【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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お久し振りです。


花結い編 第十八花 救世主への目覚め

「ねえねえ、ウォズっち」

 

「ウォズさん、ちょっといい?」

 

「……今度は君達か、一体何の用だい?」

 

「まだ何か隠してるでしょ」

 

「──」

 

「ウォズっち、仮面を被って偽るのは得意そうだけど、それなら私も負けないんよー」

 

「千景があのままなのも見過ごせないからね、策があるならキリキリ吐いてもらうよ」

 

 

 

 

 

「──やれやれ。こちらに来てから、どうも察しが良い人間ばかりだ。まさかこんなにも早くバレるとはね」

 

「……ウォズさん、結構表情に出てるしね」

 

「うんうん、意外と分かりやすいよー?」

 

「……そうか。とは言え、協力してくれるつもりなら話は早い。私の策は劇薬だが、成功すれば最善の結果が得られるだろう」

 

「そうだな────」

 

 

 

 

 

 

 

 ──悪魔と相乗りする勇気、あるかな? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい……乃木さん……」

 

「いや、別に構わない。私はもう行くが、本当に心配だからちゃんと休むんだぞ?」

 

「ええ……分かってるわ……」

 

 鉛の様に重い体をズルズルと引き摺り、敷きっぱなしにしてある布団に倒れ込む。

 今日も私は自らに苛烈な訓練を課し、気絶するまで自分を追い込んだ末に乃木さんに運ばれる事となっていた。

 当然ながら突然訓練を苛烈な物にしたからと言って急激に強くなる事はなく、寧ろ己のペースを無視した事で大きな苦痛を味わっていた。

 ウォズさんの宣告から1週間が経過した今、この様な自分を虐め抜く様な行為を行っているのは、残酷な現実に立ち向かう決意と背を向け逃げ出そうとする矛盾した思考からだった。

 

 ──仮面ライダーバールクスは「平成ライダー」に対する強固な耐性を持つが、千景君の()()()()()()()形態なら彼の耐性を貫けるかもしれない──

 

 あの日、ウォズさんはそう言って部室を後にした。

 どう言った理屈で平成ライダーへの耐性をバールクスが持つのか全く理解出来なかったが、私にとってはそれが唯一の希望であった。

 バールクスは神でも無ければ不死身でも無い。殺す事は可能なのだ。

 バールクスを倒し、赤嶺友奈を倒し、造反神を倒す。

 それを最短催促で成し遂げソウゴさんを迎えに行くと言う目標を支えに自らを保っているのが今の私だった。

 

 しかし私は、苛烈な訓練をソウゴさんの事を忘れる為に利用してもいた。

 自室に帰っても、部室を覗いても、かつて一緒に行ったカフェを訪れても、何処にもソウゴさんはいない。

 誰かと話している時でも、ふとした拍子に彼の事を思い出し、その度に私は孤独感に打ちのめされ1人泣くのだ。

 だが訓練に打ち込んでいる間だけはそれに必死でソウゴさんの事を忘れられた。訓練が終われば疲労から泥の様に眠るだけなので、彼の事を考える余裕も無い。

 これを現実逃避と言わずして、何と言うのだろうか。そしてそれを自覚しつつも止める事の出来ない自分にも嫌気が差していた。

 高嶋さんも乃木さんも、他の人達も今の私を止めようとしないのはきっとこうでもしないと自分を保てない事を理解しているからだ。

 

「ごめんなさい……ごめんなさいぃ……」

 

 布団の中で体を丸め涙を流す。

 勇者部の皆にどれ程迷惑をかけたか、考えるだけで涙が溢れて止まらない。

 それでも、止められそうにはなかった。

 

 

 

 

 

 

「フン。2週間程待ってみたが、所詮この程度か」

 

 再び始まった徳島での戦いは、私達の予想を裏切り樹海に現れたバールクスによって、一方的に蹴散らされる事態を迎えた。私の攻撃はそもそもバールクスを捉える事すら出来ず、一撃で地に伏せる事となった。

 

「まだまだ……勝負はこれからなんよー」

 

「そうだな……まだ打てる手は残っているさ」

 

『ギンガ!』

『アクション!』

 

 今や立っているのは園子さんとウォズさんの2人だけとなっており、既にその2人も全身に傷を負い満身創痍と言った有り様だった。

 それでも余裕の表情を崩さないウォズさんは新たなウォッチを用い、

『ウォズギンガファイナリー』への強化変身を遂げた。

 

 

 

「ギンガの力は宇宙の力────つまり太陽の力も当然含まれる。その意味が理解できない訳ではないでしょう?」

 

「天の神の力を使うか……小賢しい、そんな物を使ったとて俺には勝てん」

 

 

 

「──やってみなければ、分からない!」

 

『ファイナリービヨンドザタイム! 超銀河エクスプロージョン!』

 

 天から降り注いだ無数の隕石が、バールクスの抵抗を許さぬまま樹海を粉々に打ち砕き、圧倒的な爆発が私の視界を覆う。

 予想外の威力に悲鳴をあげながら、少し期待が生まれた。

 

 ──これなら、倒せるかもしれない

 

 淡い期待を胸に樹海に伏せ続け、2分程経っただろうか。絶え間無く続いた隕石による爆撃が唐突に終わりを迎えた。

 痛い程の静寂が流れる。

 

「……ウォズさん、やったの?」

 

 やがて煙を引き裂き、よろよろとウォズさんが姿を現す。駆け寄ろうとして──

 

「あ────」

 

 ウォズギンガファイナリーの腹部を貫く光剣が視界に入った。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 ウォズギンガファイナリーの後ろからゆっくりと歩み寄ったバールクスは、体に突き刺さった光剣を引き抜いた。

 変身が解け、なおも立ち上がろうとするウォズを容赦なく踏みつける。

 

「だから小賢しいと言っただろう。お前に俺は倒せない」

「ぐっ……ああっ」

 

 バールクスはウォズの背中を踏みつけながら、千景の様子を伺った。

 

 ────あれは、ダメだな

 

 そもそも今回の戦闘に姿を見せた時点で見るからに壊れかかっている事を察知していたが、これが決め手になったのだろう。泣いているとも笑っているとま言えない表情でぼんやりと此方を見る千景のその目には最早何も映っていなかった。

 と同時に、足元のウォズが笑みの形に口を歪めた。

 

「ふ、ふふ──ふふふふふ」

 

「何がおかしい」

 

「私達の勝ちだ」

 

 ──なんだと? 

 

 思考の隙を突きウォズがバールクスの足をはね除ける。

 震える両足でよろめきながら立ち上がったウォズは、手にした本を開き、ニヤリと笑って記された事象を読み上げる。

 

「この本によれば──────私を倒した事により、常磐SOUGO。貴方がこの世界において唯一の魔王となった」

 

「何──────!?」

 

 

『リ バ イ ブ 剛 烈』

 

『剛 烈 ! !』

 

 千景の周囲に出現した黒いリングが回転し、爆散。中から現れた黒と橙の装甲を纏った戦士が

 リングの破片を切り裂く様にして「のこ」を振り下ろす。

 

「ガッ────」

 

 バールクスの意識外から振り下ろされた強烈な一撃が咄嗟のガードごと吹き飛ばす。

 その様を視界の隅に捉えたウォズは、かつて別の未来を歩んだ自分がそうした様に、世界に向けての祝福を始める。

 

「祝え!」

 

「巨悪を駆逐し希望の未来へ我等を導くイル・サルバトーレ」

 

「その名も仮面ライダーゲイツリバイブ」

 

「────新たな救世主が誕生した瞬間である」

 

 祝福を終えると同時にウォズは手にした本を閉じ、ゆっくりと倒れ込む。やはり光剣で腹部を貫かれた傷は重く、戦いを見届ける事は出来そうにない。だが、ウォズにはどうしても言っておかねばならない事があった。

 横たわったまま顔をSOUGOに向け、ウォズ自身も「そう」思っていた事言い放つ。

 

 

 

「常磐SOUGO、貴方も千景君を侮ったな?」




・常磐SOUGO  ※下記はオリジナル設定です。
そもそもOQでやろうとした様にSOUGOは簒奪する事で魔王となる素質はある。が、ゆゆゆ世界においては「魔王」である成果を何も残していないのでウォズがわざと倒される事で無理矢理「魔王」の地位を押し付ける(ソウゴが世界から弾かれたのは神樹のせいなのでノーカウント。また西暦世界に幕を引いた事も「魔王らしい行為」ではない)

・郡千景
立ち直る。ぶっ壊れ寸前からなぜ立ち直れたのかは次回。新たな救世主の誕生だ!

・ウォズ
今回の話のメインではないのでギンガファイナリー及び戦闘はアッサリ。だけど祝うし本も読み上げる。

・乃木園子(JC)と雪花さん
ウォズから何か頼まれる。勇者部トップクラスに察しが良い人達。
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