Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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191話です!どうぞ!


Mission191 教育係~指導と敵意~

*Devil May Cry鎮守府 食堂 3月15日 7:40*

 

朝、朝食の時間に皆で食事をしていた。

いつも通りの風景、いつも通りの他愛のない話、Devil May Cry鎮守府の面々にとって、日常と言える時間が流れていた。

そこに、何者かが食堂の扉を開けた。食堂に居た者は、こぞって扉の方を見る。入ってきたのは白の制服を着た、2人の艦娘の姉妹だった。

急に何事かと食堂が ざわ付くと、2人の艦娘は海軍式敬礼を行い自己紹介を始める。

 

香取「練習巡洋艦『香取』です。本日付で、Devil May Cry鎮守府に着任する事になりました」

 

鹿島「練習巡洋艦『鹿島』です。うふふ♪」

 

Devil May Cry鎮守府に、練習巡洋艦2人が着任した。

何の事か さっぱりなダンテは、口を半開きに呆然と2人を見ていた。

赤城が席から立ち上がり、練習巡洋艦について簡単に説明する事にした。

 

赤城「提督は、練習巡洋艦の お2人に会うのは初めてでしたね。彼女達は演習において、艦娘を指導し、その練度を上げるのに特化した艦娘なんです」

 

ダンテ「今更かよ。いい、うちは間に合ってる。帰っていいぞ」

 

香取「そういう訳にはいきません!元帥の命で、不本意ながら こちらに着任する事になりました。変更は認められないそうです」

 

香取は不満があるのか、少々 声を荒げてしまう。

また大事な事を事前に報告されていないと思い、これにはダンテも頭を抱えてしまう。恐らく、事前に言えばダンテが拒否して門前払いになると思い、元帥は連絡をしなかったのだろう。

 

香取「兎に角!そういう事なので!これから宜しく お願いしますね!ダンテ提督!」

 

バージル「・・・・・・ダンテは そっちだ、愚か者が」

 

香取「え?へ?」

 

いつの間にか急接近していた香取は、ダンテではなくバージルに着任の挨拶をしていた。早速 双子マジックに騙される香取。

 

香取「そ、そういう訳なので、宜しく お願いします!」

 

ダンテ「お、おう・・・」

 

香取はテーブルを叩くようにしながら、顔が くっ付きそうなぐらい前のめりになり、着任の挨拶を済ませた。その気迫にダンテもタジタジになり、艦娘達も唖然として固まってしまった。

鹿島は ずっと扉の前に立ったまま動かず、ニコニコと笑みを浮かべながら食堂の様子を見ている。

 

香取「それと、1つ訂正しておきます。私達は艦娘だけでなく、提督である あなたの教育も任されておりますので」

 

ダンテ「教育しなきゃいけないほど子供に見えるか?」

 

香取「心配しないで・・・色々と優しく、指導させて頂きますから」

 

ダンテ「(これ、ヤバいかもな・・・)」

 

“優しく”と言ってるが、香取の笑顔からは、これから苛めてやろうという意志が見受けられた。

そして今日から、Devil May Cry鎮守府の面々にとって面倒臭い時間が始まるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*執務室 10:10*

 

朝食が終わった後、すぐに香取の指導が入り、ダンテは執務室に軟禁された。

現在、執務机に海図が広げられており、その上に敵軍の赤い駒と、自軍の青い駒が並べられていた。言うなれば、駒を使った戦闘シミュレーションである。

 

香取「次は これです。敵の布陣が こうである場合、自軍は どう動くべきですか?」

 

ダンテ「正面から蹴散らす」

 

ダンテは青い駒を進め、敵軍である赤い駒を手で払い退けた。それを見て、香取も堪忍袋の尾が切れる。

 

香取「さっきから何なんですか!よく今まで轟沈を出さずにやってこれたものですね!」

 

ダンテ「大抵これで何とかなってきた。俺に教育なんて必要ない」

 

香取「今までは そうでも、これからは分かりません!そんな事では いつか、誰かが轟沈します!」

 

ダンテ「轟沈しないように手助けはできる」

 

香取「作戦を考えるのも提督の役目です!あなた本当に提督ですか?!」

 

ダンテ「皆からは“提督”って呼ばれてるなぁ」

 

香取「~~~~!」

 

ああ言えば こう言う。ダンテの おどけた態度に、香取も声を荒げて怒らずにはいられない。

いや、寧ろ香取は、ダンテのペースに呑まれていた。いったい どちらに軍配が挙がるのやら・・・。

 

香取「一旦 休憩を挟みます。その間に、ご自身で復習しておいてください」

 

香取は気を落ち着かせるため、気持ちをリセットさせる意味でも、休憩と称して執務室から肩を怒らせ退室する。

香取が出ていったのを見届けると、ダンテは海図と駒をゴミ箱に突っ込んでから逃げた。

 

 

・・・・・・

 

*浜辺 13:30*

 

香取「はい、皆さん集まってますね」

 

鎮守府近くの浜辺には、香取型の2人と体操着を着たDevil May Cry鎮守府の艦娘達の姿があった。

香取は、午後から艦娘の訓練の指導に回った。

休憩のあと執務室に戻ったが、ダンテの姿が無く、しばらく待っても戻ってくる事はなかった。午前中は ずっとダンテを探したが、結局 見付かる事はなかった。

怒りたい気持ちはあった。しかし、捕まらないダンテを探し続けても時間だけが過ぎていくため、仕方なく鹿島と一緒に艦娘の訓練を見る事にした。

 

香取「皆さんに聞きます。艦娘にとって、最も重要な事は何ですか?」

 

香取が質問を投げ掛けると、阿賀野が挙手する。自信満々に手を挙げるので、香取は阿賀野に答えるよう名指しで当てた。

 

阿賀野「はい!ピザの注文です!」

 

阿賀野が言った瞬間、体操着を着た艦娘達は香取から顔を逸らし、俯いて笑いそうなのを堪える。一航戦の2人でさえ、顔がニヤけそうになっていた。

阿賀野の珍回答に、香取の血圧が上がる。提督であるダンテもダンテなら、艦娘も艦娘であるので頭痛がしてくる。

その香取の後ろでは、隠す事なく鹿島が笑っていた。

 

香取「ピザなら1人で勝手に注文してください!深海棲艦から海の平和を取り戻す!それが艦娘の役目です!そのためには、先ずは体力です!」

 

そう言われて艦娘達は、ランニングのカリキュラムを課せられ走る事になった。

 

長波「ひぃ・・・しんど・・・」

 

加古「何で走らされてんだか・・・」

 

砂浜でのランニングは、とても大変だった。砂に足を取られ、体力も持っていかれる。だが その分、足腰は鍛えられ、続ければ着実に体力は付く。

吹雪型は時々ここで走っているからか、まだ安定した走り込みができており、島風も難なく走っていた。

 

秋雲「これキツいわぁ・・・」

 

香取「ダラダラしない!しっかり走る!」

 

香取の監視の下、艦娘達は気が進まないまま走らされ続けた。

その後 全員が予定していた距離を走り終えたのだが、今日は これで終わりという訳ではなかった。

 

香取「終わりましたね。では次は演習です。全員 鎮守府まで駆け足で戻ってください」

 

皐月「まだやるのぉ!?」

 

深雪「休憩は!?」

 

香取「皆さんが走り終えてから5分は経ってます。休憩は それで終わりです」

 

鈴谷「普通に有り得ないから・・・」

 

愛宕「私、今日は買い物に行きたかったのに・・・」

 

香取「つべこべ言わない!はい、駆け足!」

 

休憩も儘ならないまま、艦娘達は演習のために渋々 鎮守府へと戻る。その時も、ダラダラしていたので また香取に怒られた。

 

 

・・・・・・

 

*食堂 19:10*

 

時間も過ぎ、夕食が始まっていた。

艦娘達は疲れてるからか、皆 元気がない。

鎮守府に戻ってから演習が始まり、航行演習、砲撃演習、雷擊演習、航空演習、対潜演習、演習の総仕上げに全部を引っ括めた総合演習を、5分間のインターバルを挟みながら それぞれの演習をやらされた。スパルタ指導に、艦娘達は全員 疲弊していた。

そして香取型も今は、皆に混じって食事を摂っている。

その片割れである鹿島を、ダンテはジッと見詰めて何かを考えていた。その視線に気付いたのか、鹿島はダンテの方を向き、ニッコリ笑顔を見せる。

 

ダンテ「・・・鹿島って言ったか?」

 

鹿島「はい、覚えて頂いたのですね♪」

 

ダンテ「俺とお前、会うのは初めてじゃないだろ?」

 

その問い掛けに、鹿島の笑顔は変わらず言葉も返さないが、鹿島の目付きが変わる。まるでダンテを試すような視線を向けてくる。

そしてダンテの言った言葉に、艦娘達は怪訝な顔をした。ダンテが練習巡洋艦の艦娘と会うのは、今日が初めてだったはずだ。

 

ダンテ「如月、鹿島の声、最近どこかで聞き覚えはないか?」

 

考える素振りを見せる如月だったが、その答えは すぐに出てきた。

 

如月「・・・・・・あーっ!あの時の占い師!?」

 

正解だったのか、笑顔を携えたまま鹿島は、困ったような表情を見せる。

 

鹿島「やれやれ、気付かれてしまいましたか。流石ダンテ提督、鋭い観察眼です。普段 女性に振り回されてるのは、敵を欺くための姿という事でしょうか?」

 

ダンテ「フッ、どうだろうな」

 

勿体振るダンテだが、本当に女運が悪くて素で困らされているので、敵を欺くとか そんな深い事までは考えていない。ただ、やる事はやる。仕事はキッチリ片付けるだけだ。

皆は何の話か付いていけなかったが、如月が昨日ダンテと出掛けた時の事を説明し、納得した。

しかし、如月は気が気でない。

 

如月「もしかして、昨日の占いは嘘?」

 

鹿島「いいえ、そっちは本当ですよ」

 

占い師の正体が鹿島であるなら、占いの結果は嘘だと信じたかった。だが その希望は否定され、如月が落ち込む。

もう自力で夕飯を食べる気力もなくなり、睦月を始めとした姉妹艦が食べさせてあげる。これでは まるで介護だ。

 

鹿島「私の占い、結構 当たるんですよ」

 

ダンテ「じゃあ“女難の相”って言ってたのは、お前らの事か?」

 

鹿島「正確には、香取姉です」

 

ダンテ「なら大当たりだな」

 

香取「鹿島、さっきから何の話をしてるの?」

 

香取の様子から、鹿島が正体を偽りダンテに近付いた事は知らないらしい。どうやら、鹿島の独断での行動だったようだ。

香取型の姉妹が来た事で、騒がしく疲れる1日が終わった。

 

 

・・・・・・

 

*演習場 3月16日 13:30*

 

翌日、演習場では明らかに怒ってる香取1人だけが居た。

 

香取「何で・・・何で誰も来ないのよー!!」

 

今日も濃密で充実した演習の指導をしようとしたのだが、2日目にして艦娘達は演習をボイコットした。

それには理由があり、実は便利屋として幾つかの仕事が入った。艦娘達は演習よりも依頼を優先し、殆どの艦娘が出払っていた。

誰も休む事を伝えていなかったので、香取は すっぽかされた形になってしまっていた。それが、演習場に香取しか居ない理由であった。

 

香取「もうっ!ここに居るのは不良生徒ばかりです!何なんですか、もーっ!」

 

顔を真っ赤にして怒る香取。牛のような角が見えそうだ。

 

 

*執務室*

 

一方 執務室では、ダンテが優しくて怒らない鹿島の授業を受けていた。

提督たる者、艦娘の事を理解し、把握しておかなければならない。今は、艦娘の兵装について勉強中だった。

 

鹿島「では、通常の魚雷と酸素魚雷の違いについて、答えてみてください」

 

ダンテ「答え教えてくれ」

 

鹿島「えー、またですかぁ?仕方のない人ですね、うふふ」

 

ダンテ「ハハッ!」

 

鹿島の授業は、とても楽しそうな雰囲気だった。

冗談を言ったり ふざけたりしても怒られないので、ダンテも これなら授業を受けてもいいかもしれないと思っていた。ただ、授業内容は聞いていないので、授業そのものは全く進んでいない。

それに鹿島は博識で、中には興味深い話もあり、ダンテも鹿島との会話は弾んでいた。

こんな艦娘が居るなら、鹿島だけでも もっと早くに着任してもらえば良かったと、ダンテは染々 思うのだった。

 

鹿島「提督さん、聞いてますか?」

 

ダンテ「え?聞いてなかった。もう1回 頼む」

 

鹿島「もう、集中力のない悪い人には、お仕置きしちゃいますよ?」

 

ダンテ「お仕置きか・・・・・・何されるのか気になるな」

 

お仕置きの内容が猛烈に気になっていると、ノックもナシに龍驤が駆け込んできた。

 

龍驤「提督、仕事先で高雄型がトラブったらしいねん。君、ちょっと行ってくれへん?うちとかじゃ手に負えんくて」

 

ダンテ「俺は勉強の真っ最中だ。自力で どうにかしろって言っとけ。で、鹿島、何の話だっけ?」

 

鹿島「だから魚雷ですよー」

 

鹿島との時間を優先したいダンテは、全く動く気がなかった。それを見て、龍驤も黙ってはいない。

 

龍驤「ずっと聞いとったけどなぁ、ちゃんと授業 受けてへんかったやろがい!」

 

実は龍驤、もしダンテが真面目に授業を受けていた場合を考え、邪魔になってはいけないと思い扉の外から ずっと様子を窺っていたのだ。しかし、聞こえてくる内容は授業になっていなかったので、こうして執務室に入ってきたのだ。

 

龍驤「ええから君は一緒に来るんや!」

 

ダンテ「イテテテテ!耳は引っ張るな!」

 

龍驤「やかましいわボケ!はよ来んかい!」

 

龍驤は即座にダンテに近付き、耳を摘まんで騒がしくしながら引っ張り出す。鹿島はニコニコしながら、止める事もなく2人を見送った。

 

 

・・・・・・

 

*中庭 3月17日 14:38*

 

明々後日にはFS作戦の第3段階、敵兵站を遮断するために出撃した第4艦隊の遠洋潜水艦作戦が終わる予定だ。

それに合わせて鎮守府に戻っていた艦娘達も、ショートランド泊地に戻る手筈だった。

しかし、今朝 大本営からFS作戦の最終段階は別の鎮守府に任せると通達があり、鎮守府での待機命令が下された。

今日の艦娘達の演習は鹿島が指導しており、ダンテは大本営に呼ばれたので、手の空いた香取は中庭を散歩していた。

 

香取「っ・・・!?深海棲艦!」

 

その途中、深海棲艦の ほっぽと鉢合わせてしまった。

鎮守府に着任してから何度か ほっぽと顔を合わせているが、皆が居る手前、何もせずに放置していた。しかし、今この場には自分と ほっぽしか居ない。

香取にとって、深海棲艦は どこまで行っても敵である。その敵が、今 目の前に居る。周りに助けは居ない。そう思うと、香取は無意識に艤装を展開し、主砲の砲口を ほっぽに向けていた。

ほっぽは騒ぐ事も、慌てる事もなく、ただジッと香取を見詰めている。

大人しい ほっぽを前に、香取も主砲を向けたまま動かないが、本能的に植え付けられた敵への恐怖が、撃てと警鐘を鳴らしている。

砲撃する瞬間、誰かに腕を掴まれた。砲口は上を向き、撃ち出された砲弾はグラウンドへと着弾した。

自身の腕を掴む者を見ると、それはネロだった。

 

ネロ「子供相手に随分と大人気ないな」

 

香取「は、離してください!」

 

香取はネロの手を振り払い、自分の手首に触れて擦る。相当 強い力で掴まれたのか、痛かったのだろう。

 

香取「どうかしてます。深海棲艦を庇うなんて」

 

ネロ「今じゃ鎮守府の一員だ」

 

香取「これは深海棲艦なんですよ!敵なんです!」

 

ネロ「“これ”じゃない、“ほっぽ”だ」

 

香取は疑問を投げ掛けた。敵を近くに置いておく事を、いつ この深海棲艦が自分達に牙を向くか、寝首を掻かれるかと不安にならないのかと。だがネロの答えは決まっている。

 

ネロ「ダンテや皆が決めたんだ。俺が何か言える事じゃないしな」

 

香取「正気とは思えませんね・・・失礼します!」

 

協力者と聞いていたネロも、ダンテやDevil May Cry鎮守府の艦娘達と同じ。自分が想定する危機的状況を全く考えていないと分かり、これ以上 話しても時間の無駄だと判断した香取は、その場から立ち去った。

ネロは ほっぽの方を向き、しゃがんで目線を合わせた。

 

ネロ「お前も苦労するな」

 

ほっぽ『・・・ヨク・・・ワカラナイ

 

ネロ「食堂でストロベリーサンデー食べ━━」

 

ほっぽ『タベル!

 

喰い気味でストロベリーサンデーを ご所望する ほっぽ。最早 大好物となっている。

ネロと ほっぽは一緒に並び、食堂に向かって歩き出した。

すると、ほっぽが肩車を要求してきた。食堂は すぐ近くなので、その程度の距離は自分の足で歩いてもらいたい。

 

ほっぽ『ダンテ・・・イツモシテクレル・・・

 

ダンテとしては、ほっぽが勝手に身体を よじ登り、肩車の形に落ち着いて離れないので、仕方なく そのまま乗せていただけだ。それを ほっぽは、してくれてると勘違いしていた。

 

ネロ「俺はダンテじゃないぞ」

 

ほっぽ『・・・ヨク・・・ワカラナイ

 

ネロ「何でだよ!?」

 

 

*大本営 応接室*

 

鎮守府で一悶着あった頃、大本営ではダンテと大将が顔を合わせ、丁度 話を始めるところだった。

 

ダンテ「今度は どういった用件で?」

 

大将「囚人護送の警備を頼みたい」

 

そんな他の者でもできる仕事、普段なら即お断りしているところだ。だが、今日のダンテは違った。

 

ダンテ「今回は特別に引き受けてやってもいいぜ。口うるさい香取の小言が聞こえなきゃ何でもな。それで、囚人の名前は?」

 

大将「アレックス・テイラーだ」

 

その名前を聞き、ダンテの目付きが鋭くなる。




次回も宜しく お願い致します!
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