【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景 作:イナバの書き置き
本来ならのわゆ編最終回を予定していた話でもあります。
20■■/■■/■■ 瀬戸内海 壁上 AM7:00
「随分遅かったな。未練が出来たか?」
「いや、言うべき事は言ってきた。千景は俺達が考えているよりずっと強いよ」
「なら良い。ここで逃げ出されたら敵わんからな」
四国を囲む『壁』──神樹の根で形成されたそれの上で、常磐SOUGOは水平線の向こうに見える岡山の地を見据えたまま、1人訪れたソウゴに声をかけた。
先日SOUGOは特別な資質を持つ巫女を生け贄に捧げ、天の神に赦しを請う奉火祭を実行するべきだとする大社を一蹴し、天の神への徹底抗戦を提唱した。
────ここで人類が神に屈する事となれば、2度と再起する事は叶わないだろう
正鵠を射る主張だった。四国の住民達が1度心を折られれば立て直す事は容易ではない。
しかし、今や崩壊寸前のライドウォッチに意識を残し、大社の人間に憑依するほど衰弱したSOUGOは勇者が戦い続ける事の難しさもよく理解していた。
そもそも千景や球子を勇者にすることを神樹に勧めたのもSOUGOであり、彼女達の動向を監視していたのもSOUGO自身である。
故に、彼は精霊の力を使用し続け心身を擦り減らした勇者がこれ以上戦う事は不可能だと判断した。
「成すべき事は理解しているな?」
「もちろん。あんたが消えるまでに天の神を倒す──いや、最低でも痛み分けになるまで戦って、
「フン。全く、俺達に出来る事がそれだけとは考えたくなかったが……現実は厳しいな」
常磐SOUGOは今日この日を以て消滅する事が神樹からの神託で判明していた。
それはSOUGOの意志によってこの世界に結び付けられているソウゴが弾き出される事の証左である。
当人もその事実を穏やかに受け入れたが、だからと言って何もせず座して死を待つ事等許容しなかった。
SOUGOが選んだのは天の神との戦いを引き分けに持ち込み、一旦仕切り直す事で次の世代へバトンを繋ぐ選択肢である。
制御を奪い返した最後のダイマジーンを大社に託し、反抗への手段も整えた。
最早何の未練もありはしない。そう思っていたのだが────
「……存外、四国の暮らしも悪くは無かったな」
「でしょ? どうせならまた皆でうどん食べに行きたかったなぁ。その時はあんたを誘っても良かったかも」
「馬鹿を言え。仮に今日死ななくても俺はやる事が山積みなんだ。うどんを食わせる気ならお前が作りに来い」
「えぇー、俺料理出来ないから暇になるじゃん。やだよそんなの」
そう。SOUGOは思いの外四国での生活に満足感を覚えていた。専ら大社としての活動に時間を費やし、思うように四国を巡る事は出来なかったが、それでも楽しかったと、平成をやり直す事に躍起になっていたあの頃より充足していると感じているのだ。振り返ればすぐ見える穏やかな香川の景色も、もう少し眺めていたいと柄にもなくSOUGOは感じたが────
「────来る」
ソウゴが呟いた直後、2015年の時と同じ様に天を割り、雲を引き裂き巨大な鏡が無数のバーテックスを伴い姿を現した。
所々罅が入り、かつての様な神々しさは失われているものの、それは紛れもなく人類の天敵たる天の神であった。
「行くぞ、魔王」
「ああ──いや、最後にやるべき事があった」
「何だと────?」
ソウゴは
次の瞬間、ライドウォッチは目映い19の光を放出しながら消失した。
辺りをふわふわと漂う光を呆然と眺めながら、SOUGOは魔王に問い掛けた。
「平成ライダーの力を分離したか……一体何のつもりだ?」
「これからの人間に必要なのは、神樹みたいなすがる対象だけじゃなくて、共に隣を歩み、一緒に戦う仲間でしょ? それを四国の皆に見せてあげなきゃ、意味ないんじゃない?」
漂う光達が急速に形を変える。
かつて時代を駆け抜けた、そしてSOUGOが1度消そうとした戦士達が姿を現す。
優しさを捨てず、究極へ至った黒の戦士
未だ進化を続ける、光輝の戦士
生き抜く事を鏡の世界に宣告し続ける龍の戦士
異形の悲しみを背負い、それでも共に生きる為戦った深紅の戦士
不死なる者を統べる、王たる黄金の戦士
人を守る為紅蓮の装甲を纏った鬼の戦士
天の道を往き、総てを司る甲虫の戦士
時代を列車で駆け抜ける、5人の怪人が憑依した時の戦士
黄金の鎧、魔族を従え未来へ進む蝙蝠の戦士
全てを壊し、全てを繋ぐ、世界を巡る破壊の戦士
究極を越え、黄金へ至った風の探偵にして戦士
その身を欲望の鎧に包み、それでも誰かに手を伸ばし続ける王の戦士
友との友情の証、40のスイッチを1つの鎧へ集めた宇宙の戦士
全ての絶望を希望に、宝石に変える魔法使いにして戦士
大切な者を守る為人を捨て、極みに至った白銀の戦士
スーパービークルをその身に纏う、刑事にして戦士
命を燃やした先にある、無限の可能性を形に秘めた戦士
無敵にして最強、究極の救済へ至った医療の戦士
未来を創る天才が生み出した虹色の戦士
グランドジオウライドウォッチから生み出された19の戦士が空を睨み、各々の武器を構える。
そして平成最後の戦士である二人も変身の構えを取った。
今、まさに西暦の幕が降りようとしている瞬間だと言うのに、二人の顔はどこか晴れ晴れとしていた。
次なる世代の見本となるべき二人が、辛気くさい顔をしていてはいけないのだ。
『祝福の刻!』
『ライダータイム!』
「行くよ、俺達も────」
「ああ、これが最後の────」
『変身!』
この前後の話は構想としてはありますが皆様の想像にお任せします。ただ花結い編のSOUGOはこの直後に召喚されてます。
今回出てきた平成ライダーは全部最終or究極フォームです。オーズはプトティラ、タジャトル、スーパータトバから自由にどうぞ。WはCJGXです。
・常磐SOUGO
ソウゴをゆゆゆ世界に引き寄せた原因にして本来ゆゆゆに縁の無いソウゴがゆゆゆ世界に留まるための楔。バールクスライドウォッチがゆゆゆ世界に流れ着いたのが最初の奇跡。天の神から奪回したダイマジーンは神世紀72年に西暦時代経験者の最後の1人が死亡した事で解体されゴールドタワーと千景砲の材料になる。意外と四国に愛着を持っていた。
ところで反撃の材料を揃えたのに神世紀300年になっても四国に引きこもってたらSOUGOはどう思うんでしょうね。