【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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色々試してたら大分遅れてしまいました。


魔王編 第一歌 狂夢

 ──これは夢だ。

 

 千景はそう思った。だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から。

 足下を埋め尽くす夥しい数の死体を踏み越え、千景は行き先も分からぬまま進んだ。空は血に染められたかと思う程赤く、生暖かい風が千景の頬を撫でた。

 

 

 ──これは夢だ。

 

 千景はそう思った。だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から。

 しかし千景が見上げる先には確かに平成ライダー達の彫像が存在した。

 真っ赤な表面を撫でると変色しかかけの赤黒い血が掌にベッタリと付いた。

 一通り見て回ると、ソウゴが変身ポーズを取っている像の前に何者かがいるのに千景は気付いた。

 

 ──これは夢だ。

 

 千景はそう思った。だって()()()()()()()()()()()()()()から。

 オーマジオウは、いや常磐ソウゴは千景にとってヒーローだ。彼は絶対に負けないと言う信頼があった。平成ライダーの記憶を垣間見てその思いは一層強まった。

 しかし今魔王は自らの像の前で膝を着いたまま生き絶えていた。角や背部の針はへし折れ、全身の装飾も見る影が無い。

 千景が見下ろしているのは最早時代の墓守ではなく、ただの死体だった。

 

 一体誰がこんな事をしたのだろう。

 足下を埋め尽くす死体に腰掛け、オーマジオウの隣で千景は途方に暮れた。声をかけても応えてくれる人間等いなかった。

 

 どれ程経っただろうか。

 ふと気が付くと千景の前に何者かが立っていた。全身血塗れだが、その姿には見覚えがある。

 

「赤嶺、友奈……?」

 

 その口元が『笑み』の形に歪められた時、千景は思わずその場から飛び退った。全身に警鐘が鳴り響く。

 手足の震えを抑えソウゴの像を支えに何とか立ち上がった千景は、どこか壊れた笑みを浮かべる赤嶺がオーマジオウの死体に『何か』を放り投げるのを目撃した。

 

 ──首

 

 生首だ。黒く変色した血がこびりついた()()()()()()()()を赤嶺は放ったのだ。死体の山をコロコロと転がったそれは、千景の方に光を失った「ライダー」の文字を向けて止まった。

 呆然と佇む千景を他所に、赤嶺は血に汚れたままなのを気にせずソウゴの死体に纏わりつく様な形で抱き付いた。

 

「ねーぇ、ソウゴさん」

 

 訳の分からない恐怖に震える千景の耳に、赤嶺の甘ったるい声が飛び込む。

 

「──ぁはっ、好きだよ

 

 ──何を、言っている? 

 

 脳が理解を拒んだ。だが赤嶺の狂気を孕んだ告白は止まらない。

 

「うん、好き。愛してる。貴方の為なら何だって出来る。勿論恩だってあるよ。でもそれだけじゃない。貴方なら──ううん、貴方の言葉だから全部信じられた。

『赤嶺』でも『友奈』でもない、ただの私を初めて認めれてくれた貴方」

 

 そこまで一息に言い切った赤嶺は、笑みに固定された表情を少しだけ歪めて、寂しそうに続けた。

 

「もう2度と離さない──そう思ってたんだけどなぁ」

 

 ゆらりと幽鬼の様に立ち上がった赤嶺は死体で赤に染まった世界を一瞥する。

 彼女の視線の先、遥か遠くを1人の戦士が歩いている。蛍光色の装甲を纏ったその戦士はこちらを認めると、その場で動きを止めた。

 深紅の眼光が赤嶺を射抜く。赤嶺も戦士から目を逸らす事なく睨み返し、手に握られた()()()()を起動させた。

 

「……貴方がいなくなっても、遺志は守るよ。平成は終わらせない。()()()()()()()()()()()()()、貴方の望みだけは守り抜いてみせる。いつまでも、どこまでも」

 

オーズ

 

 悠然と構える赤嶺の腰に、歪な《ベルト》が現れる。六連ドライバーと呼べば良いのか、6つの穴が空いたベルトを血塗れの手でそっと撫で、呟く様に赤嶺は宣誓する。

 

 

 

「──変身」

 

 

『ショッカー』

 

 

『ゲルショッカー』

 

 

『デストロン』

 

 

『GOD』

 

 

『ガランダー』

 

 

『デルザー』

 

 

 どこからか飛来した6枚のメダルがベルトにセットされ、赤嶺は異形へと姿を変える。

 本能的に恐怖を感じさせるフォルムが千景を、戦士を威圧する。

 

 

「──火色、舞うよ」

 

 

 様々な生物の遺骸を纏ったかの如き姿の「それ」は、迎撃の構えを見せた蛍光色の戦士へと飛びかかる。

 終焉を迎える世界に残された、たった2人だけの決戦を千景は見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「──夢」

 

 

 午前5時30分。

 いつも通り、千景は自室のベッドで目を覚ました。身を起こして部屋を見渡すが、隣で眠るソウゴも普段通りだ。

 中身が魔王とは言え朝に弱いのは変わらないらしい。

 

「夢、なのよね?」

 

 千景にとって「夢」はただの寝ている間に見る幻覚ではない。

 かつて魔王と接触したのが夢の中である事から、千景は「夢」で起こった事象が必ず「こちら」にも影響を及ぼすと信じている。

 故に千景は、奇怪な夢を見た事を軽々しく扱う事は出来ない。

 

 ──後で、ソウゴさんに聞いてみましょう

 

 今すぐにでもこの懸念を解決したいが、そうもいかない。

 いくら勇者として活動しているとは言え、学生である以上千景も学校には行かねばならないのだ。

 

 ──ソウゴさんは料理出来ないし、早く作らないと……。

 

 朝食を食べながらでも遅くはないだろう、そう思った千景はキッチンへと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 その背中がピタリと止まる。本来止まる事なく未来へ流れ続ける時間が、停止している。

 

 

 

「さて──」

 

 何処からともなく現れた白い男が、手元の端末を開き文章を読み上げ始める。

 

「この本によれば、普通の少女郡千景、彼女には世界を救う戦いに身を投じる使命が待っていた。彼女の次なる敵は未来にして過去からの勇者、赤嶺友奈。バールクスに加担する彼女ですが、その真意はどこにあるのでしょうか。

 ひょっとしたら──と」

 

 

「ここから先はまだ皆さんには未来の話でしたね」




・郡千景
夢の内容がサイコすぎる、訴訟。常磐ソウゴはヒーローなんです、信じて下さい!

・赤嶺友奈
夢の中では何やら様子がおかしい。
ところで千景はEP-00世界から来ましたけど本当に1人だけなんですかね?

当初はアナザージオウの力で、ソウゴが造反神の立ち位置に改編された世界で戦う予定でした。
しかしこのままだと千景以外の勇者の活躍がなくクロスオーバーの意味が無いのでこちらに変えました。
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