131話です!どうぞ!
*廃工場 8月12日 20:35*
間宮が拐われ、バージルは犯人に指定された場所へと向かった。場所は鎮守府の近くであったため、それほど時間は掛からなかった。
指定された廃工場に着くと、氷の力を操るフロストがバージルに襲い掛かる。
バージル「邪魔だ」
無駄のない動きでフロストを屠っていくバージル。
月に照らされ、閻魔刀の刃が光を反射している。閻魔刀を振る度、光の線が悪魔を斬っているような光景だ。
フロストを全滅させると、バージルは廃工場の中へと入る。中には間宮と、青い髪に青い服をした巨漢が待っていた。
青の男「来たか・・・」
間宮「バージルさん!」
バージル「貴様、あの時の黒コートの1人だな?その女を返してもらおうか」
目の前の巨漢は、以前 戦った黒コートの1人が使っていた氷の弾丸を撃ち出す魔銃と同じ物を持っていた。
青の男は何も言わず、間宮に触れる。すると、間宮の身体が凍り付き始めた。
間宮「バージ・・・」
青の男「この女を助けたくば我を倒すしかない。急がないと、身体の芯まで凍り付き死に至るぞ」
間宮の全身が凍り付き、氷像となってしまった。凍り付いたのは まだ表面だけだが、氷はジワジワと間宮の身体を侵食していく。残された時間は少ない。
モーフィス「我は王の『七騎士』の1人、凍土の支配者『モーフィス』。戦士として、貴様に勝負を挑もう」
バージル「戦士?笑わせるな」
バージルの背後から、フロストが2体 襲い掛かる。バージルは振り返りながら閻魔刀で斬り飛ばす。
バージル「お前が戦士だと言うのなら、こんな雑魚に頼らず己の身1つで掛かってこい」
モーフィス「勝負!」
モーフィスは手に持つ魔銃から氷の弾丸を撃つ。
バージルは それを避けると、幻影剣を飛ばす。だが幻影剣は氷の弾丸に相殺された。
バージル「(あれに当たると厄介だな)」
モーフィスが撃つ弾丸は どんなものも凍て付かせる。当たればバージルでさえ凍り付いてしまうだろう。
バージルが廃工場内を駆け抜けていると、モーフィスは また氷の弾丸を撃ってくる。氷の弾丸は5つに分裂し、横に広がりながら広範囲に飛んでくる。
モーフィス「どうした?お前を戦士として認めて勝負を挑んだというのに、逃げ回るだけか?」
バージル「・・・・・・!」
バージルがモーフィスに向かっていこうとしたが、氷の魔術を操る『バフォメット』と『ルサキア』が現れた。
魔術を行使できる悪魔というのは、実は そう多くない。殆どの悪魔には、魔術を使う程の知性が欠けているからだ。だがバフォメットには その知性がある。扱えるのは氷の魔術だけだが、充分に警戒するべきだ。
肉体は脆弱で、バフォメット自身も それを理解しているらしく、基本的に敵の接近を拒むような行動を取る。銃弾も魔力の壁で防いでしまい、どうにかして近付くか、魔力の壁の隙を突くか、取るべき道は2つだ。
魔術の行使には詠唱が必要だ。ルサキアは その詠唱のために四肢を捨て、その代わりに身体中に口を備えるという進化を選んでいる。多種の魔術を操りながら魔力の壁を全方位に展開できるのも、その進化の産物と言っていいだろう。魔術の中には、一撃で相手の命を奪うような危険なものも存在する。
バージル「チッ・・・!」
モーフィスに近付けさせまいと、バフォメットとルサキアが氷弾を飛ばしてくる。
氷弾を斬り落とすが、その隙にモーフィスが見た目と違い高速接近して殴り掛かってくる。バージルは閻魔刀で拳を受け止め、地面を滑るように後退する。
透かさずバフォメットがバージルの足下に氷柱を発生させ、ルサキアが熱線を放ってくる。バージルは飛び退き回避した。
モーフィス「どうした?防戦一方ではないか。それでは この女を助けられんぞ」
バージル「・・・・・・・・・」
モーフィスを狙えばバフォメットとルサキアが攻撃を仕掛け、2体の悪魔を狙えばモーフィスが攻撃してくる。かなり統率が執れているようだ。
時間もないため、バージルは自分の中に眠る魔力を解放しようとするが、バフォメットとルサキアに砲弾が飛んできた。それは魔力の壁に阻まれる。
バージルが後ろを振り返ると、睦月型と初春型が居た。鎮守府で待っているように言ったが、どうやら来てしまったようだ。
バージル「何をしに来た?」
睦月「私達も、一緒に戦います!」
バージル「足手纏いだと言ったはずだが?」
初春「勘違いするでない。おぬしのためでなく、間宮さんのために来ただけじゃ」
三日月「あの2体の悪魔は私達に任せてください!」
若葉「バージルは あの男を頼む」
バージル「フン・・・自分の身は自分で守れ」
如月「分かってるわ」
睦月型と初春型に2体の悪魔を任せ、バージルは幻影剣を飛ばしながらモーフィスに向かっていく。
バフォメットとルサキアが また邪魔をしようとするが、艦娘達が砲撃して阻止しようとする。バフォメットは魔力の壁で防御し、ルサキアは一瞬で姿を消して別の場所に現れる。
皐月「瞬間移動!?」
望月「あの壁も厄介過ぎでしょ・・・」
睦月「やる事は変わらないよ!」
初春「攻撃を続けるのじゃ!」
それぞれの長女が鼓舞し、指示を出す。
艦娘達が悪魔を引き付けている お陰で、バージルがモーフィスに接近するのは容易だった。
バージル「お前のような奴を、“戦士”とは呼ばん!」
モーフィス「ぐっ・・・!」
閻魔刀を振り下ろすと、モーフィスは左腕で それをガードする。だがバージルの攻撃は終わらない。高速で閻魔刀を振るい、モーフィスの身体に斬り傷を刻んでいく。最後に、モーフィスの左腕を斬り飛ばす。
モーフィスは右手に持つ魔銃を構え、氷の弾丸を撃つ。バージルは瞬間移動して躱し、後ろに下がった。
モーフィス「これで勝ったと思うなよ!」
モーフィスの身体が氷に包まれ、その氷が巨大化していく。
氷が砕けると、中から氷の魔人が出てきた。全長は5メートルはありそうだ。斬り飛ばされた左腕も再生している。
バージル「それが貴様の真の姿か」
モーフィス『悪魔の力を使えるのが、貴様だけだと思うなぁ!』
初霜「な、何これ!?」
初霜の声にバージルが振り向くと、艦娘達の周りに、ルサキアの周りに浮いている文字と同じものが浮かんでいた。それはルサキアが使う、最も強力な魔術の前触れだった。
更にバフォメットも魔術の詠唱を始め、艦娘達を狙う。
バージル「(手間を掛けさせる小娘達め・・・!)」
バージルは高速で動きながら斬る『疾走居合い』で、バフォメットとルサキアを纏めて斬る。
大技を喰らい魔術の詠唱が止まった事で、艦娘達の周りから文字が消える。
だが魔人モーフィスは その隙を見逃さなかった。
両手を突き出し、全てを凍結させる魔力の奔流を撃ち出した。艦娘達を庇った事で、バージルに直撃する。
睦月「バージルさん!!」
バージルの全身が凍り付き、氷像と化してしまう。バージルの意識は、暗い闇の底へと堕ちていった。
・・・・・・
暗く深い意識の底で、バージルが見たのは燃える家だった。
魔帝ムンドゥスが送り込んだ悪魔に襲われ、母と弟を失ったと思った あの日。力を渇望する切っ掛けとなった あの日。それは幼少の頃に見た光景だった。
“バージル、ダンテ、お誕生日おめでとう”
バージル「(そうだ、俺は忘れていた)」
無力であったために母と弟を護れず、無力であったために己の身さえ守れなかった。
“そんなに力が欲しいのか?力を手に入れても父さんにはなれない”
バージル「(ダンテ・・・)」
力を追い求め、いつしか こう思うようになった。双子に産まれてきた事で、半魔としての力しか持たないと。本来なら自分が受け継ぐはずだった力の半分を、双子として産まれてきたダンテに奪われたと。
バージル「(ダンテさえ居なければ、俺は・・・!)」
認める訳にはいかなかった。双子として、同じ半魔のダンテより劣っているなど。
“力とは、求めて得られるものではありません。相応しい者に、あとから付いてくるものです”
バージル「(俺は相応しくないと言うのか?否、断じて認めん。俺はスパーダを、ダンテを超える!同じ過ちは繰り返さん!・・・もっと力を!)」
・・・・・・
*廃工場 22:05*
バージルの氷像に罅が入り、そこから光が漏れ出す。
文月「な、何が起きてるの?」
モーフィス『この魔力は・・・!?』
バージルの氷が完全に砕け、眩い光が広がる。膨れ上がった魔力の衝撃波に、バフォメットとルサキアが消し飛んだ。
光が消えると、月明かりに照らされたバージルの新たなる姿、『真魔人バージル』の姿が そこにはあった。
如月「蒼い、悪魔・・・」
モーフィス『それが、お前の悪魔としての力か・・・!?』
バージル『違う、神を超えた力だ』
真魔人バージルは高速で何度も閻魔刀を振り、『次元斬・絶』を繰り出す。魔人モーフィスの身体はバラバラになった。
しかし、バラバラになった身体の一部、口の部分が動く。
モーフィス『我は凍土の支配者。この身が砕けようとも、我は何度でも再生する』
バージル『そんな暇を与えるとでも?塵も残さん!』
真魔人バージルは更に高速で閻魔刀を振り、そのスピードは加速していく。それに伴い『次元斬・絶』の勢いも増していく。
モーフィス『さ、再生が追い付かんだと・・・!?』
バージル『
魔人モーフィスは、真魔人バージルの宣言通り塵も残さず消滅した。
魔人モーフィスが倒された事で、間宮の氷が消滅する。倒れそうになる間宮を、真魔人バージルが受け止めた。間宮は意識がなく、かなり消耗している。
真魔人バージルは間宮を横抱きにし、翼を広げて屋根に空いた穴から飛び立った。
睦月「・・・あれ?睦月達、置いてかれた?」
訳の分からないまま戦いが終わり、訳の分からないまま真魔人バージルが間宮を連れてった。何も言われず放置された事で、睦月型と初春型は呆然としていた。
・・・・・・
*Devil May Cry鎮守府 入渠ドック 22:40*
バージルは間宮を抱えたまま、入渠ドックまで来ていた。
服を来たまま湯船に入り、間宮の身体を沈める。
少しすると、間宮の意識が戻った。
間宮「バー・・・ジル、さん・・・?」
バージル「無事で何よりだ」
間宮「助けて、くれたんですね・・・。ありがとう・・・」
バージル「礼を言われる筋合いはない。茶が飲めなくなるのが不本意だっただけだ」
それを聞いてか聞かずか、間宮は安らかな顔をしながら また意識を失った。
*アメリカ 刑務所*
アメリカ某所にある、厳重警備された刑務所。その監房の1つに、日本で混乱を引き起こしたアレックス・テイラーが収監されていた。
小さな小窓が開き、就寝時間だというのに食事の乗ったトレイが置かれた。
それを受け取り、ポテトサラダを手で掴んで裏側を見る。それはポテトサラダに見立てた爆弾だった。
直後、監房の扉が開く。刑務官に連れられ、囚人服を来た男が入ってきた。その囚人はアレックス・テイラーと同じ髪型、体格をしていた。
アレックス・テイラーは入ってきた男の囚人番号を見てから、自分の囚人番号を見る。おかしな事に、その番号は全て同じだった。
アレックス・テイラーが笑うと、入ってきた囚人に襲い掛かり殴り殺した。
爆弾を設置し、食事の中に隠されていた鍵で扉を開く。外に出て出口を目指した。
すると、巡回中の刑務官に見付かり、後ろから呼び止められる。
刑務官「おい、止まれ。何で外に出てる?止まれ!」
アレックス・テイラーは その声を無視して歩き続ける。刑務官が追い掛けようとした瞬間、設置した爆弾が爆発した。刑務官は爆発に巻き込まれ、刑務所内も大騒ぎとなる。
アレックス・テイラーは階段を使い1階を目指す。すると、そこでも2人の刑務官に遭遇した。
2人の刑務官はアレックス・テイラーを取り押さえ、頭に小さな麻袋を被せて どこかに連行した。
・・・・・・
*??? 5:30*
ある場所に車が止まり、車から刑務官の服を着た2人の男が降りてくる。
バンの後ろのドアを開け、アレックス・テイラーに被せた麻袋を取る。アレックス・テイラーは眩しさに一瞬 目を細めた。
目が光に慣れてくると、そこには1人の男と武装した数人が待っていた。
?「君を待っていた」
テイラー「遅かったじゃないか!すぐに助けに来るはずだったろ!」
?「こちらも忙しくてね」
アレックス・テイラーは車から降りると、怒りの形相で男に詰め寄った。どうやら2人は知り合いのようだ。
テイラー「ふざけるな!僕は何年も閉じ込められてたんだぞ!」
?「そう怒るな。友人の君を放っておいた訳じゃない。だから こうして君を脱獄させたんだ」
テイラー「計画は どうなってる?」
?「順調だ」
テイラー「日本に行くのは簡単じゃないぞ。海には深海棲艦が居る。それに海軍と艦娘の警備もある」
?「深海棲艦なら心配ない。こっちに」
アレックス・テイラーは建物の中に案内された。中には、首輪を付けられ鎖で繋がれた艦娘が数名 並んでいた。
?「こいつらを使って海を渡る。深海棲艦の対処は これで問題ない。それに日本の警備は甘い。密入国するのも、武器を運ぶのも簡単だ」
男が笑うと、アレックス・テイラーも笑い返した。
悪意ある者は悪魔や、それに連なる者だけではない。人間の悪意も、動き出そうとしていた。
真面目な話が続いてるので軽い話も入れたいのですが、中々 放り込むタイミングが見付かりません。もう しばらく真面目な雰囲気が続きそうです。
次回も よろしく お願い致します!