【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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本日分は番外編です。
時系列はカプリコーン撃破後、遠足前となっております。
一応花結い編の後の話です。

また私用により今週のこれ以上の更新は難しいです。加えて申し訳ないのですが長期に渡って不定期更新となる事が予想されます。本当に申し訳ありません。


【番外編】 神世紀298:青空を見上げて(前編)

 アタシ、三ノ輪銀が『それ』を手にしたのは、7月初頭のある日だった。

 

 お役目で一緒にバーテックスと戦う仲の須美、園子とは神樹館で別れ、1人家に帰る途中だった。

 夏の暑さに汗をかきながら夕暮れの道を駆ける中、道端に落ちていた『それ』が目に入り、拾ったのは偶然なのか、それとも運命だったのか。

 

「……なんだコレ。時計かな」

 

 道の真ん中に、灰色の()()()()()()()()物体を見つけ、拾い上げてしげしげと眺める。

 

 ──誰かが落として行ったのかな。まあ交番に届けておくか──

 

 家では腹を空かせた弟たちが待っている。早く帰ってご飯を作ってやらねばならないので、さっさと交番に届けてしまうとしよう。

()()()()()()()()()()()()時計をポケットに突っ込みながら、そんな事を考えた。

 

 

 

 

 弟達を寝かし付け、自分も明日の学校の支度をする。

 ただでさえ自分の不幸体質によって遅刻が多いのだ。今日も不自由なおばあさんを手伝っていたら遅刻してしまった。だったら早めに準備しておくに越したことはない。

 国語、算数、社会────明日の授業で使う教科書を詰め込もうとして、ランドセルの底に何かが落ちているのを見つける。取り出して、自分の目を疑った。

 

「な、なんで……? 交番に届けたのに……」

 

 驚くべきことに先程拾い、交番に届けた筈の時計がアタシの手に握られていた。

 一体どういうことなんだ。不気味に思い時計をゴミ箱に投げ込もうとした瞬間、目映い光を時計が放った。

 

 

 

 

 

 目を開ける。何もない、真っ白い空間に立っていた。

 

「どこだ、ここ……」

「ごめんね、急に呼び出しちゃって」

「ひゃっ! ……アンタ、誰ですか」

 

 突然後ろからかけられた声に驚き、情けない声と共に飛び上がってしまった。声をかけたのは、なんと言うか、どこにでもいる、陽気そうな青年だった。

 

「俺は五代雄介、はいこれ名刺ね」

「あ、ありがとうございます──じゃなくて! 一体アタシに何をしたんですか!?」

 

 穏やかな雰囲気で名刺を渡された事で気を良くしてしまったが、油断してはならない。こんな不思議空間にアタシを呼び込む相手が只者である訳がないのだ。

 

「えっとね、君はお役目でバーテックスと戦っているでしょ? それで少しでも力になりたくてね……」

「え、あ、ありがとうございます……」

 

 思ったより良い人だった。失礼な事を考えた私に少し微笑み、五代さんは話を続ける。

 

「俺は君に話をする事しか出来ないけど、それが君の糧になってくれれば嬉しいかな。ソウゴ君から聞いてるでしょ?」

「へ? 誰ですかソウゴって……」

 

 五代さんが少し驚いた顔をして考え込んだ後、また表情を微笑に戻した。

 

「まあ良いや、兎に角俺はソウゴ君に君の支えになって欲しいって言われてるから、話を聞くだけ聞いていってほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが俺の、俺と一条さんの戦い。俺は皆の笑顔を、守りたかった。それだけなんだ」

 

 五代さんの話は悲しいモノだった。なまじ会話が可能なのに和解は出来ない相手との戦い。犠牲が出てからしか対策を立てられない苦しみ。そのどれもがアタシの心を締め付けた。

 

「君は、どうかな。何かの為に戦えてる?」

「アタシは────」

 

 アタシは一体何の為に戦っているのか。

 五代さんの問いに、真っ先に弟たちの笑った顔、そして須美、園子、安芸先生や皆の顔が思い浮かぶ。皆の為なら、どんなに苦しくても戦える。

 

「アタシは、周りの人の笑顔の為に戦ってる。貴方程強くはなれないかもしれないけど、戦い抜いてみせる」

「……うん、分かった」

 

 アタシの答えを静かに聞き終えた五代さんは、ゆっくりと息を吐いた。そして、アタシの右手に何かを握らせた。五代さんの体が少しずつ透けていく。

 

「ご、五代さん! 体が──」

「大丈夫。俺もこの空間には呼び出されただけだから、元の世界に戻るだけだよ。

 ────君のその答えを聞けて良かった。ソウゴ君が見込んだ通りだ」

「全然何言ってるか分かんないですよ! ちゃんと説明して下さい!」

 

 いきなりアタシを呼び出した優しい人。仮面の下で泣きながら戦い続けた人。アタシはもっともっと、この人の話を聞きたかった。

この人は、アタシにとって大切な『何か』を託してくれているのに────

 

「そうだ。ソウゴ君から伝言を預かってた」

「な、何ですか────」

「『これから君の想像を絶する戦いがある。だけどどうか諦めないで欲しい』だって」

「教えて下さい! そのソウゴってのは一体誰なんです!?」

「大丈夫。君は忘れてるだけだ────」

 

 視界が徐々に白く染まっていく。

 待って。まだ聞きたい事が────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開ける。

 アタシは自分の部屋で、ランドセルの前に突っ立っていた。一瞬今までの出来事は夢なのかと思ったが、右手に握られた『それ』を見て、笑った。

 

「ふふ……五代さん、アタシも皆の笑顔を守れるよう、頑張りますから」

 

 灰色の時計は消え失せ、赤と黄の、古代の戦士が描かれた()()()()()()()へ変化していた。

 

 

 

『古代のベルトで超変身! 笑顔を守るライダーは……クウガだ!』




・三ノ輪銀
カプリコーン後。遠足前。ゆゆゆいと召喚された時系列に矛盾が発生しない…と思う。誰かの為に戦える強くて優しい子。五代との対話を経て人間的に成長したかも…?

・五代雄介
ソウゴに頼まれ銀ちゃんと話し合い。グロンギが会話可能な分単純にバーテックス相手するより辛いと思う。銀にクウガライドウォッチを託す。

・常磐ソウゴ
銀ちゃんにライドウォッチを渡した様だが…?
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