188話です!どうぞ!
*FS海域F諸島沖 3月8日 9:40*
FS作戦を継続実施する。FS諸島泊地沖に攻略艦隊を投入し、同泊地を攻撃する。
主力の第1艦隊に旗艦 赤城、随伴艦に伊勢、日向、利根、筑摩、夕立。
支援の第2艦隊に旗艦 加賀、随伴艦に鳳翔、熊野、長門、陸奥、妙高。
敵泊地に上陸する第3艦隊に旗艦 羽黒、随伴艦に天龍、龍田、川内、時雨、ダンテの3艦隊で出撃した。
作戦海域に到着してから、艦隊は最初のポイントで止まった。正面から、先に出撃していた第5、第6、第8艦隊が こちらに向かってきていた。
川内「うっわ、皆ボロボロじゃん!?」
鈴谷「お疲れ~・・・」
ダンテ「出てくる奴と片っ端から戦ったのか?」
大和「すみません、武蔵が 姫級を沈めるべきだと言って、少し無茶をし過ぎました」
蒼龍「そこから鬼級と連戦だし、航空支援できないしで こんな状態になりました・・・」
ダンテ「武蔵」
武蔵「少し、張り切り過ぎたようだ・・・」
無茶をしたようなので、ダンテは咎める意味で武蔵を見た。武蔵は弱々しい笑みを返すしかなかった。
戻ってきた艦隊の中で、見知らぬ艦娘が1人 居た。それは敵泊地を叩き、ドロップした艦娘だった。
阿賀野「こんにちはーっ!最新鋭軽巡の『阿賀野』でーすっ。ふふっ」
彼女は次世代の水雷戦隊の旗艦として設計、建造された阿賀野型 軽巡洋艦、その長女である1番艦だ。
ダンテ「連れて帰ってきたのか?」
霧島「うちには、まだ阿賀野さんは着任していませんからね」
ダンテ「また元気なのが来たな」
阿賀野「よろしく お願いしまーす」
阿賀野について話していると、武蔵が倒れそうになる。透かさずダンテが受け止めた。
武蔵「す、すまない・・・」
ダンテ「おい、沈みかけてるじゃねぇか。泊地まで行けるのか?」
武蔵「はは、困ったな・・・」
武蔵の足の艤装は浮力を失いかけ、足が少しだけ海水に浸かっていた。泊地まで自力で行けるかも怪しい。
ダンテは武蔵だけでも先に泊地へ送ろうか提案した。しかし、武蔵は そこまで手間を掛けさせたくないと遠慮する。
すると、横から武蔵を突き飛ばす形で金剛がダンテの腕の中に収まった。
金剛「あ~ん、私もボロボロで泊地まで行けないデ~ス!」
ダンテ「いや、お前 滅茶苦茶 元気じゃ━━」
金剛「大破して轟沈しそうデ~ス!」
金剛がダンテに甘えてると、勢い良く武蔵が立ち上がり詰め寄ってくる。
武蔵「おい!ダンテ提督は私を心配してるんだ!」
金剛「武蔵は大本営の所属デース!甘える相手を間違えてマース!」
武蔵「少しくらい いいだろ・・・!」
金剛「イ・ヤ・デ・ス・・・!」
ダンテから引き離そうと金剛を掴むが、金剛も激しく抵抗して離れない。終いには2人で掴み合いになる。2人共、見た目より元気そうだ。
仕方ないので、ダンテは武蔵だけでなく金剛も運ぶ事にした。
ダンテ「分かったから、お前ら艤装を解除しろ」
「「・・・・・・へ?」」
ダンテに言われた通り解除すると、武蔵と金剛はダンテの両脇に抱えられた。
武蔵「(・・・・・・何故こうなった!?)」
最初 泊地まで“送る”と言っていたので、手でも引いて泊地まで引っ張ってくれるのかと思っていた。それが脇に抱えられる事になり、これから どうなるのか予測できずに戸惑う。
他の大破艦は まだ自力で行けそうなので、自分達の足で泊地まで戻ってもらう事にした。
ダンテ「赤城、すぐに戻るから先に行っててくれ」
そう言ってダンテは、デビルトリガーを発動して翼を広げると、一気に飛翔した。
金剛「幸せデェーーーース!!」
武蔵「と、飛んでるぅーーーー!?ダンテ提督が人じゃなくなってるぅーーーー!!」
武蔵と金剛が叫んでいたが、遠ざかるにつれ その声も小さくなり、最終的には聞こえなくなった。
空を飛んだり初めてダンテの魔人化を見たりと、きっと武蔵は理解が追い付かず混乱しているだろう。
その反面、大和も初めてダンテの魔人化を見たはずなのに、あまり驚いてはいなかった。恐らく、昔 花見に行った時に、ダンテが人間と悪魔のハーフである事を聞いていたからかもしれない。
大和「それでは、私達は戻ります」
赤城「お気を付けて」
大和「ご武運を」
第5、第6、第8艦隊も見送り、あとには第1から第3艦隊だけが残された。
ダンテが抜けた事で、1つ問題もあった。
今 進行中の作戦、ルートの選択肢が2つあった。1つは敵泊地まで最短で行けるかもしれないルート、もう1つは確実に遠回りになるルートだ。
最短ルートには姫級が確認されているのだが、作戦を早く終わらせるには こちらを選びたい。ダンテも一緒だった事から、当初は こちらの航路に進むつもりだった。
遠回りのルートでは、強くてもFlagshipまでの深海棲艦しか確認されていない。しかも航路が外れる可能性は こちらの方が大きい。
どちらに進むか決めた後は、羅針盤の妖精さんに全てを託す事になる。決めた後は変更できない。
しかも任意で決められるポイントが、今 居る場所なのだ。
利根「どうするんじゃ?本当に すぐ戻ってこれるのか怪しいぞ」
赤城「流石の提督も、これが大事な作戦だと分かってるはずですし・・・」
加賀「では、南西に向かいますか?」
赤城「(いや、でも、怖いなぁ~、金剛さんだしなぁ~・・・)」
何だかんだ言いながらも、赤城も ちょっとだけ不安で迷ってしまう。
黙り込んでしまった赤城を、艦隊メンバーも黙って見守る。赤城には その視線が、早く決めろと催促されているような気がして変な汗が出てしまう。
・・・・・・
*ショートランド泊地 11:00*
泊地に着いたダンテは・・・
金剛「入渠ドックまで運んでくだサ~イ!」
ダンテ「俺 行かなきゃならねぇんだよ。ここまで送ってやったんだから自分の足で行ってこい」
金剛が腰に しがみ付いて動けなかった。
飛ばせるだけのスピードで泊地まで送り届けたのだが、鬱憤が溜まってるのか中々 言う事を聞かない金剛。
武蔵は放心状態で、フラフラと先に入渠ドックに行ってしまったので、金剛を止めてくれる者が この場に居ない。
ダンテは大きく息を吸い、全力で叫ぶ。
ダンテ「不知火と朝潮おおおおお!!!!」
ショートランド泊地に、ダンテの叫びが木霊した。
すると、2人分の影が こちらに向かって走ってくるのが見えた。
不知火「お呼びですかああああ!!」
朝潮「何なりとおおおお!!」
遠いからか、向こうも滅茶苦茶 叫んでる。
とりあえず来てくれたので事情を説明すると、不知火と朝潮の行動は早かった。
不知火が1人で どこかに行き、戻ってくるとロープを持っていた。2人掛かりで金剛を縛り、引き摺りながら入渠ドックへ連行していく。
ここまで1つも無駄な動きがなかったので、2人共かなり慣れていると見える。
金剛「私は絶対に諦めないからネー!!」
金剛はジタバタと暴れて叫んでいるが、その甲斐もなく姿が見えなくなった。
ダンテ「(不知火と朝潮は優秀だな。帰ったらキャンディーでもやるか。金剛は・・・何か悩んでるんだろうな)」
やっと自由になれたダンテは、溜め息を吐きつつも再び魔人化となり、急いでFS海域へ向かった。
*FS海域F諸島沖*
一方FS海域では、艦隊が敵艦隊と交戦中だった。相手はFS方面 水雷戦隊I群だ。
既に5隻を沈め、残りは駆逐イ級 後期型のみだ。
日向が発艦した水上機が爆弾を投下し、見事 命中して駆逐イ級 後期型が沈む。
ここで羅針盤を回さなければいけない。これで航路が外れてしまえば、敵泊地に再度 攻撃する目的が果たせない。
妖精さんが羅針盤を回し、盤上がグルグルと高速で回る。回転のスピードが ゆっくりとなり、止まったのは東南東。
羅針盤の妖精さんが、赤城に笑顔でサムズアップを向ける。赤城も頷き、それに応えた。
赤城「行きましょう」
その頃、赤城達を追って魔人ダンテがFS海域上空を飛んでいた。
ダンテ「・・・・・・!?」
・・・そのはずだった。
だが次の瞬間、魔人ダンテは真っ暗な空間を飛んでいた。下の方には、殺風景な風景が続く地上が見えている。魔人ダンテ自身も、何が起こったのか理解が追い付いていない。
訳が分からないまま飛んでいると、無数の光弾に囲まれた。それは何の前触れもなく現れ、球体状になるよう並んで配置されている。
魔人ダンテが何事かと見回してると、光弾は一斉に魔人ダンテに向かって飛ぶ。避けようとするが、光弾は逃げる隙間もない程にビッシリと並んでいる。
光弾が魔人ダンテに命中し、小さな爆発が起きる。更に後続の光弾が現れ、魔人ダンテに射出される。何度も当たる事で、小さな爆発から大きな爆発へと変わる。
爆発の中から、魔人ダンテが地上に向かって落下する。落下の衝撃で粉塵が舞い、それが晴れると魔人化を解除したダンテが出てきた。
ダンテの視線の先には、黒いフード付きのコートを着た人物が立っていた。
ルキフェルス「ダンテ」
ダンテ「ルキフェルス・・・また面倒臭い時に出てきやがったな。この場所も お前の手品か?」
ルキフェルス「そのようなものだ」
ダンテ「そっちから来てくれるってんなら大歓迎だ。探す手間も省けるしな」
ダンテの手に、魔剣ダンテが現れる。それを見て、ルキフェルスはフードの中で笑った。
ルキフェルス「1人で俺と戦うのか?バージルとネロの手も借りずに?」
ダンテ「俺も甘く見られたもんだな。あいつらは必要ない。お前を倒すのは俺1人で充分だ。他の奴 同様にな」
ルキフェルス「俺を、他の奴と同じと考えない方がいいぞ」
ダンテ「なら試してやるよ!」
魔剣ダンテを手に、ダンテは一直線にルキフェルスへ特攻する。ある程度の距離を詰めると、ダンテは跳躍して刃を振り下ろした。
ルキフェルスがダンテを見上げた瞬間、以前と同じように見えない障壁に弾かれ、ダンテが吹き飛ぶ。ダンテは難なく着地したが、ルキフェルスを睨む目は更に鋭くなっていた。
ダンテ「また障壁か、ビビり野郎め。壁の中に引き籠らなきゃ、何もできないのか?」
ルキフェルス「ムダな労力は使わない主義でな。さぁ、どうするダンテ?この障壁を突破せねば、俺には届かんぞ」
ダンテ「壁が無けりゃ、お前は裸の王様も同然だ」
ルキフェルス「耳が痛いな・・・」
ダンテ「すぐに そこから引き摺り出してやるよ!」
ダンテはエボニー&アイボリーを連射し、再びルキフェルスに向かっていく。
*FS海域F諸島沖*
筑摩「敵艦隊、発見しました!」
航路を進む艦隊に、索敵機からの連絡が入った。
発見したFS再編 水上打撃部隊は、戦艦棲姫、戦艦ル級flagship、重巡リ級flagship、軽母ヌ級elite、駆逐イ級 後期型2隻で編成されている。
陸奥「姫級・・・事前の情報通りね。提督は?」
時雨「さっきから無線に呼び掛けてるけど、応答がない」
天龍「何やってんだよ提督は~!」
ダンテが来ない事で集操感に駆られ、天龍は自分の頭を掻きむしる。
これはダンテが居る前提での作戦だ。ダンテが来ないと、少し厳しいものがある。
熊野「やっぱり、金剛さんに捕まってるのですわ」
利根「かもしれん・・・」
だが、戦えるのに ここで引き返す事はできない。ダンテが来なくても、自分達は行くしかない。
赤城「第3艦隊は後方で待機、第1、第2艦隊で、航空攻撃による奇襲を掛けます!」
加賀「第2艦隊、了解」
羽黒「第3艦隊、了解しました!後方で待機します!」
第1、第2艦隊が増速し、先に進む。更に艦載機を発艦、敵に奇襲を掛ける。
爆撃機と攻撃機、水上機による爆撃と雷擊は成功した。航空攻撃による奇襲を受けた敵艦隊は、戦艦ル級flagship、駆逐イ級 後期型2隻が小破となる。
奇襲を受けた事で、深海棲艦も慌てて応戦する動きを見せる。軽母ヌ級eliteから、敵艦載機が飛び立つ。
再度 攻撃を仕掛けようとする攻撃隊を援護するために、戦闘機が敵艦載機と空中戦を繰り広げる。戦闘海域の上空は、混沌としていった。
赤城「空母は第2次 攻撃隊を発艦!攻撃の手を緩めないで!」
日向「我々もやるぞ!」
利根「筑摩、吾輩に続け!」
長門「戦艦 長門、交戦する!」
更に会敵して空母以外の艦娘も、砲撃と雷擊を開始する。海上でも戦火が拡がっていく。
*異空間*
ルキフェルスの障壁を打ち破るために、ダンテは猛攻を仕掛け続けていた。それでも、まだ障壁の破壊に至っていない。
ルキフェルス「どうした?退屈で欠伸が出るぞ」
ダンテは一旦 後ろに飛び退く。
己の内に眠る力に意識を集中させると、ダンテの身体が宙に浮き、魔剣ダンテが その身に突き刺さる。その瞬間、力が解放され、ダンテは真魔人の姿へ変貌した。
真魔人ダンテは、ルキフェルスに向かって高速飛行する。途中で上昇し、宙返りして再びルキフェルスに向かって急降下する。上昇で距離を稼ぎ、宙返りで勢いを付けた事で、真魔人ダンテの飛行速度が加速していた。
ルキフェルス「・・・・・・来るか・・・」
ルキフェルスへと接近した真魔人ダンテが、魔剣ダンテの切っ先を突き出すと、ガラスが砕けるようにして障壁が消えた。
真魔人化を解除したダンテは、その勢いのままルキフェルスへと斬り掛かる。するとルキフェルスは、赤く光る剣で刃を受け止めた。見る者が見れば、まるでルキフェルスが赤いレーザーを手にしているように見えるだろう。
ダンテ「どうだ、壁の中から引き摺り出してやったぜ!」
ルキフェルス「フッ・・・」
ルキフェルスは二刀流だ。鼻で笑ったルキフェルスは、もう片方の剣でダンテの首を狙う。ダンテは上体を反らして避け、身を翻してエボニー&アイボリーを撃つ。ルキフェルスは それを瞬間移動で避けた。
ルキフェルスの剣を躱した時、ダンテの前髪が僅かに掠って焼け焦げていた。ダンテは髪に触れて確認する。
ダンテ「・・・・・・また明石に整えてもらわないとな!」
互いに距離を詰め、何度も刃を交える。刃が ぶつかる度に、辺りに火花が飛び散っていた。
*FS海域F諸島沖*
戦闘海域で続く攻撃の応酬の中、軽母ヌ級elite、駆逐イ級 後期型2隻が沈んでいた。
戦艦棲姫、重巡リ級flagshipが小破、戦艦ル級flagshipが中破と まだ健在だった。
艦娘側も、第1艦隊の赤城、伊勢、筑摩、夕立が小破、日向、利根が中破となり、第2艦隊も加賀、鳳翔、妙高が小破、陸奥、熊野が中破となる被害が出ていた。
加賀が更なる艦載機を投入しようと弓を構えるが、重巡リ級flagshipが放った砲弾が迫っていた。
長門「させない!」
加賀「っ・・・!?長門!」
第2艦隊 旗艦である加賀を護るため、長門が その身を盾にして砲撃を受ける。爆煙が晴れて出てきた長門は、中破となる傷を負っていた。
長門「私なら大丈夫だ!やれ!」
長門が作ってくれたチャンスを無駄にしないためにも、加賀は発艦を続ける。飛び立った艦載機は、一目散に敵艦隊に空襲を仕掛けた。
陸奥「まだ・・・やれるわよ!」
中破となった艦娘も、諦めずに敵の攻撃を掻い潜りながら砲撃を続ける。
生憎と中破になった熊野は、カタパルトを損傷して艦載機を発艦できないが、既に発艦して残っている艦載機達が頑張ってくれている。
*異空間*
真っ暗な世界が広がる異空間では、剣戟の音が鳴り響く。
幾度も刃が ぶつかり合った末、ルキフェルスはクロスさせるように2本の剣を振り、ダンテも縦に叩き斬るように刃を振り下ろした。
鍔迫り合い、ルキフェルスの剣と ぶつかる魔剣ダンテが赤熱し、両者の間で火花が飛び散る。
ダンテ「親玉の お前が・・・直接 出張ってくるとはな・・・!1人ずつ潰そうって魂胆か・・・?!」
ルキフェルス「いいや・・・そうじゃない・・・!諦めてもらうためだ!」
鍔迫り合う互いの刃を押し退け、両者は後ろに後退する。
ルキフェルス「この世界は滅亡する運命にある」
ダンテ「それが お前らの望みか。けど残念だったな、俺が止めてやる」
ルキフェルス「違う、お前は大きな勘違いをしている。望んでるのは この世界だ」
次回も宜しく お願い致します!