ちょっとパロディ。
138話です!どうぞ!
*小蘭の祖父の家 9月18日 14:15*
川内と ようやく会えたダンテ一行。
よく分からない話が飛び出し、小蘭と その祖父を交え、川内から事の経緯を聞かされる事となった。
川内「実はね・・・こっちに来てから悪魔に遭遇したの」
川内型は旅の途中、小蘭の村を訪れた。しかし、その村は寂れており、村人にも覇気がなかった。
その理由は、村の生命線の殆どが断たれたからだ。水は干からび、作物だけでなく、周りにある草木まで枯れ、村の周辺では砂漠化が進んでいた。
原因は とある悪魔の影響だった。その悪魔が通った後は、“自然”という名の生命が全て死滅していく。小蘭の祖父が言うには、その悪魔は『ジン』と『イン』という名の兄弟悪魔らしい。
川内型は その悪魔の討伐に向かった。しかし、力及ばず神通と那珂は捕らわれ、川内も意識を失った。そこを小蘭が見付け、助けてくれたのだ。
小蘭から、小蘭の祖父が持つ“何か”があれば村を救えると聞き、川内は1人で この山を登り、老人が持ってる“何か”を貰いに来たらしい。そして そのまま食事を ご馳走になっていた。
救援信号は自分1人では敵わないために、助っ人を呼ぶために出したそうだ。しかし、まさかダンテが来るとは思ってもいなかった。川内はダンテが この世界に戻っていた事を知らなかったのだから。これは川内にとって嬉しい誤算だ。
川内「まぁ、そういう訳で・・・」
川内は老人の前まで行き、手を伸ばす。
川内「早く渡して」
老人「渡さん」
川内「村が どうなってもいいの?渡さないなら勝手に探すよ?」
老人「好きにするがいい」
その言葉に、逸早く探し始めたのは小蘭だった。部屋の あちこちを ひっくり返し、“何か”を探す。
部屋を散らかされても老人は呑気に お茶を飲んでいる。川内は ジッと その老人を観察するように見詰めている。
すると、小蘭が あちこち触りまくったせいで、子供騙しなトラップが作動する。タライが川内の頭に落ち、振り子のように丸太が川内に ぶち当たる。小蘭が部屋を ひっくり返せば ひっくり返す程、何故か川内がトラップの餌食になる。川内はフラフラになった。
それでも老人の観察はやめない。そして気付いた。老人が首から ぶら下げている物を。それは丸い形をしている。
川内「そこかぁー!」
川内は首飾りに手を伸ばすが、その手は老人が手に持つ杖で弾かれ、頭を殴られる。
老人「甘いわ小娘が」
川内「それを寄越せ!」
川内と老人の、首飾りを奪い合う攻防が繰り広げられる。老人の隙を突き、川内が首飾りを奪う。
川内「どうよ、盗ってやったよ」
老人「それは偽物じゃ」
川内「えっ!?」
老人「馬鹿め!」
川内「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!目が!目がぁああああああ~!!」
偽物と言われ驚いた川内の目に、老人は水鉄砲で赤い液体を発射する。それは唐辛子エキス満載の液体だった。目が染みる川内は床をゴロゴロと転げ回りながら暴れている。
老人「これは誰にも渡す事はできん」
小蘭「おじいちゃんは、お父さんと お母さんが どうなってもいいの!?」
老人「これは一族の使命だ。あの2人も そう思ってる」
小蘭「そんなの・・・!」
老人「お前・・・あの化け物に言われて来たな?」
小蘭「・・・・・・・・・」
老人「大方、これを渡せば両親を助けるとでも言われたのだろう」
小蘭「・・・そうよ、だから 川内や この人達も利用した!だって仕方ないじゃない!私達は“虎の民”と呼ばれてるのに、その誇りを忘れて誰も戦おうとしない!お父さんと お母さんを助ける方法なんて他に・・・」
ダンテ「(知らない内に話が大きくなってきたな・・・)」
小蘭や その祖父は、『虎の民』と呼ばれる一族だった。
小蘭の目的は、両親や村を助けるために2体の悪魔が欲している、祖父が持つ珠を手に入れる事だった。
川内に村を救えると言って唆し、ダンテ達を尾行していたのも利用するためだった。
こんな時に出てくるのが、決まって お人好し。
天龍「なぁ、悪魔が出たなら、俺達で倒しちまったら良くないか?」
夕張「報酬は どうするのよ?もしかしてタダ働き?」
日向「まぁ、困っているなら助けてやるべきだろう」
龍田「じゃあ その悪魔、探さないとね~」
騙され、利用されたというのに、こちらは悪魔の討伐に乗り気だった。勝手に盛り上がって話が進んでいく。
バージル「必要ない。どうやら向こうから来たようだ」
こちらに向かって強い気配が近付いてくるのを感じる。それに伴い、老人の家に飾られている花などの植物が枯れていく。
扉が開くと、1人の男が入ってきた。男と言っても、人間離れした見た目をしている。髪と身に纏う衣服は銀色で、口からは鋭い歯が見えている。そして顔には、黒い線が走る刺青のようなものがあり、額からは1本の角が生えている異様な姿だった。
川内「あいつだよ、私が言ってた悪魔は」
飛鷹「じゃあ・・・」
老人「イン!」
老人が悪魔の名を口にする。どうやら この銀の悪魔が、『イン』と呼ばれる方らしい。
イン『ご老人、珠を渡してもらおうか』
老人「これは貴様らなどには絶対に渡さん!」
イン『なら・・・殺して奪うまで』
インは細身の剣を手に、老人に斬り掛かろうとする。それを、ダンテが魔剣ダンテで刃を受け止める。
ダンテ「まさか、ここでも悪魔と出会すとはな」
イン『何者だ?』
ダンテ「悪魔のくせに、今時 俺の事を知らないとは恥ずかしい野郎だな」
イン『邪魔をするな!』
インから黒い衝撃波が放たれ、ダンテは後ろに後退し、艦娘達や小蘭、老人が吹き飛ばされる。吹き飛ばされた時に、老人の手から首飾りが離れてしまう。
インは宙を舞う首飾りを手にすると、宙に浮き そのまま屋根を突き破って飛んでいく。
ダンテは『真魔人ダンテ』となり、翼を広げて屋根を突き破りながらインを追う。そのせいで、木材が艦娘達の頭に落ちてくる。
天龍「危ねぇ!ドアから出ろよ!」
屋根には、インとダンテの形をした穴が空いていた。
川内「私達も行くよ!」
鳳翔 以外の艦娘達は、ダンテを手伝うために家から飛び出す。
その後、小蘭も どこかに行こうとする。それを鳳翔が呼び止めた。
鳳翔「どこへ行くつもりですか?」
小蘭「これは私の責任。巻き込んで ごめんね」
小蘭は、皆が止めるのも聞かずに家から出てしまった。
鳳翔は怒ったような顔で老人に振り返る。
鳳翔「止めないのですか?」
老人「・・・・・・・・・」
鳳翔「そうですか、行きましょうバージルさん」
バージルは鳳翔が出ていくのを見てから、老人に振り返る。
バージル「1つ忠告してやろう。大事なものは手放さん事だ。気付いた時には、取り返しが付かんからな」
それだけ言い、バージルも鳳翔を追って家から去った。
静かに沈黙する老人は今、何を考えているのだろう?
・・・・・・
上空では、紅と銀の光が凄まじいスピードで飛んでいる。真魔人ダンテとインの追い駆けっこが続いていた。
ダンテ『それを返してもらおうか!』
イン『渡す訳がないだろ、馬鹿が!』
ダンテは掌からエネルギー弾『ジ・オンブラ』を放つ。インは それを躱していくが、真魔人ダンテにタックルされ、2体は錐揉み回転しながら地面に落下した。
土煙の中から、真魔人化を解除したダンテとインが飛び出し、周りにある木々を へし折りながら両者は刃を交える。
キングケルベロスを手にし、ヌンチャク形態でインの剣を捌き、三節棍形態で翻弄し、棍棒形態で打撃を入れていく。しかし、インも負けてはいない。細身の剣でダンテの攻撃を捌き、どちらも一撃が決まらない。
両者の攻防が続く中、首飾りを持つインの手を魔剣ダンテの刃が掠る。すると、首飾りが飛んでいってしまった。首飾りの球体状のトップが開き、中から青黒い珠が転がりながら出てくる。そのまま転がり続け、その先は崖になっている。
ダンテとインは お互いに顔を見合わせ睨み合ってから、珠に向かって走る。両者は腕を伸ばし、ビーチフラッグのように飛び込む。珠を手にしたのは・・・
ダンテ「よっしゃー!」
イン『クソ~・・・!』
ダンテだった。
勝ったダンテはガッツポーズ、インは悔しそうに地面を何度も殴る。
だが それで決着が着いた訳ではない。寝転んだ状態からインが剣を振り下ろす。ダンテは地面を転がり躱し、起き上がった両者は再び刃を交える。
ダンテの隙を突いた攻撃で、ダンテの手から離れた珠をインが手にする。
川内「提督!」
川内達 艦娘が駆け付け砲撃する。砲弾はインの背中に直撃して爆ぜる。
更に天龍、龍田、木曾、伊勢、日向が、その手に持つ刀と矛、剣でインに斬り掛かり、飛鷹と隼鷹が発艦した爆撃機から爆弾が投下され、グリフォンから電撃も放たれる。インは どうにか艦娘達の攻撃を捌き、躱していくが、無傷ではいられなかった。
最後にダンテが斬り掛かるが、その刃は止まった。
ダンテ「おい、珠は?」
イン『あれ?あれ~?』
大井「まさか失くしたの?」
球磨「探すクマー!」
インの手から珠が消えていた。どうやら艦娘達の砲撃の時に、インは珠を落としてしまったらしい。
その場に居る者は戦闘中であるのに、全員 珠を探してウロウロする。ダンテとインの服に紛れ込んでいないか確認まで行う。もう緊張感がない。
伊勢「あった!あれ!」
全員が珠に向かって走る。
ダンテはインの肩を掴み、自分の方に振り返らせてからバルログで高速のパンチを連続で叩き込み、蹴り技で ぶっ飛ばす。
その隙に艦娘達は珠を奪取した。
川内「こっちの勝ちだね。ん~まっ、ん~まっ」
珠を手にした川内は、インに見せびらかすように珠にキスしまくる。
数の上では艦娘達の方が有利。しかも こちらにはダンテも居る。遅れてバージルと鳳翔も到着する。最早、インに勝ち目があるとは思えない。
だが、インは笑っていた。腰に ぶら下げた瓢箪を取り、ダンテ達に見せる。
夕張「瓢箪?」
大井「バカなの?そんな瓢箪で私達に勝てるはずないでしょ」
イン『こいつらが どうなってもいいのか?』
神通『姉さん!』
那珂『川内ちゃん!』
日向「なぜ神通と那珂の声が・・・?」
インが瓢箪の栓を取ると、瓢箪の中から神通と那珂の声が。
川内は その瓢箪の危険さを知っている。
川内「気を付けて。名前を呼ばれて返事をすると、あの瓢箪に吸い込まれる。神通と那珂も・・・」
イン『珠を寄越せば、こいつらは渡してやる。渡さなければ・・・』
インの持つ瓢箪が燃える。このままでは、中に居る神通と那珂が危ない。ダンテ達は珠を渡すしかなかった。
川内がインに珠を投げ渡すと、インも瓢箪を投げた。地面に落ちた瓢箪は燃え続けている。
インは高笑いを上げながら、黒煙に包まれて消えた。
川内「火を消さないと、神通と那珂が!」
天龍「み、水は?!」
夕張「無い!近くに川も無いし・・・」
伊勢「砂を掛けるとか!」
バージル「どけ」
バージルは閻魔刀に手を掛ける。それを見た艦娘達は瓢箪から離れる。するとバージルは高速で抜刀、剣圧で炎が消えた。
川内は瓢箪を手に取り、中を覗き込む。
川内「神通!那珂!」
返事はない。意識がないのか、神通と那珂は瓢箪の中で倒れていた。
川内「どうしよう!?2人を ここから出さないと!」
日向「出す方法は?」
川内「分からない・・・。早く神通と那珂を助けないと・・・!」
やはり姉妹という事もあり、今回は川内も冷静ではいられないようだ。
すると、ダンテが1つ提案する。
ダンテ「俺が中に入る」
夕張「でも その後は?提督も出られなくなるかもしれないのに」
ダンテ「その時 考える」
他に方法もなく、ダンテに任せるしかなかった。
川内は瓢箪の口をダンテに向ける。
川内「準備はいい?」
ダンテ「あぁ」
川内「ダンテ!」
ダンテ「おう!」
名前を呼ばれ返事をした事で、ダンテは瓢箪の中に吸い込まれた。
川内「提督、2人を お願い・・・」
*瓢箪の中*
ダンテ「・・・着地はイマイチだったな」
瓢箪の中に入ったダンテは、起き上がり神通と那珂を見付ける。
ダンテ「神通、那珂、起きろ。迎えに来たぞ」
神通「ん・・・・・・提督?」
那珂「・・・・・・てい、とく?」
「「提督!」」
ダンテ「おっとっと」
意識が戻った神通と那珂は、ダンテに抱き付きながら泣いた。ダンテも危なげながら、2人を抱き止める。
神通「提督、また あなたに会えた事を、嬉しく思います・・・!」
那珂「提督~!助けに来てくれて ありがとう~!」
ダンテ「これで うちの艦娘 全員 揃ったな。泣くのは後だ、ここから出るぞ」
「「はい!/うん!」」
と言ったものの、ダンテは動かない。
神通「提督?」
那珂「早く出ようよ」
ダンテ「━━かんねぇ」
「「え?」」
ダンテ「外に出る方法が・・・分かんねぇ」
那珂「じゃあ どうするの!?」
神通「提督、相変わらず後先 考えずに行動してるのですか?」
ダンテ「まぁな」
那珂「そこ、胸を張るところじゃないよね!?」
ダンテが来た事により、神通と那珂は ここから脱出できると希望を持ったが、すぐに頭を抱える事になってしまった。
すると、瓢箪の外から声が響く。瓢箪の口からは、川内の眼が こちらを覗き込んでいるのが見える。
川内『提督ー!まだー?!』
ダンテ「神通と那珂は無事だ!」
北上『じゃあ早く出てきなよ』
ダンテ「出る方法が分からねぇ!誰かロープ持ってこい!」
伊勢『ロ、ロープ?ロープ?』
日向『あるか?』
夕張『あるにはあるけど、太さ的に入らないと思う・・・』
鳳翔『提督、使えるロープがありません!』
ダンテ「じゃあ探せよ!」
大井『こんな山に、手頃なロープなんて無いっての・・・』
ダンテ「聞こえてるぞ大井っち!」
大井『提督は“大井っち”って呼ばないでください!』
*瓢箪の外*
頭では手頃なロープが無いと分かっているが、とりあえずロープを探してワチャワチャする艦娘達。大井が言ったように、山の中で そんな都合良くロープがあるはずもないのだが・・・。
川内「・・・・・・あった!」
川内は飛鷹を見ながら何かを閃いた。
飛鷹「え・・・私?」
*瓢箪の中*
瓢箪の中に、黒い束が ゆっくりと下りてくる。
ダンテ「そうだ、もっと下ろせ!・・・・・・おい戻んな!下ろせ!」
ダンテが黒い束を掴み、神通を抱き寄せる。
那珂はダンテの後ろから、首に腕を回して しがみ付く。
*瓢箪の外*
飛鷹「ちょっと~、これ本気?」
瓢箪の口に、飛鷹の髪の毛が入っている。
川内が閃いたのは、飛鷹の長い髪をロープ代わりにする事だった。このままダンテと神通、那珂を引っ張り出す算段だ。
ダンテ『引っ張れ!』
川内「さぁ、やるよ!」
『よいしょー!』
艦娘達は二手に分かれ、瓢箪と飛鷹を引っ張る。
飛鷹「イダダダダダ!!痛い!私ムリ!もう引っ張らないで!!」
飛鷹が早くもギブアップ宣言するが、艦娘達の引っ張る手は緩まない。
すると、物理法則を無視して瓢箪からダンテの顔が出てくる。小さい穴から人の頭が出てくるのは何と言うか、恐ろしい。
ダンテ「イテテテテ!!」
こっちも痛いらしい。そりゃ そうだろう。小さい出口から無理矢理 出ようとしてるのだから。
日向「もう少しだ・・・!」
『よいしょー!!』
那珂「うわっ!?」
神通「きゃあ!」
最後の力を振り絞り、全力で引っ張る。すると、ダンテ、神通、那珂が瓢箪の中から飛び出してきた。瓢箪からの脱出は成功だ。
バージル「・・・マヌケな方法だな」
確かにマヌケな脱出だが、成功した事には違いない。
そして飛鷹は それ処ではなかった。
飛鷹「私の頭、どうなってる?」
飛鷹は自分の頭の状態が気になって仕方がない。グリフォンが飛鷹の頭をチェックする。
グリフォン『うわヤベーよ・・・』
飛鷹「え、何?どうなってるの!?」
グリフォン『これマズイって飛鷹チャン』
飛鷹「何なの?教えてよ!」
グリフォン『ハゲて地肌が丸見えになってら』
飛鷹「嘘でしょ!?そんなんじゃ私、鎮守府に帰れないじゃない!」
全部 嘘だ。抜けたのは精々 数本だから、ハゲてはいない。
川内型は数日ぶりの再会に喜び合っていた。
だが喜んでる場合でもない。
鳳翔「提督、小蘭ちゃんが1人で どこかに行ってしまいました」
川内「きっと村に行ったんだよ」
ダンテ「案内できるか?」
川内「任せて」
川内の案内で、ダンテ達は虎の民が居る村へと急ぐ。
空は茜色に染まり、陽が傾いている。村までは時間が掛かるので、到着する頃には夜になっているだろう。
次回も よろしく お願い致します!