”赤髪”に転生しようと思ったら”赤鼻”に転生してしまいました。 作:おタッチ
「待った無しの真剣勝負だ」
「ハデに後悔させてやる!!」
イヤ!!!もー帰りたァーい!!!
数時間前
俺とシャンクスは、最低限必要の物資だけを買いローグタウンを発った。
海軍に追われることもなく、初船出の出だしは良かった。ただ不思議なのは、さっきまで雲ひとつなかったのに、今は酷い嵐なのだ。
確か、原作でもルフィがローグタウンを発つときも、いきなり嵐になってたような・・・
これは全て偶然か。まるで”誰かが”天”を操っている様だ。恐らく、船長の公開処刑の時に端っこで傍観してた”ローブ男”が原因何だろうが。
原作知識がある”俺”は今後の展開をある程度理解している。別にどうこうしようとは思っていないけど。
それよりも、シャボンディー諸島に向かう前に、この海で生き残れるぐらいの力が必要だ。隣で呑気にしているシャンクスと違い、”俺”は戦闘に関しては無知である。
バギーの記憶もあるけど、あって無いようなものだ。この時点では、悪魔の実の力の使い方も、まだまだ原作よりも使いこなせてない。
あれ、もしかしてバラバラの実ってすげー弱いのか!? いくらバギーが弱いからといっても、原作開始まで十数年程あるのに全然強くなってねーじゃん。
いや、俺の読みが間違えてなかったら、どんな悪魔の実も凌駕できるはずなんだ。
とはいっても、まずは悪魔の実を使いこなすために体術と覇気を学ばないといけないよな。
この際、俺の憧れであるシャンクスに1ヶ月ぐらい稽古をつけてもらうように頼もうかな。いや、それは”俺”の中にあるバギーの記憶がそうはさせてくれないか。
出港してから黙り込んでいる俺に痺れを切らしたシャンクスは声を掛けてきた。
「バギー。何黙り込んでいるんだ。自由な海賊になったんだから楽しく行こうぜ」
今後のことを考えている俺とは裏腹に、呑気なシャンクスである。
「黙れシャンクス!!俺様はおめェーとは違いヘラヘラ呑気に海賊できるような力はまだないんだ。」
「バギーは剣士相手にしか勝てないもんな」・・だっはっはっはっは!!
剣士には負けない優れた能力なのは確かなんだ。原作でも、あのミホークに何度も斬られても無傷なほどに。あれ、もしかして、今のバギーってシャンクスより強くね!?
「こいつぁ おれへの宣戦布告とみて間違いねェな!!!!」
「その”赤ッ鼻”のように、顔が怒って真っ赤になってるぜ」・・・だっはっはっは
「ハデに死ねェー!!バラバラ砲!!」
ロケットパンチの用に手首の上あたりから切り離し、シャンクスの袖を持ち上げ海の方に発射した。
「貴様はそこで一生頭を冷やしとけ!!」
海に落ちたシャンクスは、以前ヘラヘラとしている。
「悪かったバギー。だからそう怒るな」
海賊見習いの時から変わらないやりとりに、シャンクスは何だか嬉しそうにしていた。バギーには言わないが、共に海賊王の船で見習いとして多くの死線を乗り越えてきたバギーのことを大切な友人だと思っている。そんなバギーと海賊同盟とはいえ、暫くの間一緒に航海できることが嬉しいのだ。
「そういえば、何故シャボンディ諸島に行きたいんだ?あそこは海軍本部が近くにあるだけで、お前が好きな財宝はないだろう」
ふと、思い出したかのようにシャンクスはバギーに質問した。
「そりゃ、レイリーさんに修行を付けてもらおうと思っているんだよ」
”俺”はバギーに転生してからある計画を立てた。シャボンディ諸島に行けばレイリーさんがいる。この世界で強くなるには、あの人に修行をつけてもらうのが一番早くていい。覇気と悪魔の実の使い方学びたいしな。何年掛かってもいい。時間はあるんだ。
「海賊見習いの時は、あれ程修行が嫌いだったのに、どういう風の吹き回しだ」
シャンクスは共に、レイリーに修行をよくつけられた過去があり、その度に、バギーは逃げ回っていたのを思い出した。
「俺様は世界一自由な海賊王になるんだ。今の俺様の力では無謀だってことぐらいわかる」
「お前も色々と考えているんだな」
「ところでシャンクス。お前覇気は使えるのか」
”俺”の記憶では、覇気使いといえばシャンクスなんだよな。”バギ”ーの記憶では覇気の存在はこの時点でレイリーに教わっていて知ってはいたが、シャンクスが覇気を使っている姿は記憶にはない。もしかすると、シャンクスからヒントを盗めるかもしれない。うん。こいつに教えを乞うのはごめんだ。
「だっはっはっは!!覇気が使えたら、海賊見習いなんてやってないだろ」
「間違いねぇーな」
シャンクスはまだ覇気を使えないのか。原作では明確にいつ覇気を覚えたのか描かれてなかったが、間違いなく、ルフィと出会う前に覇気を覚えているはずだ。流石に一人で修行をして、四皇になれるとは思わない。つまり、こいつも誰かに覇気の修行をつけてもらったのか!?
「シャンクス。お前はこれからどうするんだ?自由極まりないお前が今すぐ俺様をシャボンディ諸島まで送ってくれるとは思わねェー」
海賊同盟を結んだとはいえ、シャンクスの船に乗り込んだ時点でシャボンディ諸島に一直線で送ってくれるとは思ってない。シャンクスのことだし、人に決められた旅ならしたくないんだろうしな。
「時間をかけて世界をゆっくりまわろうと思っている。そのためには”船”がいる」
「違いねェーな。こんな小舟に乗ってちゃ海賊ごっこみてーだし」
「ああ。だから俺はウォーターセブンに行こうと思う。あそこにはトムさんもいるし、力になってくれるだろう」
”トム”さんは確かゴールド・ロジャーの船を作った人だよな。フランキーの師匠であり家族のような存在だったはず。確かにあの人ならすごい船を作ってくれると思うが、こいつそんなに金あるのか?原作でもお金とは無縁のような人間だったし。まああんな立派な船に乗っていたから、あるってことなのか。
「ウォーターセブンとシャボンディ諸島は目と鼻の先にあるし、そこまでなら流れていってやるよ」
あれ、もしかして俺って幸運なんじゃねーか?さすがバギーだな。シャボンディ諸島までシャンクスと一緒に旅ができる。うん。嬉しくて死ねる!!!今の気持ちなら言える!!本当の気持ちがシャンクスに言える!!あんたに一生付いて行かせてくださいって言うんだ!!!
『俺様の足を引っぱんなよ!!ハデにサポートしやがれ』
「ああ。当分の間よろしくなバギー」
(やっぱり”俺の中のバギー”がそれを言わせてくれないか・・・・)
*
出港して数時間たちある島が見えてきた。何でも、偉大なる航路に入る前に寄りたい場所があるらしい。こんな島見覚えが無いぞ。てか、この島人が住んでる気配もないし、荒れ果ててやがる。いったいこの島で何がしたいんだシャンクスは。
船からロープを取り出すと、岸辺にあった木に引っ掛けた。
「貴様。こんな島で何がしたいんだ?」
「バギー。お前と真剣勝負をしたい。偉大なる航路に入る前に、お前の本当の実力が知りたいんだ」
な、何だと・・・勝ち目がないよシャンクス君。そんなにバギーのことが憎いのか!?こちとら戦闘経験なんてないんだよ。これはうまく言い訳して丁重に断らないと死んでしまう。折角のチャンスだけど、丁重に断ろう。
『ハデに後悔させてやる!!!』
イヤ!!!もー帰りたァーい!!!
*
おいおい。嘘だろ。シャンクスから感じるこの重圧感は何なんだ!?
視線を合わせるだけで奴からとんでもない何かを感じる。それでいて肩に重くのし掛かる重圧と威圧感。
なるほどな。これは確かに"覇王"だわ。気を強く持っていないと意識を失いそうになりやがる。
さっき覇気を使えないって言ってなかったっけ!?
「シャンクスくーん。これは覇王色の覇気ですよね?」
「ああ。武装色と見聞色の覇気はまだ使えないけど、”これ”は使えるようになった。何たって”船長”から直々に教わった代物だ」
船長ってゴールドロジャーのことかよ。同じ海賊見習いとは思えないよ全く・・・・
「準備はいいか?」
「ハデに来やがれ」
ヒュン!!
次の瞬間目の前からシャンクスが消えた。まるで瞬間移動でもしたかのように高速移動したかのように。
一気に距離を詰められ焦った俺は全力で後ろに向かって飛んだ。しかし、読んでいたかのように後ろに飛んだはずの俺の後ろに移動してやがる。剣は既に抜いており、顔面目掛けて剣を振りかざされた。俺の顔面は真っ二つに斬られた。しかし、バラバラの実の能力者であるが故、ダメージはない。
こ、こえーーー。流石はシャンクス。全く見えなかった。これが未来の四皇かよ・・・
「安堵してる暇はないぜ」