104話です!どうぞ!
南方海域での作戦が終わり、Devil May Cry鎮守府は しばらくの休みが与えられた。それでも鎮守府近海の警備はしなくてはならないので、休みと言っても形だけではある。
*Devil May Cry鎮守府 執務室*
そんな ある日、鎮守府に着任している陽炎型が執務室に雪崩れ込んできた。
ダンテは興味がないのか、陽炎型に目もくれずに雑誌を読み続けている。
陽炎「司令!」
ダンテ「忙しい」
陽炎「まだ何も言ってない!」
ダンテ「今日は何だ?」
陽炎「新しい妹も着任した事だし、私達 陽炎型の事を もっと知ってもらう事にしたの」
ダンテ「つまり暇なんだな?」
陽炎「先ずは名前を覚えてるか確認するからね!」
既に陽炎型と言ってしまっているが、唐突に名前当てゲームが始まる。
ダンテは頬杖を突いて陽炎型を見る。拒否したり文句を言わない事から、一応やるつもりのようだ。
陽炎「私の名前は?」
ダンテ「陽炎」
陽炎「正解!」
不知火「では、私の名前は何でしょうか?」
ダンテ「不知火」
不知火「流石 司令ですね」
流石と言うには ちょっと大袈裟な気もするが、不知火は ちゃんと自分の名前を覚えてくれている事に大層 喜んだ。無表情だが、内心 滅茶苦茶 喜んでいる。
さて、ここからが問題だ。残りの陽炎型とは話した事はあるが、大した交流はしてこなかった。
?「司令はん、ウチは?」
ダンテ「・・・クロ・・・」
?「うん、続きは?」
ダンテ「クロ・・・シオ?」
黒潮「ちゃんと覚えてくれたんやねぇ」
彼女は大阪の民間造船所で建造された陽炎型 駆逐艦、3番艦の『黒潮』。
陽炎「じゃあ次は?」
ダンテ「シロシオ」
?「違います!」
着ている服が白く、黒の次は白だろうと安直な考えで答えたが、違った。
不知火「ヒントは、奇跡の駆逐艦や幸運艦と呼ばれています」
ダンテ「じゃあラッキーだ」
?「あだ名が付いちゃいました!」
その後もヒントを与えるが、ダンテの口から正解が出る事はなかった。
そもそも、ダンテに“こう呼ばれてる艦娘は誰でしょう?”と聞いて、“この艦娘です”とはならない。船だった頃の艦娘については、ダンテは一切 勉強していないのだから。
そして正解は、奇跡の駆逐艦、8番艦の『雪風』だ。
雪風「雪風は雪風です!」
ダンテ「そんな名前だったなぁ・・・」
雪風「改めて、よろしく お願いします!」
陽炎「はい最後」
ダンテ「そっちは簡単だ。『磯風』だ」
磯風「正解だ」
そして最後は、最近ドロップした12番艦の磯風。着任して日が浅く、名前も聞いたばかりなので覚えていた。
あと1人、秋雲が居るが、部屋から出てこなかったので ここには居ない。今 着任している陽炎型は その6人だ。
陽炎「じゃあ司令、私達 陽炎型を もっと知ってもらう為に━━」
ダンテ「今 何時だ?」
不知火「今は・・・09:00です」
ダンテ「ヤベ、悪いな、俺は用事がある」
陽炎「えっ?えっ!?ちょっと待ってよ!」
ダンテは慌てて執務室から飛び出し、残された陽炎型は唖然としながら見送る事になった。
・・・・・・
*大本営 正面ゲート*
執務室から飛び出したダンテは、赤城と共に大本営まで来ていた。用事と言っていたが、今回は赤城の用事の付き添いだった。
車から降りると、大和が出迎えてくれた。
大和「お待ちしておりました」
赤城「今日は すみません」
ダンテ「武蔵と あきつ丸は どうだ?」
大和「はい、順調に回復しています」
閻魔刀の力で、体内に巣食っていたものを切り離された武蔵と あきつ丸は艦娘の姿に戻ったものの、かなり衰弱していた。日本に戻ってから療養していたが、今は回復に向かっている。近い内に出撃も可能になるそうだ。
大和「本当に ありがとうございました。あなたは恩人です」
ダンテ「お礼に何をしてくれる?」
冗談混じりに言ってみるが、大和は ちゃんと お礼を考えていた。
大和「では、ダンテ提督が前から言ってたデート1回で どうでしょう?」
ダンテ「2回だ。武蔵と あきつ丸2人分で2回だ。さっそく行こう」
ちゃっかり2回分お礼してもらおうとするダンテ。
大和の手を取りデートに行こうとするが、ダンテの襟首を赤城が掴んで止めた。
赤城「提督、今日は私の用事に付き合ってくれるはずでしたよね?」
ダンテ「ん?」
赤城「んん?」
ダンテ「おう・・・」
・・・・・・
*資料室*
大和「そちらの棚から向こうの棚までは、閲覧の許可が出ていますので。では、ごゆっくり」
変な空気のまま、大和の案内で大本営が保管している資料室まで来たダンテと赤城。案内が終わった大和は仕事に戻った。
今回ここまで来たのは、赤城には知りたい事があったからだ。鉄底海峡で出会った もう1人の自分が言っていた事が気になる。
“艦娘としての あなたは、1度 沈んだ”
だが赤城に轟沈した記憶はない。
ダンテと出会った頃、赤城は横須賀鎮守府に所属していた。しかし、よくよく思い返せば、横須賀鎮守府に着任する以前の記憶が欠落している事に気付いた。
その欠落した過去を知る為に、過去の膨大な記録を保管している大本営まで来たのだ。
赤城「提督、そっちにある資料 持ってきてください」
ダンテ「これ全部 見るつもりか?」
赤城「早くしてください」
ダンテ「へいへい・・・」
2人で手分けして、それらしい資料を引っ張り出す。
ある程度の数の資料を手に、赤城は資料室に置かれている席に座ってファイルを開ける。
ダンテ「あんまり拘り過ぎるなよ」
忠告が聞こえていないのか、赤城は黙々と資料を読み進めるのだった。
*Devil May Cry鎮守府 食堂*
まだ昼前だが、陽炎型の5人は たまたま通り掛かった食堂に入った。中では、間宮とキリエに指導されながら比叡が料理の特訓をしていた。
比叡の腕は少しは上がって、見た目だけは良くなったはずだった。だが久しぶりに料理をしてみると、作った物と違う謎の物体が出来上がってしまった。久しぶりの料理に腕が落ちたのかもしれない。
そこで急遽、キリエも参戦して料理を教える事になったのだ。
キリエ「じゃあ次は醤油を入れて。味の好みもあるから、少しずつ入れながら味見をして」
比叡「はい!」
キリエ「それはソース」
比叡「これですね!」
キリエ「それは赤ワイン」
比叡「じゃあ・・・」
キリエ「それは・・・何かな?絶対に入れないでね」
比叡「すみません・・・」
いい感じに違う物を手に取る比叡。絶妙な感じで間違えていく。これにはキリエも頭を悩ませた。
キリエ「醤油は そっち。比叡は料理する気があるの?」
比叡「あります!」
キリエ「じゃあ ちゃんと確認して」
比叡「はい・・・」
キリエに本気のダメ出しをされながらも、比叡は作業を続ける。
そんな料理教室の様子に刺激された者が、1人 居た。
磯風「料理か・・・悪くないな」
磯風は厨房に行き、自分も料理が作りたいと願い出た。他の陽炎型は食堂の席に座り、一先ず見守る事にした。
間宮「磯風ちゃんも?何を作りたいの?」
磯風「やはり魚料理かな」
間宮「なら、簡単な焼き魚に挑戦してみたら?」
磯風「そうしてみよう」
焼き魚に挑戦する磯風。だが魚を焼く その様子は、心配になる程の必死さを見せていた。魚から目を離さず、瞬きすらしない。
陽炎「磯風、目が血走ってるけど・・・」
雪風「凄い集中力です!」
不知火「嫌な予感がします」
しばらくして魚は しっかり焼けた。それでも磯風は焼き続ける。間宮が止めても焼き続ける。終いには大量の黒煙が発生する。
陽炎「磯風!焼き過ぎ!」
磯風「ヴェヘッ!い゛や、魚はな、こうやって、丁寧に焼き上げて・・・」
煙で むせながら持論を展開する。
満足するまで焼き続け、磯風の料理は完成した。
磯風「おかしい・・・おかしいぞ・・・?私が知ってる焼き魚と、何か・・・違う・・・」
雪風「あははっ!真っ黒です!」
陽炎「あんだけ焼けば そうなるわよ!ここに居る皆 思ってたから!居ない人も皆 思ってたから!」
黒潮「得意 不得意は、誰にでもあるからねぇ・・・」
完成したのは焼き魚ではなく、ただの炭だった。
磯風も、比叡と同じく料理の腕は壊滅的だった。
比叡の方も結局、キリエが指導した甲斐もなく、変な物が完成するだけだった。
その後、比叡と磯風は食堂の隅で、2人 仲良く床に座って落ち込んでいた。食堂に居た者は全員、何と声を掛ければいいか分からない。
すると、比叡がブツブツと何かを呟くが、声が小さ過ぎて よく聞こえない。耳を澄ませて聞き取ろうとすると、突然 比叡が勢い良く立ち上がった。
比叡「私達には もう、あれしかありません!」
陽炎「え、何?」
比叡「卵かけ ご飯です!」
『・・・・・・・・・』
いや確かに卵かけ ご飯なら失敗しようがないが、料理と呼べる程の大層な物かは疑問である。
比叡「磯風!私達には まだ、卵かけ ご飯が残ってる!」
磯風「うん、やろう!」
料理ができない2人の間に、奇妙な友情が生まれた(理解不能)。
さっそく卵かけ ご飯を作る2人。磯風が茶碗に ご飯を ぶち込み、比叡が卵を落とすだけ。
「「出来たー!」」
比叡「これが私と磯風の合作!」
磯風「卵かけ ご飯だ!」
陽炎「いや喜んでるけど、ご飯と生卵 一緒にしただけだからね?」
黒潮「まぁ、2人が納得してんねやったら、ええんちゃう?」
さっそく出来た卵かけ ご飯を食べようと、雪風が卵を崩して ご飯と混ぜる。掻き回していると、卵かけ ご飯が膨張して どんどん膨らんでいく。
雪風「これ、何だか変ですよ」
キリエ「何・・・これ・・・?」
膨らみ続ける卵かけ ご飯。
どうなってしまうのかと見守っていたが、膨張した卵かけ ご飯は遂に破裂した。同時に、腐った卵の臭いが充満する。
『きゃーーーー!!』
食堂に居た者は逃げ出したが、臭いは鎮守府 全体にまで放たれ、久しぶりに比叡料理の災害に見舞われた。
*大本営 資料室*
鎮守府がパニックになっているとも知らず、ダンテと赤城は資料を漁っていた。
赤城「提督、次の資料 持ってきてください」
ダンテ「自分で行けよー、何往復させる気だよ・・・」
赤城が資料を読み進め、ダンテが次の資料を棚から引っ張り出す。いつの間にかパシリにされている事にも疑問を持ち、文句を言っていると大和が呼びに来た。
大和「もう お昼ですので、食堂の方へ どうぞ」
ダンテ「お前は いいタイミングで来てくれるな」
大和「はい?」
・・・・・・
手早く昼食を済ませ、また資料漁りに戻る。
次の資料を引っ張り出す途中、ダンテは何となくファイルを開いて中を見る。
ダンテ「おっ?赤城、これじゃないか?」
赤城は渡された資料を見ると、そこには数十年前に、呉鎮守府の艦娘が轟沈した記録が記されていた。轟沈した艦娘の名は、赤城だった。
当時、呉鎮守府は独断でアイアンボトムサウンド海域への侵攻を決定。
赤城「大本営が中止を言い渡すも、命令を無視して作戦を決行した・・・」
ダンテ「・・・・・・・・・」
だが状況は、悲惨なものだった。深海棲艦側の猛攻撃により、艦隊は甚大な被害を受けた。当時の呉提督は作戦を中止にできないとして、進軍を決定。敵飛行場に辿り着くも、損傷の大きい艦隊は敵の攻撃に晒される事となる。戦闘の最中、空母 赤城が轟沈。艦隊は提督の命令を無視して撤退。作戦が失敗して敗走する。
無理な進軍と作戦失敗が原因で海軍の足並みが崩れ、近海の制海権までもが深海棲艦に奪われる結果となった。
赤城「そんな・・・」
ダンテ「その轟沈した赤城が、お前とは限らないだろ?」
赤城「いえ、当時の呉鎮守府の提督の名前・・・」
ダンテ「名前?」
赤城「懐かしい気がするんです」
資料には まだ続きがあった。
当時 作戦を指揮していた提督の名は
彼は作戦失敗の直後、海軍を退役している。
赤城「桐生・・・」
赤城は そっとファイルを閉じた。その顔は、どこかスッキリしたように見える。自分の過去が少しでも分かり、満足したのかもしれない。
赤城「帰りましょう、提督」
ダンテは赤城の言葉に少し安心した。あれだけ躍起になって自分の過去を調べ、当時の提督の名前も判明し、下手をすれば会いに行くとまで言い出すのではないかと思っていたが、杞憂だったようだ。
そもそも、その桐生という男は今も生きているのかも怪しい。生きていれば高齢で、歳は生前の前元帥と近いようだ。もしかすると もう亡くなっている可能性もある。
ここでの用が済んだ2人は、鎮守府に戻る事にした。鎮守府が とんでもない事になっているとは知らずに・・・。
・・・・・・
*Devil May Cry鎮守府 正面ゲート*
ダンテ「あ?何やってんだ?」
車で鎮守府の近くまで接近すると、入り口に人だかりができていた。居るのは艦娘や憲兵など、鎮守府の関係者ばかりだった。よく見ると、ネロやキリエ、子供達まで居る。
ダンテと赤城は車から降り、声を掛けた。
ダンテ「おい邪魔だ。車 入れられねぇだろ」
赤城「何してるんですか?」
ダンテの姿を見て、陽炎型と金剛型、間宮とキリエが気まずそうな顔をする。他の者は機嫌が悪そうで、憲兵達の表情は強張っている。
ダンテ「何でもいいから・・・臭っ!?何だ!?」
赤城「う~、オエッ・・・」
風に乗って悪臭が漂ってくる。
ダンテと赤城は咄嗟に鼻を押さえたが、それも無意味で悪臭を遮断できない。
ネロ「聞いてくれよ。比叡の奴、また料理して やらかしたらしい」
比叡「それを言うなら磯風だって!」
磯風「待ってくれ!卵かけ ご飯で こうなるとは思わないだろ!」
丸焦げになった魚を持って磯風が反論する。
とりあえず今の会話で比叡と磯風が原因なのは、ダンテと赤城にも理解できた。
他の陽炎型と金剛型も、姉妹の失態に何も言えない。
更に詳しく話を聞いていくと、ダンテも呆れた顔になっていく。
ダンテ「これじゃあ横須賀の二の舞じゃねぇか。陽炎型と金剛型で どうにかしろよ」
これには姉妹も驚いた。まさか連帯責任にされるとは思いもしなかった。
陽炎「何で私達まで!?」
雪風「雪風 関係ないですよ!?」
黒潮「それは ちょっと納得できんかな~・・・」
不知火「不知火に何か落ち度でも?」
ダンテ「妹が料理 下手で止めないのは落ち度しかねぇだろ。お前ら4人は何で止めない?」
不知火「・・・グーの音も出ません」
陽炎「いや止めたけど!」
霧島「司令、私達は その場に居ませんでした」
金剛「異議を申し立てるデース!」
ダンテ「お前らは比叡が料理したら どうなるか知ってるだろ。姉妹の手綱ぐらい しっかり掴んどけ」
榛名「そんな~・・・」
ダンテ「俺は大本営に戻って泊めてもらう。臭いが消えたら連絡しろ」
『えっ!?』
ダンテは車に戻ってバックさせる。
ネロは咄嗟に右腕を伸ばし、デビルブリンガーで遠ざかろうとする車のバンパー部分を掴んだ。タイヤが空回りして、後輪から煙が上がる。悪臭に混ざってゴムが焼ける匂いが増える。
ネロ「俺達は どうすりゃいいんだよ!?」
ダンテ「甘えるな、自分達で何とかしろ!俺は大本営に戻る!こんな所 居られるか!」
ネロ「お前マジで ふざけんなよ!」
ダンテは大本営に泊まり、陽炎型と金剛型は後始末。それはいい。だが今日中に臭いが消えなければ他の者は野宿だ。どこかに泊まるにしても財布は置きっぱなしで、この臭いの中、敷地内に取りに戻る勇気もない。ダンテだけ安全で快適な場所に行く事を許せなかった。
その後 誰かが通報したのか、警察まで来て更に ややこしい事になった。
これからの予定ですが、まだ出てない艦娘を増やしながら、楽しい雰囲気の話を投稿できたらなと思っております。しばらく真面目な話が多かったので・・・。
ある程度やったら、畳み掛けるようにストーリーを進めて、次のシリーズに移ろうと思います。
次回も よろしく お願い致します!