うん」
余りにも優しい瞳で見つめられ、いたたまれなくなったため目を逸らす。
くっ、姉みが強いッ! 直視できん!
「まぁ、その、……ありがとう」
「いいよ」
そろーっと目線を横に戻すと再び目が合い、1秒も保たずして視線を切ってしまう。
やはり厳しい。恥ずかしい。姉力が高い。ぐぬぬ
この場をどうするかと考え唸っていると、隣の姉が立ち上がる。
なんだと思い視線で追うと、俺の真正面に座り出した。
そして、笑顔
にぱーっ! とした
笑顔!
「ちゃんとカルちゃんに謝って、そしてお姉ちゃんに話してくれたのは嬉しかったよー、ほら、えらいえらい」なでなで
「──、〜〜〜〜!!」
赤くなった顔を隠すように俯くしかなかった
父親が仕事帰りに買ってきてくれた回転焼き。
食後にお茶をいれ、家族皆で食べたなぁ……という思い出に浸りつつ書きました。
ホント美味しいですよねぇ……回転焼き。
回転焼き。
今回の主人公が瞬間移動したのはナニカの能力によるものでして。前話から約3年間、ナニカからのテレパシーが来て主人公の了承の後、姉の元へと転移というのが日常になってます。
次回からは主人公の念能力なども見せていければなと思います。もう大体案は固まってるので、後は話を作るのみ!