【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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お久しぶりです。
表現に苦しんでおりペースが大分落ちていますが、このまま頑張りたいと思います。


第二十一花 逢魔

「アナザーライダー!? なんで今更……!」

 

 大上段から振り下ろされるアナザー鎧武の大剣をサイキョージカンギレードで押し返す。

 横合いから突きだされるアナザーオーズの爪を転がる様にして回避しながらソウゴが叫ぶ。

 

「消えたはず、もう2度と生まれない筈だ……! それがどうして!?」

 

「ソウゴさん! 落ち着いて──うぅッ!?」

 

「これでは、多勢に無勢ではないか……」

 

 回避した先に疾風の如き速さで出現したアナザーWの拳がジオウトリニティの腹部に突き刺さる。

 続いて()から現れたアナザーゴーストがトリニティを羽交い締めにして拘束する。

 数で押されるトリニティは、ソウゴが冷静さを欠いている事も併せてアナザーライダーに圧倒されていた。

 

「ククク……サプライズは気に入ったか? 常磐ソウゴ」

 

「ふざけるな!」

 

 アナザーゴーストを引き剥がそうともがくトリニティを愉快そうに眺めながら、バールクスが起き上がる。

 ソウゴからの怒声に対しても余裕を崩さず、ついには肩を震わせて笑い出す始末である。

 

「ククッ……まあお前ならそう言うだろうな……。お前達の信じる平成ライダー全てを侮辱するこの存在──中々悪くない」

 

「ふざけるなァァァァァ!!」

 

「平成の墓守」であるソウゴにとって彼らを汚すアナザーライダーの存在は見過ごす事は出来ない。

 加えて「かつての世界」で大切な友人達をアナザーライダーに殺害されたトラウマは、ソウゴの中に消せない呪いとして染み付いていた。

 

『覇王斬り!』

 

「■■────!」

 

 遂にアナザーゴーストを振り払ったトリニティが、サイキョーギレードをアナザーWに突き刺し、その柄にハイキックを蹴り込む。

 縫い合わされた中央から裂ける様にして爆散するアナザーWを無視し、バールクスへ殴りかかる。

 

「この世界に俺達以外に平成ライダーはいない筈だ! だったらどうやってコイツらを作った!」

 

「どうして、だと? 可笑しな事を聞くものだ──ーいいか、よく聞け」

 

 何故当然の事を聞くのだ、と言わんばかりに首を傾げるバールクスにソウゴの手も思わず止まる。

 

(──マズい。コイツに喋らせたら、いけない)

 

 嫌な予感が千景に過った。常磐SOUGOの悪辣さはこれまでの戦いで嫌と言う程味わっている。

 今回もきっと人の心に深い傷を刻み込むつもりだろう。

 故に、千景はソウゴが止めた手を独断で動かした。

 

「──ごめんなさい、ソウゴさん」

 

「え──」

 

『デュオ! タイムバースト!』

 

 現在トリニティの主導権を持っているソウゴの意思を無視して動き出した右足が棒立ちのバールクスを蹴り飛ばす。

 遂に決定的な言葉を発する事なく毬の様に吹き飛んで行くのを見送ったソウゴは、呆然とした様子で変身を解除した。

 

 1つの体に統合された状態から3人に別れる。

 ソウゴは未だかつてない程憎悪に満ち溢れた表情のままバールクスが吹き飛んだ方向を睨んでいた。

 

「……ソウゴさん」

 

「我が魔王……」

 

「────」

 

 それは打倒バールクスで固まった3人の思いが分裂するかの様でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ウォズ、無事らしいよ」

 

「そう、良かった……」

 

「それにあの──アナザーライダー? とか言うのから出てきた確か──山伏しずくだったか、も無事みたいだ。今銀が事情を聞いてる」

 

 保健室から戻ってきた球子が皆に伝える。

 腹部を剣で貫かれたウォズ、そして倒されたアナザーライダーから現れた少女──山伏しずくを回収した一同は勇者部部室に集結していた。

 何故彼女の名前が分かったのかと言えばかつて三ノ輪銀の同級生だったからであるが、そんな場合ではない。

 

 千景はホッとした様子だが、勇者部の雰囲気は緊迫している。

 原因は言わずもがな、ソウゴである。

 アナザーライダーを取り逃がした事に加え、その核心に迫る情報を聞き出せず逃走を許した事で大部滅入っている様子なので、皆心配を隠せないのだ。

 

「ソウゴさん、その……ごめんなさい」

 

「……千景は悪くないよ。いつまでも過去の事に囚われてる俺がいけないんだ」

 

 とは言え、アナザーライダーへのトラウマは払拭出来そうにない。

 かつて激闘を繰り広げ、その末に犠牲を出しながら倒した筈の相手が復活したとなれば著しく冷静さを欠くのも仕方がない。

 

 ────そう言うのにも、限度があると思うけど

 

 しかし、勇者部に止められなければすぐにでもオーマジオウに変身して彼らの殲滅へ赴こうとする程だからその根は深い。

 そういう冷静さを欠いた自分を自覚しておきながら何も手を打てないのがソウゴのやるせなさを増幅している。

 

「あの、本当に大丈夫ですか……?」

 

「ああ、うん。大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね、亜耶ちゃん」

 

 本人は平静を保っていると考えているが誰がどうみても落ち着いてはいない。

 その憤りとやるせなさが混じった何とも言えない表情が皆を心配させているとはソウゴ自身も知らなかった。

 

 

 

 

 

 おろおろと右往左往する亜耶をいよいよ皆が気の毒に感じだした頃、銀は戻ってきた。

 

「失礼します──ソウゴさん、大体話は聞けましたよ」

 

「ありがとう。で、何であの子がアナザーライダーになってたのか分かった?」

 

「ええと……」

 

 ソウゴの問いに銀が申し訳なさそうな表情をする。

 言い出し辛そうな様子に、千景はソウゴに関わる良からぬ事を聞いたのだろうと思ったが、口出しするのは控えた。

 

 

 ──やはり、軽率過ぎる行動だったわ

 

 ソウゴの心を案じたのは嘘ではないが、その結果彼の仇敵を取り逃がして余計追い詰めたのでは意味がない。

 自責を続けながら事の成り行きを見守っていると、観念したかの様に銀は喋りだした。

 

 

 

「そのぉ……アナザーライダーが生まれたのはソウゴさんのせいだって」

 

「──」

 

「ソウゴさんは『平成ライダー』全ての力と、理屈は分からないですけど歴史を持ってるんでしょう? だからソウゴさん自身がアナザーライダーを生み出すシステムなんだって……」

 

「──」

 

「それで、しずくは他の仲間と召喚されたらしいんですけど人質にされたみたいです」

 

「──」

 

「『常磐ソウゴを倒せば仲間は解放する』って、バールクスに言われたみたいで、大分精神的に追い詰められてます」

 

「────」

 

「ソ、ソウゴさん……?」

 

 

 

 

 

 

 

「──────殺す」

 

 ヒッ、と亜耶が息を呑む。

 皆もソウゴらしからぬ言動と圧倒的な威圧感に気圧される。

 

 部室に掛けられた時計の針がひとりでに動き出す。クルクルと回るそれは、逢魔が刻でピタリと止まる。

 部室の外、曇りなき青空に浮かぶ太陽が加速し、黄昏時を作り出す。

 

 恐る恐る、千景が声をかける。

 

「ソウゴさん……?」

 

「罪のない民を傷付け、認める事すら疎ましいその使命を放棄し、あまつさえ平成ライダーの歴史を汚す。常磐SOUGO──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「故に、()が殺す」

 

 最低最悪、降臨。




・郡千景
善意が裏目に出てしまう。まるで555みたいだぁ(直喩)ソウゴもその辺りは理解している。納得出来るかは別として。

・常磐ソウゴ
パラレルラトラパンテ経由で2068年のソウゴに乗っ取られる。それ相応の怒りは持っている。

・国土亜耶
かわいそう
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