【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景 作:イナバの書き置き
ソウゴさんに引き取られてから3ヶ月が過ぎようとしていた。夏休みが明けるのを待ってから転校することになった私は新しい学校へ行くのに不安を覚えたが、いざ行ってしまえばどうと言うことはなかった。
「1度行ってみちゃえば大丈夫だって。千景が気負う事なんて何も無いんだから心配いらないでしょ?」
そう言って笑う彼の言葉通り、特別な事など何もなく転校してから1週間も経てばまるで最初からそこにいたかの様に馴染んでしまった。だが私にとってはそうでもなく、ここには私の過去を知る人はおらず、当然淫乱女だのなんだのと言ってくる人間がいる訳がないことに気付き、その見知らぬ環境が堪らなく新鮮だった。クラスの中では大して親しい友人は出来なかったが、特に誰かから目の敵にされることもなく穏やかで、緩やかな学生生活を過ごしていた。
だが────私の平穏を乱していく人もいた。突如として物凄い勢いで開けられる教室の扉に私はああまたか、と1人呟いた。
「失礼します──千景! 千景はいないか!? いたな! では千景を少し借りて行く!」
「……乃木さん、私は逃げたりしないから、そんなに騒がないで……」
「そうです若葉ちゃんもう少し抑えて……ああでもこんな若葉ちゃんもまた──」
「ええい! 私ではひなたが教えてくれたやり方でもアレが倒せんのだ! 何がどうあっても手伝ってもらうぞ!」
「分かった……分かったから引っ張らないで……服が伸びる……」
学年が1つ下の乃木若葉、上里ひなたの2人とはもはや腐れ縁の様な何かを感じさせる関係を不本意ながら築いていた。転校初日にたまたま手が空いていたからと言う理由で学校を案内してくれた若葉とひなただったがその後も不思議な位に出くわす事が多く、自然と会話も増えていった。
転校から1週間程経った頃、すっかり打ち解けたひなたから、若葉が居合道を修めており鍛練に日々勤しむのは良いが毎日そればかりで趣味の1つも無いのは大丈夫なのだろうかと言う相談を受けた千景は物は試しに若葉に某狩猟ゲームを勧めた──勧めてしまった。
今までゲームなど1度もやった事が無かった若葉は当然下手だったが、それが若葉に火を付けた。端から見てもわかるほど頑固で負けず嫌いな若葉は、本人は「ちゃんとやっている」と言うもの日々の鍛練は大丈夫なのかと疑問に思うほどゲームにのめり込んでしまい、今では千景をゲームの先達として仰ぎ攻略に詰まると助言を請う様になっていた。
かつての自分からは考えられない状況だが、千景は悪い気がしなかった。そんな事を考えながら鞄の中を漁っていたが、普段入れていたはずの携帯ゲーム機が無い事に気づいた。
「……私、ゲームを家に置いてきたみたいだから取ってくるわ」
クジゴジ堂は学校からほど近い場所にあり10分もあれば戻ってこれるはずだと思った私はゲーム機を取りに帰宅した。
「……ただいま」
『おかえり』
居間から2人分の声が聞こえた事に私は少し驚いた。普段店舗側のスペースにいる事が多いソウゴさんが居間で誰かと話している、と言う事が今まで無かったことだ。
すると居間から見覚えの無い長身の男がぬっと顔をだした。首から変なカメラをぶら下げたその男は私のこと5秒程見つめるなりふんと鼻をならした。
「なるほど。……大体わかった。何か進展があったらまた知らせる。じゃあな
「あッ……ちょっと待って士!」
珍しく慌てた様子のソウゴさんを尻目に士と呼ばれたその男は妙な事を言って出ていってしまった。
「……何? 今の人……」
「……ん? ああ……あいつは門矢士、まあ俺の旧い知り合いみたいなものだから気にしないで……それで、何かあった?」
「い、いえ……ゲームを取りに来ただけだから……」
「ああ、忘れてたんだ……じゃあまた若葉と?」
「ええ……待たせてるから、行ってきます」
「はい行ってらっしゃい」
どこか様子のおかしいソウゴさんを置いて遊びに行くのは心配だった。しかし彼が気にするなと言うならきっと私に口出し出来ることではない。私はそう思い店を出ていった。
──もっと深く聞いたとしても私ではどうにもならない事だったと思う。でも、それでも聞いておくべきだった。聞いておけばソウゴさんは──
門矢士が──世界の破壊者がこの世界に来た時点で何かとんでもない事が起ころうとしているのは覚悟していた。けど、けどまさか、
──常磐ソウゴの日記より──
・常磐ソウゴ
ダイマジーンが来てるとかマジ?と言った感じ。放っておいたら折角のぐんちゃんとの生活壊れちゃうねぇ…(ゲス顔)
・郡千景
第三者から見れば若葉とひなたとは相当仲が良いが当人は認めていない。ぐんちゃんが相談出来る人が増えるのは良い事なのでもっと増やせ。
・乃木若葉
頑固で融通が効かない人。宣言した通りちゃんと鍛練はしている。
・上里ひなた
今気付いたけど一言しか喋ってないね
・門矢士
一般通過世界の破壊者
・ダイマジーン
平成を殺戮するやべーやつ
魔王とかもやし以外だとこの世界にダイマジーン持ち込めそうなのは神様しかいませんよねぇ(ゲス)