Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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ゴタゴタしてて日が空いてしまいました。

133話です!どうぞ!


Mission133 孤独~売られた艦娘~

*銀行 8月15日 10:00*

 

朝食終わりに、ダンテは大本営からの呼び出しを受けた。鳳翔と間宮も出掛ける用事があり、序でにバージルも引っ張り出して一緒に鎮守府を出発した。

鳳翔と間宮は銀行に用があった。今は順番待ちで、ダンテとバージルに挟まれる形で椅子に座ってる。

 

バージル「なぜ俺まで・・・」

 

ダンテ「折角だから お前も大本営の場所 覚えとけ」

 

バージル「必要ない」

 

ダンテ「どうせ間宮の買い物に付き合うんだろ?」

 

バージル「知らん」

 

鳳翔「私達を挟んで喋らないでください・・・」

 

鳳翔と間宮を挟んで談笑(?)していると、目出し帽を被った数人の男と1人の艦娘が 入ってきた。どうやら銀行強盗のようである。

 

強盗「全員 床に伏せろ!」

 

強盗「これに金を入れろ!無音警報は押すなよ。押したら全員 殺すぞ!」

 

強盗は武装しており、受付係は従うしかなかった。

そこで、強盗の1人が騒ぐ男2人に気付いた。

 

バージル「そもそも、お前は執務室で座ってるだけか?少しは敵の居場所でも調べたら どうだ」

 

ダンテ「それで見付かれば苦労しない」

 

鳳翔「て、提督・・・」

 

間宮「バージルさん・・・」

 

ダンテとバージルは、強盗を気にせず口論を続けていた。鳳翔と間宮は他の人質を危険に晒さないために、強盗に従い床に伏せている。

 

強盗「おい!床に伏せろって言ってるだろ!」

 

ダンテとバージルは立ち上がり、更に口論がヒートアップする。

 

ダンテ「お前こそ本 読んでるだけだろ!」

 

バージル「お前のように時間をムダにしている訳ではない、バカが!」

 

強盗「勝手に喋んな!聞いてんのか?!」

 

「「邪魔だ!」」

 

鳳翔「2人共、何してるんですか!?」

 

ダンテとバージルの裏拳が強盗の顔面にヒットして吹き飛ぶ。仲間がやられた事で、強盗 全員がダンテとバージルに向けて銃を向けて発砲する。

人質から悲鳴が上がる中、ダンテはエボニー&アイボリーから撃ちだした銃弾で相殺し、その隙にバージルが銃を持つ強盗の腕を斬り落としていく。強盗は あまりの痛みに戦闘不能になった。

しかし強盗の一味であった艦娘の、自律型の艤装が人質の1人に主砲を向ける。その艦娘は、島風だった。

 

ダンテ「見た事ある艦娘だな。艦娘が銀行強盗か?」

 

島風「動かないで!撃つよ!」

 

バージルが鞘に納まる閻魔刀を親指で押し、少しだけ刃を見せる。バージルが動こうとするが、ダンテが手で制止する。

 

ダンテ「どこの所属だ?」

 

島風「所属なんてない・・・」

 

ダンテ「・・・・・・?」

 

艦娘は海軍によって建造される。どこにも所属していないなど有り得ない。おかしな話にダンテも腑に落ちない。

 

鳳翔「島風ちゃん、何があったのか話してください」

 

島風「来ないで!」

 

島風を刺激しないように優しい声音で話し掛けるが、島風は切羽詰まった表情で興奮状態だ。このままでは本当に人質の命が危ない。

バージルは床に転がる強盗の1人の足に、閻魔刀を突き刺す。

 

バージル「この艦娘は何だ?答えろ」

 

強盗は痛みに耐えられず、全て話した。

この島風は、とある筋から買ったらしい。売り手の正体は強盗も詳しく知らないらしいが、近年 裏社会で艦娘が売り買いされているらしい。

 

間宮「島風ちゃんだって こんな事したくないんでしょ?どうして こんな・・・」

 

島風「言うこと聞かないと・・・殺されるの!邪魔しないでよ!」

 

艦娘は深海棲艦と同じく、人間の兵器は通用しない。その艦娘が殺されるとは いったい・・・?

強盗の1人が、残る腕で何かのスイッチを取り出した。透かさず その腕に幻影剣が突き刺さり、スイッチが転がりダンテの足元で止まった。

 

ダンテ「お前を殺すのは これか?」

 

島風「や、やめて・・・押さないで・・・」

 

ダンテ「なら人質を解放しろ。そうすりゃ助けてやる」

 

島風は逆らう事ができず、人質を解放した。

島風から詳しく聞くと、どうやら首輪に爆弾が取り付けられているらしい。

ダンテが首輪を力任せに外そうとするが、島風は これを拒否。無理に外そうとしても起爆してしまうらしい。爆発の規模も不明なため、下手な事はできない。

人質や銀行の職員を避難させ、強盗は駆け付けた警察に任せた。そして夕張を呼んだ。

 

 

・・・・・・

 

夕張「何か凄い事になってるわね」

 

呼ばれて急いで来た夕張。

目の前には銀行を囲む警官隊や、騒ぎを聞き付けたメディアや野次馬の壁ができていた。

 

夕張「すみません、通してください。通して、海軍です。通して、通してってば!通して!」

 

人垣を掻き分け、規制線に立つ警官に身分証を提示すると中に通された。

 

夕張「提督!」

 

ダンテ「遅いぞ」

 

夕張「これでも急いで来たんだから!」

 

ダンテ「で、これ どうにかできるか?」

 

夕張「ちょっと見せてね」

 

島風の首輪を見ていく夕張。すぐに工具を取り出し、爆弾解除の作業に入った。

夕張を呼ぶ事を提案したのは鳳翔だった。

夕張はダンテが元の世界に帰ってる間、本人の希望で技術の高い爆弾処理の訓練を受けていたそうだ。

 

ダンテ「解除できるか?」

 

夕張「作りは単純だけど、かなりエグい爆薬を使ってるわね・・・」

 

間宮「(・・・漂白剤の香り?)」

 

夕張「少し時間が掛かるけど、任せて!(これって もしかして・・・)」

 

しばらく作業を続ける夕張。最後の配線を切り、爆弾の解除に成功する。解除の間、島風は大人しくしていた。

爆弾の付いた首輪を警察の爆弾処理班に渡し、島風を連れてダンテ達は大本営に向かった。

車には運転席にダンテ、助手席にバージル、後部座席に鳳翔と間宮と島風で座っている。

 

夕張「提督、あの首輪に、傭兵が使ってたのと同じ薬が仕込まれてたわ」

 

ダンテ「傭兵・・・?テイラーが雇ってた傭兵か?」

 

夕張「そう」

 

嘗てアレックス・テイラーが雇い、鎮守府を襲撃した傭兵。彼らはアーロンが作った艦娘の力を封じる薬品が入った弾丸を使っていた。それと同じ薬品が首輪にも使われていた。

爆弾の起爆スイッチを押すか無理に首輪を外そうとすると、注射針が飛び出し薬品が注入され、艦娘の力を失ったところで爆発。これなら人間が艦娘を殺す事も可能で、島風も恐れていた事に納得できる。

夕張は他にも気になる事があるのか、そのまま黙り込んで何かを考え込むのだった。

 

 

・・・・・・

 

*大本営 元帥 執務室 13:10*

 

大本営に着いたダンテ達は、元帥の執務室まで来た。

 

元帥「島風の事は ご苦労だった。それで・・・そちらが お前の兄か?」

 

ダンテ「まぁな」

 

バージル「・・・・・・・・・」

 

元帥「そうか。念のために言っておくが、兄弟喧嘩は程々にな。あれ以上 鎮守府が壊されても私が困る」

 

ダンテ「これでも気を付けてるんだがなぁ」

 

「「(あれで気を付けてた・・・?)」」

 

ダンテの言葉に鳳翔と間宮は首を傾げる。気を付けてるレベルの被害ではない。ただただ疑問だった。

 

元帥「それから、任務とは別で仕事を頼みたい」

 

ダンテ「仕事?」

 

Devil May Cry鎮守府としては、現在AL海域とMI海域での作戦を実行してる真っ最中で忙しい。手間の掛かる仕事であれば、正直に言って困る。

 

ダンテ「何させたいんだ?」

 

元帥「お前達が連れてきた島風にも関係がある話だ」

 

ダンテが この世界を離れてる間、海軍内部でも事件が起きていた。海軍に所属する将校の数名が、艦娘売買をしていたのだ。

 

元帥「艦娘売買に関わった者は全員 逮捕され、既に断罪されている」

 

ダンテ「なら良かったな、事件解決だ」

 

元帥「最後まで聞け。問題は艦娘だ」

 

艦娘は海軍の極秘事項となっている。悪人の手に渡れば色々と都合が悪い。

それに、元々 世間では、艦娘は兵器として認知され、冷たい目を向けられる事が多かった。しかし今では、艦娘に対しての認識も それほど厳しくなく、多くの人間に受け入れられ、良い方向へと向かっている。そうなれば、戦争が終わった時、彼女達は艤装との繋がりを断ち、人間として生きるための居場所もできる。

だが、もし艦娘が人間に牙を向くと分かれば、その艦娘だけでなく、全ての艦娘への風当たりが また厳しいものになる。悪ければ、艦娘を全て処分する声も出てくるかもしれない。深海棲艦との戦争が まだ終わっていない今、そんな事が起きれば人類を護る者が居なくなってしまう。元帥は それを危惧していた。

 

元帥「こちらでも艦娘の行方は探しているが、ダンテ、お前にも手伝ってもらいたい。便利屋としてな」

 

ダンテ「こっちはアンタから言われた任務とやらで忙しいのにか?」

 

元帥「それは分かってる。だから可能な限りでいい。どうか頼めないだろうか?」

 

ダンテ「・・・・・・あの島風ってのは どうなる?」

 

元帥「どこかに配属させる事にならなければ、解体処分となるだろう」

 

ダンテ「なら こっちで引き取る」

 

元帥「いいのか?」

 

ダンテ「島風ってのは丁度 居ないし、人手も欲しいからな」

 

元帥「分かった。島風のDevil May Cry鎮守府への着任を認めよう。その代わり━━」

 

ダンテ「仕事を引き受ければいいんだろ?」

 

元帥「そういう事だ」

 

こうして、島風がDevil May Cry鎮守府へ着任する事が決まった。

そんな中、間宮が元帥の執務室の時計を見て焦りだした。

 

間宮「お昼 過ぎてます!」

 

時計を見ると、既に13時を過ぎてる。昼食の用意もあるのに、銀行強盗のせいで遅れてしまっていた。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 食堂*

 

同じ頃、鎮守府に居る艦娘達は空腹で項垂れていた。料理担当の間宮と鳳翔が2人揃って居ないので、艦娘達は完全に お預け状態だ。

間宮と鳳翔が戻ってこない事で、食堂の妖精さんも仕込みができないので料理が出せず困っている。

 

天龍「腹 減った・・・」

 

比叡「やっぱり私が作った方が・・・」

 

磯風「なんなら私が・・・」

 

鈴谷「ムリ~・・・絶対ムリ~・・・」

 

比叡と磯風が作れば、今 以上の地獄を見る事になる。他の艦娘達からすれば迷惑千万である。

その後、ダンテ達は慌ただしく大本営を後にし、鳳翔と間宮とバージルを街で降ろし、ダンテは島風と共に先に鎮守府へ戻るのだった。

 

 

・・・・・・

 

*艦娘寮 14:39*

 

ダンテは島風を連れて帰り、先に艦娘寮に案内した。後で諸々の世話は誰かに頼むつもりだ。

 

ダンテ「さて、今日から ここが お前の家だ」

 

島風「・・・・・・・・・」

 

ダンテ「どうした?」

 

大本営を出発してから、島風は ずっと元気がない。島風は ずっと疑問に思っていた事を口にした。

 

島風「どうして助けてくれたの?」

 

ダンテ「ん?ん~・・・必要だったからだな」

 

島風「私が?」

 

ダンテ「難しく考えるな。こっちは人手が増えてハッピー。お前は前より いい環境で過ごせてハッピー。皆ハッピーって事でいいじゃねぇか」

 

島風「ハッピー?私、ここに居ていいの?」

 

ダンテ「ダメなら連れて帰らないさ」

 

島風「もう悪い事しなくてもいいの?」

 

ダンテ「その通りだ」

 

島風は、解体される事も、悪い人間に利用される心配もないと分かると、パァッと笑顔を見せた。

 

島風「ありがとう!」

 

ダンテ「おっと・・・」

 

嬉しさのあまり、島風は お礼を口にしながらダンテに抱き付いた。ダンテも いきなりの事で少し驚いたが、優しく受け止めた。

そこに、空腹で何となく窶れた顔をした吹雪が通り掛かる。

 

吹雪「あ、司令官・・・」

 

ダンテ「吹雪、丁度いいとこに来たな」

 

吹雪「・・・・・・?」

 

島風の事を任された吹雪は、フラフラしながら鎮守府での事を説明し、島風は心配そうな顔をしながら吹雪の話を聞いていた。

吹雪となら すぐに仲良くなれるだろうと判断したダンテは、自身も食堂に向かい、鳳翔達が戻るのを待つのだった。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 港 8月21日 10:04*

 

Devil May Cry鎮守府に島風が着任してから数日が経った ある日、島風は1人で海を眺めていた。傍らには、彼女の艤装である『連装砲ちゃん』も一緒だった。

彼女は この鎮守府に着任し、何を思っているのだろうか?

 

 

*執務室*

 

ソファーで うつ伏せの状態で横になり、ダンテは項垂れていた。反対側のソファーでは、バージルが静かに読書をしている。

元帥から艦娘探しの仕事を頼まれてから数日、数名の艦娘は見付けた。救えた艦娘も居れば、勿論 救えなかった艦娘も何人かは居る。

だが艦娘売買を斡旋している黒幕の情報が全く入らない。

青葉が入手した情報によると、海外に売られた艦娘も居るようだ。艦娘 全員を見付けるとなると、日本を離れる事にもなる。

しかし、今はAL作戦とMI作戦の真っ最中だ。時間もなければ手も足りない。そして新しい情報も入ってこない。つまり手詰まりだ。

 

ダンテ「どうしたらいいんだろうな?」

 

バージル「知らん、お前が引き受けた仕事だ」

 

ダンテ「本 読んで知識 溜め込んでるんだろ?何か いいアイディアとかないのかよ?」

 

バージル「お前が100人に増えれば手は足りる」

 

ダンテ「できたら苦労してねぇよ」

 

バージル「されても鬱陶しいがな」

 

ダンテ「そう言われると意地でもやりたくなるな」

 

ジョークを交えつつ話していると、鳳翔が執務室に入ってきた。

 

鳳翔「あら?バージルさんも居たんですね」

 

バージルは言葉を返す訳でもなく、鳳翔を無視して読書を続ける。鳳翔に気にした様子はない。

 

ダンテ「何か用か?」

 

鳳翔「まぁ、随分と素っ気ないですね」

 

ダンテ「用があるなら手短にしてくれ。考え事で忙しい」

 

鳳翔「ご相談があります」

 

ダンテ「出たよ・・・。好きにしていいから そっちで解決してくれ」

 

鳳翔「島風ちゃんの事です」

 

ダンテ「誰かと喧嘩したか?それとも何か壊したのか?」

 

鳳翔「そうじゃありません」

 

鳳翔の話では、島風がトラブルを起こした訳ではないらしい。ただ、日頃の生活の中で、他者との関わり方に心配があるそうだ。

島風と仲良くなるために、先に着任している艦娘達は積極的に話し掛けている。その時は、島風も普通に言葉を返し話している。端から見れば、楽しく談笑しているようにも見える。

それだけなら問題がないように思えるが、問題は その逆のパターンだ。どうやら島風の方から、他の者に話し掛ける事はないらしい。

その話を聞き、ダンテは1つ疑問が出てきた。

 

ダンテ「俺の時は向こうから来るぞ?」

 

鳳翔「私の時も そうです。けど、他の皆の時は どうも違うようで・・・」

 

ダンテと鳳翔には、島風も懐いている。

ダンテの時は、島風が よく質問してくる。何で紅い服を着てるのかとか、何でピザばかり食べてるのかとか、何で海軍で便利屋をやってるのかとか、小さい質問ばかりだが、島風から話し掛ける事が多い。

鳳翔の時は お互いに空いた時間に、鳳翔に膝枕をしてもらいながら昼寝をしている。

 

ダンテ「気にし過ぎじゃないのか?」

 

鳳翔「1人で居る事も多いみたいで、心配なんです」

 

いくらダンテと鳳翔に懐いてると言っても、それでも1人の時間の方が多い。酷い時は連装砲ちゃんを使って お人形遊びをしている。

鳳翔としては、もっと積極的に皆とコミュニケーションを取ってもらいたいのだ。

 

ダンテ「まだ ここに来て日が浅いし慣れてないだけだろ?それに1人になりたい時だってあるもんだ」

 

鳳翔「1度、提督の方から話してみてはくれませんか?」

 

ダンテ「鳳翔、いい加減にしろ。過保護も━━」

 

鳳翔「て、提督!?」

 

何本もの幻影剣の切っ先が、ダンテに向かって配置されていた。幻影剣を出した本人は、変わらず本を読み続けている。

 

ダンテ「・・・バージル、何のつもりだ?」

 

バージル「うるさくて読書の邪魔だ。行くなら早く行け」

 

ダンテ「お前が出てけ」

 

バージル「さっさと行け」

 

配置された幻影剣の数が、更に倍の数に増える。

ダンテは起き上がり、仕方なく島風を探す事にした。

宙に浮かぶ幻影剣を どかし、ブツブツと文句を言いながら執務室を出るダンテ。

ダンテを見送った鳳翔は、バージルを見て笑っていた。

 

鳳翔「ありがとうございます」

 

バージル「何の話だ?」

 

鳳翔「お茶の おかわり、要りますか?」

 

バージル「・・・・・・・・・貰おう」

 

少し迷い、おかわり。

 

 

・・・・・・

 

*港 10:41*

 

執務室を追い出されたダンテは、島風を探して鎮守府中をウロウロしていた。港に行くと、やっと島風を見付けた。

 

ダンテ「島風」

 

島風「提督?」

 

ダンテ「他の皆とは遊ばないのか?初雪なんか遊び道具 沢山 持ってるぞ」

 

島風「うん・・・」

 

ダンテ「何か悩んでるのか?鳳翔が心配してたぞ」

 

島風「鳳翔さんが?・・・別に悩んでないよ」

 

ダンテ「本当か?言うなら今の内だぞ」

 

島風「悩んでません」

 

本人が悩んでないと言うなら、これ以上の追求はできない。早々に話を切り上げ、ダンテは執務室に戻ろうとしたが、途中で その足を止めた。

 

ダンテ「お前、得意な事はあるか?」

 

島風「得意な事?速さなら誰にも負けないよ」

 

ダンテ「なら、俺と競争してみるか?」

 

ダンテの提案で、競争する事になった島風。

 

 

・・・・・・

 

*グラウンド 11:10*

 

グラウンドに、これから競争するダンテと島風、スターター役で呼ばれた夕張が居た。

夕張は空砲を撃つため、艤装を装備している。

 

夕張「まさか競争の合図を出すためだけに呼ばれるとは思わなかったなぁ」

 

ダンテ「悪いな」

 

夕張「まぁ、今日は作品作りも お休みしてたからいいけど」

 

島風は屈伸など しっかりと準備運動をしている。やる気満々だ。反対にダンテは、適当に足首を回して軽い準備運動で済ませている。

 

島風「負けませんよ」

 

ダンテ「そいつは楽しみだな」

 

夕張「はい、位置に着いて!」

 

島風はクラウチングスタートの構えに入り、ダンテは棒立ちで合図を待っている。これから走るのは100メートル走だ。

夕張が空砲を撃ち、音が鳴るとダンテと島風が同時に走る。スタートは同時だったが、島風がダンテの前に出た。

 

島風「提督おっそーい!」

 

ダンテ「ハッ!」

 

島風の言葉に、ダンテは鼻で笑う。

島風が半分の50メートルに差し掛かった所で、ダンテが一気に加速した。

 

島風「オゥッ!?」

 

一瞬にしてダンテに抜かれ、先にゴールしたのはダンテだった。これには島風も驚き、同時に どこか不満そうだった。

 

島風「今 何したの!?」

 

ダンテ「何って、普通に走ってただけだ」

 

島風「私より速いなんて おかしいよ!もう1回!もう1回!」

 

もう1回 走るが、ダンテが先にゴールした。負けるのが悔しいのか、走り終わる度に“もう1回”と言って何度も走る。何度やっても、毎回ダンテが先にゴールした。

 

 

・・・・・・

 

*12:02*

 

島風「も、もうムリ・・・提督 速過ぎ・・・」

 

ダンテ「お前も速かったぞ」

 

島風は体力に限界が来て、今は大の字で横になっている。息も絶え絶えである。反対にダンテは、息も上がっておらず、まだ余裕がある。

 

ダンテ「島風、皆と駆けっこして遊んだら どうだ?」

 

島風「うーん・・・」

 

夕張「提督、もう お昼だから競争は終わりにしましょ」

 

ダンテ「もう そんな時間か。島風、昼飯の時間だぞ」

 

島風「う、動けないよ~・・・」

 

ダンテ「世話の焼ける お嬢ちゃんだ」

 

島風を肩に担ぎ、ダンテは夕張と共に食堂に向かった。

 

 

・・・・・・

 

*執務室 13:30*

 

昼食の後、ダンテと鳳翔は島風の事で話していた。

ダンテはソファーで また横になっている。

 

ダンテ「悩みはないらしいぞ」

 

鳳翔「皆と積極的に関わる事は・・・」

 

ダンテ「それも一応 言った。あとは本人次第だろ?」

 

鳳翔「もう、こんな時、父親役は役に立ちませんね・・・」

 

ダンテ「ちょっと待てよ。それ俺の事か?」

 

鳳翔「やっぱり私の方で どうにかします」

 

そう言って、鳳翔は執務室から出ていき、ダンテは横になったまま目を瞑るのだった。

 

 

・・・・・・

 

*艦娘寮 鳳翔の部屋 15:00*

 

島風は また鳳翔の部屋に来ていた。鳳翔に膝枕をしてもらいながら横になっている。どうやら まだ寝てはいないようだ。

 

鳳翔「島風ちゃん、皆とは仲良くできてますか?」

 

島風「うん、今日は提督と駆けっこしたよ」

 

鳳翔「提督ではなく、艦娘の皆とですよ」

 

島風「普通だよ」

 

鳳翔「島風ちゃんから話し掛けたりとかは?」

 

島風「・・・あのね、鳳翔さんは姉妹艦が居ないでしょ?寂しくない?」

 

鳳翔「え・・・?」

 

それから島風は、今 自分が何を考え、何を思っているのかを話し始めた。

島風に姉妹艦は存在しない。人間に売られ、買われてからも ずっと1人だった。Devil May Cry鎮守府に来てからも、周りの艦娘は皆、自分とは違い仲のいい姉妹艦が居る。島風は、どこか孤独を感じていた。

 

鳳翔「(そんな事、考えた事もなかった・・・)ずっと、そんな風に感じてたの?」

 

島風「うん・・・」

 

鳳翔「ごめんね、気付いてあげられなくて・・・」

 

島風が自分から話してくれた事で、彼女の悩みは これで分かった。しかし、鳳翔には どうする事もできない。島風に姉妹艦が存在しない事から、建造やドロップで迎え入れる事は不可能だ。

鳳翔の部屋の外では、ダンテが立っていた。ダンテは声を掛ける事もなく、その場から立ち去った。

 

 

・・・・・・

 

*執務室 15:20*

 

元帥『それは無理だ。島風に姉妹艦は居ない』

 

ダンテ「どうにかならないのか?」

 

ダンテは大本営に電話し、島風の姉妹艦について相談していた。元帥も何とかしてやれない相談に困っていた。

 

元帥『どうにかと言われても、艦娘は先の大戦の船が艦娘になった。当時に姉妹艦の建造がされていなければ、艦娘としても存在はしない』

 

ダンテ「新しく姉妹艦 作っちまうとか、反則技はないのか?」

 

元帥『どう頑張っても無理だ。これは・・・・・・いや、待てよ・・・』

 

ダンテ「思い当たる節でも?」

 

元帥『かなり無理矢理な話ではあるが、あるにはある。よく聞け』

 

しばらく話し込み、ダンテは電話を切ると自身の装備を確認してから執務室を出るのだった。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 港 8月22日 6:47*

 

今日はAL作戦とMI作戦を本格的に実行するために、艦娘達は幌筵泊地とAL海域の前線基地へ向かう日だ。しかし、出発の時刻を過ぎても艦娘達は まだ鎮守府に居た。

 

雷「司令官、どこ行っちゃったんだろう・・・?」

 

深雪「船まで消えてるし、先に行ったんじゃね?」

 

加賀「それはないわ。もし そうなら、誰にも言わずに 行かないはずよ」

 

鳳翔「提督・・・」

 

島風「提督、帰ってこないのかな・・・?」

 

鳳翔「きっと戻りますよ」

 

長波「ねぇ、あれ!」

 

長波が言う方角を見ると、海から1隻の船が接近していた。その船は赤黒い帆をした船、ダンテの幽霊船だ。

停泊した船からダンテと、1人の艦娘が降りてくる。

 

ダンテ「悪い、遅くなった」

 

赤城「提督、その娘は・・・」

 

ダンテ「喜べ島風、お前の姉妹艦だ」

 

?「だから違うってば!」

 

ダンテが連れて帰った艦娘の名は『天津風』。元帥から天津風をドロップできる海域を教えてもらい、出てくるまで深海棲艦狩りをしていたのだった。

船の時代、陽炎型9番艦 天津風に採用された高温高圧缶が島風にも採用された。天津風のデータは全て、島風に引き継がれている。ある意味、姉妹と言えるだろう。

 

島風「私の姉妹艦だー!」

 

天津風「違うって言ってるでしょ!」

 

島風は喜びから天津風に抱き付き、誰にも話を聞いてもらえない天津風はイライラしていた。

そんな様子を優しい眼差しで皆が見守っていると、鳳翔がダンテに近付く。

 

鳳翔「もしかして、島風ちゃんのために?」

 

ダンテ「出てこなかったら どうしようかと思ったぜ」

 

鳳翔「他にドロップした艦娘も居たのでは?」

 

ダンテ「そっちは佐世保の提督に任せた。あ~、かなり怒ってたなぁ」

 

深海棲艦狩りをする過程で、勿論 天津風 以外の艦娘もドロップした。しかし、既に鎮守府に着任してる艦娘と同じだったので、帰りに佐世保鎮守府に寄って全部 丸投げして帰ってきたのだ。佐世保提督は大激怒していた。

 

赤城「さぁ、提督も戻りましたし、私達も行きましょうか」

 

ダンテ「島風、鎮守府は頼むぞ」

 

島風「うん!天津風ちゃんと一緒に護るから!」

 

天津風「私 練度1なんだけど?」

 

島風「私も1だよ」

 

天津風「はぁ!?」

 

その辺は一応 心配はない。留守の間は横須賀鎮守府に諸々 任せてある。

 

ダンテ「行くか、バージル」

 

バージル「待ちくたびれた」

 

ダンテとバージルは幽霊船に乗り込み、艦娘達も海に出る。向かうは北方。

これより、AL作戦とMI作戦が始まる。




とりあえず、海域攻略の話を先に終わらせてから、色々とドンチャン騒ぎな話を入れていこうと思います。

次回も よろしく お願い致します!
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