Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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あと2話だけ寄り道させてください。
学園の話が終わったら、本筋の話に戻ります。

110話です!どうぞ!


Mission110 学園 潜入~行方不明者を探せ~

家出娘 凜を巡る騒動から約2ヶ月が経ち、卯月(4月)となり暖かい日差しが気持ちいい季節となった。

その間も悪魔や深海棲艦が現れる事はあったが、大事件となる事はなかった。悪魔は低級、深海棲艦は はぐれで警備に出てる艦娘だけで対処できる程度だった。

他にも、艦娘達が自ら引き起こしたトラブルもあったが、大した騒ぎになる前に片付いた。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室*

 

今日は全員 休みにしてあり、仕事はない。ダンテも1人で ゆっくりとした時間を過ごしていたのだが、その平和を壊す者に襲撃された。

 

愛宕「はい、ぱんぱかぱーん!」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

ぱんぱか姉ちゃん(ダンテ命名)に襲撃された。そして もう1人、姉妹艦である高雄も一緒に居た。

 

愛宕「提督も ご一緒に、ぱんぱかぱーん!」

 

ダンテ「久々に聞いたが、俺は言わないぞ」

 

高雄「愛宕の事は気にしないでください」

 

愛宕「高雄ちゃん、それ どういう意味?!」

 

ダンテは今でも“ぱんぱかぱーん”をやれば負けな気がしていた。だから頑なにやろうとはしない。

愛宕は忘れた頃に強要してくるので、中々 落ち着けないでいた。

そこに、暁型の4人が来た。

 

暁「司令官、ごきげんようです」

 

愛宕「はい、ぱんぱかぱーん!」

 

「「「「ぱんぱかぱーん!」」」」

 

電「なのです!」

 

やってくれないダンテの代わりに、暁型へ ぱんぱかぱーん。何の疑問も抱かない暁型は揃って ぱんぱかぱーん。愛宕と暁型の間で何かが通じ合っていた。

 

ダンテ「流行ってんのか?」

 

高雄「暁ちゃん達も付き合わなくていいから・・・」

 

妙な挨拶が終わると、響がダンテに近付く。

次の響の行動で、高雄は驚いたような表情をし、愛宕は おもしろいものを見れたかのようにニコニコしていた。何と、響はダンテの膝の上に座ったのだ。

 

ダンテ「・・・何してんだ?」

 

響「膝の上に乗ってるんだ。迷惑だったかな?」

 

ダンテ「迷惑と言うか・・・乗る必要あったか?」

 

響「私達には父親が居ない。だから1度 経験してみたかったんだ」

 

愛宕「響ちゃん、そんな事 考えてたなんて可愛いわね♪」

 

高雄「ふふっ、しっかり甘えさせてあげてくださいね、()()()()

 

ダンテ「(お父さんって・・・父親が恋しい年頃なのかねぇ・・・?)」

 

ダンテも邪険にする事はなかったのだが、響の行動に黙ってられないのが暁だった。

 

暁「響ずるい!降りなさいよ!」

 

響「早い者勝ちだよ」

 

暁「何よ それ!」

 

雷「司令官は私に甘えていいのよ!」

 

ダンテに甘えたい暁。譲るつもりがない響。2人の間で喧嘩が始まり、雷が別の形で乱入するものだから ややこしい。

 

電「もー!順番交代で座ればいいのですー!」

 

座らないという選択肢はないらしい。実は電もダンテに甘えたかった。

一気に騒がしくなる執務室に、摩耶と鳥海が来た。

 

摩耶「おーい、提督 居るかー?」

 

ダンテ「俺の膝なら空いてないぞ」

 

最初 何を言われてるのか意味が分からなかったが、ダンテに群がる暁型を見て意味を理解した。

 

摩耶「座らねぇよ、バカにしてんのか?」

 

鳥海「実は、大将と その お連れの方が来られてます」

 

大将が来るとは聞いていない。事前の連絡もなかった。しかも連れが居るとは、いったい誰だろう?

膝の上から響を降ろし、部屋に入ってもらう事にした。響は名残惜しそうな顔をしていた。

執務室に、大将と一緒に1人の女性が入ってきた。

ダンテと大将と女性はソファーに座り、高雄が お茶の用意を始めた。

 

ダンテ「また急だな」

 

大将「突然 来たのは悪かった。今日は頼みがあって来た」

 

ダンテ「頼み?」

 

大将が連れてきた女性は、とある女学園の理事長をしている。今回の本当の依頼者は大将ではなく、この理事長だった。

この理事長が運営する女学園は古くからある由緒正しき学園で、主に政界や財閥の、お嬢様と呼ばれる生徒が通う学園らしい。

しかし、最近 学園では、生徒が消える行方不明事件が起きているとの事だった。今月中に生徒が見付からなければ、学園は閉鎖される。理事長の依頼は その事件の解明だった。

 

大将「お前は不可解な事件が得意だろ?どうにかできないか?」

 

ダンテ「勘違いするなよ。俺の仕事は悪魔を狩る事だ」

 

大将「悪魔は関係してると思うか?」

 

ダンテ「その話だけじゃ分かりゃしねぇな。それに行方不明と言っても、誘拐だとしたら今時 珍しくもない。そういうのは警察の仕事だろ?」

 

理事長「警察にも言いました。けど、誘拐とは思えないんです」

 

ダンテ「と言うと?」

 

女学園の生徒は、学園の敷地内にある寮で生活をする。生徒の親が親なので、寮も含めてセキュリティは万全にしてある。24時間体制で警備の人間も居る。学園に侵入して、誰にも気付かれずに生徒を拐うのは容易ではないとか。監視カメラにも怪しい人物は映っていなかったらしい。

 

ダンテ「・・・それより、何で大将が一緒なんだ?」

 

大将「うむ、彼女とは学生時代の同窓生だ。今回の事件について、軍人である俺に相談に来てな」

 

しかし学園は男子禁制。生徒の父親でも、特別な事情がない限りは足を踏み入れる事は許されないぐらい厳しい。故に、教員も警備の人間も、全員 女性を雇用している。なので男である大将には どうする事もできない案件だった。

 

ダンテ「そうかい。まぁ、今日の俺は機嫌がいい。引き受けてやる」

 

理事長「ありがとうございます!」

 

愛宕「でも~、その学園は男子禁制でしょ?提督が行って大丈夫なの?」

 

確かに、大将も男だからという理由も含めて助けられないから ここに来た。その頼んだ相手であるダンテも男だ。

理事長も、保護者に示しが付かないとし、その辺りは簡単に容認できないらしい。

 

ダンテ「男じゃなけりゃいいんだろ?」

 

ダンテは理事長に ある事を頼み、鎮守府に居る数名を執務室に呼び集めた。

 

 

・・・・・・

 

執務室に呼び集められたのは瑞鶴、鈴谷、熊野、川内・・・そしてネロ。

 

ネロ「おい」

 

ダンテは彼女達を編入生として女学園に潜入させ、行方不明の原因を調べさせるつもりだった。

その辺りの事は理事長が手回ししてくれるので問題ない。制服も用意してくれる。

 

ネロ「聞けよ」

 

ダンテ「さっきからガタガタうるさいぞ」

 

ネロ「おかしいよな?」

 

ダンテ「いや完璧だろ。こいつらなら制服 着せれば高校生ぐらいには見えるはずだ」

 

ネロ「俺 男だろ!」

 

ネロは事情を聞かされて、自分が呼ばれた意味が分からなかった。男子禁制のルールも緩める気がないのにネロが役に立つとは思えない。

 

ネロ「まさか、俺に女装させるつもりじゃないだろうな?」

 

摩耶「おいおい、マジかよ・・・」

 

ダンテ「お前そんな趣味あったのか?」

 

ネロ「んな訳ねぇだろ!ぶち殺すぞ!」

 

ダンテは理事長に、ネロを学園の用務員として置く事を特別に許可してもらっていた。ネロには、艦娘とは別行動で調べてもらう。

 

愛宕「でも、ネロは綺麗な顔立ちだから女装も似合うんじゃないかしら?」

 

高雄「確かに素材はいいから・・・」

 

鳥海「ちょっと見てみたいかも・・・」

 

ネロ「盛り上がってんじゃねぇよ」

 

摩耶「けどよ、熊野 以外の人選もヤバくないか?」

 

何と言っても お嬢様学園だ。学園に潜入してる間は お嬢様らしく振る舞わなければならない。果たして瑞鶴や鈴谷、川内にできるだろうか?

 

ダンテ「ちょっと練習しとけ。熊野、お手本」

 

熊野「では、まずは挨拶から・・・ごきげんよう!」

 

鈴谷「ごきげんよう!余裕」

 

瑞鶴「ご、ごきげんよう・・・」

 

川内「こんちはー!」

 

「「「「ごきげんよう!」」」」

 

電「なのです!」

 

ダンテ「ハリボテ感が否めないな」

 

瑞鶴「何よ!提督さんがやれって言ったんでしょ!」

 

摩耶「川内なんか論外だろ・・・」

 

川内「何か面倒臭い」

 

高雄「暁ちゃん達はやらなくていいからね」

 

鈴谷は言ってるだけで、お嬢様らしさはない。鈴谷のままだ。

瑞鶴は抵抗があるのか、点数を付けるなら0点の出来だった。

川内?話にならん。

 

熊野「次 行きますわよ。よろしくてよ」

 

鈴谷「よろしくてよー」

 

瑞鶴「よ、よろ・・・よろしくてよ!///////」

 

川内「良いぞ良いぞ~」

 

摩耶「川内、ちゃんとやれって」

 

熊野「はい次!承りましたわ」

 

「「ウケタマワリマシタワ」」

 

瑞鶴「う、うけ・・・う~~~///////」

 

理事長「本当に、お願いして大丈夫なの?」

 

大将「分からん・・・ミスったかもしれん」

 

人選に不安が残る中、練習は続いた。

 

 

・・・・・・

 

*正面ゲート*

 

数日後、鎮守府に女学園の制服が届いた。熊野達 艦娘4人は制服に着替え、ネロも作業着に着替えた。

編入手続きも済んでるので、あとは出発するだけだ。

 

ダンテ「さぁ お嬢様方、馬車へ どうぞ」

 

鈴谷「この車で行くのぉ?お嬢様だからリムジンぐらい乗りたい」

 

ダンテ「チッ、我が儘 言うなよ。この車はな、リムジンなんかよりも よっぽど速く走れるんだぞ」

 

鈴谷「違法改造してるからでしょ?車検 通らないよ」

 

ダンテ「その時は夕張が元に戻す」

 

熊野「そんな事より運転手さん、車を出してくださらない?」

 

鈴谷「出してくださらない?」

 

ダンテ「調子に乗るな。早く乗れ」

 

鈴谷「む~・・・」

 

艦娘4人は助手席と後部座席に乗り、ダンテも車に乗り込む。

バイクに跨がるネロと出発するアイコンタクトを取ってから、鎮守府を出発した。

 

 

・・・・・・

 

*女学園 正面ゲート*

 

ネロが先に、バイクでゲートまで行って止まった。すると、すぐに女警備員がネロを怪しむように近付いてきた。

 

女警備員「申し訳ありません、ここは関係者でない方は立ち入り禁止です」

 

ネロ「今日から ここで働く事になってるんだ」

 

熊野達の制服が届くのと一緒に、学園に入る為のネロ用のIDも届いていた。ネロは そのIDを見せる。

 

女警備員「男性が ここで?」

 

ネロ「理事長に確認してみたら どうだ?」

 

女警備員は疑いながらも、内線で確認を始めた。

ダンテ達が乗る車も、学園の前に停車する。生徒は皆 寮生活で、通学する者は居ない。だから高級車じゃなくてもジロジロ見られる事はなかった。

車内では最終確認をしていた。

 

ダンテ「いいか?お前らは今日から ここの生徒だ。他の生徒から何か知らないか聞き出せ」

 

熊野「承りましたわ」

 

鈴谷「ウ、ウケ、ウケタマワリマシタワ・・・言いにくい・・・」

 

ダンテ「まだ練習が必要だな・・・。何か分かったら連絡しろ。ほら川内 起こして早く行ってこい」

 

鈴谷「川内、着いたよ」

 

川内「もう ちょっと・・・」Zzz・・・

 

鈴谷「早く起きてってば!」

 

狭い車内で暴れながら川内を起こして車から降りると、服装を正して学園の中に入っていった。

 

女警備員「失礼しました。どうぞ、通ってください」

 

ネロ「どうも」

 

ネロの方も確認が終わったようだ。IDを受け取り、駐車場に向かってバイクを走らせた。

学園に入るとネロは理事長室、艦娘達は教員室へ それぞれ挨拶に向かった。

 

ダンテ「・・・歩き方もダメだな」

 

学園の中に入っていったのを見送ると、ダンテも車を発進させて その場を後にした。

 

 

・・・・・・

 

*理事長室*

 

理事長「それでは、今日から お願いします」

 

ネロ「あぁ、任せてくれ」

 

さっそく学園内を調査しようとしたが、理事長に呼び止められた。まだ話があるのかと思い、ネロも足を止める。

 

理事長「一応、用務員としての仕事もしてくださいね」

 

用務員は学園に潜入する為だけの仮の姿だと思っていた。ダンテが この理事長と どんな取引をしたか知らないが、まさか本格的に用務員の仕事までしなければならないとは思いもしなかった。

 

理事長「別で お給料も出しますから」

 

ネロ「お、おう・・・」

 

依頼とは別で お金が貰えるならと、仕方なく用務員の仕事を受け入れた。

今度こそ行こうとしたら また呼び止められた。

 

理事長「生徒の前では、言葉遣いは くれぐれも気を付けてください」

 

ネロ「・・・分かった」

 

ダンテに向かって大声で暴言を吐いていたのは理事長も聞いていたので、先に注意された。

 

 

・・・・・・

 

*教室*

 

鈴谷と熊野、瑞鶴、川内は、3つの教室に分けられていた。瑞鶴は3年生のクラスに、残りの3人は2年生のクラスだった。

授業が始まる前に編入生として挨拶し、それから授業が始まった。

しかし・・・

 

教員「川内さん?川内さん起きなさい!」

 

川内「・・・・・・・・・」Zzz・・・

 

川内は授業中、ずっと寝ていた。ここは お嬢様が通う女学園。居眠りをする生徒など、この学園 始まって以来1人も居ない。川内は前代未聞の生徒となった。

ネロも学園内を歩き回りながら、怪しい事がないか調べていたが、特に変わった事は見付けられなかった。

 

 

・・・・・・

 

生徒「あの、川内さん?」

 

生徒「もう お昼ですから、わたくし達と一緒に お食事しませんか?」

 

川内「・・・・・・・・・」Zzz・・・

 

「「(全然 起きてくださらない・・・)」」

 

川内は朝から寝っぱなしだった。依頼を果たす気があるのだろうか?

 

 

*食堂*

 

鈴谷「うわ・・・」

 

熊野「さすが名門女学園ですわね」

 

鈴谷「そうざますね・・・」

 

熊野「鈴谷、喋り方が変よ」

 

昼になり、食堂に向かうと驚かされた。食堂内は どこかの豪邸のように煌びやかで、その凄さに鈴谷も引いていた。

食堂内を見渡すと、瑞鶴が他の生徒と一緒に食事していた。もう友達ができたみたいだ。

 

瑞鶴「ここの料理 凄いね!」

 

そんな瑞鶴は、もう喋り方など かなぐり捨てていた。練習の意味なし。

 

生徒「そうかしら?いつも こうだから分からないわ」

 

瑞鶴「(う・・・さすが金持ちは次元が違うわ・・・)」

 

生徒「わたくし達、瑞鶴さんの事を もっと知りたいですわ。お父様は何をしてらっしゃる方なの?」

 

瑞鶴「え?(お父さん居ないし!)」

 

瑞鶴はバカ正直に考えてしまい、返答に困った。悩んだ末、頭にダンテが思い浮かんだ。

 

瑞鶴「ぐ、軍人!海軍の提督さんなの!」

 

父親が軍人と聞き、瑞鶴の周りの生徒が“凄い”と言って色めき立つ。どうやら皆、強い殿方に憧れるらしい。“結婚するなら強い人が”とか、“でも お金を持ってる人じゃないと”とか、勝手に恋バナが始まる。

周りの生徒は更に、ダンテの話を掘り下げようとしてくる。

 

生徒「軍人なら階級というものがありますわよね?瑞鶴さんの お父様は?」

 

瑞鶴「(えっと、確か・・・)大佐だったかな~・・・」

 

生徒「それって凄いわ!とても優秀な方なのね!」

 

優秀と言われ、瑞鶴が見た日頃のダンテを思い浮かべる。鳳翔に怒られる、赤城に怒られる、加賀に怒られる、大淀に怒られる、仕事しない、鎮守府 壊す、その他 諸々も壊す、いくらあるか分からない程 借金がある。借金 返さない。

 

瑞鶴「(あ、あれ・・・?)」

 

提督として優秀な部分が見当たらず、変な汗が流れる。

デビルハンターとしてはダンテの右に出る者が居ない程 優秀であると言えるが、この話をするのは躊躇われる。ここに居る彼女達には無縁の世界だ。下手に言う必要もない。

その後は用務員として来たネロの話になり、父親 以外の男性を見るのが初めてな筋金入りの箱入り娘も居て、ネロ1人の話でキャーキャー言いながら大いに盛り上がっていた。

 

瑞鶴「(いや、そんな場合じゃない!)」

 

瑞鶴は やっと気付いた。彼女達と一緒に居るのは親睦を深める為ではない。

瑞鶴は一緒に居る生徒に、学園内の行方不明事件について訊いてみた。すると、彼女達は一斉に口を噤んだ。

 

瑞鶴「何か知ってるの?」

 

更に問い詰めるが、生徒達は それ以上 話す事はなかった。何か知っているのは間違いない。

 

 

・・・・・・

 

*寮*

 

瑞鶴達も、潜入してる間は他の生徒 同様に学園の寮で生活する。

ネロは用務員としての勤務時間が終わると、仕方なく鎮守府に戻った。男であるネロが、学園が終わってからもウロウロしてると警備の人間に何を言われるか分からない。

瑞鶴は、自分に与えられた部屋に熊野達を呼んだ。理由は情報を共有する為だ。

夕飯の後、昼間 食堂で一緒だった生徒の1人が、瑞鶴の部屋を訪ねてくれた。食堂では話せなかった ある噂を、瑞鶴に教える為に来たのだった。

この学園には、今の校舎が建てられる前の校舎があった。生徒達は そこを旧校舎と呼び、滅多な事がない限り決して近付かないのだ。

生徒の間では、旧校舎は“呪われてる”とか、“そこで死んだ生徒の魂が化けて出る”とか、“怪物が住んでる”など、根も葉もない噂を信じていた。行方不明になった生徒は、その旧校舎に入って姿を消したと考えられていた。

当然、教員は そんな話を信じていなかった。それでも、念の為に数名の教員が旧校舎の中を調べたが、生徒が居た痕跡は無かったとか。

この噂話は生徒の間では禁句だった。皆で集まって決めた訳ではないが、暗黙の了解で口に出す事がなくなった。だから食堂では皆 口を噤んだのだ。

 

鈴谷「・・・・・・で?」

 

瑞鶴「でって・・・だから その旧校舎が怪しいって話!」

 

鈴谷「ここの先生が先に調べて何もなかったんでしょ?」

 

瑞鶴「何か見落としてるかもしれないし、私達なら それを見付けられるかもしれない」

 

熊野「それは一理ありますわね」

 

熊野と鈴谷も、他の生徒から何か知らないか訊いてみたが、他に有力な情報は得られなかった。今は瑞鶴が聞いた噂だけが頼りだ。

 

川内「じゃあ私達で行ってみよ!夜戦なら任せといて!」

 

学園が終わるまで寝ていた川内は、元気100倍だった。

寮の各部屋には、停電になった時の為に懐中電灯が用意されている。

4人は懐中電灯を持ち、いざ出発しようとした。

 

鈴谷「この学園 完璧過ぎ。完璧過ぎて・・・どうやって出るの?」

 

学園は24時間体制で警備している。当然 寮にも警備の人間が居る。ここの生徒から聞いた話では、勝手に抜け出して見付かると、泣く程 怒られるらしい。

寮の出入り口は1階のオートロックの扉のみ。そこを通れば確実に見付かり連れ戻される。

 

川内「窓から行くしかないね」

 

4人は自分達の部屋のカーテンを結び、ロープ代わりにして下に垂らす。それを伝って下に下りるが、カーテンは2階と1階の境目までしか届いていなかった。仕方なく そこまで下りて、最後は飛び下りた。

 

鈴谷「足イッタ!」

 

「「「シーッ!」」」

 

鈴谷「ごめーん・・・」

 

1つ気掛かりなのは、戻る時はカーテンで作ったロープが使えない。使おうにも手も届かない。戻る時はオートロックの扉を通るしかないので、100%見付かる。

 

川内「帰りの事は帰りに考えよ」

 

学園内には警備の人間が巡回してる。4人は隠れて遣り過ごしながら旧校舎を目指した。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室*

 

ネロは今日 見回った学園の話をダンテにしていた。

見た限りでは、怪しいと感じるものはなかった。悪魔の右腕も反応を示さなかったので、悪魔の気配もない。

 

ネロ「何が原因で消えたのか皆目 見当も付かねぇよ」

 

ダンテ「警備に穴はなかったのか?」

 

ネロ「凶悪犯が入る刑務所レベルだった。あちこちに監視カメラがあって、警備の人間も大人数で巡回してた。あれじゃ人に見られず鼻糞も飛ばせねぇよ」

 

ネロのジョークにダンテも笑った。

ネロの考えでは人拐いの可能性は低いと見ていた。

帰る前に、ネロは瑞鶴達と話せていなかった。瑞鶴達が何か情報を得ている可能性もある為、明日 改めて話してみる事にした。ダンテも それに賛成する。

 

 

・・・・・・

 

*旧校舎*

 

警備の目を掻い潜り、艦娘4人は旧校舎まで辿り着いた。

旧校舎は2階建てで かなり古く、今の校舎よりも小さい。夜であるのも相まって気味が悪い。変な噂があるのも頷ける雰囲気だ。

4人は旧校舎の扉を開けて中に入ってみた。中は長年 人の手が入っていないのか、埃が溜まってる。

見て回ったが1階には何も無いようなので、4人は2階に上がる事にした。

 

鈴谷「うわっ!?」

 

階段を上がっていると、底が抜けた。老朽化して脆くなっている。

 

熊野「鈴谷、大丈夫ですの?」

 

鈴谷「ここ最悪・・・」

 

瑞鶴「気を付けて」

 

2階に上がると、1階と同じように教室として使われていたであろう部屋が並んでいる。

通路を進み1番 奥まで行くと、正面に他とは違う扉があった。

 

川内「・・・怪しいね」

 

鈴谷「ねぇ、明日ネロと一緒に来ない?鈴谷 入りたくない・・・」

 

瑞鶴「う、うん、そうしよっか・・・」

 

目の前の扉を見てから、4人は寒気がしていた。身体中が危険だと警鐘を鳴らしている。

引き返そうと踵を返すと、独りでに扉が開いた。ゆっくりと振り返るが、誰も居ない。

 

鈴谷「(怖い怖い怖い怖い怖い!)」

 

瑞鶴「(嘘でしょ・・・)」

 

鈴谷と瑞鶴が怪奇現象に焦っていると、熊野と川内が部屋に入ってしまった。その場に残されたくないし2人が心配なので、鈴谷と瑞鶴も中に入る。

 

川内「何も無いじゃん」

 

熊野「でも これは・・・鏡?」

 

部屋には扉向きに置かれた姿見の鏡があった。鏡面には罅が入っている。あとは埃を被っているぐらいで普通の鏡だった。

 

鈴谷「ここヤバイって。早く出ようよ」

 

川内「何だ、幽霊でも居るかと思ったのに空振りか」

 

鈴谷「何で期待してんの!?幽霊 居るって!扉 勝手に開いたじゃん!」

 

川内「風で開いたんじゃない?」

 

川内 以外は そうは思えなかった。寒気は感じたが、風があったようには感じなかった。それに、今 居る部屋には窓がない。通路には窓はあるが、外開きの扉を開けるのは無理だ。つまり、風で開いたとしても内側から風が吹かないと開かないのだ。しかし この部屋には窓がない。

鈴谷が寮に戻るように催促していると、鏡が強烈な光を放つ。その眩しさに、4人は目を瞑る。

光が消えると、4人の姿も消えていた。




次回も よろしく お願い致します!
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