174話です!どうぞ!
魔剣ダンテの導きで、ネロとバージルはダンテを連れ戻すために次元の狭間へ戻る。
その異空間で重力嵐に巻き込まれ、ネロはバージルと はぐれてしまい、魔剣ダンテの行方も分からなくなる。
次に気付いた時には、ネロは人間界に居た。だが、人間界からは人や動物、生命の気配が消えていた。
ネロの前に、突如として謎の浮遊物体が現れ襲い掛かってくる。
その過程で、ネロは“カイト”という名の少年と出会う。しかし、少年は会ってから一言も言葉を発さない。どうしたものかと考え込むネロ。
そんな中、大型の悪魔ゴリアテがネロとカイトの前に立ち塞がる。カイトにゴリアテと戦う事を邪魔され、ネロは仕方なくカイトを連れて逃げる。
そこに、同じく人間界に辿り着いていたバージルがゴリアテを撃破する。
ネロとバージルの口論が始まろうとした その時、“サヤ”という名の女性がカイトを探しに来た。
ネロとバージルは、サヤとカイトの案内で2人が住居にしている工場へと来る事になった。
*工場*
ネロは工場に来てから、子供達に絡まれて大変だったのだが、一先ず子供達だけで遊んでてもらい、バージルと共にサヤから事情を聞く事にした。
ネロ「どうして人が誰も居ない?鎮守府や艦娘は、深海棲艦は どうなった?」
サヤ「艦娘・・・?深海棲艦って何?」
ネロ「(艦娘を・・・知らない!?)」
バージル「(・・・そういう事か)」
サヤが艦娘や深海棲艦を知らない事にネロは驚いたが、バージルは すぐに予測できた。自分達の世界と艦娘達の世界があるように、ここも また、別の世界なのだろうと。
サヤ「あの子達の親や街の人、世界中の人々は・・・ううん、人だけじゃない。動物も皆、
ネロ「あいつ?あいつって誰だ?」
サヤ「・・・・・・悪魔『サクリファ』」
ネロ「・・・サクリファ?」
バージル「・・・・・・・・・」
ネロはバージルの顔を見るが、バージルは知らないと言いたげに首を横に振る。
この世界の人間界に、突如として魔界から侵略者が現れた。悪魔サクリファは、人間界に生きる全ての生命を糧に、魔界兵器を復活させようとしていた。
サヤは奇跡的に助かり、この工場に逃げ延びてから ずっと隠れ住んでいた。
ある雨の日、不意に工場の扉が叩かれた。サヤは警戒しながら扉を開けると、そこには雨に打たれた10人前後の子供達が立っていた。彼らもサヤ同様、奇跡的に助かり工場まで逃げてきたのだ。
“助けてください・・・”
“・・・おいで”
サヤは、工場で子供達を一緒に住まわせる事にした。
そしてサヤ達は、レジスタンスのような活動をしながら対悪魔用のトラップなどを街などに設置して、僅かながらな抵抗で生き残りを賭けて生きてきたと話してくれた。
サヤの話を聞いている時に、外から子供達の悲鳴が聞こえた。ネロとバージル、サヤは建物の外に出た。外には大型悪魔のオラングエラとノクトプテランが出現していた。
ネロ「おい、またゴリラ擬きかよ」
バージル「・・・羽虫が」
サヤ「皆、こっちに!」
ネロはオラングエラに、バージルはノクトプテランに向かって行く。
サヤは子供達と一緒に後ろへ下がり、遠目で見守る事にした。
ネロ「オーバーチュア!」
ネロは右腕を幽体化させ、デビルブレイカーのオーバーチュアを装備する。
先手必勝と言わんばかりに、電撃の掌底打ち『バッテリー』を繰り出そうとする。だが その瞬間、『バッテリー』は不発に終わり、オーバーチュアが小さな爆発を起こして壊れた。珍しく不具合が起きたようだ。
ネロ「なっ・・・!?」
ネロも驚き、その隙を狙ってオラングエラはネロを殴り飛ばす。拳が諸に入り、かなりの距離を吹き飛ぶ。
サヤ「バカ!戦えないなら逃げて!」
ネロ「
起き上がったネロは、左手の指に赤い魔石の指輪を嵌める。
ネロ「俺の炎は、もう止まらねぇ!!」
レッドクイーンのグリップを捻り、魔石の力も相まって、レッドクイーンの刀身に いつも以上の熱が帯びる。
レバーを握って『イクシード』を発動し、とてつもない炎を噴き出しながらオラングエラを斬る。かなりの熱量に、オラングエラもタジタジになっている。
バージルは宙を飛ぶノクトプテランに、幻影剣を飛ばしながら『次元斬』を連発して繰り出す。速攻で終わらせるつもりだ。
バージルからの攻撃を受けながら、ノクトプテランは卵を産み落とす。
孵化したラーヴァが地中に潜り、サヤと子供達の近くの地中から飛び出す。そのまま口を開いて一直線に迫ってくる。
バージル「チッ・・・!」
バージルは即座に幻影剣を飛ばし、サヤと子供達に迫るラーヴァを地面に縫い付けるように串刺しにする。カイトの時は見捨てるような事を言っていたが、何だかんだで戦いながら気に掛けていたようだ。
ラーヴァに気を取られていた間に、ノクトプテランは次々と卵を産み落としていた。
これではキリがないので、バージルは自身の魔力で生み出した分身『ドッペルゲンガー』を発動する。
バージルはノクトプテランへの攻撃を続け、ドッペルゲンガーはラーヴァを駆逐していく。
ネロ「そぉらよっと!」
オラングエラが拳を振り下ろしてくるが、ネロは跳躍しながら躱し、デビルブリンガーの両腕がオラングエラを掴む。掴んだまま振り子のように1回転し、遠心力を加えながら地面に叩き付ける。
起き上がったオラングエラに、ネロはブルーローズの『チャージショット』を撃ち込む。2発の弾丸が命中すると、ネロは背中を向けてサヤ達の方へ歩き出す。ネロの後方では、動かなくなったオラングエラが爆発四散した。
バージルの方でも、ノクトプテランが落下して消滅し、ラーヴァも地中から出てこなくなった。
戦いから戻ってくるネロとバージルを見ながら、サヤは怪訝な顔をしながらポツリと呟いた。
サヤ「もしかして、2人も別の世界から来たんじゃ・・・」
ネロ「え、何だって?」
サヤ「ううん、何でもない・・・」
バージル「・・・・・・・・・」
サヤは子供達を連れて、工場の中に戻っていく。その後ろ姿を見ながら、ネロは不思議そうな顔をしていた。バージルも、意味深な視線を向けながら見詰めていた。
・・・・・・
夜になり、全員で夕食を摂っていた。
食材などは、人々が姿を消してから街のスーパーなどで拝借して、サヤと子供達は毎日 食い繋いでいた。悪魔サクリファの驚異が去り、人々が戻ったら纏めて清算するつもりでいるらしい。
ネロは食べ終わると、自分が使っていた分の食器を片付けるために椅子から立ち上がる。
流しに持っていく途中、子供達が描いた絵が張られた壁を見て足を止めた。その絵には、髪は銀色に塗られ、紅い服を着た人物が描かれていた。
ネロ「これって・・・ダンテか!?」
ネロの言葉に、バージルは何かを知っているであろうサヤを見る。サヤと子供達は黙ってしまった。子供達に至っては、食事中は元気に騒いでいたのに、落ち込んだように元気がなくなる。
ネロ「サヤ、ダンテを知ってるのか?」
サヤ「・・・・・・今日は皆 疲れたでしょ。寝る準備して」
ネロ「おい、サヤ!」
ネロの質問には答えず、サヤは その場から立ち去ってしまった。
・・・・・・
子供達が使っていた食器類も片付けた後、ネロは子供達の就寝準備を手伝っていた。
外ではギターを持ったサヤが、無造作に置かれた重機に使われるタイヤに座り、弾き語りを始めた。
サヤ「~~~♪」
就寝準備が終わった後、ネロは寝る前の子供達の お喋りに付き合っていた。そんな中、子供の1人から質問を投げ掛けられる。
子供「ネロは どこから来たの?」
ネロ「城塞都市フォルトゥナ」
子供「どんな所?」
ネロ「田舎だけど それなりに大きな街で、近くに昔の お城があるんだ」
子供「へー、スゲー!」
ネロ「じゃあ、俺からも何か聞こうかな。そうだな・・・皆の夢は?」
ネロからの質問に、子供達が難しい顔をして一斉に考え込む。すると、1人の女の子が手を挙げた。
子供「私、お医者さんになりたい!」
ネロ「おっ、凄いじゃん。他には?」
他の子供達からも夢の話を聞き出そうとしたが、次に口を開いた子供の言葉で空気が変わる。
子供「パパとママに会いたい・・・」
その子供は会えなくなった両親を思い出し、泣き出してしまった。悲しみや不安は伝染し、他の子供達も泣き出してしまう。
ネロは すぐに言葉を紡ぐ事ができなかったが、我に戻り子供達を励ます事にした。
ネロ「大丈夫、きっと会えるさ」
子供「ほんと?」
ネロ「あぁ、諦めなかったら きっと会える。俺なんか産まれた時から親を知らないんだ。半年くらい前に、父親と初めて会ったし」
子供「ほんとに会えるかな?」
ネロ「今は信じる事が大事なんだ。それまで、元気に居られる人?!」
『はーい!』
ネロが手を挙げながら聞くと、子供達も手を挙げながら元気良く返事を返した。
本当に会えるかなんて分からない。それでも、子供達から夢や希望を奪う事はできない。今は、こう言って励ますのが精一杯だった。
子供達から元気が戻る中、カイトは部屋から抜け出した。ネロは それを見逃さなかった。
サヤ「~~~♪」
サヤが歌っているのは、嘗てダンテとバージルが子供だった時に、母エヴァが子守唄で歌ってくれた曲だった。その歌を、サヤが歌っている。
サヤ「誰!?」
足音が聞こえ、サヤは演奏をやめた。バージルだと分かり、サヤは安堵した。
サヤ「バージル・・・」
バージル「何故お前が その曲を?」
サヤ「ダンテから教えてもらったの」
・・・・・・
*22日前 街*
サヤはカイトを含めた子供3人と車に乗り、無人となった街を走ってスーパーまで来た。
スーパーの中は、電気の供給が止まっているのか暗い。
サヤ「いい?必要な物だけだからね」
食料や必需品を確保するために、手分けしてスーパーの中へ散っていく。
棚にある商品をカートに乗せてレジまで行くと、取った商品の一覧と“後日 払います”と書かれたメッセージの紙を張って外に出た。
カートから車へ荷物を移していると、子供の1人が化物の姿に気付く。
サヤ「急いで車に乗って!」
サヤも その存在の姿を認めると、子供達に車に乗るよう急かす。全員が乗ったのを確認すると、車を急発進させた。
その化物の正体は、硬い外骨格に覆われ、マグマのような体液を持つ蜘蛛の姿をしたファントムだった。
ファントムはサヤが運転する車を見付けると、迷う事なく追ってきた。
サヤは幾つもの交差点を曲がり、時には細い道に入りファントムを撒こうとする。それでもファントムは、ジャンプして建物の壁を這うように走ったり、建物の壁を突き破って どこまでも執拗に追ってくる。
また交差点に差し掛かった時、右の道からファントムが突っ込んでくる。
サヤ「掴まって!」
サヤは慣れないドリフトを披露し、ファントムを躱して走り去る。
ファントムも反転して また追ってきた。その しつこさにサヤは嫌気が差す。
サヤ「しつこいんだから・・・!この近くのポイントは何番だっけ?!」
子供「ご、5番だよ!」
子供「違うよ、18番だって!」
カイト「サヤ姉ちゃん、18番!」
サヤ「18番ね、了解!」
サヤはファントムを撒くために、どこかを目指して車を走らせる。
ファントムの追撃を躱しながら距離が空いた時、“18”と書かれた旗が立つドラム缶が積まれた場所が見えてきた。車はドラム缶を通り過ぎ、距離を空けて止まった。
後ろを確認すると、ファントムは真っ直ぐ こちらに向かってくる。
ファントムがドラム缶の置かれた場所に差し掛かった瞬間、サヤはリモコンのスイッチを押した。すると、アスファルトの道路が陥没し、ファントムは大穴に落ちた。
カイト「やった!」
子供達はファントムを倒したと思い喜んだが、ファントムは大穴から這い出てきた。それを見て、サヤや子供達はギョッとする。
怒っているファントムは、口から火炎弾を発射する。一瞬の出来事で、サヤ達は呼吸をする事も忘れ動けない。
サヤ達が骨も残さず焼け死んでしまうかと思われた その時、紅い光を纏う何かがサヤ達と火炎弾の間に割り込んだ。火炎弾が紅い光を纏う何かに当たった お陰で、サヤ達は無事だった。
サヤ達が不安そうに燃え盛る炎を見詰めていると、炎の中から魔人が姿を現した。
サヤ「ま、また悪魔・・・!?」
魔人はファントムの方へ歩いていく。
魔人を敵と認識したファントムは、次々と口から火炎弾を発射する。魔人は腕で火炎弾を弾く。右腕で弾き、次は左腕で。その間にも、魔人は歩きながらファントムへ接近していく。
ファントムは自分の攻撃が効かないと気付くと、魔人に お尻を向けて逃亡しようとする。
魔人は鎖で繋がれた三又の棍の鎖を伸ばし、その鎖はファントムの身体に巻き付いた。ファントムは もがいて拘束から逃れようとする。
魔人『ふんっ・・・!』
魔人は鎖を引っ張り、そのまま回転してファントムを振り回す。拘束が解けると、ファントムは宙に投げ出された。
顔面から落下するファントムの下に回り込んだ魔人は、垂直に跳躍し、籠手具足を装着した両手足から高速の打撃技を繰り出す。無数の打撃を受けた事で、ファントムの顔面が潰れていく。
最後に、組み合わせた両手を振り下ろすように叩き付け、ファントムは地面へと落下した。
ファントムはマグマの体液を垂れ流しながら絶命し、魔人も地上に下り立つ。
静寂が包む中、サヤ達は互いに抱き締め合いながら魔人を見ていた。人ならざる姿から敵とも思え、自分達を襲った化物を倒してくれた事から味方にも思える。どちらなのか判断できず、その場に立ち尽くして見ているしかできなかった。
魔人は ゆっくりとサヤ達の方へ向く。目が合った事で、サヤ達は恐怖から1歩 後退る。
だが次の瞬間、子供達の顔に笑顔が浮かぶ。魔人が、サヤ達に向かってサムズアップを見せた。
「「「味方だー!」」」
子供達は、自分達を助けてくれた正義のヒーローが現れたような気になり、魔人に向かって駆け寄っていく。
サヤは信じられないといったような表情で、魔人を見ていた。
・・・・・・
*現在 工場*
サヤ「私達が悪魔に襲われてると、ダンテが現れて助けてくれたの。まるでテレビのヒーローみたいだった。それからは一緒に過ごして、子供達も すぐにダンテに懐いた。でも・・・」
バージル「ダンテは今、どこに居る?お前はダンテの行方を知っているな?」
サヤ「・・・どうしてダンテを探してるの?」
バージル「戦う理由だからだ。ダンテは・・・俺の双子の弟だ」
サヤ「弟・・・そっか・・・。ダンテの事は知らない。ずっと戻ってこないから」
バージル「・・・そうか」
“戦う理由”・・・サヤが それを どう捉えたかは分からないが、兄弟と知り、どこか納得したような顔をしていた。
バージルとサヤが話している時、外行きの服に着替えたカイトがリュックを背負い、自転車を押して どこかに行こうとしていた。
ネロ「こんな時間に家出か?」
カイトはネロを無視して、そのまま行こうとする。それを見て、ネロも慌てて止める。
ネロ「ちょっと待てって!どこかに行くにしても、明日にしろ。俺も付き合ってやるから」
ネロが止めても、カイトはネロの腕を振り払おうとして暴れ、行くのをやめようとしない。挙げ句の果てには、八つ当たり紛いに自転車を倒す。これにはネロも驚き、一瞬 動きを止めた。
カイトは、ネロの脛を蹴って工場内に走って戻っていった。
ネロ「イッテ!何だよ あいつ・・・!?」
ネロは自転車を起こしスタンドを立てると、カイトを追い掛けようとする。
すると、後ろから声を掛けられた。振り返ると、戻ってきたバージルとサヤと鉢合わせた。
サヤ「何やってるの?」
ネロ「あ、いや、別に・・・」
カイトは会ってから一言も言葉を話さず、何を考えているのかは解らない。他の子供達と同じように、両親と会えなくなり、気持ちの面で何かを抱えているのは間違いないだろう。ネロはカイトの事を どう言えばいいか分からず、はぐらかした。
バージル「お前も子供達と一緒に早く寝ろ」
ネロ「何だよ、今更 父親面すんなよ」
バージル「俺からすれば、お前は まだまだ子供だ」
ネロ「んだと このクソ親父」
サヤ「はいはい、親子喧嘩なら他所でやって。もう寝るよ」
ネロ「クソが」
バージル「バカが」
建物に向かって歩きながらも子供染みた口喧嘩が続き、サヤは背中越しで それを聞きながら溜め息を吐いた。
・・・・・・
サヤと子供達と共に過ごした翌日、静かな朝を迎えた。
子供達は外で遊び、ネロとバージルは、サヤが普段からやっている仕事を手伝っていた。主にサヤ1人では大変な重労働を手伝っている。
そこに、何者かの笑い声が轟く。
子供「何あれ!?」
1人の子供が空を指 指し、ネロとバージル、サヤも空を見上げる。そこには、人ならざる者の顔が映し出されていた。鯰のような顔に、眼と口が白く光っている。
サヤ「サクリファ・・・!」
サクリファ『まだ生き残っている人間が居たとはな』
ネロ「お前がサクリファか!この世界の人間達を どこにやった?!」
サクリファ『まぁ待て。先ずは これを見ろ』
次に映し出されたのは、どこかにある採石場に佇む赤い色をした透明な繭だった。繭の中には、巨大な何かが蠢いている。
ネロ「・・・何だ?」
映像がズームしていくと、蠢く存在の足元に何かが立っている。その正体がハッキリと判った瞬間、サヤは口を押さえて驚き、ネロとバージルも目を見開いた。
ネロ「何で・・・何でダンテが あんな所に居るんだよ!?」
それはダンテだった。1つ違うのは、ダンテの姿が石像と化していた。
次回も よろしく お願い致します!