1700年代編は、今回で終結し、アンケートよ結果によって、次回からはFate/Grand Order編が始まります。
では、御笑覧あれ。
.....彼の選んだ結末を。
1793年 7月13日
「待て!、チャーリー・モロウ」
「五月蝿い、さっさと消えろ」
僕は一人の男と殺しあっていた。
...5分前。
「因果率の改竄完了、収束点より繋がる道の閉鎖完了、第2フェイズに移行する.....」
???「取り込み中のところすまないが、君がチャーリー・モロウかね?」
「第3フェイズへ移行、これより
「おい、話を...」
「
現在。
???「待て!、私は話がしたいだけだ」
「五月蝿い、どうせ貴様も抑止力の関係者だろう?、なら消すだけの話だ」
「くそ、なるべくなら無駄な殺生はしたくないが、これでは話すらできん!」
抑止力より使わされた男、アーチャーは戸惑っていた。
事前に抑止力から得た情報によれば、今回の対象は温厚で争いを好まない性格の為、よほどのことがない限りは攻撃してこないと聞いていたのだが。
「中々しぶといものだな、やはり早々に礼装を使うか」
全く話と違うではないか、温厚どころか目があった瞬間襲って来たぞ、一体どうなっている?。
アーチャーが抑止力より得た情報は確かに正しかった。
だが、それは少し前までの話だ。
彼は抑止力に対し、抗う道を選んだ。
その覚悟は、元の温厚で争いを好まぬ性格を塗り潰す程強く、決して砕けぬ鋼のごときものだった。
「くっ、話を聞け!、チャーリー・モロウ」
「貴様ごときが、私の名前を呼ぶな!、その名を呼んで良いのは今やシャルロットだけだ、抑止力の犬風情が軽々しくその名を呼ぶな」
「何故そこまで頑なに対話を拒む、私はただお前を説得するように命じられただけだ」
「どうせその説得とやらも、シャルロットの死を見過ごせというものだろう?、そんなもの聞く価値もない」
「話を聞け!、このままでは歴史が歪んでしまう、そうなればこの世界が滅ぶ可能性があるのだぞ、それでも良いのか!」
「そんなものは俺の知ったことじゃない、正しい歴史?、世界の継続?、じゃあその為の犠牲になる者たちの思いはどうなる!、それすらも世界の為ならどうでも良いと言うのか!、ならば俺の答えは一つだ、貴様ら抑止力の犬どもを、一人残らず殺し尽くす」
アーチャーは戦慄した。
何がどうなったらこれ程までの覚悟が持てるのだ。
この男は、世界と大切な人のどちらかを選べと言われれば、必ず大切な人を選ぶだろう。
この男の説得は不可能だ。
ならば。
「最早説得は不可能、残念だが殺すしかあるまい」
アーチャーもまた覚悟を決めた。
「いいや、死ぬのは貴様の方だ」
「何!」
気づけば、アーチャーの背後にチャーリーが立っていた。
「では消えるが良い、コシュマール・リベラシオン」
「早まったか、我々英霊には通常の武器は通用しない、弾丸が無駄になるだけだ」
「別に
「何、それは一体?、グハッ!」
「俺がこの銃を撃った時点で、貴様の死は確定していたのだよ」
「何...だと」
「この銃、コシュマールは材料として、とある英雄の武器を使っている」
「まさか、貴様」
「そう、この銃は聖遺物を材料に作られている」
「因果の理を逆転させ、当たるより先に死という結果を確定させる、ケルトの大英雄クーフーリンの槍か!」
「そういうことだ、わかったところで貴様が死ぬのは変わらんがな、さあ止めだ」
「チャーリー・モロウ、後悔することになるぞ、今この瞬間、お前は世界を敵に回した、それがどういうことかわかっているのか!」
「ああ、わかっているとも、全ての人が私の敵になるならば、私はその全てを殺してみせよう、世界が私の敵となるならば、私はその尽くを滅ぼそう、星が敵となるならば、私は喜んでこの星を破壊しよう、それが私の、チャーリー・モロウの覚悟だ」
ああ、駄目だ。
この男は、この男だけは生かしておいてはならない。
この男はいずれ全てを滅ぼしてしまう。
そして必ず。
「.....これでまず一つ」
「旦那大変だ!」
「むっ、何事だ」
「ジャコバン派のマラーが暗殺されたぞ、犯人は若い女だ」
「ほう、一体どんな女かね?」
「何でも、上京してきたやつらしいんだが、マラーを殺してすぐに捕まっちまった」
チャーリーは不安に思った。
シャルロットは今カーンにいたはずだ。
だが、彼女ならやりかねないと思った。
だから、確かめねばならなかった。
「それで、そんな女の名は?」
「ああ、シャルロット・コルデーというらしいです、それがどうかしましたか旦那?」
「.....そうか」
ああ、不安が的中してしまった。
やはり彼女だ。
1793年 7月17日
「シャルロット・コルデー、汝をジャン=ポール・マラー氏殺害の容疑者と認め、その罪状により斬首刑に処す」
シャルロットの処刑が決まった。
数時間後 シャルロットside
ごめんなさいチャーリー、約束守れませんでした」
ジロンド派に属するとき、彼と交わした約束。
必ず彼の元に帰ると約束したのに、私は結局。
約束より自分の思想を優先してしまった。
その報いがこれなのだろう、私は今から処刑される。
ああ、最後くらい彼に会いたかった。
「時間です、さあ行きましょうか」
「はい、一つお願いしても?」
「何ですか?」
「逮捕される時にきつく手を縛られて痛かったので、手袋をはめても良いでしょうか?」
「大丈夫です、私は痛みを与えずに縛ることができますから」
「そうですか、ありがとうございます」
私は安心して執行人に手を差し出した。
パリ:コンコルド広場
「さあ、ここから先は目を閉じて行きましょうか」
「あら、何故です?」
「貴女はこれから処刑されるのですよ、その為の道具など見たくないでしょう、それでも目を開けたいですか?」
「ええ、私だって物見高くなっても良いでしょう?、まだ一度も見たことがないんですもの!」
最後くらいは、彼が褒めてくれた私の明るさを誰かに見せつけたかった。
「わかりました、それでは処刑台へ」
「はい」
ああ、やっぱり助けてはくれませんよね。
だって、私は約束を破ってしまったんですもの。
でも、やっぱり最後くらいは、一目彼の姿を見たかった。
「それでは、刑を執行します」
チャーリー、私は貴方を愛していました。
仕掛けが作動し、彼女の首が刎ねられようとしたその時、奇跡は起こった。
「何だ?、ギロチンの刃が落ちないぞ」
「一体どうしたのかしら?」
「おい執行人!、早く終わらせろよ」
「騒ぐな、愚かなる民衆どもよ」
ああ、貴方は。
「迎えに来たぞ、シャルロット」
ええ、ただいま...チャーリー
「おかえり、シャルロット」
数分前。
走る、駆ける、翔る、彼女のもとへ、シャルロットのもとにいかないと、僕はひた走る。
彼女のもとへ。
「シャルロットーーー!!!」
現在。
「間に合って良かった、さあ...帰ろうシャルロット」
「ええ、帰りましょう、二人だけの家に」
「貴様、何者だ!」
「邪魔をしないで欲しいものだな、せっかく私と彼女が話しているんだ、部外者は黙っていろ」
「つっ、何なんだお前は、何なんだよお前は!」
「私は、人々に仮面の悪魔と呼ばれる者、この世に蔓延る理不尽全てに抗う者だ、さあそこを退け、貴様とてまだ死にたくはなかろう?」
「僕は執行人だ、命じられた刑は必ず執行しなければいけない、だから、ここで引き下がる訳にはいかない!」
「そうか、ならば退く理由を作ってやろう」
「貴様、一体何をするつもりだ!」
「民衆たちよ、しかと聞け、私はこの世の理不尽に抗う者、そして彼女...シャルロット.コルデーを守る者だ。
故に、私は彼女を害するもの全てを許容しない
民衆が彼女の敵となるならば、その全てを殺し尽くそう。
国が彼女の敵となるならば、その全てを灰に変えよう。
世界が敵となるならば、その尽くを滅ぼそう
私はこの世界が齎す理不尽全てに抗う者、私と敵対するのなら、死線を越える覚悟をするが良い!。
だが、私は敵対せぬ者には寛容だ。
この場で、私に敵対しないのであれば。
私は彼女を連れて、今すぐにでもこの場を去ろう。
さあ、民衆よどうする?。
一人残らず殺し尽くされる道を取るか。
それとも私たちを去るままに任せる道を取るか。
どちらの道を選ぶか、決めるのは貴様らだ」
彼がそう言うやいなや、民衆の反応は早かった。
「嫌だ!、私はまだ死にたくない」
「私もよ!」
「俺だって!」
「だそうだ、私たちはこの場を去らせて貰う」
「待て!、お前は一体何者なんだ?」
「さっきも言っただろう?、私は世界の理不尽に抗い、彼女を守る者、彼女を害する者全てを滅ぼす者だ」
「例えその先に破滅が待っているとしてもか?」
「ああ、私はどんなことがあろうとも彼女を守る、それだけが、私に残された贖罪の方法なのだから」
「...行け、僕は何も見なかった。そういうことにしておく」
「ふっ、殊勝な心がけだ」
この時起こったことを、その場にいたものたちは死ぬまで忘れなかったという。
この事件以降、彼...チャーリー・モロウはシャルロットと共に姿を消した。
その傍らには、かつて彼と出会い、母を魔術協会によって失ったあの少女の姿もあったという。
そんな彼には一つの通り名がついていた。
『悪魔』
奇しくも、正史においてシャルロット.コルデーにつけられた通り名の、全く逆のものであった。
彼の手によって殺害されたジャコバン派の党員は数千にも達し、そのあまりにも残虐な手口からこの通り名がついたという。
彼女を守る為とはいえ、その罪は重く。
彼は罪悪感に押し潰されそうだった。
その贖罪の為に、あんな荒唐無稽なことを言ってみせたのだ。
数年後。
???「父さん、お母さんが呼んでるよ」
「ああ、今いくから少し待ってくれ」
「お父さん何をしてるの?」
「この場所を長く保つ為の補修さ、形あるものはいつか壊れるんだよ、でも大切にすればそれを遅らせることができる」
「ねえお父さん、私にもできるかな?」
「ああ■■、お前にも必ずできるよ」
「うん!、私きっとお父さんみたいになる」
「ハハハッ、それじゃお母さんのところに戻ろうか」
「はあい」
皆さん、1700年代 68年~93年編は如何でしたか?。
お楽しみ頂けたならさいわいです。
物語は一つの終結を迎えた。
彼が選んだ結末、それは愛しいものを守ること。
それだけが、彼に残された唯一の贖罪の方法なのだから。
だが、物語は次の段階を迎える。
次回 Fate/Grand Order編 開幕