感想ありがとうございます!
執筆が捗らなくて大分 日が空いてしまいました。ごめんなさい!
170話です!どうぞ!
*裏山 12月31日 11:05*
大晦日での大掃除の途中、裏山を担当していた妙高型と暁型、初春型は地響きが鳴り震源地に向かった。
駆け付けた艦娘達が見たものは、巨体を持つタルタルシアンとフレキ&ゲリが戦っているところだった。
フレキ&ゲリは傷付き倒れてしまう。足柄は放っておけず、悪魔同士の戦いに割り込む事にした。妙高、那智、羽黒、暁型、初春型も流れに身を任せ、同じく戦いに乱入した。
電「はにゃー!」
タルタルシアンは鎖で繋がれた鉄球を振り回し、艦娘達に叩き付けてくる。咄嗟に避けるが、怪力と重さ、遠心力も加わり凄まじいパワーで鉄球が飛んでくる。1歩 間違えれば一瞬にして圧死してしまう。
砲撃は続けているが、タルタルシアンが纏う拘束具が鎧の役目を果たしており、無駄な頑丈さを誇っている。
ナイトメアも肉弾戦で肉薄しているが、ブルドーザーが ぶつかり合っているような有り様で、周りの木々が薙ぎ倒されていく。
那智「いまいち決定打に欠けるな」
ナイトメアが殴られ、よろめきながら後退する。
砲撃による集中砲火を浴びせるが、タルタルシアンは自身の前で鎖を振り回して砲弾を防いでいく。
若葉「近付けば危険なのは当然として、遠距離攻撃の対処をしてくる上、離れていても鉄球を飛ばしてくる。これは・・・マズいぞ」
頭上を艦載機が飛び、タルタルシアンに爆撃する。他の艦娘達と ほっぽが駆け付けた。
叢雲「無事?」
雷「この悪魔、かなり頑丈なの」
タルタルシアンは駆け付けた艦娘達を敵として認識し、鉄球を飛ばしてくる。艦娘達は散開して鉄球から逃れる。
加古「こいつ鉄球 飛ばしてくるのかよ!?無茶苦茶だな」
赤城「数で制圧しましょう。攻撃開始!」
艦娘達が遠距離攻撃で攻め立て、タルタルシアンに猛攻を仕掛けていく。全員の攻撃を意に介した様子もなく暴れるタルタルシアンに、本当にダメージが通っているのか疑問に思えてくる。
摩耶「早く倒れろよ・・・!」
鉄球を躱しながら地道に攻撃を続け、タルタルシアンは仰向けに倒れて動かなくなった。曙がタルタルシアンに近付き、爪先でツンツンと小突くが、やはり動かない。
足柄「大丈夫?」
足柄は急いでフレキ&ゲリに近付く。フレキは倒れたまま弱々しく足柄を見詰めているが、ゲリの方は意識がないく、動く気配もない。
そうこうしている内に、フレキの方も意識を失ってしまった。
足柄「この子達を鎮守府に運ぶから手伝って!」
加古「そいつら悪魔なんでしょ?鎮守府に連れて帰って大丈夫なのかよ・・・?」
足柄「だからって、傷付いた この子達を そのままにできないでしょ!それに、悪魔なら もう3匹も飼ってるじゃない!」
グリフォン『“飼う”って言うなよ。悪魔権侵害だぞ』
飛鷹「あんたは黙ってなさい」
足柄「赤城秘書艦、お願いします!」
赤城「・・・・・・・・・」
加賀「赤城さん・・・」
赤城「鎮守府に運びます」
天龍「いいのかよ?こいつらアーロンの仲間だったんだぞ」
赤城「責任は私が持ちます。誰か、手伝ってあげてください」
フレキ&ゲリは、ナイトメアの手によって鎮守府まで運ばれた。そこから足柄、長門、比叡、天龍の手で医務室に運ばれた。
・・・・・・
*医務室*
明石「悪魔の治療なんて初めてだけど、普通の生き物と同じなのかな・・・?」
足柄「お願い明石、どうにかして」
明石「やるだけやってみます。皆は外に出てください」
フレキ&ゲリの容態は酷く、一刻を争う状況だ。集中治療を施すために、明石は皆を医務室から追い出した。
妙高「足柄、どうして あの悪魔を助けようと思ったの?」
足柄「だって、傷付いてるのを放っておけないでしょ?それに、私は“飢えた狼のよう”と評された艦だもの」
妙高「まったく・・・。責任は赤城秘書艦が持つと言ってたけど、あなたが責任を持ちなさい。いいわね?」
足柄「当然でしょ」
フレキ&ゲリを助けようとしたのは、足柄の優しさから来るものであった。それと、足柄は“飢えた狼のよう”と評された艦でもある。狼型の悪魔に、何か思う所があったのかもしれない。
その後、フレキ&ゲリの治療が終わり、足柄が付きっきりで面倒を見ていた。ただ、フレキ&ゲリの意識は戻っていない。
・・・・・・
*1月1日 9:22*
新年、新しい年が明けた。
足柄は相変わらず、フレキ&ゲリの傍に居る。
艦娘達は初詣に行くために振袖を着ている中、足柄だけは艦娘としての制服のままだった。
那智「本当に来ないのか?」
足柄「うん、誰かが この子達を見てないといけないでしょ?」
足柄は皆と一緒に初詣には行かないようだ。
那智が医務室を出た後も、足柄は包帯を替えたりと ずっと世話をしていた。
明石の話では、峠は越えているようなので、あとは目が覚めるのを待つだけだ。ただ、フレキ&ゲリとは敵対していた。目が覚めてから、こちらに牙を向くような事がなければいいが・・・。
・・・・・・
*1月7日 14:37*
フレキ&ゲリが鎮守府で保護されてから1週間が経過し、フレキ&ゲリは やっと目を覚ました。
目を覚ました時、医務室には明石と足柄が居たが、フレキ&ゲリは唸ったり牙を向くような事はなかった。助けられた事を理解しているのかもしれない。
目を覚ました報告を受け、赤城と加賀、通訳でグリフォンも医務室に来た。
明石「調子は・・・悪くなさそうね。薬が効いて良かった」
足柄「無事で良かったわね」
足柄はフレキ&ゲリの頭を撫で、2体は気持ち良さそうに目を細めている。
グリフォン『こいつは驚いた。甘えてら』
以前は敵対していたのに、今は2体から敵意は感じない。それ処か、甘えているように喉を鳴らしている。これには赤城と加賀、明石も驚いていた。どういう風の吹き回しなのだろうか?
それよりも、グリフォンに来てもらったのはフレキ&ゲリから情報を聞き出すためだ。すぐに本題に入る事にした。
赤城「フレキとゲリが、セリーナさんを助けてくれたんですよね?」
加賀「なら、ルキフェルスと七騎士が どこに居るかも知ってるはずよね?」
セリーナは捕らえられた時、意識を失っていたので本人は場所までは分かっていなかった。だがフレキ&ゲリが助けに来たという事は、その場所を知っていなければ来れないはずなのだ。
グリフォン『んぁ?ダメだってよ。連中のアジトは、セリーナを助けた後に消えちまって分からないらしいぞ』
フレキ&ゲリの言葉をグリフォンが通訳し、それを聞いた赤城達も期待外れで溜め息が出る。ルキフェルスが居る場所が分かれば、直接 叩きに行く腹積もりだったが、宛が外れてしまった。
赤城「仕方ありませんね。また向こうが何かしらの形で動いた時に、対処しましょう」
グリフォン『こいつら、誰かに頼まれてセリーナを助けたらしいぞ。裏山でデカいのと戦ってたのも、艦娘の お嬢チャン達を護るように そいつに言われたってよ』
加賀「誰かって誰なの?」
グリフォン『それを言わねぇんだよ。おい、犬っころ、白状しやがれ』
フレキ&ゲリは、誰かに命じられて動いていた。赤城達にも思い当たる人物は居ない。
フレキ&ゲリはアーロンに従っていた。しかし、奴はダンテとネロに倒されて、もう この世に居ないはずだ。そうなると、いったい誰が・・・?
足柄「え、何?」
話の途中で、フレキ&ゲリは足柄の足に擦り寄ってきた。突然の事だったので、足柄も少し驚いた。
グリフォン『しばらく足柄の お嬢チャンと一緒に居るってよ。恩を返したいらしいぜ』
それを聞き、足柄は とびっきりの笑顔を見せてフレキ&ゲリを抱き締めた。
足柄「何て可愛いの!もうフレキとゲリは私のペットよ!私が飼うわ!」
グリフォン『おいおい・・・』
加賀「勝手に決めないで」
赤城「仕方ありませんね・・・」
こうして、フレキ&ゲリは鎮守府に居座る事になった。どんどん居候が増えていく。
しかし、フレキ&ゲリにセリーナを助けるようにと、艦娘達を護るように命じていた者の存在の謎は残る。その辺りの話も何度も問い質したが、フレキ&ゲリは何も答えなかった。
敵対する意思はないようだが、まだ完全に信用する事はできない。フレキ&ゲリは、世界を滅亡させようとしたアーロンに従っていたのだから。
*裏山*
裏山には、タルタルシアンの身体が残っていた。
そのタルタルシアンの鎖が、微かに鳴った。
・・・・・・
*食堂 19:42*
食堂では、夕飯を食べ終わった足柄がフレキ&ゲリと戯れていた。
足柄「フレキ、ゲリ、お座り!」
フレキ&ゲリは、足柄から普通のペットと同じ芸を一通り仕込まれていた。
2匹で ちょこんと座る。
足柄「伏せ!お座り!お手!おかわり!」
連続で指示が出され、フレキ&ゲリは順番に その通りの行動で従う。足柄は超絶大満足だった。
足柄「可愛いぃ~!!やっぱりペットにするなら狼よね!」
如月「でも、ペットを飼うと結婚できないって聞くわよね?」ヒソヒソ・・・
睦月「シッ、聞こえちゃうよ」ヒソヒソ・・・
足柄「フレキ、ゲリ、まだ お腹 空いてる?あそこの如月 食べていいわよ」
ニッコリ微笑む足柄。しっかり聞こえていた。
フレキ&ゲリは、如月を その眼で捉えて見詰めていた。如月は嫌な予感がし、少し考えた結果、食堂から飛び出して逃げた。フレキ&ゲリも それを追う。次女を食べられては堪ったもんじゃないので、他の睦月型も慌てて追った。足柄は、駆逐艦に容赦なかった。
翔鶴「でも、狼をペットにするのって、特別な許可が必要でしたよね?」
赤城「甘いですよ翔鶴さん。フレキとゲリは悪魔です。悪魔をペットにしちゃいけないという法はありません」
瑞鶴「(それって前代未聞だからじゃ・・・?)」
フレキ&ゲリを鎮守府に置いたのも、法律上の抜け道を突いた判断からでもあった。
しかし・・・。
加古「でもさぁ、グリフォンとか鎮守府に置いた時、提督スゲー怒ってなかった?」
鬼怒「激おこだったよね」
赤城「・・・・・・あれ?これ、私が提督に怒られる流れでは・・・!?」
なぜ今 気付く?
“責任は持つ”と言っていたのに、なぜ怒られないと思っていたんだ?
今更なので、戻ってきたら しっかり怒られてもらおう。
*グラウンド*
如月「来ないでってばー!!」
フレキ&ゲリから逃げながら、如月はグラウンドまで来た。その後ろを姉妹艦が追う。
すると、鎮守府の敷地の壁を破壊して、タルタルシアンが現れた。
皐月「ま、また出た!」
フレキ&ゲリは、高速移動しながらタルタルシアンに体当たりし、攻撃を仕掛けていく。
タルタルシアンが壁を ぶち破った騒音は、艦娘達も聞いていた。彼女達もグラウンドに来た。
摩耶「あいつ、まだ生きてたのかよ」
足柄「フレキとゲリを手伝うわよ!」
そこに転移陣が現れ、ネロとセリーナが姿を見せた。これも また突然の事だったので、艦娘達は驚いた。
涼風「ネロ!?」
望月「ずっと どこ行ってたのさ?」
ネロ「悪い、セリーナのママが帰らせてくれなくてよ」
セリーナ「ネロには修行をしてもらっていた」
加賀「修行って・・・戻らないなら戻らないと言ってもらわないと困るわ」
セリーナ「すまんな、こっちも急ぎだったからな」
ネロ「あの悪魔は俺1人で相手する。試したい事もあるしな」
“試したい事”に艦娘達は首を傾げたが、一先ずネロに任せる事にして後ろへ下がった。
足柄「フレキ、ゲリ!戻りなさい!」
フレキ&ゲリは足柄の近くに着地し、ネロは赤い魔石が装飾された指輪を左手の指に嵌める。
赤い魔石の指輪は、持つ者に炎の力を授け、僅かに力を底上げする。
ネロはレッドクイーンを手に、タルタルシアンに向かって駆け、その刃を振る。振るのと同時に、レッドクイーンの刀身から炎が噴き出す。推進材噴射機構の『イクシード』を発動していないのにだ。
更にブルーローズから種類の違う弾丸を2発 撃ち、タルタルシアンに着弾すると爆発が起きた。
ブルーローズを連射していると、タルタルシアンは鎖で繋がった鉄球を自身の前で回転させる。それによって銃弾を防いでいた。
ネロ「少しはやるみたいだな」
ネロはレッドクイーンに持ち替え、接近戦で挑もうとする。
タルタルシアンはネロに向かって鉄球を飛ばしてくるが、ネロは それを躱して斬り掛かる。何度も刃を振り下ろすが、タルタルシアンは微動だにしない。
すると、タルタルシアンは鉄球で殴り掛かってきた。ネロはバックステップで後ろに回避し、指輪を付け替える。その指輪に煌めく魔石は青かった。
青い魔石の指輪は、持つ者に氷の力を授ける。
ネロはブルーローズを構え、『チャージショット』を撃つ準備に入る。その隙を狙ってタルタルシアンが動く。
足柄「フレキ!ゲリ!」
フレキ&ゲリが高速で飛び掛かり、タルタルシアンの注意を逸らし、足柄の放った砲撃が爆ぜて視界を遮る。
ネロ「凍て付け」
『チャージショット』を撃ち、魔力を纏う2発の弾丸がタルタルシアンに着弾する。その瞬間、一瞬にしてタルタルシアンは凍り付いた。
ネロは跳躍してレッドクイーンを振り下ろす。タルタルシアンは一刀両断され、粉々に砕け散った。
蒼龍「スゴ・・・」
夕雲「あれが、魔石の力・・・?」
天龍「まーたネロだけ強くなりやがって」
艦娘達は驚いたり呆れたりしながら様々な反応を見せ、ネロは それを気にする事もなく、指に嵌めた指輪を見ながら笑っていた。
ネロ「思ってたよりスゲーな。これがあれば、誰にも負ける気がしねぇ」
ニコ「何だよ それ!?ネネネネネロ!そ、そそ、それ研究させてくれ!」
ネロ「おい触んなよ!これ借り物なんだぞ!」
ニコ「ちょっと見るだけだから!」
ネロ「落ち着け!あ、やめろ・・・!誰か助けてくれ!」
ニコはネロから指輪を奪い取ろうとし、ネロも怪我をさせない程度に抵抗する。見兼ねた艦娘達が手助けに入った。
セリーナは ちゃっかり居たフレキ&ゲリを見て固まっていた。
セリーナ「フレキにゲリ!?何で お前達が ここに居る!?」
赤城「色々ありまして」
足柄「私のペットよ!」
セリーナ「勝手にペットにするな!妾の友だぞ!」
足柄「ダメ!私のペットになったの!」
セリーナ「ふざけるな小娘が!返せ!」
足柄「そっちの方がチビじゃない!」
セリーナ「チビ?チビだと?言ったな?言ってはならないラインを越えたな?」
足柄「やる気?負けないわよ!」
足柄とセリーナの取っ組み合いの喧嘩が始まり、他の妙高型も溜め息を吐いて頭を抱える。ニコを止めていた艦娘達も、そちらの喧嘩に気付く。
深雪「あっちは喧嘩が始まってるぞ!?」
摩耶「止めろ止めろ!」
あっちも こっちも騒がしく、この調子で これから先、悪魔や深海棲艦から世界の平和を護れるのか心配になる。
*岬*
鎮守府と海を一望できる岬に、黒いコートにフードを被ったルキフェルスが鎮守府の方を見ていた。
ルキフェルス「予定通りだな。ネロ、器として完成する日は近い」
そのルキフェルスの後ろに、白衣を着た老人が現れた。ルキフェルスは老人の気配に気付き、後ろを振り返る。
ルキフェルス「やはり生きていたか」
老人「もうやめろ。過去の確執で、今を生きる者達を巻き込むな」
ルキフェルス「巻き込むな?お前が それを言うのか?」
老人「お前は魔石に込められた邪悪な意思に操られている。自分を取り戻せ」
ルキフェルス「俺は俺のままだ。これが本当の俺だ」
老人「あの若いデビルハンターを どうするつもりだ?」
ルキフェルス「昔と同じだ。世界を破壊する」
老人「それに何の意味がある?」
ルキフェルス「よく言うだろ?創造は破壊からしか生まれない。お前も昔ほどの力は無さそうだ。長生きしたければ邪魔をするな」
そう言い残し、ルキフェルスは姿を消した。
それを見送った老人は、鎮守府の方を見る。
老人「フレキ、ゲリ、あとは頼んだぞ。・・・セリーナ、お前も いつか・・・」
悲しげに鎮守府を見詰めていた老人も、そのまま姿を消した。
・・・・・・
*異空間*
異空間に残っていたダンテとバージルは、緑色の謎の生命体を全て駆逐した。
ダンテ「はぁ・・・流石に疲れたな」
バージル「チッ・・・服が汚れた」
戦いの過程で、ダンテとバージルは緑色の返り血を浴びていた。
邪魔者が居なくなり、2人も艦娘達が居る世界に戻ろうとしたが、そこで異常が発生した。異空間に重力嵐が発生した。
ダンテ「今度は何だ・・・!?」
バージル「っ・・・ダンテ!」
ダンテ「クソッ・・・バージル!」
重力嵐に吹き飛ばされ、2人は引き離されてしまった。
次回も よろしく お願い致します!