皆さん!ありがとうございます!
前回の12話、場面転換が多くて ややこしかったと思います。すみません!
では13話です!どうぞ!
「嘘、ですよね?提督が悪魔だなんて、質の悪い冗談ですよね?」
「・・・・・・・・・」
「何か言えよ提督!」
「・・・俺は悪魔だ。これで満足か?」
艦娘達は、ダンテが認めたことにショックを受けた。否定してほしかった。自分達が信じていた提督が、自分達の憎むべき悪魔ということを。
「次は お前が喋る番だぞ。俺と上級悪魔を戦わせて何をするつもりだ?」
ジェスターは嫌な笑みを浮かべる。
「しっかり役に立ってくれよ、デビル坊や」
そう言ってジェスターは消える。
その後、地響きと共に一つ目の巨人のような悪魔が現れた。手には巨大な斧が握られている。
「あなたが悪魔って どういうこと?説明しなさい!」
加賀がダンテに噛みつく。
「話は後だ、先に あいつを何とかする」
「あっ!首の所 見て!」
皐月が指を指した一つ目の悪魔の首には、拘束された那珂がネックレスのように ぶら下がっていた。
「何やってるんだよ あいつは・・・」
どうやら那珂は意識が無いようだ。
「お前らは下がってろ!」
ダンテはリベリオンを手に悪魔に向かっていく。艦娘達は黙って その姿を見ていた。提督は憎むべき悪魔。しかし、優しい面も知っている。楽しいと思える時間もあった。もしかすると、それも自分達を騙すための演技だったのかもしれない。では今 悪魔と戦っているのは何なんだろうか?それも また嘘であるのか?艦娘達はダンテが解らなくなった。自分達が理解できる許容範囲を越えている。
「とりあえず提督のことは後回しだ!那珂を助けるぞ!」
「でも私達が攻撃したら那珂ちゃんに当たるかもしれません」
天龍が助けに行こうとするが鳳翔が止める。
悪魔はダンテに向かって斧を振り落とす。ダンテは回避して悪魔の腕に乗り駆け上がる。悪魔は腕に乗るダンテを、斧を持っていない左腕で払おうとする。ダンテは それをジャンプして躱し、那珂の方へと飛ぶ。ダンテは那珂を拘束している縄を切る。那珂は重力に従って墜ちていくが、無数の蝙蝠が那珂を助けて艦娘達の元へと運んでいく。
『那珂/那珂ちゃん!』
ダンテはベオウルフで悪魔の眼球を直接 殴る。
「デカいと殴りやすいな!」
眼を潰された悪魔は やけくそに暴れるが、ダンテには当たらない。
「
ダンテはドライブを放ち、紅い斬撃が悪魔の首を斬り落とした。悪魔が倒されると、空間が消滅して元の食堂に戻っていた。外は朝になっていた。
「・・・終わったのか?」
深雪が確認するように呟く。
「・・・あれ?ここは?」
「あら~、気が付いた~?」
「ふぁ~、良く寝た」
那珂が目を覚ました。
「どういうことか説明して!」
突然 加賀の怒鳴り声が響く。ダンテは加賀に胸ぐらを掴まれているが、ダンテは振り払おうとはしない。那珂は事情が よく解らず混乱する。
「おかしいと思ってたわ!妖精さんがあなたを恐れているのを見た時からね!」
「加賀さん待って!提督、教えてください」
赤城が加賀をダンテから引き離し、ダンテに話を聴こうとする。
「何が知りたい?」
「全てです。最初から最後まで」
「・・・分かった」
艦娘達はダンテの話を聞くために食堂の椅子に座る。
「事の始まりは親父が魔界を封印したことからだ」
「司令官の お父さん?」
「魔界?」
暁、雷が疑問を口にした。
「あぁ、魔界は悪魔の世界だ。俺の世界じゃ2000年前、人間界に魔界の悪魔が攻め込んできたらしい。俺の親父スパーダは魔界じゃ有名で、魔剣士と呼ばれてた」
艦娘達は黙って聞いている。
「だが ある日、親父は魔界を裏切った」
「どうしてですか?」
今度は大淀が疑問を口にする。
「正義の心に目覚めたらしい」
「悪魔が正義の心?馬鹿にしてるの?」
加賀が またもや噛み付くが、赤城が止める。
「加賀さん、最後まで聞きましょう。続けてください」
「親父は同胞を裏切って人間のために戦った。そして魔界を封印したんだ。自分の力と一緒にな」
「何で自分の力も封印するんだよ?」
天龍は、己の力も一緒に封印した意味が分からなかった。天龍は戦いを好む。力があれば、戦いも ずっと楽になるはずなのに、それ程の力を封印して手放した。天龍には理解できなかった。
「強大過ぎるからさ、自分の強すぎる力が人間界に悪影響を及ぼすかもしれないからな。親父は人間界に留まり、人間界を見守っていた。そして人間の母さんと出会い、俺と双子の兄貴が産まれた」
「お母さんは人間なんですか!?」
明石は驚き、聞き返す。
「あぁ、俺は悪魔と人間のハーフ、半人半魔だ」
「・・・提督の お兄さんは何処に居るの?」
「初雪さん、それは・・・」
「・・・・・・?」
事情を少し知っている赤城が止めようとする。
「兄貴は魔界に消えた。生きてるか死んでるかも分からねぇ」
『・・・・・・・・・!?』
「・・・ごめんなさい」
「気にすんな」
「それから どうなったのか、聞かせてくれよ」
「そうね、全部 話してくれないと理解できないし」
深雪と叢雲が続きを催促する。
それからダンテは今に至るまでの話をした。父親が ある日、蒸発したこと。幼き時に悪魔に殺されるのを母に助けられ、母が死んだこと。その時から兄と生き別れたこと。悪魔から身を守るために偽名を使い、早くから便利屋として活動していたこと。悪魔に正体がバレ、当時 組んでいた相棒や仕事仲間が殺されたこと。誰も巻き込まないために、母の仇を見つけるために偽名を辞めて1人で便利屋を開業したこと。魔界の封印を解こうとした兄を止めるため戦ったこと。
「━━んで、墓地に現れた空間に飛び込んだら、こっちの世界だった。あとは お前らも知ってる通りだ。俺の過去を こんだけ話したのは、お前らが初めてだな・・・」
艦娘達は、ダンテの壮絶な過去に何も言えなかった。
「俺が気に入らないなら提督を辞めたっていい。考える時間が必要だろ?どうするか決めてくれ」
ダンテは食堂から出ていった。残された艦娘はどうすれば良いのか分からず、しばらく食堂に居た。
その日1日、鎮守府には覇気がなかった。
・・・・・・
夜、艦娘達が寝静まっている時間、鎮守府に異変が起きた。工廠にある時空神像から光が溢れていた。艦娘達の身体も、同じように光っていた。
・・・・・・
艦娘達は見知らぬ場所に居た。身体は透けていて、宙に浮いている。周りを見ると他の艦娘も居る。
「これ どうなってんの?皆も居るし・・・」
北上が誰に訊くわけでもなく疑問を口にする。
赤城は既視感を感じていた。
「これは・・・たぶん夢の中です」
「夢?皆 同じ夢を視てるってことですか?」
明石が訊いてくる。
「恐らく・・・」
雨が降り、塔の上には2人の男が立っていた。
「来たか」
「全く大したパーティーだな。酒もねぇ、食い物もねぇ、おまけに女も出て行っちまった」
「それは すまなかったな。気が急いて準備もままならなかった」
「まぁ いいさ、ざっと1年ぶりの再開だ。まずはキスの1つでもしてやろうか?それとも、こっちのキスの方が良いか。・・・感動の再会って言うらしいぜ こういうの」
「・・・らしいな」
それから2人の男は殺し合いを始めた。艦娘達は すぐに分かった。ダンテの相手が、ダンテの兄であると。
「どうして兄弟で戦わないといけないのさ・・・?」
「司令官・・・」
「司令官やめてよ~・・・」
皐月と如月は悲しげに2人の戦いを視ていた。文月は夢と解っていても声に出さずにはいられなかった。他の者は次元が違いすぎる戦いに言葉が出ない。
「何故さらなる力を求めない。父の、スパーダの力を」
「親父?そんなのは関係 無い。あんたが気に入らない、それだけさ」
鍔迫り合いの果てにダンテはリベリオンを弾かれ、兄に刀で刺される。
『提督/司令官/司令官さん!』
「愚かだなダンテ」
「ぐぅっ・・・!」
「愚かだ。力こそが全てを制する。力なくては何も守れはしない。自分の身さえもな」
そしてダンテは倒れる。リベリオンで地面に串刺しにされ・・・。
「嘘だろ・・・提督が、負けた?」
天龍は目の前の光景が信じられなかった。ダンテが負けることなど、想像できなかったからだ。
ダンテの兄と黒衣の男が少し話すと、その場を去ろうとする。だがダンテの胸に刺さっているリベリオンが吹き飛び、同時に雨水が水柱となって吹き上がる。水柱の中からダンテが兄に向かって特攻する。
「お前の中の悪魔も目覚めたようだな」
そして兄と黒衣の男は その場から去った。
風景が変わり、書庫のような場所になる。
「息切れか?だったら下がってな、後は俺がやる」
「下がるのは そっちよ!」
ダンテはボブカットの女性に腹部を撃たれるが、ダンテは意に介した様子はない。
「分かんねぇのか?お前じゃ無理だ。人間の出る幕じゃないんだよ」
「分からないのは そっちよ!これはね、理屈じゃないの。人間とか悪魔とか そういう問題じゃない。私は あの男を許せない。私の魂が!あの男を倒せって言ってる!それ以上の理由が必要?それに これは家族の問題だわ。赤の他人は引っ込んでて」
「よく分かったよ
「上等よ、私も悪魔を生かしておくつもりはないわ。1匹 残らずね!」
そして2人の戦いが始まった。
「もう何が どうなってんだよぉー!?」
深雪が頭を掻きむしりながら叫ぶ。深雪は話に付いて行くのが限界のようだ。
戦いはレディが追い詰められていく。
「奴は俺がやる」
「どうして そこまで・・・」
「親父が魔界を封じたのが そもそもの始まり。そして兄貴が魔界を蘇らせようとした。俺にとっても家族の問題って訳だ。最初はムカついてただけだったけどな、お前の おかげで何が大事かが分かった。何をしなくちゃいけないのかも」
「待って」
「・・・信じろよ、悪いようにはしない。俺の魂が そう言ってる」
そしてレディは名前を教えてもらう代わりに、自分の武器をダンテに貸し与えた。
「分かり合えたんデスネ・・・」
金剛は優しい笑みでダンテを見つめていた。
そして また風景が変わり、禍々しい場所が映し出される。ダンテは1人の悪魔と相対していた。
『ようこそ、父親の姿を目にした気分はどうかね?』
「「あれが司令官の お父さん!?」」
暁と雷は、魔剣士スパーダの姿に驚いた。
「下水でも覗いてる気分だね。人の家庭事情にクビ突っ込みやがって、もうちょっとマシな趣味 持つのを勧めるね」
『これを見た後でも そんな口が利けるかな』
悪魔の姿が変容していく・・・。
『力が溢れてくる・・・悪魔の力が!スパーダの力が!』
「何かスゴいことになっちゃったのです・・・」
悪魔はスライムのような醜い姿になった。電も悪魔の姿にドン引きしている。
「親父は そんなにブサイクじゃないね。俺 見たら分かりそうなもんだ」
このセリフには艦娘達も苦笑いだ。
「まぁ あんたには お似合いかもな・・・メインイベントを始めるか!」
そして戦いが始まるが、少ししてダンテが苦戦しはじめる。
『無駄だ!貴様の力は半人半魔の不完全な物!スパーダの真の力には及ぶはずもない!』
そう言って悪魔はダンテを攻撃しようとする。ダンテも身構えるが、突然 悪魔の伸ばした腕が何者かに斬り飛ばされる。
『何だ?』
上を見ると、そこにはダンテの兄が居た。
『貴様!』
「返してもらうぞ。貴様には過ぎた力だ」
そしてダンテの兄は、ダンテと並び立つ。
「おいおい、今さらノコノコ出てきて主役気取りかよ」
「では・・・アレがメインイベントに相応しいと?」
「言われてみれば・・・確かにそうだ」
『私に勝つつもりか?貴様らの父に・・・スパーダの力に!』
「気付いているはずだ、貴様では その力を制御しきれない」
「言うだけ無駄さ。体で気付かせなきゃな!」
そして兄弟は悪魔に向かって駆けて行く。2人の息の合った攻撃で悪魔を追い詰めていく。
ダンテが銃を構えるが、触手で弾かれ片方の銃を手放してしまう。しかし、それを透かさずダンテの兄がキャッチし、2人で銃を構え直す。
「今回だけ お前に付き合ってやる」
「
『やめろ!私は・・・・・・!』
「「Jack pot!」」
「なんだ、ちゃんと兄弟で力 合わせれるんじゃん」
北上は安心したように呟いた。
そして また風景が変わる。今度は水が流れる場所で兄弟が相対する。
「それを渡せ」
「イヤだね 自分のがあるだろ?」
「2つ揃わなくては意味がない」
「そんなに力が欲しいのか?力を手に入れても父さんにはなれない」
「貴様は黙ってろ!」
2人は お互いの刃を素手で受け止める。刃を受け止めた手からは血が流れる。お互いの腕力が拮抗し、2人の剣と腕が震えている。そんな2人を見て、叢雲が悲痛な声を上げる。
「どうして また戦うのよ!?せっかく兄弟で力を合わせたのに!」
「俺達がスパーダの息子なら、受け継ぐべきなのは力なんかじゃない!もっと大切な・・・誇り高き魂だ!」
「「誇り高き魂・・・」」
赤城と加賀はダンテの言葉を復唱した。2人は『一航戦の誇り』を大切にしている。どこか思う所が、通ずる物があったのかもしれない。
「その魂が叫んでる。あんたを止めろってな!」
「悪いが俺の魂は こう言ってる。・・・もっと力を!」
「双子だってのにな」
「あぁ・・・そうだな」
そして2人は それまでとは比べ物にならないぐらい激しい戦いを繰り広げた。お互いの信念を賭けた戦い。一歩も引けない戦いを・・・。
・・・膝を着いたのは兄だった。
「俺が・・・負けるのか」
「どうした?それで終わりか?立てよ、あんたの力は そんなもんじゃない」
兄は唸り声を上げながら立ち上がる。その瞬間、2人の居る空間が揺れる。
「人界への道が閉ざされようとしている。アミュレットが別れてしまったせいか・・・」
「終わりにしようバージル。俺は あんたを止めなきゃならない、あんたを殺す事になるとしても」
“ダンテは誰かを失う経験をしている。愚かな兄のせいでね”
“ダンテは戦うことの意味を理解している。そして覚悟もある”
天龍はネヴァンに言われた言葉を思い出す。そして涙した。
兄弟は決着を着けるため最後の一振りを振るう。・・・勝者はダンテだ。
バージルは父の形見の剣を手放し、母の形見である落ちたアミュレットを拾う。
「これは誰にも渡さない。これは俺の物だ。スパーダの真の後継者が持つべき物」
そう言いながらバージルは崖へと後退る。
「危ない!」
羽黒が叫ぶのとダンテが動くのは同時だった。ダンテはバージルを助けようとするが、バージルはそれを拒む。
「お前は行け。魔界に飲み込まれたくはあるまい。俺は此処で良い。親父の故郷の、この場所が・・・」
そう言ってバージルは、魔界の深淵に堕ちていった。
また風景が変わる・・・。ダンテはレディと合流し、借りた物を返した。
「これで しばらくは大丈夫だ。だが奴らは復活する。近いうちにな」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「泣いてるの?」
「雨だよ」
「降ってないみたいだけど」
「悪魔は泣かないもんさ」
「そうね。でも・・・家族のために涙を流せる悪魔も居るのかも、そう思わない?」
「かもな」
・・・・・・
艦娘達は夢から目覚めた。外は もう朝だ。皆 涙を流していた。あの加賀でさえも・・・。ダンテは どれ程の思いと覚悟と責任を1人で背負っているのだろう。ダンテの全てを理解できた訳ではないかもしれない。しかし、それを考えると涙が止まらなかった。
時空神像の光は いつの間にか消えていた。
艦娘達は再び集まり話し合った。
“家族のために涙を流せる悪魔も居るのかも”
この言葉が艦娘達の気持ちを、答えを決定付けた。艦娘達はダンテが居るであろう執務室へと向かう。
・・・・・・
*執務室*
「答えは決まったか?」
赤城が前に出る。
「はい、私達は あなたを信じます。涙を流せる あなたは
それは以前、ダンテが赤城と加賀に言った言葉と同じだった。
“悪魔は涙を流さない。兵器もな。涙を流せるのは人間に与えられた権利だ”
「俺が涙を流すの見たこと無いだろ?」
艦娘達は お互いの顔を見合せ笑った。
「・・・?まぁ いいや、加賀も同じ意見なのか?」
「私は・・・悪魔とか人間だとか関係なく、あなた自身を見て・・・判断することにしました」
「・・・・・・分かったよ」
その日は、皆 笑顔が絶えなかったそうだ。
・・・・・・
夜の街を少女が ふらふらと歩いている。
「・・・誰か・・・・・・誰か、助けて・・・」
少女の後ろには、その少女と同じ姿の少女が立っていた。
読みにくい、分かりにくいなど多々あると思いますが、これからも よろしく お願いします!
では次回も よろしくお願いいたします!