173話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 医務室 1月29日 22:45*
バージル「ぅ・・・」
間宮「バージルさん!」
セリーナ「おぉ、目が覚めたか」
バージル「ここは・・・?」
明石「鎮守府です。吹雪ちゃん達が、近くの浜で倒れていたのを見付けて、ここに」
ネロと艦隊がFS海域にて戦闘を始めた頃、鎮守府ではバージルが目を覚めた。
バージルは寝起きから頭がボーッとしており、最初 自分が どこに居るのか すぐに認識できなかったが、頭を振り、少しずつ自分の置かれた現状を把握していった。
バージルは自身に起きた事を思い出し、ベッドから出て どこかに行こうとする。
バージル「行かねば・・・」
間宮「待ってください!まだ無理ですよ!」
ベッドから出たバージルの足取りはフラフラしており、とてもじゃないが放っておけるようなものではなかった。間宮と明石が止めるが、バージルは2人の手を払い除けて どこかに行こうとする。
セリーナ「おい、何があったか説明しろ。少しは助けになれるかもしれんぞ」
バージルは立ち止まり、セリーナを見て少し考えてから、異空間で重力嵐に巻き込まれた事を簡単に話した。その時にダンテと はぐれた事と、気付けば鎮守府だった事も。
バージルの話を、セリーナは難しい顔で聞いていた。セリーナでは今すぐ どうにかできそうにない。そこでセリーナは、自分より知識の豊富な母親にバージルを会わせる事に決めた。
セリーナ「妾の母上の所に行こう。お前も一緒に来い」
バージル「そんな暇はない。ダンテが居なければ、ここに居る意味もない。奴と決着を着けるためにも、連れ戻さねば・・・」
セリーナ「どこに居るか分かっているのか?」
バージル「俺とダンテが居た場所に戻るだけだ」
セリーナ「お前と半魔が飛ばされたのは次元の狭間だ。闇雲に探しても見付からないぞ。母上なら、何か方法を知ってるはずだ」
バージル「・・・どこに居る?」
セリーナ「案内しよう」
セリーナは転移陣を出し、バージルと2人で消えてしまった。
残された明石は また勝手に話が進み、赤城や加賀に何と言おうか困り、間宮は心配そうな顔をしていた。
*ノヴァの洞窟*
転移陣で洞窟まで飛び、バージルの目の前にはクリスタルの中に眠るセリーナの母親ノヴァが居た。
バージルは目を細めてノヴァを見ていると、ノヴァの声が響く。
ノヴァ『初めましてバージル』
バージル「貴様がセリーナの母親か。貴様ならダンテを連れ戻せると聞いているが?」
セリーナ「おい、言葉に気を付けろ」
セリーナはバージルの傲岸不遜な態度を咎めつつ、ノヴァに事の経緯を全て話した。
ノヴァ『なるほど・・・しかし、行くのは お勧めできません。次元の狭間は私でも未知の領域、何があるか分からない場所です』
バージル「御託はいい。さっさと連れ戻す方法を教えろ」
セリーナ「母上に向かって何だ その言葉遣いは!」
ノヴァ『・・・・・・致し方ありませんね。セリーナ、他に変化は?』
セリーナ「艦娘の話では、半魔の剣が光り、剣から半魔の声が聞こえたと」
ノヴァ『・・・・・・分かりました。次元の狭間への扉は開く事はできます』
次元の狭間に再び行く事はできると分かった。
そこから先は、魔剣ダンテがダンテの元まで導いてくれるはずだとノヴァは推測する。
ノヴァ『彼の剣が必要です。彼の剣を ここに』
バージル「ネロは どこだ?」
セリーナ「艦娘達と どこかに行ったぞ。確か、FS・・・SF?みたいな名前の海域だった」
バージル「FS・・・」
バージルは この世界に来てから、この世界の事は粗方 調べ尽くしている。FS海域が どこかも、バージルは既に把握していた。ならば、行くのは簡単だ。
バージル「となると、海の上か」
バージルは閻魔刀を抜き、十字に空間を斬り裂いた。直後、真魔人となり次元の裂け目に入り、ネロを探しに行くのだった。
“親父!?・・・お、おい、何だよ!?”
“ちょっと、あんた目が覚めたの!?”
“ネロを どうするつもり?”
洞窟で また空間が裂けると、そこからネロが飛び出してきて地面を転がる。遅れてバージルも出てきた。
ネロ「何なんだよ畜生・・・」
訳も分からない内に次元の裂け目に放り込まれ、勢い余って地面を転がる羽目になったネロは、服も汚れて不機嫌な様子で小言を吐く。
バージル「ダンテの剣だ、早くしろ」
ノヴァ『いいでしょう』
ネロ「おい、いきなり何なんだよ?ダンテの剣が どうしたって?」
ネロにはセリーナが説明した。これからやろうとしている事も話し、ダンテを連れ戻せると知りネロは驚いた。
ネロ「マジか、できるのかよ?」
セリーナ「危険はあるだろうがな」
ネロ「危険じゃなかった事なんてあるか?俺も行く」
セリーナ「お前まで向こうに行ってしまったら、こっちは どうなる?」
ネロ「ダンテは俺を呼んでた。俺が行かなきゃならない」
セリーナ「う~ん・・・」
セリーナは困ったように、クリスタルに眠るノヴァを見る。しかし、ノヴァからの声は聞こえない。それを肯定と判断し、セリーナは溜め息混じりにネロが行く事を了承した。
少しすると、次元の狭間への入り口が開いた。
ノヴァ『この先は不可侵の領域、何が待ち受けているか分かりません。魔剣が彼の元まで導いてくれるでしょう』
ネロの背中で紅い光を明滅させていた魔剣ダンテが、独りでに動き次元の狭間への入り口に飛んでいった。ネロとバージルも入り口へ飛び込み、魔剣ダンテを追った。
セリーナ「・・・・・・戻ってこれるでしょうか?」
ノヴァ『できなければ、全てが終わるだけです』
*次元の狭間*
ネロと真魔人バージルは それぞれ翼を羽ばたかせながら、ベルゼに飛ばされた時と同じ空間を飛んでいた。
2人の遥か先には、光を放ちながら飛ぶ魔剣ダンテが見えている。
ネロ「さーて、さっさとダンテを見付けて帰るか」
バージル『気を付けろ、ここは人間界とも魔界とも違う。俺達の知識は役に立たんぞ』
ネロ「分かってるよ」
しばらく何事もなく飛んでいたのだが、ダンテとバージルが巻き込まれた重力嵐が発生した。
ネロ「な、何だよ!?」
バージル『クッ、またか・・・!』
ネロ「う、うわあああああ!!」
ネロと真魔人バージルは、重力嵐によって それぞれ違う方角へ飛ばされてしまった。
魔剣ダンテは、2人を気にする事もなく飛び去ってしまった。
*工場*
工場にある窓から、少年が夜空を見詰めていた。すると、紅い流れ星が流れていくのが見えた。
少年は何を思ったのか、それを見て急いで窓から離れた。
・・・・・・
*街*
重力嵐に巻き込まれてバージルと はぐれたネロは、気付けば日本の街中に居た。次元の狭間へ向かった時は夜だったが、今は日中で青空が広がっている。
ネロは今、高層ビルの屋上から怪訝な顔で街を見渡していた。いつの間にか人間界に戻ってきたのかと思っていたが、何やら様子が おかしかった。
ネロ「何故だ・・・なぜ誰も居ない・・・?」
ネロが辿り着いた場所には、人が誰1人 見当たらないのだ。人だけではない。動物や虫、命ある者の気配が全く感じられない。
するとネロの頭上の上空で、黒く巨大な浮遊物体が現れた。
ネロ「何か知ってそうだな。人が居なくなったのは お前が原因か?!」
ネロの声に呼応するように、今度は浮遊物体から、無数の白くて小さい飛行物体が大量に飛び出してきた。
飛行物体はエネルギー弾を発射し、ネロに攻撃してきた。ネロはデビルブリンガーの翼を広げて応戦する。
ネロ「問答無用って訳か・・・!」
戦いの途中、白い飛行物体の内の2機が、ネロから離れて地上へ向かっていく。ネロも その動きの おかしな飛行物体に気付いていた。
ネロから離れた飛行物体の先には、自転車で走る少年が居た。
ネロ「子供だと!?クソッ・・・!」
白い飛行物体の追撃を振り切り、ネロも少年の方に飛ぶ。
少年は飛行物体が飛来してくるのに気付き、逃げるのではなく恐怖から止まってしまった。そのせいで、今から逃げても間に合わない所まで飛行物体は接近していた。
ネロ「させるかぁあああ!!」
ネロは少年と飛行物体の間に回り込み、デビルブリンガーの腕を伸ばし飛行物体を掴む。そのまま2機を ぶつけ合わせて破壊する。
ネロは少年から離れ、残りの白い飛行物体を破壊していく。全て破壊すると、上空で滞空していた黒く巨大な浮遊物体が忽然と消えた。
ネロは地上に下り立ち、深く息を吐いた。
そこで、背後から誰かが走ってくる音が聴こえた。振り返ると、先程 助けた少年がネロの傍まで来ていた。
ネロ「よう、無事で良かったな。それより、あんな所に居たら危ないだろ」
ネロは そう言うが、少年は何も言わない。言葉を返さない事は少し気になったが、ネロは とりあえず、近くにあるベンチに座る事にした。
ネロ「(ったく、どうしたもんかな。親父とは はぐれちまったし・・・人が居たのは確認できたな、子供だけど・・・)」
これから どうしようか考えていると、子供が何かを差し出してきた。見ると水筒のコップだった。中には水が入っている。
ネロ「おっ、気が利くな。Thank You」
丁度 喉は渇いていたので、コップを受け取りグイッと飲み干しコップを返した。
ネロ「それにしても、他の人間は どこに言ったんだ?君、何か知ってるか?」
すると突然、少年はネロの手を取り引っ張り始めた。どこかに連れて行きたいようだが、突然の事にネロは驚くばかりだった。
ネロ「おいおい、急に どうした!?落ち着けよ」
どうにか落ち着かせようとするが、少年は相も変わらずネロの手を引っ張り続けている。
そんな中、巨大な何かが歩いてくるような地響きが起きる。音と振動は大きくなっていき、どうやら こちらに近付いてくるようだった。
そして姿を現したのは、レッドグレイブにも現れた悪魔『ゴリアテ』だった。
ゴリアテ━━ニコが製作したデビルブレイカーのパンチライン、その元となった力自慢の悪魔だ。そういう悪魔は知能が低い傾向にある。ゴリアテも その例に倣って あまり賢いとは言えない。
腹部にある口による吸引機能や、更に吸引した物を一瞬で熱量に変換する能力を有している。
ネロ「会いたいのは悪魔じゃないんだけどな。おい、君は逃げろ」
悪魔が現れたのなら、ネロは倒すだけだ。
ゴリアテに向かって歩き出すが、少年は またネロの腕を掴んで引っ張る。
ネロ「何やってんだ!?早く逃げろ!」
逃げるよう促すが、少年はネロの腕を引っ張り続ける。言葉も発さないので、少年の言わんとしている事も解らない。
子供に気を取られていると、ゴリアテは その豪腕な腕で建物を破壊し、瓦礫を腹部の口に運んでいく。次の瞬間、『火炎弾』が吐き出された。
ネロ「マズい・・・!」
ネロは咄嗟に少年を抱えて跳躍し、火炎弾を躱した。
更にゴリアテは、近くにある乗用車やバスを掴んで投げてきた。
少年が ここから離れ、逃げてくれれば心置きなく戦える。しかし少年はネロから離れようとしない。庇いながら戦うにしても少々 面倒だ。ネロとしては、戦いの渦中に子供を巻き込みたくなかった。
ネロ「何で逃げてくれねぇんだ・・・?兎に角 逃げるぞ!」
仕方なくゴリアテから背を向け、ネロは少年と一緒に逃げる事にした。
後ろから車だけでなく、電柱や街路樹なども投げてゴリアテが追ってくる。ネロは少年の腕を引っ張りながら一緒に走り、右へ左へと動きながら飛んでくる物を避けていく。
ネロ「こんな状況じゃなきゃ、あんな奴ぶっ倒してやるのに・・・!」
ネロにとってゴリアテは、逃げる程の驚異ではない。止めはVが刺したが、自分の世界で同族のゴリアテを瀕死にまで追い込んだ事もある。
ネロ「クッソーーーー!!」
そんな相手に背中を向けて逃げなければならない屈辱的な状況に、ネロも声を上げずにはいられなかった。
そこに、無数の斬擊がゴリアテを襲った。直後、ベオウルフを装備したバージルが、急降下キック『流星脚』でゴリアテを蹴り飛ばす。
ネロ「親父!」
バージルはネロの声を無視し、起き上がったゴリアテと相対する。
ゴリアテは高速突進攻撃を仕掛けてきた。
バージル「遅い」
バージルは自身の周りに『円陣幻影剣』を配置、閻魔刀による『疾走居合』を繰り出しながらゴリアテに向かって駆け抜ける。ゴリアテの攻撃は、斬り刻まれながら空振りに終わって倒れる。
バージルは振り返りながら、ミラージュエッジを投げて『ラウンドトリップ』を繰り出す。ゴリアテは起き上がると、回転しながら飛ぶミラージュエッジの刃に斬られた。
バージルに向き直ると、ゴリアテは腹部から炎を放射し始めた。この状態のゴリアテに近付くと、吸い込まれてしまう。それに気付いているからか、バージルは一瞬でゴリアテから一定の距離を空ける。離れた事で、遠距離から幻影剣を飛ばす。
炎の放射が止まると、ゴリアテは車を投げてきた。バージルが閻魔刀の斬擊で車を斬り落としていると、ゴリアテは また高速突進攻撃してくる。それを躱すと、今度は両腕を叩き付けてきた。
それも躱すと、ゴリアテの周囲が赤く光る。次の瞬間、ゴリアテを中心に大爆発が起きる。バージルは爆風により後退させられる。
バージル「・・・なるほどな」
バージルはゴリアテに向かって一気に跳躍し、高速回転の踵落とし『月輪脚』を叩き込む。着地すると、2連続のジャンプアッパー『ドラゴンブレイカー』で打ち上げた。更に打ち上げられたゴリアテの真上から、『五月雨幻影剣』が降り注ぐ。
ゴリアテは落下すると、それ以上は動く事はなかったが、力なくバージルを見ながら怨嗟の言葉を吐く。
ゴリアテ『貴様のような奴に・・・敗けるなど・・・!俺は・・・魔王になるのだ・・・!』
バージル「フッ、“魔王”か。貴様では魔王にはなれん。その器ではない」
ゴリアテ『グガッ・・・!』
ゴリアテの額に、閻魔刀を深々と突き刺した。引き抜きながらゴリアテに背を向け、後ろ手に閻魔刀を鞘に納める。
ゴリアテは絶命し、消滅した。
戦いが終わったのを見計らい、ネロは少年を連れてバージルの元へ行く。
ネロ「親父」
バージル「あの程度の相手に何をしている?」
ネロ「仕方ねぇだろ。戦える状況じゃなかったし」
ネロは自然と、横に居る少年に視線を向けた。それに釣られ、バージルも視線を向ける。少年は、黙ってバージルを見上げていた。
バージル「邪魔になるなら、そんな小僧 捨て置けばいいだろ」
ネロ「そんな訳にはいかないだろ。子供だぞ」
バージル「それが どうした?守って何になる?」
ネロ「何だよ それ・・・!」
?「カイト!」
バージルの物言いに怒ったネロが掴み掛かろうとするが、そこに女性の声が聞こえ、こちらに駆けてくる。“カイト”と呼ばれた少年も、その女性を見た途端に そちらへ走り出した。
?「カイト、1人で出掛けたら危ないって言ったじゃない!」
女性はカイトを心配して叱り、無事であった事に安心して抱き締めた。
2人が離れると、カイトはネロとバージルを指 指す。女性は2人を見ると、カイトを庇うように自身の後ろに隠すようにする。どうも警戒されているようだ。
?「あなた達、誰?」
ネロ「よう、俺はネロ。こっちは親父のバージルだ」
警戒されている事から、ネロは危険ではないように見せるために、極めて気さくに話し掛ける。
バージルは興味がないのか、背中を向けて明後日の方角を見ていた。
サヤ「私は・・・『サヤ』」
・・・・・・
*工場*
サヤとカイトに連れられ、ネロとバージルは街の外れにある工場まで来た。建物の近くには、10人前後の子供の姿がある。
子供「━━━だ!」
その子供達がサヤとカイトが戻ってきた事に気付くと、一斉に こちらに向かってきた。だがネロとバージルを見た瞬間、子供達のテンションが下がった。
子供「何だ、違うじゃん・・・」
ネロ「この子達は・・・?」
子供「ねぇ、秘密基地の中 見せてあげる!」
子供「こっちだよ!」
ネロ「お、おい!ちょっと待ってくれ!」
ネロとカイトは、子供達に手を引かれたり押されたりして工場に向かった。
バージルとサヤは その場に残って、その様子を見ていた。
バージル「ここには子供しか居ないのか?親は どうした?」
サヤは見た目からして20代前半と言ったところだ。彼女が親だとしても、10人前後も居る子供の親と言うには無理がある。
ここに来るまで、他の人間は見ていない。バージルも、異様な状況に気付いていた。
サヤ「生き残ったのは、ここに居る私達だけなの」
バージル「・・・・・・・・・」
次回も よろしく お願い致します!