【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景   作:イナバの書き置き

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本当にお久し振りです。


魔王編 第四歌 新旧

 睨み合う。二刀と一刀、互いに自らの得物を構えたままジリジリと間合いを図る。

 互いに近接戦闘においては無類の強さを持つ以上、三好夏凛とアナザーブレイドの両者は、一瞬の領域に到達していた。

 

(──先に振ったら、負ける)

 

 2人が相対し、相手の一瞬の隙を突いて剣を打ち込む。観客も審判もいない、加えて互いの命を賭けてもなおそれ決闘の様相を呈していた。

 

「────」

 

『────』

 

 そして夏凛が狙うのは「後の先」、相手の斬撃に対してのカウンターだ。アナザーブレイドの大剣には旋盤状のシールドが付属している為、不用意に刀を振るえばそれに阻まれ得物を失う事になる。

 友奈と共に勇者部の斬り込み隊長として活躍する事が多い夏凛だが、今回ばかりは守勢に徹しなければ勝利を掴みとるのは不可能だと言う事を直感で理解していた。

 

『■■■■────!』

 

「ちょっ……嘘でしょ!?」

 

 が、しかし業を煮やしたアナザーブレイドが取ったのは、彼女の想定を越える行為であった。

 突如として構えを解いたアナザーブレイドは、その腹部から『電撃』を発射したのである。

 咄嗟に転がって回避した夏凛に向けて、アナザーブレイドは猛然と突撃する。そのマッシブかつ重装甲な身体から繰り出される『タックル』を受ければ、勇者とてただでは済まない。

 

『■■■■────』

 

「──もうちょっと、頭使いなさい!」

 

 だが、その安直な軌道を見逃す夏凛ではない。軽いステップでタックルを避わし、無防備な背後に向けて二刀を振るう。

 

「──!?」

 

『■■■』

 

 確実に背中を斬り裂くと思われた刀は、アナザーブレイドの肉体に火花を散らすに留まった。

 夏凛の二刀流は一撃の威力に秀でた物ではない。しかし、類稀な才能と血の滲むような努力によって得られた彼女の剣術が異形の装甲を切り裂く事は決して不可能な事ではない。

 では、何が夏凛の神剣を退けたのか──

 

(──硬くなった?部分的に硬化する能力でもあるって言うの!?)

 

 そう、『鋼鉄化』である。アナザーブレイドは()()()仮面ライダーブレイドが封印したアンデッドの能力を行使して、対応出来ない攻撃を弾き返したのだ。

 想定外の防御能力に驚く間もなく、アナザーブレイドの大剣が夏凛の首を刈り取らんと横凪ぎに振るわれる。

 屈んで大剣の暴風をやり過ごし、前傾姿勢のまま飛び出す。

 

「だったら……足ィ!」

 

 神速の勢いで振り抜かれた二刀が、アナザーブレイドの足甲をすり抜け筋肉を削ぎ落とす。

 ガクリと膝を折ったアナザーブレイドは破れかぶれに大剣を薙ぐが、夏凛は既に二刀を掲げて背後に回り込んでいた。

 

「──遅いわね」

 

 神速で振り下ろされた二刀が、アナザーブレイドを『鋼鉄化』する隙すら与えず引き裂いた。

 

 

 

「やあああッ!」

 

 裂帛の気合いと共に、少女の手斧が異形を打ち据える。

 

「杏さんッ!」

 

 間髪入れずに距離を置いた三ノ輪銀が吼えれば、彼方より無数の矢が雨となって降り注ぐ。反撃も出来ずその場に縫い止められた異形は、怨嗟の咆哮を上げる事しか出来ない。

 そして再度接近した銀が手斧で異形を叩きのめす。

 3色の異形──ーアナザーオーズは、2人の勇者に完全に翻弄されていた。

 

(凄い……本当に杏さんの言う通りだ。倒すだけが戦いじゃないって)

 

 この状況を作り上げた張本人の1人である銀自身、想像以上の戦いやすさに驚愕していた。

 如何に勇者が振るう武器と言えど、アナザーライダーの厚い装甲を貫く事は容易ではない。

 加えて銀の技量、杏の武器を鑑みればアナザーライダーに対して致命的な一撃を与える事は至難の技と言える。

 が、しかし反撃する隙を与えず絶え間無く攻撃を加えられ、アナザーオーズは既に疲弊の極致にある。

 

 単純極まりない作戦と即席コンビによる拙い連携が、この時に限っては最大限に効果を発揮していた。

 

 

 

■■■

 

 

 

「温い」

 

「ぐうぅっ!」

 

 魔王と簒奪者の戦いは、あまりにも一方的であった。

 如何なる数の星屑が襲いかかっても、魔王は意にも介さない。

 如何なる簒奪者の攻撃も、魔王にとっては興味を引く対象ですら無かった。

 拳による打撃も、剣による斬撃も、魔王の装甲に傷一つ付ける事すら出来ない。それでいて共に戦う勇者達を気遣う素振りすら見せるその姿は、紛う事なく王である。

 正に最強。正に最高。

 誰1人として及ぶ事の無い、圧倒的な『力』がただ其処に存在した。

 

「はぁぁぁぁぁッ!」

 

「甘い」

 

 背後から襲いかかった赤嶺友奈の拳が、突如として空中で静止する。

 

(──!?う、動かない──!)

 

 彼女を視界に入れる事すらせず発動した魔王の念動力が、友奈をその場に固定したのだ。

 ゆっくりと振り向いた魔王の視線が、友奈を捉える。

 それは死。絶対に逃れる事が出来ない『それ』を友奈は黒金の仮面から感じ取った。

 

(あ、死──)

 

「友奈を離せぇぇぇっ!」

 

『バールクス タイムブレーク!』

 

 折れた剣を投げ捨て、激昂したバールクスが歪んだ装甲を軋ませながら

 必殺技を発動する。

 赤光を纏った蹴撃が魔王を直撃し──未だ健在。

 

「お前達に私を倒す事は不可能だ。何故か分かるか?」

 

「貴、様──!」

 

 並大抵の相手ならば一瞬で打ち砕く蹴撃は、しかし魔王の呪術的な保護を受けた腕甲によって防がれている。

 そのままバールクスの足を掴んだ魔王は、友奈共々無造作に放り投げた。

 

「私は()()()()()()である。未だ覇道を歩み始めたばかりの『私』と同じだと思うな」

 

「……それは、どうかな。まだ切り札は残ってるよ」

 

「ほう?」

 

 友奈は精一杯声を張り上げた。

 切り札は事実として存在する。

 しかし現在は使えないと言う状況で友奈が選んだのは、強がりであった。

 だが強がる事で自分を鼓舞しなければ、友奈は立っている事すら出来ない程疲弊し、傷付いていた。

 そして魔王相手では、撤退すら儘ならない事も良く理解させられていた。

 けど──それでも、諦められない。

 

(このままじゃ、逃げる事すら出来ない……かな。せめて、SOUGOさんだけでも逃がさないと……!)

 

 震える両足に鞭打って、何とか体勢を立て直す。魔王を正面に捉え、キッと睨み付ける。

 戦闘続行の意思を見せ、少しでも撤退の時間を稼ぐ事が友奈の選択だった。

 

 

 

 

 

『■■■────!』

 

「ああッ、しまった!」

 

 緊張は一瞬にして崩れた。

 勢いに乗った銀の一撃によって吹き飛ばされたアナザーオーズが、友奈の足元まで転がって来たのである。アナザーライダーを倒すには、元のライダーの力を用いなければならない。故にアナザーオーズが撃破される事は無いが、同時に散々に痛め付けられもはや戦闘続行の意思すら見せられない程に衰弱してもいた。

 

「……へぇ」

 

 そう。

 今無様に転がっている『それ』は、赤嶺友奈が欲していた切り札であった。

 アナザーライダーとして参戦させているのだから使いたくても使えない、禁じ手が偶然から舞い戻って来たのだ。

 

「借りるね」

 

『ガァッ!?』

 

 友奈は地に伏せたままのアナザーオーズに左手が突き刺し、体内で『何か』を掴み取る。

 引き抜いた手の中にはアナザーウォッチ。人を歪める悪魔の力が握られていた。

 

「アナザーライダーの力を使うか。だが無意味だ」

 

「──とも限らないよ」

 

「何?」

 

 掲げる右手。

 そこに収まっているのは──

 

「オーズライドウォッチ、だと?」

 

『オズ』

 

『オーズ』

 

 ライドウォッチとアナザーウォッチ。

 相反する2つのウォッチが、鏑矢の少女によって起動され、1つのベルト──オーズドライバーを形成する。

 ただし、そこに収められているメダルは本来の物ではない。

 

 

 

 

 

「──変身」

 

『ショッカー』

 

『ゲルショッカー』

 

『デストロン』

 

 友奈の全身を何処からともなく現れた鷲、蛇、蝎が絡めとり、浸食し、一体化する。

 

「さぁ────」

 

 瞬く間に異形へ変貌した友奈が、拳を構える。

 

 

 

 

 

「──火色、舞うよ」




・赤嶺友奈
ショッカーオーズへの変身を遂げる。()()()オーズライドウォッチを所持していた。

・オーマジオウ
スペックが全部不明の方。
背負ってきた歴史が重すぎる。
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