113話です!どうぞ!
*水上要塞 最上層*
人類側が未曾有の危機を止めるために奔走してしている頃、セリーナはアーロンの元まで来ていた。
セリーナ「兄上」
アーロン「来たか・・・」
セリーナが現れた事で、アーロンは呆れた顔をする。セリーナが ここまで来た理由は分かっている。自分を止めるためだと。
アーロン「1人で よく ここまで来れたね」
セリーナ「あなたは世界を壊すつもりですか?」
アーロン「今の世界は間違ってる。過ちを正すためにやってるんだ」
セリーナ「もう過去の事です!忘れてください!」
アーロン「これは お前のためでもあるんだ!」
セリーナ「こんな事、望んでません・・・」
アーロン「世界をあるべき姿に戻す。そうすれば、また昔のように生きられるんだ」
立場が違えど、セリーナとしては家族であるアーロンを死なせたくない。できる事なら、説得して止めたい。だからこそセリーナは、尚も食い下がる。
セリーナ「我らの文明は滅んだんです!失ったものは、戻ってこない・・・」
アーロン「これが上手くいけば全て取り戻せる。いつまでも子供みたいに我が儘を言うな」
セリーナ「我が儘なのは兄上の方です!」
兄妹であるにもかかわらず、セリーナは妹である自分の話に耳を傾けてくれないと心の中で嘆いた。いや、話は聞いてるのだろう。アーロンは心を閉ざし、心から受け入れようとしていないだけだ。
説得が無理だと判断したセリーナは、最後の手段に出る。
セリーナの杖が一瞬で光の粒子に変わり、違う物に再構築される。それはレイピアに似た片手剣だった。
セリーナは剣を構えてアーロンと対峙する。
アーロン「本気なのか?」
セリーナ「こんな事 間違っています。あなたを殺してでも、止めてみせます」
アーロン「お前に剣術を教えたのは俺だぞ。お前の癖も全部 知ってる。勝てるはずがないのだから やめたまえ」
セリーナ「やってみなくては分かりませんよ」
アーロン「仕方ない・・・」
アーロンも、禍々しい大剣を出して構える。
兄妹の戦いが始まろうとした その時、2人が居る部屋でアラートが鳴り響く。アーロンがモニターを確認すると、そこには要塞内部に侵入したネロが映っていた。
アーロン「ダンテが居ないな。それにマシーンも1基 破壊されたようだ。・・・おもしろい」
セリーナ「覚悟!」
アーロン「来い!己の未熟さを教えてやる!」
*第1層*
床、壁、天井、全てが金属で出来た通路を悪魔を倒しながら進むネロ。
途中で曲がり角などはあるが、どこまで行っても次の部屋への入り口が見当たらない。ネロが入った扉の先は、出口の無い迷路になっていた。
そこに、前後を塞ぐように『バジリスク』が数体 現れた。
バジリスクは魔剣教団のアグナスが猟犬と魔力を有した銃を交配させて創造した人工悪魔だ。
炎で構成された頭部を有しており、それを弾丸のように発射する事ができる。失われた頭部は、すぐに再生する事が可能である。
バジリスクが頭部を発射するが、ネロは それを回避すると壁を走り、バジリスクに接近する。
また頭部を発射してくるが、ネロは壁を蹴り宙に躍り出る。
ネロ「
デビルブリンカーを伸ばし、悪魔の右腕で前方のバジリスクを纏めて殴り飛ばす。
後方のバジリスクが飛び掛かりながら頭部を発射しようとするが、ネロは振り返りながらレッドクイーンを横凪ぎに振る。
ネロ「お座り!」
レッドクイーンを何度も叩き付け、最後に斬り上げる。更にレッドクイーンを突き刺し、飛び掛かってきたバジリスクも突き刺す。次々と突き刺していき、バジリスクの串焼きみたいな状態になる。
レッドクイーンを力いっぱい振ると、バジリスクがレッドクイーンから抜けて飛んでいく。そこにチャージショットを撃ち、バジリスクが消滅する。
倒したと思ったら、また新たなバジリスクが現れた。
ネロ「しつこいな、何匹 居るんだよ」
ネロは走りながら空の薬莢を排出し、次の弾丸を装填する。
バジリスクの相手をしながらブルーローズを撃ち、迷路を駆け抜ける。
*陸軍基地*
陸軍将軍「このままでは部下が無駄死にだ・・・。何か有力な情報はないのですか?」
学者『ちょっと待ってください!』
戦車部隊の攻撃が効かない処か、機械が発射した光線の余波で戦車部隊が全滅しかけていた。
陸軍の将軍は、学者達に何か手立てがないか探すのを急かす。少しして、1人の学者が何かに気付いた。
学者『機械の表面、青い光が見えますか?』
陸軍将軍「見えてます。それが何ですか?」
学者達や将軍が見ているモニターには、街を破壊しながら光線を発射し続けている機械が映っている。その機械の側面に、1ヶ所だけ青い電流が迸っていた。
学者「恐らく あれはコアの部分です。あそこを攻撃すれば破壊できるかもしれません」
陸軍将軍「“かも”では困ります。間違いないんですか?」
学者「・・・他に考えられる方法がありません」
将軍は すぐに残っている戦車部隊に攻撃の指示を出す。指示に従い戦車部隊はコアらしき部分へ攻撃するが、それでも機械は止まらない。
学者『あれじゃ火力が足りません!もっと大きな破壊力がないと!』
陸軍将軍「・・・私に考えがある」
将軍は部下に何かを伝え、車に乗って どこかに行ってしまった。
*最上層*
セリーナとアーロンの剣が激しく ぶつかり合い、火花が飛び散る。
セリーナの持つ剣は細身で、スピード重視の戦い方でアーロンに攻め立てる。
反対にアーロンの持つ剣は、ダンテが持つリベリオンよりも大きいのだが、セリーナのスピードと同等の速さで剣を振っていた。
アーロン「昔よりは腕が上がったようだが、ダンテにでも教わったのかな?」
セリーナ「いいえ!鍛練を欠かさなかっただけです!」
アーロン「兄としては、妹の成長を喜ぶべきなのかな?」
セリーナ「心にもない事を!」
剣戟の音が何度も鳴り響き、セリーナは剣を突き出すようにアーロンの胴体を狙う。しかし その剣は弾かれ、セリーナに向けてアーロンは手を翳す。すると、至近距離で魔力弾が放たれ、直撃したセリーナは金属の壁に叩き付けられた。
アーロン「相手がバカ正直に剣だけで戦うとは限らないぞ」
セリーナ「ぐっ・・・まだ、終わりではありません!」
セリーナは立ち上がろうとするが、アーロンは異空間から『グラディウス』を召喚する。
グラディウスも魔剣教団のアグナスが創造した人工悪魔で、ハ虫類と魔力を有した剣を交配させており、体を剣に変形させる事が可能だ。
アーロンはアグナスの研究資料を閲覧し、同じ人工悪魔を造り出していた。
グラディウスが剣の姿に変形すると、アーロンは それを手に取りセリーナに向かって投げた。立ち上がったばかりのセリーナは躱せず、グラディウスに貫かれて壁に張り付けにされてしまった。
セリーナ「うがっ・・・あぁ・・・!」
アーロン「どうせ お前も死にはしないんだ。それぐらいの痛み、我慢しなさい」
セリーナもアーロン同様に不死の身体を持っている。それでも痛みは感じる。
セリーナは自分に突き刺さるグラディウスを抜こうとするが、セリーナの腕力では びくともしなかった。
アーロン「もう止められない。もう1基のマシーンは人間達が止めるつもりのようだが、それもムダだ。お前は見ている事しかできないのだから、大人しくしていたまえ」
*第1層*
出口の無い迷路を走り回っていると、アーロンの声が響く。
アーロン『やぁ、ネロ。その場所は気に入ってくれたかな?』
ネロ「ふざけんな!今度は何するつもりだ?!」
アーロン『目的の最終段階を実行してるだけだよ。それと、俺が居る場所までの道のりは、君の思い出が牙を向く。気を付けたまえよ』
ネロ「何 言ってんだ?」
それ以上、アーロンの声はしなくなった。
いつまでも迷路で足止めされる訳にはいかない。
苛立ったネロは右腕で壁を殴り破壊する。壁に空いた穴を通り、また壁を殴って破壊する。迷路の壁を破壊しながらショートカットし、出口を探す。
*飛行場*
日本某所の飛行場に、1台の車が入ってくる。乗っているのは陸軍の将軍だった。
将軍から指示を受けていた兵士が出迎える。
陸軍兵士「お待ちしておりました」
陸軍将軍「ご苦労、準備は済んでいるか?」
陸軍兵士「既に完了しております。しかし、将軍 自ら出るのは危険かと」
将軍の視線の先には、1機の輸送機が待機していた。
この世界に於ける今の時代では、深海棲艦が現れてから空路が使われなくなった。海外の大陸の方では まだ使われているが、日本では飛行機を見る事がなくなった。理由は深海棲艦の艦載機に狙われるからだが、果たして今の時代の人間に飛ばせるだろうか?
将軍の作戦では、輸送機に大量の爆弾を積み、テラフォーミングマシーンに投下して破壊しようと考えていた。
それを将軍 自ら実行するつもりで、部下としては黙っていられない。
陸軍将軍「なら、貴様に あれが飛ばせるのか?」
陸軍兵士「それは・・・ですが━━」
陸軍将軍「黙れ!幸いな事に私は操縦方法を知ってるから飛ばせる。貴様に あの馬鹿げた機械を止める他の案がないなら従え」
陸軍兵士「失礼しました!」
将軍の祖父は、嘗てパイロットだった。幼い頃から なぜか操縦を教え込まれ、飛ばせる自信が将軍にはあった。
パイロットスーツに着替え、輸送機に爆弾が積まれているのを確認してから乗り込むと、将軍は5人の部下と共に離陸した。
・・・・・・
*街*
地球を作り変え、街を破壊する機械の近くまで輸送機が飛んできた。
機内では最後の確認をしていた。
陸軍将軍「準備はできてるか?!」
陸軍兵士『いつでも投下できます!』
輸送機の後部ハッチを開け、爆弾を投下しようとした。
しかし、危険を察知した機械が金属の触手を出し、輸送機に襲い掛かる。触手は機体を貫き、中に居た兵士の身体も一緒に貫いた。
他の兵士が携帯する銃で応戦するが、魔界金属で構成されている触手には傷1つ付かない。
触手は それ自体が1つの生命体のように動き、また1人、また1人と兵士の命を奪っていく。
陸軍将軍「応答しろ!今 投下しないと次のチャンスはないぞ!」
部下からの応答はない。機内に居た部下は全滅していた。
更に悪い事は続く。エンジンの1基が壊れ、火を吹きながら煙が出る。これでは長く飛んでいられない。機体にも穴が空き、空中分解するのも時間の問題だった。
陸軍将軍「もう後戻りはできないな・・・」
将軍は輸送機を旋回させ、機械に向かって急降下していく。
迫る輸送機を止めるために触手が再び迫るが・・・
陸軍将軍「悪いな、私の勝ちだ」
輸送機は将軍を乗せたまま、機械のコアと思われる場所に突っ込み大破した。遅れて巨大な爆発が起き、機械は炎を上げながら墜落する。
機械が破壊された事で、モニターを見ていた政府関係者や学者、海軍は歓声を上げた。陸軍は勇敢な将軍に敬意を払い、静かに敬礼していた。
*水上要塞 最上層*
アーロン「驚いた・・・人間が あれを壊すか・・・。予定が狂ってしまったね」
アーロンは素直に驚いていた。それも そのはず、あれは強固な魔界金属で造り上げた作品だ。人間には壊せないだろうと高を括っていた。
壁に張り付けにされたセリーナも、モニターを見ていた。痛みで声が出しにくいが、振り絞るように説得を試みる。
セリーナ「兄上は・・・人間を甘く見過ぎです・・・」
アーロン「どうやら そうらしい。だが犠牲を払ったようだ。決して安い犠牲ではないだろう」
セリーナ「あのカラクリが破壊された今、目的は果たせないはず・・・考え直してください・・・。今なら まだ間に合います・・・」
アーロン「そうでもない」
セリーナ「いずれにせよ、すぐに半魔や艦娘が・・・兄上を止める事でしょう・・・」
アーロン「そのダンテは どこに居るんだ?艦娘は深海棲艦の相手に忙しい。ネロも、ここに来るまでに体力が持つかな?いや、精神的苦痛に耐えられるかな?」
セリーナ「何を・・・?」
アーロン「それに、ここが ただの要塞だと思ったら大間違いだ」
アーロンは何かのスイッチを押すと、水上要塞から海底に向かって光線が発射される。水上要塞は、宙に浮かんでいた巨大な機械と同じ性能を有していた。
*第1層*
迷路の壁を破壊しながら真っ直ぐ進むネロ。もう何枚の壁を破壊したか分からない。
すると、かなり広い場所に出た。そして そこには、炎獄の覇者ベリアルが待ち受けていた。
ネロ「こいつを倒さないと先には通れないってか?だったら やってやるよ!」
ベリアルは その手に持つ剣で、連続で凪ぎ払い攻撃を仕掛けてくる。ネロは それを全て躱すと、ベリアルの懐に飛び込み、レッドクイーンでの一撃を入れて後退させる。
地面を滑るように後退させられたベリアルが突進してくる。それを躱すが、ベリアルは踏み付け攻撃を繰り出してきた。
ネロはベリアルの背中に飛び乗り、そこを足場に更に跳躍する。ベリアルの頭まで行くと、レッドクイーンの連続斬りでダメージを与えていく。
ベリアルは滅茶苦茶に暴れ回り、ネロが吹き飛ばされる。
ネロ「チッ・・・!」
着地したネロの足下が赤く光る。その場から飛び退くと、ネロを追うように連続でマグマが吹き上がる。
ネロ「
マグマが止まると、ベリアルが飛び掛かってきた。しかし、カウンターでデビルブリンガーで殴って宙に打ち上げる。更に落ちてきたベリアルを殴り飛ばした。
ベリアルの鎧の役目をしている炎が弱くなる。
ネロ「
立ち上がったベリアルの頭を掴み、振り子のように一緒に1回転しながら地面に叩き付ける。ベリアルの炎は完全に消えた。
ネロ「まだ終わりじゃねぇぞ!」
再びベリアルを打ち上げ、ネロ自身も同じ高さまで跳躍する。ベリアルを掴み、空中で振り回してから地面に叩き落とした。
ネロ「
最後に、レッドクイーンと閻魔刀の二刀流で、高速の連続斬りを喰らわせる。ベリアルは炎を散らせながら消滅した。
部屋の一部に明かりが点くと、そこには先へと進むための昇降機があった。
昇降機の動力を作動させて乗り込むと、突然 氷の塊が3つ出現した。氷が砕け、中からフロストが現れる。
ネロ「やっぱ出てくるよな!」
慣れたように苦もなくフロストを倒すと、昇降機が止まった。
昇降機を降りたネロは、扉を潜って先を急いだ。
次回も よろしく お願い致します!