【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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前回から少し書き方が変わっています。
今までの方式とは変わり読みづらくなっているかもしれませんが、よろしくお願いします。


花結い編 第十五花 暗澹

「……」

 

 勇者部の誰1人として、この重苦しい空気を打ち砕く事は出来なかった。

 仮面ライダーバールクスの出現、赤嶺友奈の奇襲、そして常磐ソウゴがこの世界から弾き出されたと言う事実は皆の心に暗い影を落としている。

 年長者、そしてそう長い期間ではないが心を通わせた人間の末路を聞けば閉口せざるを得なかったのだ。

 そして、バールクスに対して戦闘が始まる以前に戦闘不能に追い込まれた事も勇者部に重圧を感じさせる一因となっていた。

 オーマジオウとの戦闘で浅くはない傷を負った事から、当面バールクスが戦闘に現れる事は無いだろう。

 しかしこれから先再び彼が自分達の前に立ち塞がった時、果たして勝てるのだろうか。

 ──いや、そもそもまともな戦いになるのだろうか。

 戦闘前に完膚なきまでに叩き潰された経験が、全員を萎縮させていた。

 

「千景君は眠った様だ」

「そう、ですか。ありがとうございます、ウォズさん」

 

 部室に集った全員がホッと一息つく。

 

『皆ぐんちゃんを止めてぇ!』

『離して! 離しなさい! ソウゴさんがいない世界なんて、そんなの──!』

 

 そう言って常軌を逸した様子の千景が単独で戦いに向かおうとするのを勇者部総出で取り抑えたのも1時間程前の出来事となる。

 最終的にはウォズが千景に何か囁くと動きを止め、やがて眠る様に気絶したたので、一旦寝かせて落ち着くのを待っていた次第である。

 

「礼には及ばないよ、上里君。それより今私達が考えるべき事は、造反神側の戦力についてだ」

「ええ、勿論です。ですが──」

「仮面ライダーバールクスについて、だろう? わかっているよ」

 

 勇者部の疑問を始めから理解していたかの様にウォズは語り出す。

 バールクスの来歴、クォーツァーと言う組織、『常磐SOUGO』について、その全てが1つ残らず打ち明けられた。しばしの沈黙の後、若葉が口を開く。

 

「成る程、概ね理解出来た。常磐さんに成り代わり平成をやり直すなど、荒唐無稽としか言えないが説得力はある強さだった。

 ──ですがウォズさん、その貴方はなぜ常磐SOUGOに詳しいのです?」

「そうね、クォーツァーとやらの構成員に至るまで全部話してくれたけど、それじゃまるでクォーツァーに所属していたみたいな口ぶりじゃない?」

 

 若葉の疑問に賛同した風が、ウォズに疑念の目線を向ける。

 ウォズは直接クォーツァーと戦った事も無いと言うのに、妙に内情に詳しい。勇者部も疑問を隠せなかった。

 ウォズはふっと自嘲気味に笑みを浮かべ、言い放つ。

 

「──それは勿論、私が元クォーツァーだからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こんな所にいたのか、ウォズ」

「棗君か」

 

 棗は、讃州中学の屋上で手すりにもたれ掛かって夕焼けを眺めているウォズを発見した。

 声をかければ先程部室で見せた自嘲混じりの笑みを再度浮かべ、手元の本を開きながら問いかけてくる。

 

「私が元クォーツァーだと知って失望したかい?」

「……いや、別に」

 

 棗にとってはウォズがかつてクォーツァーに所属していたかなどどうでも良い事であった。

 今のウォズはこちらに付いているのだから問題無いし、かつて罪を償うと言ったウォズを棗は信じてもいる。

 そう、そんな事より────

 

「常磐ソウゴをこの世界に引き戻す方法はあるのか?」

 

 棗にとって重要なのは常磐ソウゴを呼び戻す事が出来るか否かである。現状バールクスに対応する事が出来たのはオーマジオウただ1人である以上、彼を引き戻す事が出来る手段を持ち合わせている可能性を模索するのは当然であった。

 そしてそれ以上に、棗が危惧している事があった。

 

「このままでは……千景が壊れる」

 

 棗はやや天然な側面もあるが他者への思い遣りや気配りは良く出来る少女である。故に現在の千景の精神状態から、遠くない未来彼女の心が壊れる事を警戒していた。

 

「あなたなら、何か解決法を知っているのではないかと思った」

「……無い、とは言えない」

「だったら────」

「だが!」

 

 何らかの策を持っているのに妙に歯切れの悪い姿に、苛立ちを滲ませた棗だったが、珍しく声を荒げるウォズに息を呑む。

 

「だが、この策が成功するとは限らない。失敗すれば確実に千景君は壊れる」

「だとしても、このまま徐々に壊れていくのを待つのか? あなたはそう言う人間ではないだろう」

 

 ──本当に、ウォズらしくない

 

 かつて棗自身が感じていた事を彼にも感じる。本当に、ウォズらしくないのだ。

 普段の彼ならば多少のリスクを伴う作戦であっても飄々とした様子で言ってのける筈だが、今回は頑なに自らの考えを話そうとしない。

 そこまで話せない理由があるなら仕方がない、と考えた棗はこの場を立ち去ろうとしたが、突如物陰から現れた高嶋友奈を見て二の足を踏んだ。どうやら盗み聞きしていたらしい。

 

「お願いします!」

「何を──」

「お願いします! ぐんちゃんを助ける方法があるなら、ソウゴさんをこの世界に呼び戻す事が出来るなら、教えて下さい!」

 

 飛び出すなり嘆願を始めた高嶋に流石のウォズも棗もたじろいだ。ボロボロと涙を溢し、今にも地面に頭を擦り付けそうな勢いで『お願いします』の一言を叫ぶ高嶋友奈にウォズは顔をしかめる。

 

「……私とて、何の考えも無しに黙っている訳ではないのだけれどね」

「それでも、今ぐんちゃんを、私の()()を助けられるのはウォズさんだけなんです! だから、お願いします!」

 

『友達』の一言にウォズが動きを止める。落ち着きを失くし本を無為に開閉し、何か言葉を発しようとして止める、といった行為を繰り返した。

 やがて諦めた様に息を吐く。

 

「……分かった。高嶋君の情熱に免じて、私の策を話すとしよう」

「────ありがとう、ございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先ずは、我が魔王がどういう状況なのか確認しよう」

「仮面ライダーバールクスとの戦いでオーマジオウに変身してしまい、その結果この世界から弾かれた──ですよね?」

 

 まず行われたのは話の要点を整理する事だった。

 常磐ソウゴに一体どういう理由で何が発生したのか、全体像を正しく捉えなければ問題の解決など夢のまた夢だ。

 

「そうだね。重要なのは『弾かれた』と言う点だ。

 最初に我が魔王がこの世界に現れた時の様に、彼は自らの力だけで世界、時間軸を移動出来る。

 つまりただこの世界から放り出されたなら自力で戻ってくる事も可能と言う訳だ」

「だが戻って来ないと言う事は、何かに妨害されている、と言う事か?」

「棗君の言う通りだ。我が魔王は神樹の力でこの世界へ侵入する事を妨げられている」

「やっぱり神樹、様が……」

 

 神樹がソウゴの帰還を妨害している、と言う事実は揺るぎない物であった。常に人類の味方である、と無条件に考えていた棗も友奈も、今となってはこの事実を受け入れるしかなかった。

 

「そこでだ。私達が此方から我が魔王を引き寄せる事で、無理矢理妨害を突破する」

「そんな事が可能なのか」

「勿論だ。条件が整えば神樹の妨害等易々と突破できるだろう」

「それで、条件ってなんですか?」

 

 自信満々に言い切るウォズに、友奈が問いかける。

 可能性の話だけしても埒が明かない。友奈が欲しているのは具体的な行動、そして具体的な指針だった。

 ウォズはポケットから灰色の砂時計を模したライドウォッチを取り出し、2人に見せ付ける。

 

 

 

 

 

 

「────千景君に、これを起動してもらう」




・郡千景
一旦暴走するがウォズの手で鎮圧される。■■■■■■■ライドウォッチを起動出来るかが彼女の今後を左右する。

・ウォズ
TVを経たことで『友達』とか『仲間』と言った言葉に弱くなっている。■■■■■■■ライドウォッチを持っていた。

・古波蔵棗
何かウォズらしくないな…と思って声をかける。表情に動きが無いだけでとても優しい人。

・高嶋友奈
友達の危機に居ても立ってもいられない。他者を思い遣り事に長けているのでウォズが何かおかしい事にも気付いている。

■■■■■■■ライドウォッチが出てきました。次回もジオウ、ゲイツ、ウォズを繋げるあのウォッチが出ます。
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