【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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絶望の追い討ちです。
そう言う感じが苦手な方はブラウザバックする事をお勧めします。


花結い編 第十七花 救世主の資格

「それで、ソウゴさんを呼び戻す方法を教えて貰おうかしら」

 

 部室に皆が集合し、着席するなり千景は言い放った。対面するウォズは懐から大型のライドウォッチと砂時計型のライドウォッチ、2つを取り出し、机の上に置いた。

 

「まず、我が魔王を呼び戻すに当たって必要なのはこの『ジオウトリニティライドウォッチ』だ」

 

 大型のライドウォッチを手に取り全員に見せ付けたウォズは、机に戻し、千景に説明を続けた。

 

「このウォッチを使用して変身するジオウトリニティはジオウ、ゲイツ、ウォズの3人が合体する形態だ。だから起動した時には変身者が他2人を強制的に召喚出来る。

 ──例え別世界や、異なる時間であってもね」

「つまり、私かウォズさんがこのウォッチを使用する事でソウゴさんを呼び出す、と言う事ね」

「そうだね。だが、現在このウォッチは機能を停止している」

 

 そこまで言ってウォズさんは砂時計型のライドウォッチを手に取る。

 

「原因はこの『ゲイツリバイブライドウォッチ』。このライドウォッチを起動する事が機能回復に必要だ」

「ゲイツ……? と言う事は千景が使うライドウォッチか。ウォズ、お前は何故今まで千景に渡さなかったんだ?」

 

 ライドウォッチの名前に反応した若葉は、ライドウォッチをちらりと見た後視線をウォズに向けた。千景が使うのなら既に渡しておくべきではないのか、と言う疑問がウォズに向けられる。

 ウォズは表情を歪めた後、諦めたかの様に語りだした。

 

「理由は簡単だ。今の千景君がこれを使用すれば命に係わる事態を引き起こすからだ」

「……どういう事だ」

「負担が大きすぎるんだ。只でさえライダーへの変身と勇者としての力を同時に振るう事は負荷が大きいのに、リバイブなんて使えば五体満足でいられる保証は無いね」

「……これ、そこまでの物なの?」

 

 千景の疑問にウォズは頷く。肉体が耐えられないから渡さない。成る程合理的な理由だった。

 だが千景の直感がそれだけでは無いと告げていた。

 

 ────ウォズさんは、その程度で顔を歪めたりしない。()()()()()じゃない。

 

 まだ何か隠しているに違いない、と考えた千景の口が思考より早く言葉を紡ぎだす。椅子をはね飛ばす様にして身を乗り出した。

 

「ウォズさん……本当の事を話して」

「私が、何か隠していると?」

「直感でしか無いけど……違う?」

 

 ウォズと千景が睨み合う。

 千景は一歩も引くつもりはなかった。2068年のソウゴと約束を違えるつもりも、ソウゴを取り戻す事を諦めるつもりもないのだ。

 ソウゴの思いと千景自身の思いを乗せた眼差しがウォズを貫く。

 視線を全身で受け止めたウォズは先程以上に表情を歪め、やがて絞り出す様に話し始めた。

 

「……千景君がゲイツリバイブになるには、覚悟を決める必要がある」

「ソウゴさんを助ける覚悟なら、もう──」

 

 

「違う!」

 

 

 突然の怒声に、全員が身を竦める。この様に激情を表すのウォズを見るは棗と友奈以外は初めてだった。

 

「千景君、君は、君は分かっていない。ゲイツリバイブになるのがどういう事なのか!」

 

 ウォズは自らの様相に気付かぬまま千景の肩に掴みかかり、嘆願する様に

 言葉を絞り出した。

 

「ゲイツリバイブになると言う事は──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が魔王を殺す決意を固める事だ 君はそれを理解しているのか?」

 

「────────は?」

 

 千景はよろよろと倒れこむ様にして椅子に戻った。

 信じられない。それに私がソウゴさんを殺すなんて出来る訳がない。

 そう反論しようとするも驚愕から何も言葉が出ず、ただ俯くだけだった。

 黙りこんだ千景の疑問を引き継ぎ、ひなたと友奈がウォズに問い掛ける。

 

「常磐さんを殺す必要がある、とはどういう事ですか」

「文字通りだ。ゲイツリバイブは魔王を殺す決意が固まった時にのみ起動出来る。()()()()()()()()()()()()()ライドウォッチに他ならない」

「そんな、どうかならないんですか!?」

「……そうならなくて済むなら、先に言っているとも。

 ──これだけが、救世主の資格だ」

 

 吐き捨てる様に言い放ったウォズに、ひなたも、友奈も何も言えなかった。

 

「……そよ」

「……千景?」

 

 若葉は、横で俯いていた千景がブツブツと何か呟いているのに気が付く。

 ソウゴがいる間では全く見られなかった姿、それも何か様子がおかしいときたら声をかけずにはいられなかった。

 

「千景、どうし──」

 

「嘘よ」

 

 不気味な程ハッキリ聞こえた声に若葉の背筋が凍り付く。このままではマズい。若葉は直感で理解するも、そう気付いた時には既に遅かった。涙をボロボロと流しながら千景は怒涛の勢いで言葉を吐き出した。

 

「──嘘。嘘嘘嘘。そんな、事。ソウゴさんを殺すなんて、絶対に、出来ない。だって、だって絶対にそんな事あるわけがないそんな事出来る訳ないそんな事してはいけない私がソウゴさんを殺すなんてソウゴさんをこの手にかけるなんてどうしてそんな酷い事を言えるのソウゴさんは思い出をくれたの楽しさをくれたの私も生きていて良いって思えたの私をいいえ皆を助けたのよ絶対おかしいわありえないありえる訳ないそもそもソウゴさんが何でこの世界中から追い出されるの彼は何も悪い事なんてしていないわ私には約束があるの助けなきゃいけないの助けたいのどうして殺す必要があるのどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして────」

 

 壊れたレコーダーの様に言葉を吐き出し続ける千景に、誰も声をかける事が出来なかった。




・郡千景
こんな残酷な事ってありますか?


大変申し訳ないのですが私生活が大変忙しくなっており今までから更に更新ペースが落ちると考えられます。応援しただいている方々には本当に申し訳ないのですがご了承頂けるとありがたいです。
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