【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景 作:イナバの書き置き
今更ですが日間ランキングにも載りました。これも読者の皆様の応援があればこそです。これからも励んで参りますのでよろしくお願いします。
なんやかんやで開かれたパーティーも、遡ること1時間前には食べるものもなくなりお開きとなっていた。
隅っこで大人しく食事を取るだけのつもりだった私もウォズさんに引っ張りだされ勇者の皆にもみくちゃにされる事となった。
……ソウゴさんや高嶋さん、皆で騒ぐのも、思ったより悪くはなかった。
とは言え片付けも済んでしまえばあんなに騒がしかった部室も静かなものである。
後は──
「……疲れた。でも、後は寝るだけ……」
思わず口に出てしまう。だがそう、後はいつも通りソウゴさんの部屋に行って寝るだけだ。彼の温かい手の感触と共に眠りにつくのが至福の一時と化していた。
重い足を引き摺ってなんとかソウゴさんの部屋の前に辿り着く。
扉に手をかけ、引こうとしたその時──
『昔はさぁ……良かったなぁ……』
『……あの頃はゲイツ君や、ツクヨミ君もいたからね』
「ソウゴさんとウォズさん……?」
2人の話し声が漏れている。私は何となく割ってはいるのが躊躇われて、聞き耳を立ててしまう。
『そうだね……今の俺はゲイツと、ツクヨミに作ってもらった。2人がいなければ俺はきっとここにはいなかった』
『……後悔しているのかい、我が魔王。2人共、助けられなかった……』
『後悔なんてしない。俺はゲイツに誓ったんだ。もう止まらない、この手で救えるものは全部救ってみせるって』
『我が、魔王……』
──聞くべきではなかった。
助けられなかった人達。失った仲間達。それらを背負ったソウゴさんの悲壮なまでの覚悟をこんな生半可な気持ちで聞くなど、到底許される事ではなかった。今日は自分の部屋で寝よう。部屋から離れようとした私をソウゴさんの言葉が縫い止めた。
『千景もだ』
『彼女が……? 何か抱えている様子ではあったが……』
『あの子は誰かから愛された事がないんだ。だから引き取った。世界は素晴らしいんだって見せてあげたかった。
でも、本当に愛を与えてやれたか分からない。
俺を愛してくれたあの人達の……父さんや、母さん、おじさんの様にやれているか分からないんだ、ウォズ……』
『────』
『だから頼むよ。ウォズもあの子を見てやってくれない? 寂しさなんか、感じる暇も無い位楽しさで埋め尽くしてあげたいんだ』
『……我が魔王が、そう仰るなら。それがあなたに着いていく事の出来なかった、私の償いです』
『……ウォズが、気にする事なんてないのに……』
ソウゴさんとウォズさんの会話に、涙が溢れた。
ソウゴさんは人を救わんとするばかりに、他人を愛する事を見失ってしまったのだ。
それでもまだ私を救おうと身を削り続けている。
「ごめんなさい……ごめんなさいぃ……!」
嗚咽が漏れる。そうした所で誰に聞こえる訳でも無ければ何かが解決する訳でもなかったが、許しを請わずにはいられなかった。
私は彼に傷つき、人の愛し方を忘れても尚愛する事を強要している。
なんと言う外道! なんと言う畜生! どう罵っても足りる事等無い。
謝った所で許される訳なんて無い────!
ウォズさんが立ち上がり、部屋を出ようとする気配を感じる。
──ダメだ。今顔を合わせたらソウゴさんはまた私に優しくするだろう。
私は逃げる様に走り去るしかなかった。
「あれは、千景君……?」
コメントで期待して下さった皆様には申し訳ありませんが当面ゲイツとツクヨミの出番はありません。
・常磐ソウゴ
数話ごとにぐんちゃんを泣かす魔王がいるらしいッスよ。サイテーですね。それはそれとして重い覚悟を背負っている以上止まることも出来ない。かつての仲間ももういない。
・郡千景
ソウゴの善意があまりにも辛い。別に悪い事なんて何もしてないと思う。もっと幸せになれ。
・ウォズ
従者。オーマジオウとして放浪するソウゴを止められなかった事が後悔と罪の意識になっている。