【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景 作:イナバの書き置き
0泊3日旅行をしたり書き直しをしていたら遅くなりました。
──どうして
「棗君、醤油を取ってくれないかい?」
「……ん」
「ありがとう。最近はどうだい、勉学は大丈夫かな?」
「問題ない」
──なんで
「ウォズ、体は大丈夫?」
「勿論だとも。あれで死ぬ程柔じゃない。かつてはレジスタンスもやっていたからね、鍛えているのさ」
「次からは止めて。肝が冷える」
「……ダメかい?」
「ダメ」
──何故
「しかしこのお米は美味しいねぇ」
「これも農家の人達の努力と神樹の恵み、じっくり味わうべき」
「そうだねぇ」
何故、この2人は休日の朝っぱらから私の部屋で寛いでいるのだろう。
と言うかいつの間に部屋に入ってきたのだ。鍵はちゃんと掛けた筈だ。
不法侵入か? 訴えれば勝てるのでは?
「あのー、ウォズさん?」
「なんだい秋原君?」
「ここ、私の部屋ですよね。どうやって入ってきたんです?」
ウォズはニコりと微笑んだままその場で静止した。
いや、まさか本当に不法侵入したのか。すわ訴訟かと立ち上がった瞬間、いつの間に私の後ろに回っていた棗が肩を押さえ付ける。
「ち、ちょっと棗……? まさかアンタまで手を貸したとか言うんじゃないでしょうね……」
「いや──」
ふるふると首を振った棗は、どこか遠い目で犯人を告白した。
「──常磐ソウゴがやった」
「あの魔王余計な事してんなぁ!」
おお、何と言うことだろうか。
私の信頼は完璧に裏切られたのだ。よもや
冗談はさておき、一体どういう風の吹き回しなのだろうか。
棗にしろウォズにしろあまり無意味な事をする人間ではない。こうして3人分の朝食を作らされたのにもきっと何らかの意味がある筈だ。無きゃ困る。
「で、何の用?」
「用、とは?」
「惚けないでよ、ウォズさんはただご飯食べに来た訳じゃないでしょ?」
こう言うのは直接聞くに限る。どうせどう取り繕ったって無駄なのだ。そのまま惚けるつもりなら部屋から叩き出してやる、と息巻いているとウォズは観念したのか両手を上げて白状し始めた。
「やれやれ、本当に皆察しが良いな。ゲイツ君位鈍い方がやり易いんだが……」
「ゲイツとやらが誰かは知らないけど早く全部吐きなさい。出来れば二度寝したいのよ」
「そうかい。それなら申し訳ない事をしたね。二度寝すると言うのなら邪魔はしない。棗君、帰ろうか……残念だな」
「……」
「ああ……朝から本当に申し訳なかった。……残念だ」
2人はわざとらしく「残念だ」と呟きながらチラチラと此方を窺ってくる。
一体何故この2人はそこまでして私の気を引こうとするのだ。
こんな思わせ振りな態度をされたら寝るに寝れないではないか。
「……あの、ちゃんと話聞くんでそのふざけた態度止めてもらえます?」
「いやぁ助かるね、このまま二度寝に入られたら立ち往生する所だった、そうだろう棗君」
「雪花に感謝」
なんと白々しい態度なんだろう。1発ぶん殴ってやろうか。
……いや、止そう。そんな事したって何にもならないし、ウォズだったら何ともない風に避けてまたニヤニヤとムカつく笑みを浮かべるに違いない。
「そうだな、ふざけるのもこの辺りにしておいて、本題に入ろう。単刀直入に言うと、私達の服を修繕して欲しいんだ」
「服を、ですか?」
「歌野君から聞いたが裁縫が得意らしいじゃないか。丁度棗君も同じ理由で困っていてね、出来れば頼みたい」
「はあ、別に良いですけど……」
本当にそれだけなのだろうか。すぐに疑ったり損得を考えてしまうのは私の良くない所ではあるが、今回もそう思わずにはいられない。
──このまま流されてしまうのも腹が立つので、思い切って踏み込んでみるか。
「本当にそれだけなんです?」
「は?」
「やっぱり何か言い辛い事があるんじゃないですか? ……直感ですけど」
キョトンとした様子のウォズは、私の疑問を受けて表情を渋くした。
やはり何か言い辛い事があるのだろうか。だが遠慮される方が余程面倒くさい。
ジッと見つめ合う事数秒、溜め息と共にウォズは喋りだした。
「……以前アナザーライダーが4人出現した事は覚えているね?」
「アナザー鎧武、ゴースト、オーズ。そしてしずくが変身していたWでしたっけ」
「そうだ。私の予想では残りのアナザーライダーは18体なのだが──」
「何か問題が?」
ここまで聞く限りは特に問題は見当たらない。むしろ予想でしかないとは言え大体の数が分かっているのだから気が楽になる。
「──恐らくアナザーライダーは今後も4体一組となって出現するだろう」
「なんで? 全員でワッと来れば良いじゃない」
「しずく君から得た情報によれば、あちらに召喚された防人は合計4人らしい。しずく君は他3人がワームの擬態である事に気付いていなかったから、残りの防人も同様だろう」
「つまり、チームを組んでると思い込まされてるって事?」
「そうだ。要するに私が言いたいのは、彼女達は『仲間』を見捨てられない以上説得は無意味で、1度倒さねばならない、と言う事だ」
「……そうですか」
確かにバーテックスと違って会話も出来る、しかも当人からすれば必死に仲間を庇っているだけの相手に攻撃を加えるのには躊躇いがあるかもしれない。
──と言う事は、ひょっとしてウォズは私達を気遣っているのだろうか。
「私達は慣れたものだが、君達は何の落ち度も無い相手と戦うのは辛いのではないかと思ってね。もし無理だったらアナザーライダーの相手は私が引き受けよう」
そう言い切ったウォズは何処と無く
もう何度も隣で戦っているのにまだ庇護対象のままなのか。てっきり『戦友』位にはなれたと思っていたのに。
少し腹が立った。
「……別にいいよ。私は戦えるし、どっちかって言うと銀とかを気遣った方が良いんじゃない?」
「……そうか。心配は無用だったみたいだね」
「うんうん、へーきへーき。もう用は済んだでしょ? 早く銀の所行ってきなよ」
「ああ、失礼する。棗君も助かったよ」
苛立ちから少しつっけんどんな言い方になってしまった。だがそれに気付く様子の無いウォズはそのまま出ていってしまった。
バタンと閉じられた扉をしばし眺める。
「ぁぁああああああ~! やっちゃったあぁぁぁぁ!」
頭を抱えて後悔を吐き出す。
毎回こうなのだ。ウォズと話すと何故か上手く話せない。
きっと対等でありたいと言う感情とその他諸々が合体した結果なのだろうが、それにしたって酷すぎる。ただの八つ当たりと何ら変わりない。
「もうこれ何度目だよぉぉぉぉぉ」
「雪花、ドンマイ」
机に突っ伏して自らへの呪詛を吐く私の頭を、棗が赤子でもあやすかの様に撫でる。
……いや、正直そう言うのが一番キツいんだけどなぁ
だが、私をいつまでも守るべき相手としか見ていないウォズが悪いのだ。きっとそうに違いない。
だって、私が旭川で戦っている時一番必要としていたのは守ってくれる人でも、守るべき人でもなくて──
──隣で一緒に戦ってくれる仲間だったから。
「SOUGOさん、良いの?」
「何がだ」
「惚けないでよ。1、2、3……
「……いや、『ヤツ』は星屑を放つ程度で良い。俺達から関わる事も避けた方が安全だな」
「……なんで? 見た所普通の高校生だったよ、取り押さえる位簡単でしょ?」
「だからだ。何と言ったってヤツは──」
「──
「ハァッ……ハァッ……」
夜の闇を青年が駆ける。苦しそうな表情で、しかし決して諦めることなく走り続けている。
右手に固く握りしめたウォッチを時折確認しながら、ひたすら真っ直ぐ駆け走る。
青年が目指すは160km先、香川県は丸亀城、ただ一点のみである。
「……クソッ」
追っ手の気配を背筋で感じ取る。
あの悪趣味な見た目をした星屑に青年を食い殺させようと言う算段に違いない。このまま走ったとしても、遠からず追い付かれるだろう。
ならば、青年に取れる手段は1つだけだった。
『DEN-O』
ウォッチを起動すると同時、青年の周りにオーラの様な装甲が展開がされる。
悪魔の様に反り返った2本の角、『和』と線路を想起させるそれが、瞬く間に全身を覆い尽くす。
「俺、参上……」
正に「悪鬼」と呼ぶに相応しい異形へ変じた青年が、星屑に襲いかかった。
魔王編 始動
・秋原雪花
ウォズと上手く話せない。
対人戦の覚悟も出来てるすげーやつ。
・古波蔵棗
ウォズと一緒にご飯食べに来た。
・ウォズ
なんだかんだ言ってゲイツの死が尾を引いてる。仲間が戦えないなら代わりにやろう位には意識がある。
・■■■■■
ライダーが物語となった世界から来た青年。
しかし彼の記憶に、間違いなく平成ライダーは生きている。