雛祭りの話もやろうかと思ったんですが、気の利いた話が思い付かなかったので断念しましたが、ちょっただけ触れます。
そろそろ本筋の話に戻さないといけませんね。
185話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 執務室 3月2日 14:48*
執務室では、セリーナが壁際まで追い詰められていた。追い詰めたのは、不機嫌な顔をしたネロと加賀だった。
ダンテも居るが、助ける気がないのか椅子に座って雑誌を見ている。
ネロと加賀が怒っている理由は、キリエだった。フォルトゥナに帰ったはずのキリエが、また鎮守府に来た。
どうやらセリーナが、鎮守府とフォルトゥナを行き来できる転移陣を設置したらしい。それを使えば、いつでも好きな時に来れる。
しかし、そんな話はセリーナから聞いていない。
ネロ「お前、どういうつもりだ?」
セリーナ「どうって言われても・・・」
加賀「私達が、いつでもキリエを護れるとは限らないのよ」
セリーナ「いや、キリエに頼まれて妾も・・・」
ネロ「キリエが言ったから何だ?キリエが自由に こっちに来れるって事は、嫌でも こっちの事に巻き込まれるだろ」
セリーナ「いや、妾も それは言ったんだぞ?しかしキリエが聞かんから・・・」
加賀「世界の境界線の話は どうなったの?」
そう、世界は境界線で隔てられている。それが崩壊すると、無いはずの物が現れ、あるはずの物が消え、世界に無用な混乱を引き起こす可能性がある。
鎮守府とフォルトゥナで行き来できるという事は、そこだけ境界線が消失していると思ってもいい。セリーナも今まで それを危惧していたはずだが・・・。
セリーナ「2人の半魔が こちらに来た時から、どうやら境界線は崩壊し始めていたようだ。だから・・・」
「「だから?」」
セリーナ「今 起きてる問題が解決するまで、特別という事で・・・」
ネロ「ふざけんな!キリエを巻き込むような事してんじゃねぇよ!」
加賀「提督、あなたからも言ってちょうだい」
ダンテからも苦言を言うように促すが、ダンテの意見は違った。
ダンテ「・・・・・・別にいいんじゃねぇか?」
加賀「こっちの世界は、キリエが安心して居られるような状況じゃないのよ?」
ダンテ「キリエの お嬢ちゃんが居れば、卯月とかも大人しくなるじゃねぇか。それに、今日は帰ったんだろ?」
ネロ「今日はな。けど、また来るって言ってたぞ」
どうにかキリエを説得し、今日はフォルトゥナに帰ってもらっていた。キリエは不満そうだったが、今日は諦めてくれた。
これ以上 余計な事をしないように釘を刺してから、ネロと加賀はセリーナを解放した。セリーナは心底 疲れた様子で執務室を後にした。
・・・・・・
*食堂 19:34*
同日の夕飯時、皆で夕飯を食べていると、セリーナが居ない事にダンテが気付いた。
ダンテ「・・・・・・初雪、セリーナは?」
初雪「自分の島に帰るって言ってた・・・」
ダンテ「(あいつ、怒られて逃げたな)」
1人 居なくなった事で、貴重な食料が温存できそうだ。その理由もあり、誰も気にしていなかった。
・・・・・・
*執務室 3月3日 10:01*
今日は雛祭りの日だ。鎮守府でも そういった行事に倣い、年に1度の雛人形を出していた。置いた場所は執務室である。
執務室にはダンテと大淀が居るのだが、ダンテは雛人形を見ながら、疑問しかない表情を浮かべていた。
ダンテ「これも日本の行事ってやつか?」
大淀「そうです。提督は、見るのは初めてでしたね」
雛祭り━━日本では女子の健やかな成長を祈る節句の年中行事である。
雛人形━━男雛と女雛を中心とする人形に、桜や橘、桃の花など木々の飾り、雛あられや菱餅などを供え、白酒や ちらし寿司などの飲食を楽しむ節句祭りである。
ダンテ「・・・・・・艦娘に似てるな」
執務室に置いてある雛人形は、数人の艦娘に似ていた。
雛壇の1段目の内裏雛、男雛と女雛が一対であり、天皇と皇后を模した物とされている。
その男雛と女雛は、武蔵と大和に似ている。
2段目の官女、宮中に仕える女官を表し、現在では通常3人1組であるため、『3人官女』と呼ばれる事が多い。戦前には、『5人官女』や『7人官女』もあったそうだ。
その官女は川内型に似ており、真ん中に那珂、向かって左側に川内、右側に神通に似た人形が座っている。
他の人形が真っ直ぐ前を向く中、那珂に似た官女の首だけ、明後日の方角に向いている。
3段目の5人囃子、能の お囃子を奏でる5人の楽人を表し、向かって右から謡、笛、小鼓、大鼓、太鼓の順で、右から楽器が小さい順番に並んでいる。
5人囃子は潜水艦の艦娘に似ており、向かって右から伊8、伊58、伊401、伊19、伊168に似た人形が座っている。
そして最後に、4段目の随身、通称右大臣と左大臣。向かって右側が左大臣で年配者、左側が右大臣で若者を表す。
随身は一航戦に似ており、左大臣に赤城、右大臣に加賀に似た人形が座っている。
どれも可愛らしいのだが、大和と武蔵に似た人形は艤装を装着しており、伊58に似た人形は魚雷の形をした笛を持っている。赤城と加賀に似た人形も、艤装である弓矢と航空甲板を装備しており、いずれも物騒ではある。
ダンテ「こういう行事があるのは分かったが、ここに置かなくてもいいだろ」
ただでさえ、執務室は狭い。提督用と秘書艦用の執務机と椅子、ソファーとテーブル、ドラムセットにギター、ジュークボックスにビリヤード台、その他 娯楽関係の物と色々ある。
それに加えて雛人形なので、最早 何の部屋か分からない。1番 合う言葉があるとすれば、“物置部屋”だろう。
大淀「執務室は艦娘の出入りも多いですからね。ここが1番 皆の目に入りますから」
ダンテ「食堂は?」
大淀「では、私は失礼しますね」
ダンテ「おい」
ダンテからの指摘に、大淀は逃げるように執務室を後にした。
その後もダンテは、興味深そうに顎を擦りながら、雛人形を見ていた。
*正面ゲート*
その頃 正面ゲートには、また中将が憲兵隊を引き連れて来ていた。
中将「開けろ!この反乱分子共め!」
鎮守府の門は、固く閉ざされている。
喚いてもDevil May Cry鎮守府側からの応答はなく、門が開く様子もないので、中将は憲兵隊に命令して門を破ろうとした。
ネロ「懲りずに また来たのかよ」
中将「貴様は・・・!」
門を見上げると、ブルーローズを手にしたネロが、門の上に座って中将を見下ろしていた。
ネロは また中将が来た事に、呆れたような笑みを浮かべている。
中将「貴様ら、全員 打ち首にしてやる!覚悟しろ!」
ネロ「尻尾 巻いて逃げたのは どこの どいつだよ」
中将「うぬぅ・・・!その減らず口も今日までだ!」
ネロ「はいはい・・・前はダンテとバージルも居たが、お前ら程度なら俺 1人で相手してやるよ」
ネロは そう言って、門から飛び下り立ち塞がる。
忌々しそうにネロを睨む中将は、遂に命令を下した。
中将「掛かれー!」
中将の命令で、憲兵隊が一斉にネロに突撃する。ネロが迎え撃とうとした その時・・・
?「そこまでだ!」
厳格な女性の声が響いた。
邪魔するのは誰かと思い、中将と憲兵隊は後ろを振り返る。ネロも憲兵隊の人垣が邪魔で、背伸びしながら後ろの方を見る。
自分達の後ろに居た者達を見て、中将の顔色が変わり、夥しい汗が噴き出る。
中将「げ・・・げげげ、元帥!?それに・・・た、大将・・・!」
長らく出張に行っていた元帥と大将が、そこに立っていた。
元帥「中将、何をしている?」
中将「い、いえ、これは・・・そう!反乱分子を粛清しようと━━」
元帥「バカもーーーん!!!!」
元帥の怒声が響き、ビリビリと空気が震える。その あまりの声量に、中将と憲兵隊は ひっくり返り、ネロも顔を引き攣らせながら耳を押さえた。
元帥「お前には、FS作戦での事を任せたはずだ!そちらは どうなっている?!」
中将「いや~、えっと・・・」
出張で留守の間、諸々を中将に任せてFS作戦を進めてもらう手筈だったのだが、中将はDevil May Cry鎮守府を潰す事に頭が一杯で、作戦の方は手付かずだった。
元帥「今すぐ憲兵隊を引き上げさせろ」
中将「し、しかしですな、ここの連中は深海棲艦を━━」
元帥「その話なら もう聞いてる」
中将「なら、こいつらを━━」
大将「引けと言ってるのだ。あとは こちらで処理する」
中将「ぐっ・・・!」
大将に睨まれ、中将は悔しそうに憲兵隊と共に大本営に戻っていく。
それを見届けた元帥は、今度はネロを睨む。
ネロ「元帥と大将、戻ったんだな」
「「・・・・・・・・・」」
ネロ「な、何だよ?何か怒ってんのか?」
元帥「ダンテ提督は居るか?」
ネロ「執務室に居ると思うけど・・・」
元帥「門を開けろ。話がある」
何が何やら さっぱりだが、とりあえず憲兵に門を開けてもらい、ネロは元帥と大将を鎮守府に通した。
・・・・・・
*執務室 10:31*
執務室にはダンテは居なかった。
元帥と大将には そのまま執務室で待っててもらい、ネロはダンテを呼びに行った。
そして、執務室の外では・・・
ダンテ「おい押すなよ」
赤城「早く入ってくださいよ!2人が用があるのは提督なんですから!」
ダンテと赤城が揉めていた。
ダンテを呼びに行った時に、秘書艦の赤城と秘書艦補佐の加賀にも事情を話し、ここまで連れて来たのだが、いざ執務室の前まで来ると、ダンテが拒否し始めた。
加賀「流石に あの2人の話は聞いとかないと、あとが怖いわよ」
ダンテ「今 会いたい気分じゃない」
ネロ「言っとくけど あの2人、俺達が ほっぽを ここに置いてるの知ってるみたいだぞ」
「「「・・・・・・・・・」」」
1番 知りたくなかった事実に、ダンテと一航戦が固まる。少しすると慌て出した。
加賀「やっぱり提督1人で行ってちょうだい!」
ダンテ「何でだよ!?一緒に来てくれ!」
赤城「嫌ですよ!1人で死んでください!」
ダンテ「お前ふざけんなよ!」
加賀「ネロ、ドア開けて!」
ダンテ「開けるなバカ!」
こうしてても埒が明かないので、ネロは執務室の扉を開けた。開いたタイミングを見計らい、一航戦の2人はダンテを突き飛ばして中に入れる。そして加賀が素早く扉を閉めた。
元帥「遅い」
大将「何やってるんだ?」
閉められた扉を抉じ開けて脱出しようとしたが、その前に話し掛けられ、ダンテの動きも止まる。
もう ここまで来れば肚を括るしかない。ダンテは諦めて、元帥と大将が座るソファーの対面に座った。
話を聞く姿勢になったのに、元帥と大将は口を開かない。気まずい空気が執務室を包み込む。
少しでも空気を変えるために、ダンテは何も問題はないかのように振る舞いながら先に喋る事にした。
ダンテ「会うのは久しぶりだな。出張に行ってたって?」
「「・・・・・・・・・」」
ダンテ「(・・・・・・何か言えよ!)こっちは大変だったぜ。訳の分からない場所には飛ばされるし、悪魔は相変わらず傍迷惑だしよぉ。あと中将の嫌がらせだな」
大将「ダンテ」
ダンテ「あとは何だったかなぁ?そうそう、大和と武蔵が家出して こっちに来たぞ」
元帥「北方棲姫を引き渡せ」
世間話をするつもりはないのか、いきなり本題を ぶっ込んできた。
やはり ほっぽが ここに居るのは知られているようで、ダンテも さっきまでとは違い、真剣な顔付きになる。
大将「深海棲艦を拿捕したなら、なぜ大本営に連絡しない?敵の情報を聞き出すチャンスだ」
ダンテ「ムダだと思うがね」
元帥「北方棲姫は今どこに居る?」
ダンテ「さぁ?その辺で遊んでんじゃねぇか?」
元帥「北方棲姫を鎮守府の中で野放しにしてるのか!?」
ダンテ「まぁ、早い話が そうだな」
元帥「こちらの情報が敵に漏れたら どうするつもりなんだ?!」
ダンテ「言いたい事は分かるが大丈夫だ。俺が保証する」
元帥「何が保証だ!北方棲姫を渡せ、こちらで尋問する」
ダンテ「尋問?拷問でもするのか?」
大将「口を割らなければ それも致し方ない」
ダンテ「そうか・・・じゃあ断る」
ダンテは満面の笑みで お断りした。元帥と大将は、それをダンテからの挑発だと受け取った。しかし2人は軍人だ。怒鳴りたいのをグッと我慢する。
元帥「お前が そんな態度では、中将が“反乱分子”や“反逆者”と言うのも仕方がないな・・・」
元帥と大将は、鎮守府に来る前に1度 大本営に戻っていた。その時にDevil May Cry鎮守府が深海棲艦を匿っている事と、それを理由に中将が目の敵にしている事も聞いていた。
その後も引き渡しの話が続くが、ダンテは頑なに それを拒む。
ダンテ「何度 言われようがムダだ、断る」
元帥「ここは鎮守府だ。即ち海軍という組織の中だ。お前の勝手で何でも好きなようにできる訳ではない」
それとは別に、もし国民に深海棲艦を野放しにして匿っていると知られれば、海軍は信用を失い、デモなどの無用な混乱も起きる可能性もある。元帥は それも心配していた。
ダンテ「それで?またクビにするってか?」
元帥「それだけでは済まない。お前を逮捕する事にもなる」
ダンテ「マジか、笑える」
元帥「笑い事ではないぞ!」
元帥はテーブルを叩き怒鳴る。ダンテの ふざけた態度に元帥も我慢の限界だった。
だが大将は、ダンテの ふざけた態度の中に、別のものを感じていた。
大将「ダンテ、お前の眼は絶対に大丈夫と信じている眼をしている。何故そこまで確信を得ている?」
元帥「何・・・?」
大将の言葉に、元帥は大将を見てから訝しげにダンテの方を見た。改めて意識して見てみると、確かにダンテの眼からは何も疑っていない事を感じさせる眼をしている。
元帥「・・・話せ」
ダンテ「まず1つ・・・北方棲姫は呼びにくいから愛称を決めた。“ほっぽ”だ」
「「・・・・・・は?」」
いきなり愛称の話から始まり、元帥と大将も訳が分からない。そんな2人の反応に、ダンテは気にした様子がない。
ダンテ「あ、決めたのは俺じゃないからな。文句なら弥生に言ってくれ」
元帥「いや、何の話━━」
ダンテ「2つ、あいつは深海棲艦の情報は持ってない。尋問するだけムダだ」
深海棲艦である ほっぽは、無垢な子供と同じだった。
先ず疑う事を知らない。ストロベリーサンデーに釣られ、艦娘から制海権を護らなければならない海域から離れ、簡単に鎮守府に付いてきた。
そして堪え性もない。素直とも言えるが、思った事は すぐに口に出す。言わなくてもいい事でも、我慢できずに言ってしまう。つまり、嘘を吐く事を知らないのだ。
それを利用して、ダンテ達も ほっぽから深海棲艦の情報を聞き出そうと何度か試みた。ストロベリーサンデーという賄賂を渡し何度も聞いたが、ほっぽは何も知らないと言っていた。
深海棲艦を束ねる存在に、AL海域の制海権を護るように言われ、あそこに居ただけだ。ほっぽ自身、何故そうしなければならなかったのか理解していなかった。
深海棲艦を束ねる存在についても、会った事はないらしい。ほっぽが言うには、頭の中に何をするべきか声がして教えられるらしい。深海棲艦は その声に従っているだけだと。
そして、人間は もう襲わないと約束した。嘘を吐けない ほっぽの その言葉は、本心から来るものだろう。
元帥「それは ただの口約束じゃないのか?それで心配するなと言われても、納得はできないぞ」
ダンテ「見た方が早いのかね?赤城ー!」
扉の前で盗み聞きしているであろう赤城に聞こえるように、声を張り上げて呼ぶ。すると、とんでもない返答が帰ってきた。
赤城「赤城は居ませーん!」
巻き込まれたくない赤城は、大声でバレバレの嘘を返してくる。
何やらネロと加賀の声もしてるが、よく聞き取れない。
赤城のギャグに構ってられないので、無視して用件を伝える。
ダンテ「ほっぽと島風 呼んでこい!」
執務室の外が静かになる。
扉の向こう側の状況が分からないので、これにはダンテも首を傾げたが、直後にドタドタと足音が遠ざかるのが聞こえた。恐らく言われた通り呼びに行ったのだろう。
10分ほど待つと、島風が ほっぽと一緒に執務室に入室してきた。
島風「失礼しまーす!」
ほっぽ『・・・・・・キタ!』
扉が閉まる時、一航戦の2人が真面目な顔して敬礼していた。
その横ではネロが苦笑いを浮かべている。
もう何もしないなら どこかに行けと思い、ダンテは呆れていた。
元帥と大将は、ほっぽが現れて身体を強張らせた。この世界の驚異である深海棲艦が、至近距離に居るのだから当然だろう。
ほっぽは元帥と大将に見向きもせず、ダンテに飛び付きながら膝の上に座った。
ダンテ「おい、危ないからダイブするな」
ほっぽ『ダンテ・・・ツヨイ・・・ヘイキ』
反省した様子はない。
ダンテの膝の上で座る ほっぽは、その腕に飛龍から貰った零戦を大事そうに抱えていた。その様は、先程ダンテから聞いていた通り、人間と変わらない無垢な子供のようだった。
元帥と大将には驚きしかなく、開いた口が塞がらない。
ほっぽを膝から下ろし、しばらく島風と2人で遊んでもらう事にした。
元帥「・・・いったい何を見せたいんだ?」
ダンテ「いいから見てろ」
しばらく様子を見ていると、島風と ほっぽは、艤装である連装砲ちゃんと零戦で遊び始めた。
島風「ブーン!」
ほっぽ『ブーン・・・』
連装砲ちゃんと零戦が、空を飛びながら戦っている。
遊びだから深く追求しない方がいいのだろうが、零戦はプロペラ機なので分かるが、連装砲ちゃんの“ブーン”は何だろうか?
とても楽しそうだ。
島風「グシャーン!」
ほっぽ『グシャーン・・・』
激突して両者 墜落した。
この微笑ましい様子に、元帥と大将は言葉が出ない。
ダンテ「見ての通り、ほっぽは子供だ。他の奴は どうか知らんが、何が正しいのか教えてやれば、深海棲艦でも人間として生きられる」
確かに艤装を出さず人を襲わなければ、艦娘や普通の人間と変わらないのは、目の前の ほっぽを見ていれば分かる。
しかし、元帥と大将は難しい顔をしていた。
“深海棲艦は敵”、“人間の脅威”、何十年も本能的に植え付けられた恐怖は、そう簡単に拭う事はできない。
だが目の前の、今の ほっぽを見ていると、これまで当たり前だと考えていた事にも迷いが生じる。
元帥は、不安そうにダンテを見た。
元帥「お前を信じていいんだな?」
ダンテ「信用しろよ、俺が裏切った事があったか?」
元帥「これがバレたら、私の首が飛ぶのは確実だな・・・」
元帥は諦めたように呟き、大将も何も言わない事から、元帥と同じ考えで、ほっぽをダンテに任せるつもりだろう。
ダンテは鼻で笑っていた。
気を取り直し、元帥はFS海域についての話に移った。
深海棲艦が活発に行動している海域において、残すはFS海域のみだ。それにより同海域の制海権を確保するのは、今の海軍にとって最重要目標となっている。
元帥と大将は大本営に戻ってから、再び指揮を取り直すつもりでいる。
大将「中将のせいで予定が遅れているからな」
元帥「それに、できるだけ早く決着も着けたい」
ダンテ「何を そんなに焦ってる?」
早急に戦争を終わらせたいのは分かるが、深海棲艦も作戦を用いて行動している。一筋縄ではいかない事は百も承知のはずだ。
それなのに、いつもより気が急いている様子の元帥に、ダンテは目を細めて疑問に思う。
元帥「私達が しばらく留守にしていたのは、より強固な結束を作るためだ」
元帥と大将の出張先は、艦娘を所有する各国の海軍だった。
元帥は、各国の海軍に ある提案をしていた。それは それぞれの艦娘の力を競い合う大会を開く事だった。大会と言っても、実戦形式の合同訓練の側面が大きい。
それと、これまでは各国が それぞれのやり方で自国の防衛を担ってきたが、これから先は協力体制を敷くべきだと2人は考えていた。
深海棲艦との戦争が始まって以来、ダンテが この世界に現れてから20年以上の年月の間に飛躍的な早さで制海権を取り戻している。深海棲艦も大人しくはしていないだろう。
深海棲艦が思いもよらない大胆な反撃に出た時、個々で対処するには限界がある。手を組み、各国の軍事力を持って力を合わせる必要性を感じていた。その理由もあり、交流試合の意味もある。
大将「ホストとなるのは この日本だ。お前達Devil May Cry鎮守府にも参加してもらう」
ダンテ「うちは不参加希望で」
元帥「何故だ?」
ダンテ「いや、何か面倒臭そうだから」
大将「残念だが強制参加だ。拒否権はない」
元帥「それに、各国の海軍はDevil May Cry鎮守府が参加するならと条件を出してきた。当然、こちらに断る理由はない」
ダンテ「あ?何で俺達が条件に入ってる?」
元帥「お前達の活躍は世界の耳にも入ってる。それだけ注目されているという事だ」
そのために不安要素は できるだけ取り除きたい。
元帥はFS海域の攻略をDevil May Cry鎮守府に任せ、早急に動くよう命じたのだった。
次回から大変そうです。
次回も宜しく お願い致します!