最近は色々と忙しいことがあって、こちらのサイトには、あまり顔を出していませんでした。
実は、カクヨムのイベントに作品を投稿していました。
では、遅くなりましたが、物語の続きをどうぞ!。
「ああ、取り敢えずは...さっきまで君がいた町の支配者の所へ行かないと」
「危ないから近づくなって言いませんでした?」
「あの時はタイミングが悪かったんだよ、丁度彼が昔の記憶を思い出しているところだったからね」
「昔の記憶?」
「あの場所を支配している男...間桐雁夜は、聖杯戦争のマスターの一人でね。
悲しいことに、戦いに破れただけでなく。
その身を蟲に食い尽くされ、挙げ句の果てには死体すら残らなかった」
「そんな...酷い!?」
「そのせいで、彼は定期的に発作を起こすんだ」
「ああ、つまり...タイミングが悪いというのは」
「彼の発作が起きる周期が、丁度来ていたのさ」
「それなら、今も近いたら危ないのでは?」
私はこの時恐怖していた。
そんな発作を起こす男に近いたら、すぐに襲われてしまうのではないのかと。
「大丈夫、幸いなことに、彼の発作は比較的すぐに治まるんだ。
よほど彼の記憶を刺激しない限りは大丈夫さ。
今ごろ、発作が治まって落ち着いている筈だよ」
「比較的?、他にもその雁夜さんのような状態の人がいるってことですか?」
「ああ、君がこの世界で起こっている異変を解決したいなら。
間違いなく彼らにも会う必要があるだろう。
なにせ、この世界は彼らの記憶で成り立っているからね」
「...?」
「今は気にしなくて良いよ...さあ、行こうか」
「わかりました」
今はまだ、その時ではない。
今はまだ...な。
AM11:25 市街地
「相変わらず仰々しい町だねぇ、まるで鉄の森のようだ」
「やっぱり、昔の人からしたら現代の町って、とても不思議に見えるんですね」
「ああ、僕が生きていた時代は、まだジロンド派とジャコバン派の人間が、いつも争っていた時代だからね」
「ジロンド?、何ですかそれ?」
「流石にそこは、現代じゃあまり有名じゃないようだね。
まあ、フランスで起こったことだから、日本人の君があまり知らなくても無理はない。
むしろ、あんなものは、君たちのような年代の人間が知らなくて良いものだよ。
出来るなら、若者にはあんな酷い時代は知らないでいて欲しい」
「よほど酷い時代だったんですね」
「少なくとも、僕にとっては最悪な時代だったよ...さあ、目的地に着いたぞ」
「あれが、例の間桐雁夜ですか...随分と平方な見た目してますね」
「まあ、厳密に言えば、彼は魔術師ではなく魔術使いだからね。
元はただの一般人だよ。
聖杯戦争に参加した理由も、知り合いの娘を助けたいからという。
魔術を使う者たちの中では、しごく真っ当なものだ」
「そんな人が、何故こんなところに」
「さっきも言った通り、彼は聖杯戦争に敗れ、最後は体を蟲に食い尽くされてしまった。
挙げ句、助けたかった少女は、心も体もボロボロのまま。
そりゃ此所に来てしまうさ。
それだけの理由があるのだから。
全く、現代も中々に酷いようだな」
「そうですね...どうやら、彼の方もこちらに気づいたようです」
「そのようだね、じゃあ久しぶりにお話といこうか」
『何のようだ?』
「久しぶりだねぇ、雁夜君...君の調子がおかしいと聞いてね。
こうして確認しに来たのさ。
で、最近はどうだい?。
どうやら、発作の頻度が多くなっているようだが」
『最近...よく思い出すんだ。
桜ちゃんを助けてあげられず、挙げ句の果てに自分は爺の蟲に食われてしまった。
あの時、本当はどうしていれば良かったのかと。
そればかりが頭によぎるんだ。
ああ、何故だ...何故僕ばかりがこんな目にぃ!』
「落ち着くんだ雁夜君、このままだと...そう遠くないうちに
『はぁ...それでも構わないさ、俺はもう存在している意味すらない。
あの子を、■ちゃんを守れなかった僕にはね』
「...間桐雁夜、君はそれで良いのか?。
確かに、君の願いは最後の最後で砕けてしまったんだろう。
だが、まだ君は存在している。
ならば、せめて自らの志だけは忘れるな。
それを忘れた時、君は君でなくなるだろう。
その時は、私が君を殺そう...それが引き留めた私に出来るけじめというものだ」
『もう遅いさ、俺の記憶は...もうほとんど残っていない。
どちらにせよ、近いうちに"資格無し"と判断されて、この世界からも消去されるだろう。
それなら、いっそ虚人になった方がましだ。
少なくとも、僅かでも記憶は残るのだから』
「そうか、残念だよ雁夜君...君とは、もう少し話がしたかった。
私は、また救えなかったというわけだ。
せめてもの償いだ...私に与えられた権限を使い。
君が失った願いの先を見せてあげよう」
『何だと、そんなことが出来るのか!?』
「ああ、出来るとも...それだけが、この世界で私に与えられた役割だからね。
消え行く者達に最後の安寧を与える。
それが、この世界の本来あるべき姿だった。
だが、この世界を作った魔術師が消えてから...この世界は変わってしまった。
安寧を与える筈が、逆に記憶を奪うようになり。
そして、ついには虚人を生み出してしまった」
『あんたのせいじゃないさ、あの魔術師は自らの意思でここを去った。
全てを放り出して、あげく
もし、"あの女"が俺の前に来たら...今度こそ八つ裂きにしてやる!!!』
「...始めよう、これが君の見る最後の夢だ」
「終わったか...雁夜、君がどんな夢を見たかは敢えて聞かないでおこう。
そして、お別れだ」
「えっ?」
「彼はもう限界だ...存在を維持する為の記憶。
その全てが無くなりかけている。最早、虚人になるのは時間の問題だ」
「さっきから言ってる虚人って、一体何なんですか!」
「虚人は、自分の存在を維持する為の記憶を、全て失った者達の末路だ。
完全に形を保てなくなり、ただの影のようなものになってしまう。
あげく、失った記憶を求めて、他者を襲うようになってしまう」
「...じゃあ雁夜さんは」
「ああ、もう助からない。だからこそ夢を見せた」
「酷い、酷いよ、この世界は安寧を与える為にあるのでしょう?。
なのに、何故こんなことが起きるんですか...」
「マスター、どうやら変異が終わったらしい」
「っ!」
「酷いものを見せてしまったことは自覚している...だが、戦わなければ生き残れない。
さあ、行くぞ。
彼の悪夢を終わらせよう」
どうも、森の翁です。
しばらくの間、執筆から離れておりましたが、本日から投稿を再開しました。
不定期ではありますが、これからも更新を続けていくつもりです。
では、次回をお楽しみに。