Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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評価、ありがとうございます!

184話です!どうぞ!


Mission184 父の役目~悪戯ウサギの気持ち~

キリエが身籠った事を知った艦娘達は、キリエが来てから彼女の お腹に ご執心だった。それを快く思わなかった卯月は、鎮守府に居る皆に対し悪戯を決行する。

しかし、卯月の度が過ぎた悪戯と言動に、ネロを始めとした者達が怒る。それにより、卯月は罵るような言葉を吐き捨て、食堂から飛び出した。

ダンテ、赤城、加賀、鳳翔が役割分担し、翌日から動き出したのだが、卯月は またも悪戯を仕掛け、皆から追われながら逃げ回っていた。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 中庭 2月25日 14:37*

 

午後からも悪戯を仕掛け逃げ回っていた卯月は、中庭にある植木の茂みに隠れていた。

すると そこに、透き通った声の、誰かの歌が聴こえてきた。卯月は茂みから少しだけ顔を出す。中庭のベンチに、キリエが1人で座っていた。歌声は、キリエのものだった。

卯月は茂みに隠れながら、しばらくキリエの歌を聴いていた。聴いてると、卯月は自分の中でモヤモヤしたものを感じた。

ここに あまり長く居たくないと思った卯月は、中庭から移動する事にした。キリエに気付かれずに移動しようと思い動くが、服が植木に引っ掛かり、ガサガサと音を鳴らしてしまう。

 

キリエ「誰?」

 

キリエも誰かが居る事に気付いた。

卯月は諦め、立ち上がって茂みから姿を見せる。卯月が居た事に、キリエは少しだけ驚いた。

 

キリエ「卯月・・・」

 

卯月「べ、別に、キリエの歌を聴いてた訳じゃないぴょん」

 

キリエ「ねぇ、こっちに座って話さない?」

 

卯月「話したくないぴょん!」

 

キリエ「私は、卯月と仲良くしたいと思ってる。卯月は、私の事が嫌い?」

 

卯月「うーちゃんは仲良くしたくないぴょん!嫌いぴょん!」

 

キリエ「どうして?」

 

卯月「うっ・・・」

 

“どうして”と言われても、明確な理由が卯月にはない。いや、自分でも気付いていない。その問いに答えられず、卯月は言い淀んでしまう。

気まずい空気だけが流れる中庭に、遠くから卯月を探す声がしてくる。

 

卯月「と、兎に角、うーちゃんはキリエが嫌いぴょん!」

 

キリエ「あ、待って!」

 

卯月「うーちゃんに構うなぴょん!」

 

卯月は中庭から走り去ってしまった。

残されたキリエは、卯月を放っておけず追い掛ける事にした。

 

 

*本館*

 

本館の屋根で、相変わらずバージルは瞑想していた。

 

バージル「・・・・・・ん?」

 

何かに気付き、バージルは目を開ける。

下を見下ろすと、物凄いスピードで卯月が正面ゲートから外に走っていくのが見えた。遅れて ゆっくりとしたスピードで、キリエも外に出ていくのが見える。

しばらく その姿を見続け、2人の姿が見えなくなると、本館の屋根からバージルの姿が一瞬にして消えた。

 

 

・・・・・・

 

*街 16:48*

 

街まで来た卯月は、トボトボと歩いていた。モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、自然と人気のない場所に足が向いていた。

 

卯月「(キリエなんて、キリエなんて・・・司令官も、皆も・・・・・・うーちゃんは、何やってるぴょん・・・)」

 

静かで人気がない場所で1人で居ると、頭の中で色んな考えや気持ちがグルグルする。モヤモヤする気持ちもあり、卯月は自己嫌悪に陥り始めていた。

そのまま歩き続けていると、どこからか獣のような唸り声がしたような気がした。

卯月の目の前には、廃ビルが建っている。卯月は好奇心から、怖いもの見たさに勝てず、誰も居ないか周囲を確認してから、廃ビルの中へと入っていった。

 

キリエ「卯月、どこまで行っちゃったんだろ?」

 

別の場所では、卯月を見失ったキリエがキョロキョロしながら辺りを見回していた。

 

 

*廃ビル*

 

廃ビルへと入った卯月は、唸り声の正体を確かめるために ゆっくりと、ゆっくりと進んでいた。床にはガラス片も散らばっており、それを踏んで時々パキッと音をさせては上のフロアへと、奥へと進んでいた。奥に行けば行くほど、唸り声も大きくなる。

角から少しだけ顔を出し、声がする部屋を覗く。そこには、体色が真っ白で筋骨隆々な怪物が居た。悪魔だ。悪魔の周りには、人間の物と思われる骨が散乱している。

顔をサッと引っ込め、悪魔を見付けてしまった事に汗が噴き出る。

 

 

*街*

 

キリエ「卯月ー!」

 

卯月が入った廃ビルの近くまで、キリエが探しに来ていた。

 

 

*廃ビル*

 

悪魔『・・・・・・誰だ?

 

卯月の気配に気付いた悪魔が、動いた。

突然 卯月の隠れていた壁が粉砕され、卯月が吹き飛ぶ。

 

悪魔『餌だ・・・餌が来た・・・また来た

 

卯月は立ち上がり走る。兎に角 悪魔から距離を置いて、態勢を整えながら どうするか、考えなくてはならない。

 

悪魔『逃がさんぞ、餌ぁ!

 

悪魔は長い舌を出し、涎を垂らしながら死に物狂いで追ってくる。

卯月はスマホを取り出し、鎮守府に連絡しようとした。だが誰に連絡しようか迷った。

迷ってる間にも、悪魔は剛腕を振り下ろしながら卯月を潰そうと、どこまでも追ってくる。迷っている暇はない。

そこで、駆逐艦の艦娘の中で、リーダー格でもある叢雲に電話を入れる事にした。数回の呼び出し音の後、叢雲が電話に出た。

 

叢雲『もしもし?何で電話?』

 

卯月「叢雲 助けてほしいぴょん!」

 

叢雲『はぁ?また悪戯?もう その手には乗らないわよ?』

 

卯月「違うぴょん!うーちゃんを信じてほしいぴょん!今 悪魔に襲われてるぴょん!」

 

叢雲『あんた そこまで来ると質の悪い冗談よ?今どこに居るの?』

 

卯月「今・・・よく分かんないビルに居るぴょん!」

 

叢雲『あんた勝手に外出したの?ちゃんと外出許可 取った?』

 

卯月「今そんなこと言ってる場合じゃないぴょん!」

 

叢雲は卯月の言葉を全く信じていなかった。後ろから悪魔が迫る中、信じてくれない事に泣きそうになる卯月。

悪魔は、今までで1番 大きく腕を振り下ろす。卯月への直撃は免れたが、床が砕け粉砕される。

それだけではなく、悪魔の拳は下のフロアまで ぶち抜き、卯月と悪魔は瓦礫と共に、1番 下のフロアまで落下した。1番 下のフロアは、ロビーなのか広々としている。

卯月は、痛む身体を動かし起き上がると、手からスマホが無くなっているのに気付いた。

 

卯月「あ・・・」

 

辺りを見回すとスマホがあったが、画面は割れ、完全に壊れて叢雲との通話も切れてしまっていた。

砂埃が舞う中、悪魔が姿を見せる。

 

悪魔『餌ぁあ・・・餌ああああああ!!

 

卯月「(誰も、誰も信じてくれないなら・・・うーちゃん1人で戦ってやるぴょん!)」

 

卯月は艤装を展開し、主砲を悪魔に向ける。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室 18:12*

 

叢雲は、卯月との通話が切れた後、執務室に向かった。最初は また卯月の悪戯だと思って気にしないようにしていたが、卯月の焦ったような声が頭から離れなかった。なので、一応 ダンテに相談しようと思い、執務室まで来た。

 

叢雲「司令官、入るわよ?」

 

ダンテ「おう」

 

ノックをしてから入室の許可を貰い、執務室に入る。執務室にはダンテ、ネロ、赤城が居た。

叢雲は卯月からの電話の事を話した。それを聞き、ダンテは沈黙して考えるような素振りを見せる。どうやらダンテも、その電話が悪戯なのか本当なのか、判断が難しいようだった。

 

赤城「・・・・・・GPSで確認してみましょうか」

 

赤城は自分のスマホを取り出し、卯月のスマホの位置情報を確認してみる。

鎮守府の面々が持つスマホ、特に問題児とされている者のスマホは、念のためにGPSで位置を特定できるようにしていた。鈴谷など門限を守らない艦娘も居るので、導入するようにしていた。

 

赤城「・・・・・・ダメです、反応がありません」

 

ダンテ「やっぱり悪戯かぁ?」

 

叢雲「でも、あの時の卯月、声が おかしかったわ」

 

 

*廃ビル*

 

卯月「ぎゃんっ!」

 

剛腕に殴り飛ばされ、卯月が吹き飛ぶ。

陸の上では機動力が得られず、駆逐艦である卯月の火力では、目の前の悪魔に対して決定打にならなかった。

 

キリエ「卯月!」

 

卯月「キリエ!?何で来たぴょん!?」

 

砲撃と砲弾が爆ぜる音を頼りに、キリエが廃ビルに来てしまった。

 

悪魔『餌が増えたぁ・・・!

 

悪魔はキリエに狙いを変え、キリエに襲い掛かろうとする。だが悪魔の顔面で、卯月が放った砲弾が爆ぜる。

卯月を鬱陶しいと感じた悪魔は、卯月に狙いを戻し、背中から触手を伸ばす。その触手で、何度も何度も卯月を鞭打つ。再び吹き飛ばされた卯月は、キリエの元までバウンドしながら地面を転がる。

卯月の持つ主砲は、バラバラになり壊れてしまっていた。

 

キリエ「卯月、しっかりして!」

 

卯月「何で来たぴょん?!」

 

キリエ「卯月が心配だったから・・・!」

 

卯月「心配してほしいなんて頼んでないぴょん!こんな所まで来て、キリエはバカぴょん!(違う、そうじゃないぴょん・・・)」

 

卯月は、口から出る言葉と心で思ってる言葉がチグハグだった。本当に言いたい事は、言わなきゃならないのは そうじゃない。

 

キリエ「卯月、逃げよ!」

 

卯月「キリエだけ逃げるぴょん!うーちゃんは、1人でも戦うぴょん!」

 

キリエ「このままだと卯月が死んじゃう!私は嫌なの!兄さんのように、誰にも死んでほしくない!傷付いてほしくない!」

 

卯月「キリエ・・・(全部、全部うーちゃんが悪いぴょん・・・。本当は、うーちゃんが、うーちゃんが・・・本当は、うーちゃんは・・・!)」

 

“キリエが嫌い”と言ったのは嘘だ。本当なら、仲良くしたい。だけど、卯月の中の何かが、それをできずにしていた。

そして今、キリエが悪魔の驚異に晒されているのも、全部 自分が悪いと理解していた。自分が悪戯などしなければ、キリエが こんな場所まで来る事もなかった。全部、自分の責任だ。

 

卯月「うーちゃんの責任は、うーちゃんが取るぴょん・・・キリエに・・・手を出すなぴょん!」

 

キリエ「卯月!」

 

迫り来る悪魔に、主砲も使えない卯月が突撃していく。悪魔は つまらなさそうに、その剛腕で卯月を弾いた。再び床をバウンドしながら、キリエが居る場所まで転がる。

 

キリエ「卯月!卯月!」

 

キリエが何度も呼び掛けるが、卯月は痛みで動けなくなってしまった。

最後に卯月ができるのは・・・。

 

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室*

 

執務室では、卯月の話が続いていた。

その話の途中、ダンテには もう1つ気になる事があった。

 

ダンテ「・・・・・・キリエの お嬢ちゃんも居ないんだったな?」

 

ネロ「あぁ。探したけど、午後から見てないんだ・・・まさかキリエも一緒なのか・・・?」

 

もし そうだとして、卯月の言っていた事が本当なら、由々しき事態だ。

そこに、大淀が少々 慌てた様子で執務室に飛び込んできた。

 

大淀「提督、駆逐艦 卯月からの救援信号をキャッチしました!」

 

ネロ「クソッ!」

 

大淀からの報せを聞き、ネロは執務室から飛び出した。

 

ダンテ「おい、場所も聞かずに・・・チッ、ったく。場所は?」

 

 

*廃ビル*

 

キリエ「卯月!卯月!起きて!」

 

悪魔が迫る中、キリエは逃げるために卯月を起こそうとする。だが、卯月は動かない。

 

卯月「(あぁ・・・キリエ、皆、ごめんぴょん・・・うーちゃんは・・・)」

 

キリエ「あ・・・」

 

キリエが気付いた時には、悪魔は既に腕を振りかぶり、その拳を2人に叩き付けようとしていた。キリエは、卯月を護ろうと覆い被さり目を瞑る。

悪魔が拳を振り下ろした瞬間、魔力で形成された剣が悪魔の身体に突き刺さる。悪魔は それに怯み、キリエと卯月から数歩 後退した。

いつまでも来ない痛みに、キリエは目を開けて顔を上げる。そこに居たのは、黒い服を着た銀髪の男。

 

卯月「バー・・・ジル・・・」

 

キリエ「バージル・・・(じゃあ、この人がネロの・・・)」

 

動かない卯月は、か細い声でバージルの名を呟き、キリエも それで、目の前の男の正体に気付いた。

バージルは横目で、キリエと卯月を見る。

 

バージル「死にたくなければ、そこから動くな」

 

悪魔に向き直り、バージルは歩を進めていく。

邪魔された悪魔は、先にバージルを潰そうと狙いを定める。

 

悪魔『餌ぁ!餌が また増えたぁあ!

 

バージル「ふん・・・」

 

悪魔は拳を振りかぶり、バージルに殴り掛かる。バージルは抜刀し、閻魔刀で その拳を受け止めた。

 

バージル「つまらんな、見た目通りの芸のない悪魔だ」

 

悪魔の拳を押し退け、閻魔刀を構える。だが気が変わったのか、構えを解いて閻魔刀を鞘に納刀した。

 

バージル「いいだろう、貴様の土俵で付き合ってやる」

 

バージルがファイティングポーズを取ると、両手足に光が集まる。それは光を操る籠手具足、魔具ベオウルフとして現れる。

 

 

*街*

 

ネロは、ニコが運転するバンの助手席に座って救援信号があった場所に向かっていた。

バンの後ろでは、キャバリエーレに乗ったダンテが走っている。

 

ネロ「ニコ、もっと急げ!」

 

ニコ「日本は狭いから、これ以上スピード出せねぇよ」

 

ダンテ「おい!のんびり走ってんなら先に行っちまうぞ!」

 

キャバリエーレはバンを追い抜かし、前方の車を避けながら先に行ってしまう。

 

ネロ「置いてかれるぞ!急げよ!」

 

ニコ「だからムリだっつってんだろうが!」

 

 

*廃ビル*

 

バージルと悪魔の戦いは、最早 戦いと呼べるものではなかった。悪魔の肘から先が、潰れていた。

床には血溜まりが出来、壁にも夥しい血が飛び散っている。

悪魔がバージルに殴り掛かったのだが、バージルは悪魔の拳に合わせ、籠手の拳を悪魔の拳に ぶつけた。凄まじい衝撃が発生し、悪魔の拳から肘に架けて肉が弾け飛び、骨が砕けた。

もう片方の拳で また殴り掛かったが、今度は具足での回し蹴りを ぶつけられ、同じく腕が潰れていた。

両腕を失くした悪魔は、背中の触手を伸ばしてバージルを狙う。バージルは後ろに飛び退き、空中で閻魔刀を構える。

 

バージル「ほう、それぐらいの芸は持っていたか。しかし、それでは俺は満足できん」

 

閻魔刀を抜刀し、高速の剣戟を繰り出す。悪魔の伸ばした触手は、細切れにされた。

 

バージル「もういい、失せろ」

 

着地して再びベオウルフを装備したバージルは、一瞬にして悪魔に間合いを詰める。

悪魔の顔の位置まで跳躍し、悪魔の顔面に高速パンチのラッシュを浴びせる。

更に高速の前宙から何度も繰り出される踵落とし、『月輪脚』がヒットし、悪魔は顔面から落ちるように うつ伏せに倒れる。

着地したバージルが力を溜め、悪魔の頭部に自身も飛び上がりながら放つアッパー『ライジングドラゴン』を入れる。

最後に、急降下キック『流星脚』で悪魔の身体を貫く。着地したバージルの後ろで、原形が分からなくなった肉塊が遅れて落下した。

そこに、廃ビルの壁を突き破ってキャバリエーレとバンが侵入してきた。

バンのドアが開き、ネロが降りてくる。

 

ネロ「キリエ!」

 

キリエ「ネロ!」

 

バージル「遅かったな」

 

ネロ「親父・・・」

 

ダンテ「何だよ、お前が一番乗りか?」

 

バージルが居た事にネロは少しだけ驚き、ダンテも もう終わってしまった後だと気付き残念そうだった。

バージルは何も言わず歩き出し、バンの方へ向かう。ダンテとネロの間を通り過ぎる瞬間・・・

 

バージル「親父としての役目は果たしたぞ」

 

ネロ「え・・・?」

 

ダンテ「ハッ、あの野郎・・・」

 

バージルの言葉の意味が理解できず、ネロは戸惑っていたが、ダンテは呆れたように笑っていた。

そのバージルは、さっさとバンの中に乗り込んでしまった。帰りは車で帰るつもりなのだろう。

その後 卯月は、ダンテが持っていたバイタルスターで傷を癒してもらい、ダンテ、ネロ、キリエと共にバンに乗り込み、鎮守府へと帰る事になった。

 

 

・・・・・・

 

*車内 19:41*

 

その帰り、バンの後部に設置されたソファーにキリエと卯月が並んで座り、対面に設置された椅子にネロとバージルが座っていた。

卯月は ずっと俯いており、キリエは そんな卯月を気遣うように見ている。

バージルは目を瞑っており、ネロは険しい目付きで卯月を見詰めていた。

ダンテは壁に寄り掛かるように立っており、腕を組みながら4人を見ていた。

鎮守府への帰り道、誰も喋らず重苦しい空気が ずっと流れていた。そんな中、ネロが口を開いた。

 

ネロ「卯月、キリエに言う事があるんじゃないのか?」

 

キリエ「ネロ」

 

ネロ「何とか言えよ」

 

卯月「・・・・・・うーちゃんは・・・」

 

ネロ「何だ?」

 

ダンテ「おい、ネロ」

 

ネロ「悪いけど、もう鳳翔が言うように待ってなんかいられない。俺だって我慢の限界だ。こういう奴は言わなきゃ━━」

 

バージル「少し黙れ」

 

喋ってる途中で、バージルの裏拳がネロの顔面に入った。予想外の攻撃に怒ったネロは、バージルの方を向きながら立ち上がる。

 

ネロ「イッテーな!何しやがる!」

 

ダンテ「お前ちょっと こっち来い」

 

ネロ「何だよ離せよ!」

 

ネロに近付いたダンテが、ネロにヘッドロックを決め、最後部のニコの作業場がある場所まで強制連行する。

後部でダンテとネロが騒がしくする中、俯いたまま卯月が口を開いた。

 

卯月「キリエ・・・」

 

キリエ「何?」

 

卯月「ごめんだぴょん・・・」

 

キリエは少し驚いたような顔になり、バージルはノーリアクション。

卯月の声が聞こえていたのか、ダンテとネロも静かになった。

 

卯月「本当は、うーちゃんもキリエと仲良くしたいぴょん・・・。けど、皆キリエの赤ちゃんばっかり気にして、構ってくれなくて・・・。本当は うーちゃんも、キリエの赤ちゃん気になって・・・だから・・・」

 

キリエ「うん」

 

ポツリポツリと話し始めた卯月は、気持ちが抑えられず泣き出してしまった。それでも卯月は、自分の気持ちに蓋をせず、本音を語り続ける。

 

卯月「だから・・・皆に悪戯して・・・。だけど そのせいで、キリエが来て・・・キリエに何かあったら・・・だから うーちゃん・・・」

 

色んな感情が ごちゃ混ぜになって泣いてる卯月の言葉は、自分でも整理できていないのか纏まっておらず、上手く喋れない。それでもキリエには、卯月が何を伝えたいのか理解していた。

 

キリエ「だから、私を助けるために1人で頑張ったんだよね。ちゃんと分かってる。私 怒ってないから。大丈夫、大丈夫」

 

卯月「キリエ、ごめんぴょん・・・!」

 

卯月の涙腺は決壊し、号泣する。そんな卯月の頭を、キリエは優しく撫でるのだった。

卯月は立ち上がり、ダンテとネロの方へ行く。

 

卯月「司令官、ネロ・・・」

 

ダンテ「どうした?泣き虫」

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

卯月「ごめんなさい・・・」

 

卯月は、2人に向かって頭を下げ、謝罪した。

 

ダンテ「だってよ」

 

ネロ「お、おう・・・次から気を付けろよ?」

 

素直に謝った事にネロもバツが悪そうで、それ以上 責める事はなかった。

謝った後、卯月は戻ってキリエの横に座った。

 

ダンテ「何でもかんでも言えばいいってもんじゃないんだよ。年長者の言う事は聞いとけ」

 

ネロ「うるせーな、俺が悪いのかよ?」

 

戻った卯月の頭を撫でながら、キリエはバージルを見た。

 

キリエ「あの、キリエと言います。助けていただいて、ありがとうございました」

 

礼を言われたバージルは、目を瞑ったまま言葉を返す事はなかった。そんなバージルに、キリエは微笑みを浮かべた。

バージルは自分と卯月を助けてくれた。そして卯月が自分の本音を話せるよう、ネロを止めてくれた。

ネロの腕を奪ったのがバージルであるのは、ネロとニコから既に聞いている。しかし、ネロもバージルも、スパーダの血族である事から複雑な事情があるのだろうと思っていた。

キリエは、本当はバージルが優しい人なのではと認識し始めていた。

そんな事を考えてると、卯月が徐に声を掛けてきた。

 

卯月「キリエ・・・」

 

キリエ「落ち着いた?」

 

卯月「うーちゃん、キリエの歌 好きぴょん。また聴きたいぴょん」

 

キリエ「ありがとう。~~~♪」

 

キリエが歌い、少しすると卯月が眠ってしまった。疲れていたのだろう。それでもキリエは、歌をやめない。

ダンテとネロも、笑みを浮かべながらキリエと卯月を見詰め、バージルは相変わらず目を瞑っていたが、キリエの歌には耳を傾けていた。

ニコは歌の邪魔をしないよう、バンを静かに走らせる。

その後 鎮守府に戻った卯月は、皆に悪戯をした事を謝罪した。それでも卯月を責める者は居たが、最後には皆、卯月を許してくれた。

それからダンテ、鳳翔、卯月の3人で一応 話す事になり、鳳翔の お説教が始まった。

ダンテは嫌な父親役で同席させられたのに、鳳翔の お説教がノリに乗ってマシンガントークになり、全く口を挟むタイミングがなかった。

お説教が終わった頃には卯月の魂は抜け、ダンテは寝ていた。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 グラウンド 2月28日 9:00*

 

キリエがフォルトゥナに戻る日が来た。フォルトゥナまではセリーナが送ってくれる事になる。

 

加賀「キリエ、向こうでも気を付けてね」

 

キリエ「大丈夫、心配しないで」

 

ネロ「キリエ、悪い。また待たせる事になって」

 

キリエ「分かってるから。でも、早く仕事を終わらせて、早く戻ってきてね」

 

ネロ「頑張るよ」

 

キリエ「卯月」

 

卯月「な、何ぴょん?うーちゃんは別に、寂しくなんかないぴょん。早く帰ればいいぴょん」

 

天龍「そんな言い方していいのか~?キリエに嫌われるぞ?」

 

卯月「うっ・・・」

 

キリエ「また会おうね」

 

卯月「・・・・・・待ってるぴょん」

 

弥生「卯月が・・・デレた」

 

卯月「うるさいぴょん!ほっとけぴょん!」

 

卯月が騒いでると、キリエはグラウンドの端の方を見る。遠くの方で、バージルが居た。

キリエはバージルに向かって、頭を下げた。特に何の反応も見せる事なく、バージルは その場から立ち去る。

皆に別れを告げ、キリエはセリーナと共にフォルトゥナに戻った。

 

 

・・・・・・

 

*執務室 3月2日 14:15*

 

数日後・・・

 

キリエ「また来ちゃった」

 

ダンテ「ブーーッ!」

 

ネロ「キリエ!?」

 

キリエが戻ってきた。

ダンテは金剛が淹れた紅茶を吹き出し、ネロも驚いていた。

 

金剛「キリエ、早い帰りデスネー」

 

実はキリエが、Devil May Cry鎮守府とフォルトゥナを自由に行き来できるようにセリーナに滅茶苦茶 頼み込んでいた。キリエの押しに負けたセリーナは、渋々 行き来できる転移陣を設置した(ダンテ達には言ってない)。なので、またキリエが来ちゃった。

食糧難を知っていたキリエは気を利かして、フォルトゥナから食材や保存の利く加工食品なども一緒に持ち込んでいた。そちらは執務室に来る前に、先に食堂に置いてきた。

置いてきた時、食事量の多い空母や戦艦の艦娘が、キリエを神様のように拝んでいたのは別の話。

 

キリエ「ネロ、ちょっと見てほしい物があるの」

 

その見てほしい物は、執務室の外にあるようだ。キリエに言われるまま、ネロは出口に向かう。

扉を開けると、ネロの顔面にパイが着弾した。パイが顔から落ち、顔面クリームだらけになっている。

クリームを取り目を開けると、卯月が居て、その横にはパイを発射する発射台(夕張作)が設置されていた。

 

ネロ「卯月、お前また・・・!」

 

また悪戯を始めた卯月に、ネロが怒鳴り付けようとしたが・・・。

 

卯月「キリエ、やったぴょん!」

 

キリエ「大成功だね」

 

ネロ「キ、キリエ・・・?」

 

キリエはネロを驚かせたいと思い、その事を卯月に話した。そして卯月は この悪戯を提案、行動に移した。

卯月は、キリエという最強のパートナーを味方に付けていた。そのせいで、ネロも怒るに怒れなかった。

執務室の外から聞こえる声に、ダンテも状況は把握した。

 

ダンテ「やれやれだな・・・」

 

苦笑いを浮かべ、溜め息混じりに そう呟いた。




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