【嘘予告】EP00 2014:ソウゴと千景 作:イナバの書き置き
時系列としてはEP00-4の後位です。
「千景から見たソウゴ/ソウゴの孤独感」がテーマとなっております。
て言うかこれ最早短編では無いな?(凡推理)
先ほどから目の前の机に突っ伏して眠りこけるソウゴを見て、千景はまた寝てる、と小さく呟いた。
郡千景から見た常磐ソウゴと言う人間の印象は、一言で纏めると『不思議な人』であった。
まず第一に彼は家事が出来ない。私も人の事は言えないが彼は料理洗濯掃除等々、およそ一切が赤子か何かの様に下手くそなのである。
1人で全てをやろうとするから失敗するのだ、と見かねた私が家事の分担を申し出たが、二人で事あるごとにハプニングを起こしている。
加えてゲームも下手だ。引き取られてすぐの頃仲を深める為と称して対戦ゲームをしたが、それはもう下手としか言葉に出来ない腕前だった。
「ソウゴさん、あの……そんな無理してやらなくても……」
「いやいやまだ負けてないから、もう一回リベンジさせて……?」
などと下らないやり取りをしながら夜を更かしたのも記憶に新しい。
だがソウゴさんには何と言うか、言葉にしがたい魅力の様なものがあった。
特に理由も無いのにやたらとポジティブで、何をするにしたって「なんか行ける気がする」の一言と共に挑み、落ち込んでいる人間を見ればその場に必要な励ましを即座に与える。
他人の空気を読むのが上手いが伝えるべき事はしっかり伝える。話上手で聞き上手と言う感じの、言ってしまえば天性の『人たらし』なのだと思う。
とすれば私も彼に誑かされてしまった人間の1人な訳だが全く悪い気はしなかった。誑かされたおかげで救われたのだから寧ろ感謝さえしていいだろう。
「ソウゴさん、そんな所で寝てると……風邪を引いてしまうわ……」
「──」
ソウゴさんの肩を揺すって起こそうと試みるが、全く起きる気配を見せない彼を見て、笑みが溢れる。
「……毛布取って来るから、ちょっと待ってて……」
「──行かないで」
きっとこのまま寝ていたら風邪を引いてしまうだろう、と毛布を取りに立ち上がった千景の足をソウゴの寝言が縫い付けた。
「おじさん……ゲイツ……みんな、みんな行かないで……」
「……ソウゴさん」
知らない人達の名前を震えた声で呼びながら眠り続けるソウゴさんを見て、私にその場から離れる事など出来なかった。
──この人は、大切な人を失ったのだ──
かつて感じた違和感、妙に広く感じるクジゴジ堂と彼の孤独感の原因を少し理解出来た気がした。
だから──いや、助けになりたいと言う衝動の発露から私はソウゴさんの隣に座り、彼の頭に手を伸ばした。
癖の無い髪を撫でながら囁く。
「……大丈夫、1人じゃない。私が、私がついてる……」
苦しそうな表情が少しだけ和らいだ気がした。
彼の頭を撫でながら考える。
彼が自分の孤独感を私に打ち明けてくれる日は来るだろうか。
例えその日が来なかったとしても、かつてソウゴさんが私を救ってくれた様に私もソウゴさんの救いになりたい。
そう願わずにはいられなかった。
さぁ始まりました番外編。
ゆゆゆい編への決意固めにそこそこやります。