144話です!どうぞ!
*日本某所 10月23日 17:41*
摩耶、青葉、夕張、明石の4人は、特別講師として とある小学校へ向かった。そこで誘拐事件に遭遇し、生徒の1人である
美希を放っておけない夕張は、美希を助けるために摩耶達を巻き込んで捜索を開始した。その途中、スピード違反でパトカーに見付かり、絶賛 追われていた。
摩耶「こんなレンタカーじゃ振り切れないぞ?どうにかしろよ!」
夕張「今やってるから!」
夕張は空き缶に発煙筒の火薬と配線の先を入れ、そのまま空き缶を潰す。
夕張「ボンネット開けて」
摩耶「・・・・・・走ってるのにか?前が見えなくなるだろ!」
夕張「このままじゃ捕まる」
摩耶「ったく、分かったよ!」
ボンネットを開け、摩耶は窓の外に顔を出して何とか運転を続ける。前に出られて道を塞がれないように、時々 蛇行しながらパトカーを牽制する。
夕張は先程の空き缶をボンネットの近くに設置する。小さな爆発が起きると、ボンネットが吹き飛んだ。パトカーはボンネットを躱し、追跡を続ける。
摩耶「壊すなよ!これレンタカーだって言ってるだろ!保険 入らなかったんだぞ・・・」
夕張「女の子の命と車、どっちが大事?」
摩耶「・・・・・・女の子です。はい、女の子の命です!」
夕張が過酸化水素水の入った容器を持って窓から身を乗り出し、エンジン近くから何かを外して投げ捨てた。摩耶が一瞬だけ後ろを振り返り確認する。
摩耶「今 捨てたのエアフィルターか?エアフィルター捨てたのか!?CDプレーヤーとボンネットはいいよ!けどエアフィルターは絶対 要るだろうが!」
車内で摩耶が文句を言ってるが、夕張は無視して作業を続ける。
車は人と同じで、エネルギーが欠かせない。そのエネルギーの多くは酸素から取り込まれる。酸素濃度の高い空気をエンジンに吸い込ませると・・・。要は、空気の量が多いほど出力が上がる。
夕張「アクセル全開にして!」
摩耶がアクセルを踏み込むと、本来なら出るはずもないスピードが出てパトカーを引き離していく。
摩耶「マジかよ、パトカー振り切ったぞ!ざまぁ見ろ!」
・・・・・・
指定された場所の近く、雑木林の中で摩耶は車を止めた。
お金を渡しただけで美希を解放するとは限らない。作戦が必要だ。
摩耶「んで、作戦は?」
夕張「喧嘩は得意でしょ?どうにか隙を作るから、あとは お願いしていい?」
摩耶「そういう事なら任せとけ。けど どこで合流するんだ?」
夕張「舞鶴の提督にツリーハウスの場所を聞いて。それで分かるから」
摩耶「何で舞鶴?おい!」
夕張は それだけ伝え、指定場所を迂回するように雑木林の中に消えてしまった。
仕方なく、摩耶は指定場所に向けて車を進めるのだった。
*指定場所*
指定場所に着くと、1台の車と銃を持った男達が待っていた。摩耶が車から降りると、男達は困惑した反応を見せる。
男「おい、
摩耶「悪いな、今日は都合が悪くて来れないってよ。けど心配するな、あたしが代理で来た。お前らの大事な金なら、ここにある」
摩耶は後部座席のドアを開け、車にバッグを積んでいるのを見せる。
男「代理?その車でか?」
摩耶「まぁ色々とガタは来ててレンタカーだが、そこは気にすんな。それじゃあ交換といこうか。美希を渡せ」
男「金が先だ」
摩耶「美希を確認してからだ」
すると、男の1人が車の後部座席のドアを開け、中から美希を連れてくる。
摩耶は笑顔を見せながら美希を安心させる。
摩耶「あたしは お父さんの友達だよ。すぐに助けるからな」
美希は摩耶の言葉に何度も頷く。
美希が居る事は確認できた。ここから作戦開始だ。
男「金を寄越せ」
摩耶「取りに来やがれ」
男達は お金を受け取るためにレンタカーに近付いてくる。それは夕張も同じだった。
夕張はスプレー缶を持ち、男達の車の後ろから そっと近付く。スプレー缶のノズルとタイヤチューブのバブルを細い管で繋ぎ、スプレー缶の頭に石を重石にして噴射させる。そのまま夕張は隠れた。
この連中は危険そうだが、過酷な訓練は受けていないはずだ。なら、普通の人がビクッとなる特大の爆音を お見舞いすれば、動きは止まる。摩耶は海軍で艦娘だ。普通とは程遠い。
タイヤから破裂音がし、男達は驚き動きを止めた。すると摩耶が男達を相手に殴り掛かる。1人 対 複数人の大乱闘を おっ始めた。その隙に夕張は美希を連れて逃げた。
摩耶「来やがれクソッタレ共がぁ!」
・・・・・・
*ツリーハウス 19:37*
美希「ここは?」
夕張「私の隠れ家」
夕張は美希を連れて、摩耶に言っていたツリーハウスに来ていた。
実は このツリーハウス、Devil May Cry鎮守府の艦娘達がバラバラに配属され、夕張が舞鶴鎮守府に着任した時に建てた物だ。以前は嫌な事があったり1人になりたい時は、休みを利用して よく ここに来ていた。最後に来てから久しい。
夕張のツリーハウスと美希が住んでいる町が近かったのは幸運だった。連中も まさか木の上に隠れているとは思うまい。
美希は物珍しそうに、ツリーハウスの中を見ている。そんな様子が微笑ましく、夕張も笑みを溢す。
美希は1枚の写真に目が止まった。その写真は、Devil May Cry鎮守府の面々の集合写真だった。その中には、ネロやキリエ、フォルトゥナの孤児達も写っていた。
美希「この人 知ってる」
夕張「それはダンテ提督。鎮守府で1番 偉い人なんだけど・・・・・・よく考えたら提督らしいこと何1つしてないわね・・・」
美希「そうなんだ」
夕張「皆 私の友達で、仲間で、家族なんだ」
美希「沢山 居るね」
夕張「それが私の自慢。ここに居れば安全だから、ここに隠れてて。私が下に下りたら、ロープを上に上げて」
美希「行っちゃうの・・・?」
夕張「悪い奴を懲らしめないと。大丈夫、私の仲間が迎えに来るから、大人しく待ってて」
そう言って夕張は、ロープを伝って下に下りた。地上に下りると、ロープが上に上がっていく。言われた通り引き上げてくれたようだ。
夕張は すぐ近くの道に出ると、摩耶が待っていた。どうやら無事だったようだ。
摩耶が凭れ掛かっているレンタカーのエンジンからは、大量の煙が上がっている。もう限界のようだ。
夕張「うわ、酷い事になっちゃったわね」
摩耶「お前がエアフィルター捨てたからだ」
夕張「弁償で済むかな?」
摩耶「鎮守府の経費で どうにかなるだろ」
夕張「それで、あいつらは?」
摩耶「ボッコボコにして金だけ渡してやったけど、すぐに ここまで追ってくるぞ」
夕張「大丈夫、実はバッグにスマホ入れといたの」
摩耶「は?お前の?」
夕張「そう、スマホを起爆スイッチにしたから、一網打尽にできるはずよ。だからスマホ貸して」
・・・・・・
しばらく待っていると、1台の車が猛スピードで走ってくる。その車の中では、男達が銃を持って怒り狂っていた。
道路の真ん中では摩耶と夕張が立っており、男達を待ち構えている。
摩耶「おい、来たぞ。上手くいくんだろうな?」
夕張「計算上では上手くいくはずなんだけど・・・」
摩耶「何だよ、何か問題があるのか?」
夕張「電源 入れてるか自信なくて・・・」
摩耶「スマホの電源 入れたか確認してないのか!?電源 切るなよ!」
夕張「だって鎮守府から鬼電 掛かってくるんだもん!」
摩耶「兎に角やれ!もう そこまで来てる!」
夕張は摩耶のスマホで自分のスマホに電話を掛ける。すると男達の乗る車の車内で着信音が鳴る。
男達は音の発生源を探し、お金が詰まってるバッグを開けた。札束の上で、夕張のスマホの画面が光ってる。
直後、バッグから大量の泡が吹き出し、車内は泡で一杯になり男達も泡に包まれる。
視界が遮られコントロールを失った車は、路肩に突っ込み止まった。
それを見て摩耶は爆笑しながら喜んでいた。
摩耶「あれ何だよ!?お前マジで何したんだ?」
夕張「実は引き渡しの前に、過酸化水素水 入れといたんだよね。上手く起爆するか心配だったけど、成功して良かった」
スマホを起爆スイッチにし、明石が小学校で見せた実験を連中の車で再現したのだ。お陰で犯人を一網打尽にできた訳だ。
その後 警察に連絡し、美希を拐った麻薬ディーラーは全員 逮捕された。そして摩耶と夕張も逮捕された。
警察に身元を証明できる物を提示するように言われたが、2人は持ち物を小学校に置いてきてしまっていた。なので事件の関係者として、身元が分かるまで拘留される事となってしまった。
美希は、夕張が事前に明石と青葉に居場所を伝えていたので、2人が美希を保護し、父親の元へ帰した。
・・・・・・
*警察署 10月24日 9:00*
翌日、異変に気付いていた加賀が動き、摩耶と夕張の身元を証明して釈放された。摩耶と夕張は その事実を知らない。
警察署から摩耶と夕張が出てくると、青葉と明石が出迎える。
摩耶「シャバの空気は旨いぜ!」
夕張「ふぅ~、これで一安心ね」
明石「いや、そうでもないんだよね・・・」
青葉「青葉達、殺されるかもしれません・・・」
青葉と明石が後ろを振り返り、摩耶と夕張も その視線を追う。視線の先にはダンテと、滅茶苦茶 怒ってる加賀が待っていた。加賀を見て摩耶と夕張も焦る。
加賀「やってくれたわね」
加賀が口を開くと、摩耶達4人は加賀から視線を逸らす。直視できない。
加賀「出撃任務があったのに その役目を果たさず、挙げ句 誘拐事件に勝手に首を突っ込むなんて、どんな言い訳を聞かせてもらえるのか楽しみね」
夕張「ごめんなさい・・・」
摩耶「いいじゃねぇか、人助けしてたんだし」
加賀「警察だけで事足りるでしょ?」
摩耶「だけどよ・・・」
摩耶達はダンテを見る。その眼は“助けてくれ”と訴えていた。ダンテも仕方なくフォローに入ろうと口を開くが、加賀に睨まれると口を閉じてしまった。
だが、加賀も それで罰を与えるつもりはなかった。
加賀「出撃任務は他の鎮守府に頼んだわ。それと、あなた達が助けた親子、父親は情報提供を条件に捜査協力をする事でお咎めナシよ」
その話を聞き、摩耶達も自分の事のように笑顔を見せ、喜んだ。
加賀「まったく、2人を釈放してもらうには手こずったわよ。頑なに事件の容疑者だからと言う理由でね。お陰で大本営まで動く事になったのだから」
そこまで大きな話になってしまっていたとは知らず、摩耶と夕張は冷や汗を流す。どうやら知らない所で沢山の人に迷惑を掛けていたようだ。
ダンテ「その辺にしといてやれ。死にそうな顔になってるぞ」
加賀「・・・・・・そうね」
やっとダンテが助け船を出し、これ以上 責められる心配はなくなった。
そこで摩耶は、ある事に気付いた。ダンテと加賀の後方に、如何にも馬力がありそうなゴツくてイカした車が停まっていた。
摩耶「おい・・・あの車、あたしが借りたレンタカー屋で借りたのか?」
ダンテ「あぁ、奥に一杯あったぞ」
摩耶「何だ そりゃ!?」
摩耶の時はコンパクトカーしか貸してくれなかったのに、ダンテと加賀の時は いい車を貸すとは。どうやら そのレンタカー屋、人を見て貸す車を選んでいる。
摩耶「あたしに運転させろ!」
ダンテ「おい、22インチの車だぞ。絶対ダメだ」
摩耶「運転させなきゃ任務は受けないからな!」
ダンテ「加賀・・・」
加賀「あと、あなたが壊したレンタカー、経費で落ちないから自腹で弁償してちょうだい。保険 入らなかったの?」
摩耶「夕張が壊すとは思わないだろ」
夕張「だって仕方ないじゃない!」
加賀「あれも壊したら自腹よ?」
摩耶「あれ運転させてくれたら何でもいいぜ!」
加賀「ダメみたい」
ダンテ「ったく、壊すなよ?」
摩耶「あたしに任せな!」
ダンテ「擦るのもダメだからな?」
摩耶「いいからキー寄越せって!」
ダンテは呆れながらも摩耶にキーを投げ渡した。受け取った摩耶はルンルンとしながら車に向かう。
ダンテ達も それに続き、町を後にするのだった。
・・・・・・
*ツリーハウス 10月27日 16:03*
夕張と明石は、美希を連れてツリーハウスに来ていた。
美希を隠れさせた時よりも、中は綺麗になっていた。
美希「掃除したんだ」
夕張「まぁね~」
明石「これなら気分良く使えるしね」
夕張「まぁ、時々 蜘蛛が出るのが難点だけど・・・」
それを聞いた美希はビクッとし、辺りを見回しながら蜘蛛を警戒する。
夕張「ふふっ、それじゃあ、今日から ここは君の物」
美希「くれるの!?」
夕張「私達も忙しくて こっちまで中々 来れないし、埃まみれにしてるより、誰かに使ってもらった方が嬉しいから」
美希「ありがとう!」
夕張は物作りで気が合った美希に、このツリーハウスをプレゼントする事にした。置いてあった工具も何もかも、今日から全部 美希の物だ。ここでなら、誰にも邪魔されずに好きなだけ発明ができる。
夕張「お母さんが亡くなって、辛いよね・・・。けどね、それは お父さんも同じなの」
美希「うん・・・」
夕張「私達 艦娘には、親が居ないの。それでも、家族と呼べる人達が居る。皆で支え合って頑張ってるの。美希ちゃんも、お父さんを支えてあげて。今は お互いに支え合わなきゃいけない時だから」
美希「うん、大丈夫」
夕張は飾ってあった集合写真を取り、裏に何かを書き始めた。
夕張「君でも お父さんでも困った時があったら、それか、ただ喋りたい時でも・・・連絡して、助けに行くから。これ私と明石の電話番号」
美希「うん、分かった」
夕張「それじゃあ帰りますか」
明石「そうね、やること山積みだし・・・」
夕張「じゃあ私から下りるね。・・・うわっ!?ちょっ!あ~~~!!」
下りる途中、夕張はロープから手を離してしまい落下した。鈍い音が響く。
無事か確認するために、明石と美希はツリーハウスから下を見下ろす。
明石「大丈夫!?救急車 呼ぶ?」
夕張「呼ばな~い・・・」
夕張と明石は、美希という新たな繋がりを得るのだった。
寄り道が長くて すみません。満足しました。
次からは本筋の話に戻しながら、コツコツ進めていこうと思います。
次回も よろしく お願い致します!