【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景 作:イナバの書き置き
今回はコメントから天啓を受けてウォズと棗の話です。
UA20000突破&お気に入り400突破ありがとうございます!
「古波蔵棗、戦闘を開始する。人類の敵……花により散れ!」
「ふむ、ならば私も手伝わせて貰おう。後ろは守るから存分に暴れたまえ」
「助かる」
今日も、ウォズと組んで戦う事となった。前回もそうだったし、きっと次もそうなのだろう。
私、古波蔵棗から見てこのウォズと言う人間は、何を考えているのか見当もつかない人だった。私が召喚された時からやたら関わる事が多く、気が付けば2人で連携して戦うのが当たり前であるかの様に扱われていたし、実際そうなる事に居心地の良さを覚えていた。
彼は、特に細やかな所にフォローが利く人間である。私が普段着ている私服は彼とソウゴが選んだ物だし、暇があれば料理を作りに来る事もある。負担になっているのでは、と問えば
「君が気にする事ではないよ」
と適当にはぐらかされてしまうのである。ウォズは言ってみれば掴み所の無い、風の様な人間であった。
私自身にとって最適なアドバイスを与える『海の神』に聞いてみても「悪人ではない」程度の当たり障りの無い答えしか返って来ず、上手く言葉に表せない感情をもて余していた。
そんな飄々とした彼が最近悩んだ様な表情をよく見せる。
料理の時、勇者部として人助けをしている時、戦闘が終わった後。仮面で隠されて見る事は出来ないがきっと戦闘中もそうなのだろう。
他の誰もが気付かない所で顔を歪めている。気付いているのは私だけだった。
こう言う時に頼りになる風は忙しい様だし、頼れるのは────
「ははぁ、それで私って訳ですか」
「すまない……」
秋原雪花。私と同じ時期に召喚された、私が戦っていた沖縄とは真反対の土地、北海道から召喚された勇者にラーメンを奢る事で相談に乗ってもらった。
「別に良いんだけどさぁ……正直私もあの人が何を抱えてるのか知らないよ。でも……何となく分かる。ウォズは自分を見失いそうになってる」
「なぜ……?」
「さあ……。そこまでは私にも分からない。まあ、直接聞きにいってみれば良いんじゃない? て言うか普段の棗さんならそうするでしょ?」
「そう、だが……」
それは何度も考えた。だが、彼の抱えている『何か』に私が安易に踏み込むべきなのか。そう思ったら動く事が出来なかった。
「まあいいや。麺が伸びるし早く食べちゃいましょうよ」
「……そうだな」
全くもって、私らしくない。
「何故、私を呼び出した」
「それだけ悩んでいる顔をされたら気にもなるよ」
私がウォズに問い掛ける機会を伺っていたら、逆に彼に呼び出される事になった。しかも表情で悩んでいる事がバレるのにも納得がいかない。彼は相変わらず飄々とした態度で手元に本を抱える彼は、こちらを心配する素振りすら見せた。
──馬鹿にしているのか
などと私らしくない言葉が次々に脳裏に浮かぶ。心配しているのはこちらなのだ。大人しく悩みを教えて貰う。
「ウォズ……あなたは何かに悩んでいる」
「何……?」
「他の人には隠せている、だけど私には分かる」
「その様な事は────」
「嘘を言うな。そんな言葉で私の目を誤魔化せると思うな……!」
本当に、私らしくない。
普段の私なら激情に駆られてこんな物言いなどしないのに────
頭の片隅で考えながら、しかし目の前のウォズから視線を逸らさない。
きっと、これを逃したら次はない。ウォズが自分から話す機会を与えると言う事は私に何か伝えたいのだ。是が非でも逃すつもりはなかった。
ウォズはしばし沈黙した後、手元の本を少し見つめ、そしてまた口を開いた。
「……すまない。本当に話す事は出来ないんだ」
「どうして……!」
「私が
「だが────もし私に逢魔降臨歴を捨てる時が来たなら、その時は君に話したいと思った」
「どうして……」
何故なら私なのか、見当もつかなかった。
これまでの生活、これまでの連携。そのどれもが彼にとって当たり前のモノである筈だ。私に拘る理由が分からない。
「君は、何か勘違いしている様だが」
「そうだな、私は君の後ろを守るのも、中々悪くないと思っている」
「は──────?」
「無論最優先するのは我が魔王だが」
ウォズは言いたいだけ言って去っていった。1人残された私は、暫くその場から動けそうになかった。『海の神』に聞いても、この胸に残る感情は答えてくれそうになかった。
・ウォズ
ン我が魔王の従者。魔王LOVEだけど棗の世話するのも悪くないね…。て言うかこんなに棗と絡むの絶対我が魔王が未来弄ってるでしょ…。
・古波蔵棗
海の声を聞く不思議さん。だけどウォズに関してはあんまり海が当てにならない。ちょっとときめいちゃう。
・秋原雪花
言動はふざけ気味だけど良い人