150話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 正面ゲート 11月14日 13:07*
島風「やめてー!イヤー!行きたくなーい!」
正面ゲートでは島風と、天津風 以外の陽炎型が居るのだが、何やら騒がしい。
島風はゲートに掴まり、陽炎が島風の足を持って引っ張ってる。足を持たれてるせいで、島風は宙に浮いているような状態だった。
陽炎「我儘 言ってないで来なさいよ・・・!」
島風「絶対に行かないもん!」
黒潮「島風、そのままやとパンツ見えてまうで?はよ おいで」
島風「行かなくていいなら見えてもいいもん!」
磯風「おい、見えてる見えてる!少しは気にしろ!」
不知火「これは困りましたね・・・」
秋雲「正直、秋雲さんも行きたくないんだよねぇ・・・」
今日は便利屋として動かなければならない日なのだが、これを いい機会として島風に便利屋の仕事を教えるという話になった。なったのだが、島風は それを拒絶。ゲートに しがみ付いて離れなくなった。
依頼人と会う時間も決まっているため、ここで時間を取られてる暇はない。故に、陽炎は力ずくで島風を連れて行こうとし、今の この状態となっていた。
陽炎「あんたもDevil May Cry鎮守府の艦娘なら、便利屋の仕事も覚えなくちゃいけないでしょうが・・・ふーん!」
島風「やめてってばー!」
引っ張り続ける陽炎と、手を離さない島風。これでは いつまでも終らない・・・。
そこへ、血相を変えて天津風が走ってきた。
天津風「何やってるのよ!?」
黒潮「見ての通りやけど?」
陽炎「仕事に行くの!天津風も来なさい・・・ふーん!」
天津風「ちょっと待ちなさいよ!」
天津風が陽炎と島風の間に入り、2人を引き離す。
陽炎「何で お姉ちゃんの邪魔するの!仕事に行くって言ってるでしょうが!」
天津風「だからって無理矢理 連れて行こうとするのは違うでしょ!島風 泣いてるじゃない」
島風「うっ・・・うぐっ・・・ぐすっ・・・」
島風には泣くほど行きたくない理由があった。陽炎型も それは理解してるのだが、それでは いつまでも鎮守府の外に出れない艦娘になってしまう。だから力ずくでも連れて行こうとした。
鎮守府の外と言えば、島風は普通に出撃して海に出てる。では何が違うのか?
それは人間の街に行く事を嫌がっている。島風は、人間が怖かった。
*執務室*
執務室では、ダンテとバージルが話していた。
ダンテ「お前、オークションの日から おかしいぞ」
バージル「別に普通だ」
ダンテ「段取りと違う事してムダな被害まで出して普通だぁ?それに その しけたツラでウロウロされるのも気が散るんだよ。何があったか言え」
バージル「・・・助けたいと思った者を救えなかっただけの話だ。これは俺 個人の問題だ。口を出すな」
そう言ってダンテとの話を切り上げ、バージルは執務室を出てしまった。どうせ食堂にでも行くのだろう。バージルの お気に入りの場所だから。
ダンテ「・・・・・・鎮守府で真面目なのは俺だけだな。あー、嫌になっちまうな・・・・・・ピザ食いに行くか」
最近、ダンテは美味しいピザを出す店を見付けた。暇さえあれば そこに行き、常連となっていた。
モヤモヤするダンテは、その店に行って気晴らしをする事にした。
・・・・・・
*正面ゲート 13:23*
ダンテが正面ゲートまで来ると、陽炎型が揉めていた。しかも島風が泣いている。
ダンテは嫌な予感がして、回れ右で本館に戻ろうとする。
雪風「司令、助けてください!」
はい、捕まった。雪風に引っ張られ、揉めている渦中に放り込まれた。
島風も今度はダンテに抱き付き、そのまま しがみ付いて離れなくなった。
そして聞いてもないのに、陽炎型から次々と状況説明される。一通り話を聞いたダンテは、呆れながらも どうにかしてやる事にした。
ダンテ「話は分かった。陽炎型は早く行ってこい。島風は俺と執務室に来い」
陽炎「ちょっと司令、島風に甘いんじゃないの?」
ダンテ「陽炎、島風の事情は お前も知ってるだろ。今日は お前らだけで行ってこい。不知火」
不知火「何でしょう?司令」
ダンテ「陽炎が また騒ぐ前に連れてけ」
不知火「了解しました」
陽炎「ちょっ、ちょっと不知火、引っ張らないでよ!まだ話は━━」
雪風「しゅっぱーつ!」
陽炎「まだ話は終わってないって言ってるでしょ!司令、帰ったら話し合いだからね!」
黒潮「ほな、うちらも行ってくるんで」
磯風「また後で」
ダンテ「おう」
黒潮「秋雲 行くよ?」
秋雲「あ゛~、怠いわ~・・・」
ギャーギャー騒ぎながら陽炎型は鎮守府を出発した。
それを見送ったダンテは、島風を見た。島風は まだ しがみ付いて泣いている。これではピザを食べに行きづらい。
仕方ないので執務室に戻る事にした。
ダンテ「島風、ちゃんと自分で歩け。俺まで歩きづらい」
2人でフラフラしながら、本館の中へと入っていった。
・・・・・・
*執務室 14:42*
鈴谷「提督、一緒に お出掛け・・・」
鈴谷が執務室に入ると、ダンテと鳳翔、島風が居た。
中に入った途端、鳳翔が顔の前で人差し指を立て、静かにするよう伝えてきた。それを見て鈴谷も押し黙る。
よく見ると、ソファーで座るダンテの膝を枕にして、島風が寝ている。どうやら泣き疲れて寝てしまったようだ。
鈴谷は それを見て少しモヤッとしたが、島風がダンテに懐き、鎮守府に着任する前の話も知っているので、騒ぐような事はしない。
鈴谷はダンテ達に近付き、小声で話し掛ける。
鈴谷「お昼寝?」
ダンテ「いや・・・」
鳳翔「実は・・・」
それから鈴谷は、正面ゲートの揉め事から執務室で寝てしまうまでの経緯を聞かされた。
鈴谷「島風の気持ち、ちょっと分かるな・・・」
ダンテ「そうなのか?」
鈴谷「私も、似たような境遇だったから・・・」
鳳翔「そうでしたね、鈴谷さんも・・・」
島風は艦娘売買で売られ、強盗グループに買われた。
強盗をしない日でも利用され、暴力を振るわれる毎日を送ってきた。
更に艦娘ですら殺せる爆弾を取り付けられ、日々 死の恐怖を感じてきた艦娘だ。それ故に、島風は人間が怖かった。まだ そのトラウマは克服できていない。
鈴谷も、Devil May Cry鎮守府に着任する前は、舞鶴鎮守府の所属だった。
そこでは、艦娘は当時の提督に暴力を振るわれていた。それが原因で、鈴谷も提督という存在が恐怖の対象だった。
舞鶴鎮守府から逃げ出し、ドッペルゲンガーに取り憑かれ、ダンテに救われた。それがあり、今の鈴谷がある。
鈴谷「私、もう怖くないんだ。島風も どうにかしてあげられないかな?」
ダンテ「お前は どうやって克服した?」
鈴谷「う~ん・・・やっぱり、私を助けてくれた提督を見てたら、人間も それほど怖くないのかなって。自然と怖くなくなってた、かな」
ダンテ「時間の問題なのかねぇ・・・?」
鳳翔「でも、時間が解決してくれる問題とは思えません」
ダンテ「ならカウンセラーにでも頼むか?受診する金なんて無いぞ・・・」
鳳翔「焦らず、ゆっくり慣れさせていくしかないですね」
ダンテは どうしたものかと考えながら、鈴谷を見る。鈴谷は用事があって執務室に来たはずだと気付いた。一先ず そちらの用件を聞く事にした。
ダンテ「鈴谷、何か用事があったんじゃないのか?どうした?」
鈴谷「あ、いや・・・別にいいんだ。島風のこと見ててあげて」
ダンテ「そうか?」
鈴谷は言葉を濁しながら執務室を出た。島風に気を遣ったのだろう。
ダンテと鳳翔は顔を見合せ、首を傾げた。
・・・・・・
*鎮守府近海 11月15日 10:17*
翌日、島風は1人で海に出ていた。人が居ない海に出ると、自分は何者にも縛られず自由なんだと実感できる。
単艦で海に出るのは危険なので、Devil May Cry鎮守府でも許可なく出撃するのは禁止されている。それでも、島風は よく鎮守府を抜け出して海に出る時がある。
島風「連装砲ちゃん、スピード上げるよ!」
島風は速度を上げ、海を駆け抜ける。それに追従するように、島風の艤装である連装砲ちゃんも海を駆け抜けていく。
すると、トラブルが発生した。突然 強風が吹き、島風は渦巻く風の中に閉じ込められた。
渦巻く風が消えると、同時に島風と連装砲ちゃんも姿を消した。島風は、忽然と海から消えてしまった。
・・・・・・
*Devil May Cry鎮守府 食堂 12:40*
鎮守府では島風の事を気に掛けていた鳳翔が、島風が どこにも居ない事に気付いていた。
鳳翔「提督、島風ちゃんが居ません」
ダンテ「腹 減ってないんだろ?どっかで遊んでるさ」
鳳翔「そんなはずありません。あの娘は いつも、食事の時間が待ちきれなくて いつも1番に食堂へ来るんですよ」
ダンテ「そうじゃない日だってあるだろ。あんまり過保護にすると、陽炎に“甘い”って言われるぞ」
陽炎「何よ!」
ダンテは あまり深刻には思っていなかった。
だが鳳翔は違う。子を心配する親の心情だった。だからこそ、語気も強くなってしまう。
鳳翔「気になって探したんです!でも どこにも居ないんです!あの娘に何かあったら・・・!」
ダンテ「お、落ち着けよ、分かったから。誰か、島風を見たか?」
艦娘達とセリーナは互いに顔を見合せてから、ダンテに向かって首を横に振る。
そこで不知火は1つの仮説を立て、ダンテに話してみる。
不知火「司令、島風は1人で鎮守府の外に出れません。鎮守府に居ないとなると、海に出たのではないでしょうか?」
ダンテ「・・・誰か、島風と連絡 取れるか?」
ダンテの言葉に、叢雲が逸早く艤装を展開し、島風との通信を試みる。結果は駄目だった。無線から聞こえてくるのはノイズだけで、島風からの応答がない。
食堂に、不穏な空気が流れ始める。
ダンテ「仕方ない、探しに行くか・・・」
大淀「索敵に特化した者で捜索隊を編成します」
ダンテ「そうしてくれ」
大淀「第5艦隊に扶桑型、他 軽巡洋艦と駆逐艦を連れて出撃してください」
扶桑「分かったわ」
山城「今日 休みだったのに・・・不幸だわ・・・」
大淀「第6艦隊に千歳型、随伴艦に重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦で お願いします」
千代田「お姉!」
千歳「分かってる」
大淀「第7艦隊に利根型、軽巡洋艦と駆逐艦を随伴艦に お願いします」
筑摩「了解」
利根「カタパルトの整備は済んでおるから安心せい」
大淀「最後に、第8艦隊に伊勢型、潜水母艦と駆逐艦と一緒に出撃してください」
伊勢「分かったわ」
日向「ん?最上と一緒ではないのか・・・」
大淀「他の者は鎮守府で待機、近海警備がある者は通常通り出撃してください」
『了解!』
大淀が迅速に指示を出し、他の艦娘達も動くのは速かった。捜索に出る艦娘は すぐに食堂を出て、出撃ドックへ向かう。
ダンテ「鈴谷、熊野、最上、三隈、天津風、陽炎、お前らは俺に付き合え」
鈴谷「行く行く!」
熊野「仕方ないですわね」
三隈「モガミン、行きますわよ」
最上「早く見付けてあげないとね」
陽炎「まったく、島風ったら何してんのよ」
天津風「(島風・・・)」
そしてダンテも、艦娘を伴って食堂を後にした。
*???*
島風は意識を失っていた。
目が覚めると、島風は見知らぬ場所に居た。床や周りの建造物は石造りで出来ており、どこかの古い遺跡を思わせるような場所だった。
海に居たのに、気付けば遺跡のような場所に居る。それだけでも異常だが、島風は もっと異様な光景を目にする事になった。
島風「な、何これー!?」
島風が居る遺跡のような場所は、空に浮かんでいた。
島風は足場から、恐る恐る下を見る。地上や海上は見えない。上も下も横も、どこまでも空が続いているように見える。
島風「私、知らない間に空の上に来ちゃったんだ・・・」
島風には この状況を理解するのは難しかった。そう思うのが精一杯だ。
島風「連装砲ちゃん、行こっか」
とりあえず、島風は遺跡周辺を見て回る事にした。もしかすると、誰か居るかもしれない。島風は人を探して歩き始めた。
細い足場を気を付けながら進んでいると、広い足場となっている場所に出た。そこは一面 原っぱが広がり、花が咲き、蝶が飛んでいる。ウサギなどの小動物も走り回っていた。
島風「わぁー・・・!」
島風は気持ちのいい風景に眼を輝かせ、原っぱの上を走り回る。走ってると躓いた。でんぐり返しのようになり、島風は原っぱの上で大の字で寝転がった。
島風は笑っていた。まるで天空に浮かぶ楽園に居るような気分だった。ここなら誰にも縛られず、嫌な事をさせられる事も、される事もない。
そんな島風に、近付く影が・・・。
アスタロス「随分 楽しそうですね。ここは気に入ってくれましたか?」
島風「七騎士!?(どうしよう・・・提督も居ないのに・・・)」
島風は飛び起き、少しずつ後退りしながらアスタロスを警戒する。
アスタロス「そんなに怖がらないでください。私と友達になってくれませんか?」
島風「と、友達?」
アスタロス「私もね、人間から迫害を受けて、酷い目に遭わされてきました。あなたと同じように」
島風「じゃあ、提督と戦ってたのも・・・」
アスタロス「そうです、無理矢理やらされてたのです」
島風「もう悪い事したくないの?」
アスタロス「・・・・・・はい」
島風「私と同じだね・・・」
島風は少しだけ警戒を解き、アスタロスへ近付いていく。
アスタロスは もう1度 友達になってくれるかを訊ねると、島風は笑顔で それを了承した。
それから島風は、空中に浮かぶ この不思議な場所を、アスタロスに案内してもらう事となった。
・・・・・・
*鎮守府近海 14:21*
島風を探し、5艦隊で鎮守府近海を捜索したが、島風は見付からない。
各艦隊は通信で連絡を取り合い、捜索範囲を広げる事にした。
扶桑『提督、私達は南方連絡海域へ向かいます』
日向『では、我々は中部西海域に行こう』
利根『吾輩達は南方泊地海域へ行く』
千歳『じゃあ私達は、北方泊地海域に捜索範囲を広げますね』
艦娘達は独自に判断し、次の行動に移る。ダンテも それを許可し、艦隊は各方面に散っていく。
ダンテ「さて、俺達は どうするか・・・」
最上「ボク達は このまま、鎮守府近海の捜索を続けよう。他の海域は日向さん達が探してくれる」
ダンテ「となると、この辺りで まだ探してないのは・・・」
そこへ、宙に浮かぶセリーナが現れた。
ダンテ「何だ、お前も探してくれてるのか?」
セリーナ「見付けたが、状況は もっと悪いかもしれないぞ」
セリーナの案内により、ダンテ達は島風を見付けたという場所に向かう。
・・・・・・
ダンテ「おい、何もないぞ」
セリーナに案内されたのは、海のド真ん中。どこまでも水平線が続き、波も穏やか。深海棲艦や艦娘、輸送船の影もなく平和なものだった。
セリーナ「お前には感じないか?この魔力の残滓が」
ダンテ「・・・・・・確かに残ってるな。しかも知ってる奴だ」
セリーナ「アスタロスのものだ」
ダンテ「やっぱり あいつか」
セリーナ「どうやら、どこかの空間と繋がる道を ここに作ったようだ」
ダンテ「開けるか?」
セリーナ「やってみよう」
セリーナの魔術で風が渦巻き、その中に別の空間への入り口が開いた。その先では見知らぬ風景が見えている。
陽炎「ここ、何?」
ダンテ「最上、島風の捜索を切り上げるように連絡しろ」
最上「了解」
天津風「待ってよ、島風は ここに居るの?」
ダンテ「これだけ探して居ないなら、あとは ここだけだ」
鈴谷「じゃあ入っちゃお!」
ダンテ達は空間に現れた入り口に飛び込む。
セリーナも続いて入ろうとしたが・・・
セリーナ「なっ・・・!?」
入り口は消滅してしまった。
再び開きたくても、アスタロスが残した魔力の残滓も跡形もなく消えている。これではセリーナも、ダンテ達が飛び込んだ空間に向かう事ができない。
セリーナ「(罠か!?妾が居ることを見越して、わざと残滓を見付けられるようにしていたのか・・・)」
セリーナは急いで鎮守府に戻る事にした。
*???*
アスタロス「(・・・来ましたね)」
アスタロスは足を止め、ダンテが来た事を感じ取っていた。突然 足を止めたので、島風も不思議そうな顔をしている。
島風「どうしたの?」
アスタロス「どうやら ここに、人間達が入り込んだようです」
島風「人間・・・」
アスタロス「見付かれば、私達は殺されてしまうでしょう」
島風「どうして私達を殺すの!?」
アスタロス「彼らは この楽園を狙っているのです。ここを奪うのに、私達は邪魔な存在、だから殺そうとする」
島風「そんな・・・。て、提督に助けてもらえば・・・」
アスタロス「そんな時間はありません。島風さん、あなた人間に復讐したいとは思いませんか?」
島風「ふ、復讐・・・。そんなのダメだよ!」
アスタロス「しかし、彼らを殺さなければ私達が殺されてしまう。殺されなかったとしても、また悪い事に利用されるでしょう。あなたは それでもいいんですか?」
島風「でも・・・だって・・・あれ・・・?」
アスタロス「いいんですよ、殺してしまって」
島風は急な目眩に襲われた。アスタロスの声も、近くに居るのに まるで遠くに居るように聞こえる。そして、島風の意識も遠退いていく。
島風は虚ろな眼をしながら立っている。それを見て、アスタロスは邪悪な笑みを浮かべた。
アスタロス「クククッ、さぁ島風、この楽園を奪おうとする人間を殺しなさい」
島風「・・・はい・・・」
島風は連装砲ちゃんと共に、侵入者の排除に向かった。
前回の あとがきに書いてた おふざけ回ですが、何も思い付かなかったので、もう しばらく先でやる事にします。
次回の投稿は11/21の予定です。
次回も よろしく お願い致します!