【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景 作:イナバの書き置き
最初は嘘予告だけの一発ネタだった本作がここまでのものになったのは間違いなく応援して下さった皆様のおかげです。短い間でしたが本当にありがとうございました。
過程を無視して結果だけ述べるとするならば、天の神による人類粛清は失敗に終わったと言える。
2015年7月30日未明、無数のバーテックス及びダイマジーンと呼称される正体不明の機械群を自ら率いて人類を抹殺せしめんとした天の神は『仮面ライダー』を自称する2人の戦士との3日3晩に及ぶ戦闘によって戦力のほぼ全てを喪失し撤退を余儀なくされた。
その一方で日本以外の国家はバーテックスに喰い尽くされ、国内に置いても土地神の集合体である神樹の庇護を受けた四国、並びに土地神が守護する沖縄、諏訪、旭川を除き星屑の蔓延る死地と化した。
残された人類は建て直しを図り対バーテックスを意識した組織『大社』を設立し、神樹の加護を受けた少女のみがなれる戦士『勇者』を用いて国土奪回を計画していた。
2017年2月、天の神による再侵攻が遠くない未来発生するとの神託を受け大社は戦力を四国に集中させることを決定。非戦闘民を四国に避難させる過程で活躍したのもまた勇者、そして『仮面ライダー』であった。故郷を捨て合流した勇者、そして未だ神樹の庇護の外で戦い続ける『仮面ライダー』には感謝してもしきれるものではない。
仮面ライダーが何を目的にしてバーテックスと敵対しているのか我々には分からないが、おそらく人類の為に戦い続ける彼らの事を非難する様な者は四国にはいないだろう。
勇者御記 2018年7月 乃木若葉
ソウゴさんが戦いに赴いてから3年が経った。人類の生存圏は四国のみとなってしまったが、未だバーテックスへの抵抗を続けていた。
沖縄、諏訪、旭川の勇者も合流し勇者は9人となり戦力的には十分バーテックスに抗える規模となっている。
私、郡千景も勇者の1人として戦いを続け、人々を守っていた。
勇者となってから仲良くなった私を『ただの郡千景』として見てくれる高嶋さん──高嶋友奈にはかなり助けられている。ソウゴさんに待っているとは言ったものの、かつての親の面倒を見ることになり精神的に追い詰められつつあった私に明るく接してくれる高嶋さんにはかなり救われた様な気分になった。
一度勇者達で各々の戦う理由について話し合った際、土居さん──土居球子からこんな事を言われた。
「千景はすごいな、何としても仲間を守ってやるって感じで。タマも見習わないとなー」
正直な所、私が『勇者』に相応しい心構えで戦っているとはとても言えなかった。私が勇者として戦っているのは紛れもなく己の為である。
ソウゴさんは人々を守る為に戦った。では自分は1人閉じ籠っていて良いのか。そんな自分ではソウゴさんの家族として誇れる自分ではいられない。だから──
「逃げろ千景! タマも杏も動けないんだ──」
「うるさい! ……そんな事言ってる暇があったら旋刃盤を構えてなさい!」
孤立した所に蠍の様な意匠を持つバーテックスの攻撃を受け窮地に陥った仲間の救援に向かうのもまた己の為にしたことだった。私がその身に宿す精霊は『七人御先』。七人に分身し全員1度に倒されるまで死ぬ事はない。その特性を生かし他の分身体に露払いを任せ土居さんの元に辿り着いた私だが苦戦を余儀なくされていた。
意識を失った伊与島杏を庇い土居さんは動けない。私も単体では大した強さを持たない。絶望的な戦いだった。
それでも絶対に後悔や諦めたりなどするものか。だってソウゴさんなら諦めない。ソウゴさんが人を救う事に後悔なんてする筈がない────
絶え間無く走り続ける事で攻撃を誘導していた私を遂に蠍の尾の様な器官が弾き飛ばす。
「な──うぁっ!?」
「千景!」
体を起こした私の目の前に尾が突き付けられる。
それでも──
「それでもッ!」
絶対に負けるものか。目を見開き見据えたバーテックスが────
塵となって消失した。
「──え」
『キングギリギリスラッシュ!』
遠くに見えた人影。そこから突如として出現した長大な光剣が星屑達を凪ぎ払う。圧倒的な力の猛威に勇者の誰もが呆然とする中で、私は光剣の主へと走り出す。
だってこんな事をする人なんて1人しかいない。
私の大切な家族以外にいる訳が無いのだから!
「ソウゴさん──────」
「ただいま」
「おかえりなさい」
それはそれとして番外編やります。