【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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更新です。
今回かなり苦しい所がありますが、ちゃんとつづきます。


花結い編 第十三花 魔王再び

 仮面ライダーバールクス。

 

 かつて私が『最低最悪の魔王』の記憶で垣間見た、彼が『最低最悪』になる切欠となるその邪悪が、今私達の前に姿を現した。

 

「ふむ……ウォズ、お前は()()()()だと思ったが?」

「ッ──」

 

 唐突にバールクスから問いかけられたウォズさんは顔を俯け、沈黙を守るばかりだった。

 いや、そもそも『こちら側』とはどういう事なのか。ウォズさんは私達を裏切っていた──? 

 疑問が私の脳を埋め尽くす。

 

「まぁいい。で、お前が郡千景か。……ふぅん」

 

 ウォズさんの様子に1人で納得した様子のバールクスが、此方に顔を向ける。深紅の『ライダー』の文字が私を捉え、まるで値踏みするかの様な目線を受ける。

 

 ──動けない

 

 ただ見られただけなのに、とても動ける気などしなかった。バールクスの全身から発せられる気迫が否応なしに格の違いを認識させる。私ではまるで歯が立ちそうにない。

 やがてバールクスは面白くなさそうに私を目線から外し、ソウゴさんと相対した。

 緊張の糸が切れ、思わずホッと一息ついてしまう。

 

「この世界では初めましてと言っておこうか、常磐ソウゴ」

「あぁ、この世界ではあんたと初対面だ。──それで、一体何の用?」

「つれないな。俺とお前は共にあの世界で西()()()()()()()()仲じゃあないか」

 

 全員が息を飲む。

 ソウゴさんが、西暦に幕を引いた? 

 そんなのあり得る訳がない。

 今まで必死に戦い続けたソウゴさんが、お前の様な邪悪に加担する訳がない────! 

 先程まで気圧されていたのも忘れて、私は怒声を上げた。

 

「ふざけないで! ソウゴさんが……ソウゴさんがそんな事する訳ない! あなたと一緒にするな!」

「お前にとって未来の出来事でも、俺にとっては過去の出来事なんだがなぁ……」

 

 まるで大したことではないとばかりに言い捨てるバールクスに、もはや言葉で表す事が出来ない程の怒りが渦巻き、いっそ斬りかかろうかと思った瞬間、再びバールクスが此方を向いた。

 

「あぁそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「面白かったぞ。お前達の家族ごっこ」

 

 

 

 ──────────は? 

 

 

 

「ふむ。どうせだから全部言ってしまおうか」

 

「郡千景。何故お前を常磐ソウゴが引き取る事になったのか」

 

「何故常磐ソウゴがお前の虐待に気付く事が出来たのか」

 

「そもそも何故常磐ソウゴがあの世界に呼び寄せられたのか」

 

 

 

「その答えはただ1つ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────全て、俺が仕組んでいたからだ」

 

 頭が真っ白になった。

 この男は、常磐ソウゴを騙るこの邪悪は、一体何を言っている。

 私と、ソウゴさんの生活が、あの安らぎに満ちた1年間が、『ごっこ』だったと? 全て茶番だったと言うの? 

 

 気が付けば大葉刈を両手で握り締め、バールクスに振り下ろそうとしていた。

 思考がぐちゃぐちゃになった頭とは裏腹に口は勝手に呪詛の言葉を吐き出している。

 

「死ね。私の大切な思い出を汚すなら、死ね」

 

 そう、この激情に任せてこいつを引き裂き、2度とふざけた事を言えない様にしてやる────

 

「話は最後まで聞け」

「うぁっ────!?」

 

 虫を払うかの様に振られた片手で弾き飛ばされ、惨めに樹海に転がされた。

 あまりの苦しみに、そして最初から此方など歯牙にもかけていない事に対する悔しさに涙が溢れる。

 

「俺が常磐ソウゴをあの世界に呼び寄せたのは天の神に対抗する為だ。

 それだけのつもりだったんだが、勇者適性を持つ者の親族と言う絶好の立ち位置に『配役』されたみたいだからな。少し細工して交流する様に誘導してみたらこんな事になるとは思わなかった」

「例えあんたが何を仕組んだとしても俺は千景を引き取った事に後悔なんてしない。あんたに笑われるつもりもない」

 

 ソウゴさんが私を庇う様に移動しながら静かに返す。ソウゴさんらしくない強い語調で喋っている。

 今の発言は彼の怒りにも火をつけたらしい。

 私を置いて、2人の舌戦が続く。

 

「それに天の神に抵抗しようと言うなら、あんたはなんで造反神に付いた」

 

 そう、そうだ。

 怒りで我を忘れていたが、重要なのはそこだ。天の神に反抗しようと言うのにこんな事をする意味が分からない。

 

「なぜ、か」

 

 少し言葉に詰まるバールクスにソウゴさんも怪訝な顔をしたが、直ぐに真顔に戻る。

 

「もしお前が未来を見たならば、理解出来る筈だ」

「……どういう事?」

「話す気はない。今日は挨拶に来ただけだからな。神世紀の勇者がどの程度のモノか知りたくもあったが……」

 

 そう言って意識を失い倒れている勇者達を一瞥したバールクスは、私達に背を向け、歩き出した。

 私とウォズさんは、呆然として見送るだけだった。

 ソウゴさんは、追いかける様に走り出した。

 

 

 ──ソウゴさんだけが、動いてしまった。

 彼のジクウドライバーが変質を始める。

 

「この場で始めるつもりか?」

「あんたが『何』か分かっていて見逃す訳ないでしょ」

 

 一瞬の内にジクウドライバーを黄金のベルトに変化させたソウゴさんを見て、ウォズさんが血相を変えて叫ぶ。

 

「我が魔王! それは駄目だ。今オーマジオウになったら────」

「ウォズ。君が『あちら側』だったなら分かる筈だ。例えこの世界から弾かれたとしても奴を逃しちゃいけない。ここで決着を付ける!」

「ソウゴさん! 待って────」

 

 私とウォズさんが制止する間もなく、黄金のリングがソウゴさんの周囲に展開される。

 

「変身…!」

 

『祝福の刻!』

 

 

『最高』

 

『最善』

 

『最大』

 

『最強王!』

 

『オ ー マ ジ オ ウ』

 

 黒と金の装飾で彩られた魔王がリングを破壊して顕現する。

 バールクスと同じ深紅の『ライダー』の文字を私達に一瞬向け、駆け出す。

 

 最早私達には止める事の出来ない、崩壊へのカウントダウンが始まった。




・常磐ソウゴ
バールクス追撃の為に魔王に成る。どちらか一方が引かない限り神樹が崩壊するまで戦いは続くだろう。

・常磐SOUGO
王位の簒奪者。2人が西暦に幕を引いたのは紛れもない事実。そして神世紀に思う所があるのも事実。それにしたって千景への精神攻撃が邪悪。どちらか一方が引かない限り神樹が崩壊するまで戦いは続くだろう。

・郡千景
思い出を汚される。
この辺に数話に一回ぐんちゃんを泣かす作者がいるらしいっすよ。サイテーですね。

・ウォズ
今は我が魔王の臣下なので…
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